東方天災手記   作:ベネト

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6ボス+EXボス戦前です


運命とは

美羽と魔理沙が戦っている同時刻...

 

黒幕の元へと急ぐ霊夢と柚神は長い廊下を進んでいく...

 

道中の敵はほとんどおらず、暇を持て余した彼女たちは雑談を交えながら歩を進める...

 

 

 

side霊夢

 

「へー...美羽の協力者ねぇ...どうりで似ていると思ったわ...」

 

「うちの美羽がお世話になりました...」

 

柚神と話をしながら私達は黒幕へと足を進めていく...

 

どうやら美羽と柚神は天狗の組織の命令で外で発生している紅い霧の調査にきたみたいだ...

 

つまり私達とは目的は一緒というわけね...

 

「...」

 

しかし...幾ら物腰柔らかそうな振る舞いをしていても彼女からは美羽と同等の力を感じる...

 

さっきだって謎の力で私の攻撃を避けたのだし、気が抜けないのも事実ね...

 

柚神の方を見ると頭に手を当ててどこか難しそうな顔をしている。

 

何やら小さい声で誰かと会話しているようだ...

 

「...どうしたのよ?」

 

「いえ...何でも...」

 

彼女は少し機嫌でも悪くなったのか目が少し鋭くなる...

 

本当に読めないわ...

 

 

 

 

柚神としばらく歩いていると大きな扉に差し掛かる...

 

柚神はその扉をしばらく眺めていると私の方を向く

 

「さぁ...つきましたよ?この扉の奥から強力な力を感じます...」

 

「この奥に黒幕がいるってこと?」

 

柚神は頷いて私に道を開ける...

 

「さぁ...どうぞ博麗の巫女...異変を解決するのが貴女の役目ですからね」

 

「...アンタはやらないのかしら?」

 

「...バックアップに回ります...美羽を倒した貴女の力を見てみたいので...」

 

柚神はスコープのレンズをハンカチで拭きながら答える...

 

私の力ねぇ...

 

「...分かったわ...支援任せたわよ」

 

私は扉を開けて中へ入る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉を開けるとそこは大きな広間だった...

 

天井には大きなシャンデリアがあり、大広間の奥には大きな玉座があった...

 

その玉座にはある人物が座っている。

 

青い髪にピンクのドレスを着た小柄な少女...背中には蝙蝠のような翼が生えており彼女は不敵な笑みを浮かべて私達を見る...

 

 

「へぇー...まさかここまで来るとは思わなかったわ...」

 

少女は赤い液体が入ったグラスの中身を飲んでいる...

 

随分と余裕ね...

 

「アンタがこの異変の黒幕かしら?」

 

「ええ...私はこの紅魔館の当主レミリア・スカーレット...この紅い霧の黒幕よ」

 

レミリアはグラスを私達の方へ放り投げ、私達の足元にグラスが破砕する...

 

グラスに入っていた液体がカーペットに染み出し、柚神の方は眉を顰める。

 

薄っすらだけど鉄臭いわ...

 

「...血ですか」

 

「...そうみたいね」

 

レミリアはフンと鼻を鳴らして玉座から降り、片手に巨大な槍を出現させる...

 

 

 

 

「生き血...それは私が生きていくうえで必要なものよ...この吸血鬼の末裔である私達にとってね」

 

「吸血鬼...海外の妖怪みたいなものですか...ならこの異変も理由が分かった...」

 

柚神は考え込むように顎に手を当てレミリアは窓の方を眺める...

 

 

「貴女の考え通りよ...吸血鬼の弱点である日光...この霧によりあの忌々しい太陽が姿を現さないわ...これで私達は完璧になれるわ...」

 

「それが動機というわけ...全く...」

 

人間である私には理解できない動機ね...半分呆れていると柚神が口を開く...

 

「完璧など存在しませんがね...」

 

柚神がぼやくように言うとレミリアは彼女をにらむ...

 

「何分かったようなことを言っているのかしら?...咲夜を倒したからって調子に乗らないことね」

 

レミリアの言葉に柚神はスコープのレンズをハンカチで拭いている...

 

「...気に障ったなら失言でした...これはワタシの今までの経験談です...どんな完璧に創った兵器であってもどこかに綻びが出てしまいますからね...ワタシも美羽もね...」

 

彼女はスコープを付けて後ろへ下がる...

 

その表情は少し寂し気に見えるわ...

 

そしてレミリアの方は顔を真っ赤にしている...

 

「ぐぐぐ...貴女ごときに分かるわけないわ!!スピア・ザ・グングニル!」

 

レミリアは柚神に向けて槍を投げる!

 

柚神は背を向けてまま肩越しでレミリアを観察している...

 

「柚神!」

 

私が注意を促すと柚神の姿が消えレミリアの背後へ幽霊のように現れる

 

 

 

 

 

「なっ!」

 

レミリアは驚きの表情を見せているが柚神は微笑むだけで彼女の耳元に囁く...

 

「ワタシごとき?ワタシにはわかりますよ...自身の欠点を消すことは生きていく限りの性ですからね」

 

 

そう言って彼女は姿を再び消して私の背後に現れる。

 

「少々時間が長くなってしまいましたが早くやりましょうか...この異変はもうじき終わりを迎えますからね...」

 

「ぐぐぐ!!」

 

レミリアの方は顔を真っ赤にしている...柚神の言うことが気に障ったのかしら?

 

 

 

「アンタが怒らせたんだからちゃんとサポート頼むわよ...」

 

「ええ...やりますよ...」

 

彼女は悪びれもなくスペルカードを取り出す...

 

しかし...この勝負は早くも見えた気がするわ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃美羽は地下へ進んでいる...

 

霧雨魔理沙から受けた傷により、少々満身創痍の彼女であったが仕事を早く終了させるという目的が生まれたため先を急ぐ...

 

進む度に強力な力を感じた彼女は自身の受けた傷を治しながら、胸を高鳴らせていた...

 

 

 

 

side美羽

 

「...あら?」

 

つい地下へ行ってしまったけど、これはこれでお宝に巡り合えたかもしれないわね...

 

柚神達が戦っている吸血鬼とは別の力を持った存在がアタシの近くにいる。

 

これはこれで面白いわ...

 

さっきの戦闘で受けた屈辱...それ憂さ晴らしが出来るかもしれないからねぇ...

 

「上の方は柚神に任せましょう...多分負けないでしょうねン」

 

アタシは地下へと歩を進めていく...

 

 

 

 

しばらく進むと金属製の扉に行く着く...

 

この中から濃厚な力を感じるわン!

 

「ふふふ!!」

 

扉の閂を開けて中に入ると真っ暗な部屋が目に映る。

 

中は薄暗く牢屋のような内装ではなく客間のような感じになっているでも家具やら壁は壊れたりヒビが入っていたりと何かが暴れたような感じになっている。

 

光源は無いみたいだけど、アタシには分かる...小柄な子供が暗闇からアタシの事をじっと観察していることにね...

 

「だれ?お姉さまではないみたい...待って!少し明るくするから」

 

少女はベットの上で跳ねると蝋燭に火がともり部屋の中が少し明るくなり姿が明らかになる。

 

 

 

...金色の髪をサイドテールにして赤い服とスカートを身に着けリボンのついたドアノブカバーのような帽子を頭に乗っけている...そして目立つのは背中にある翼のようなもの細い黒の棒に色とりどりの宝石のような羽が下がっている...あれで飛べるのかしら?

 

「ウフフ...だれ?お姉さまの友達かしら?」

 

お姉さま?今柚神達が相手している子のことね...

 

「アタシは貴女のお姉さんのことは知らないわン...」

 

「...それでもいいよ!私の名前はフランドール・スカーレット!フランで良いよ!お姉さまのお友達では無いみたいだし...」

 

フランは右手をぐっ!とにぎるとアタシの横にあった机が弾け飛ぶ。

 

「オモチャ 二 シテモ イイヨネ?」

 

「...」

 

アタシは机を見る...バラバラになっており、砕けているパーツがある...

 

「コワサレナイデネ?...オネエサン?」

 

「美羽よ...」

 

「?」

 

フランは頭に?マークを浮かべて首を傾げる。

 

 

「アタシの名前よ...それ以外の呼称では呼ばないでもらいたいわン」

 

「...ワカッタ!ミハネ!」

 

「ええ...良いわン!」

 

...今なら柚神の邪魔が入らないわ

 

少し遊んであげるわよ...

 

本気でね...

 

 

 




次回同時進行

ではこれにて

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