東方天災手記   作:ベネト

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魔理沙vs美羽


魔法使いと謎の力

sideパチュリー

 

「さて...お手並み拝見ね」

 

美羽と謎の乱入者である霧雨魔理沙との戦いが始まる。

 

私は彼女達から距離を取って観察に移る。

 

 

 

 

美羽の謎の力を確認するには絶好の機会かもしれないわ...

 

私の勘が告げている...あの力は危険なものだと...

 

しかし...その内容が分からないわ...振動と高エネルギーを放出する力...どちらとも繋がりのないように見えるけどね。

 

 

 

 

 

 

「行くぜ!」

 

魔理沙は大量に光弾を美羽に放つ!美羽はその光弾をすぐに見切り、それを紙一重で避けていく。

 

鈍いし注意力散漫かと思っていたけど、やればできるのね...

 

 

「...アタシ相手にそれはないわ」

 

美羽が掌底を放つと魔理沙の方に振動の波が障害物を破壊していきながら飛んでいく...

 

「おっと!」

 

魔理沙はそれを箒の上に立ちながら高速でそれを避けて美羽との距離を詰める。

 

「弾幕以外にもこんなことができるんだぜ!」

 

魔理沙は箒に乗ったまま美羽に一直線に近づき、突進を仕掛ける...

 

それに気づいた美羽はそれを紙一重で避ける。

 

 

「っ!まさか...アタシに向かって突進を仕掛けるなんてねン...力押しでは絶対にアタシには勝てないわ!」

 

美羽は空間を複数回薙ぎ払うようなモーションをすると振動の刃が魔理沙の方へ放たれる。

 

「確かに当たったらやばそうだ...でも!お前ワンパターンなんだよな...よっと!」

 

彼女は振動の刃を避けていく...もう慣れた感じね...この子に会ってまだそんなには経過してないけど相手の技を見切ることに関しては秀でているみたいね...

 

「ワンパターン...ね...なら...ちょい本気いくわ」

 

美羽が翼を羽ばたかせると彼女の姿が消える?

 

気配も何もない...ちょっと本気出しただけで目に追えないとは...

 

魔理沙の方はキョロキョロと辺りを見回している。

 

 

 

 

 

「どこ行った?物陰にでも隠れたのか?」

 

魔理沙はあたりの本棚の影を警戒するが、それは違う...

 

あんなアグレッシブな戦い方をする子がそんな姑息な手を使うはずはないわ...

 

私が思うに...彼女は隠れているのではなく...

 

 

 

 

「ふふふふ」

 

「っ!」

 

魔理沙の横を何かの一閃が横切っていく...

 

その方向を見ると美羽が姿を現す。

 

 

「反応が遅いわねン...軽く図書館を飛び回っちゃったわ...」

 

美羽はキセルを咥えて煙を吐き出す...

 

やはりね...彼女は消えていたのではなく...目にも追えないスピードで図書館内を飛び回っていただけ...

 

あれはもう...人外にしか彼女の動きを捉えることはできなそうね...

 

 

「...おいマジか...全く見えなかったぜ」

 

「それはそうよ...アタシの力についてこれる者なんて多分いないんじゃないかしらン?」

 

美羽は退屈そうに虚空を眺めている。

 

しかしこの子これだけの力を持っているのにムラがあるわね...

 

今だって魔理沙を仕留めようと思えばすぐにできたのに...

 

それに気づいたのか魔理沙は不服そうな声を上げる

 

 

 

 

 

「おい...今その気になれば私を倒せたんじゃないか?」

 

「ええ...やろうと思えばできたわン...次で仕留めるけどね...」

 

再度美羽の姿が消える...

 

 

「また消えたか...次は見切ってやるぜ」

 

魔理沙は辺りを見回すが彼女の姿は目視できない...

 

確認できることといえば、僅かな風切り音くらいかしら?

 

しばらく彼女が飛び回った後姿を現し、魔理沙の背後でキセルを吹かしている。

 

 

「速いな...見切れなかったぜ...でも仕留めるんじゃなかったのか?」

 

「ええ...貴女は終わりよ...大丈夫...手加減はしてあるからね」

 

美羽がキセルの煙を吐くと辺りの空間が線状に僅かに歪む...

 

まるで空気の層が渦巻いているかのように、その線は魔理沙の周りを複雑に囲い檻のようになっている。

 

 

 

 

 

「なんだこれ!?」

 

魔理沙はそれを警戒しながら辺りを見回すが抜けられる場所がない...

 

「アタシが翔けた大気の層は刃と化す...±符(エアライド・ソニックブーム)」

 

美羽が宣言すると歪んだ空気の層がはじけ飛び振動波が辺りへと無差別に飛び辺りの物を破壊していく...

 

無論...囲まれていた魔理沙が避けられるはずもないわね...

 

「こんなん!ありかよ!!」

 

魔理沙は叫びながら被弾する...

 

 

 

 

 

 

 

 

「...軽い肩慣らしにはなったかしらン?」

 

煙が舞う図書館の中で美羽はキセルの煙を吐いて辺りを見回す...

 

やはりあの子では勝てる相手ではなかったわね...明らかに実力差が大きすぎる...

 

もっとも美羽の方は本気を出していないみたいだし、その実力が計り知れないわ...

 

 

美羽の力は今の戦闘を見ても全く正体が分からないのが現状ね...

 

振動波に並外れた速度...

 

それに何らかのヒントがあると思うのだけど?

 

「...しかし」

 

私は荒廃した図書館内を見回す...

 

これはもとに戻すのに骨が折れるわね...

 

美羽の力も気になるけど、こちらを最優先にしないと今後に支障をきたすわ...

 

 

 

 

「さてと...柚神と合流しないとね...」

 

美羽が地下室の方へと歩を進める!

 

いけない!あそこにはあの子が!!

 

 

私が制止しようとすると光弾が飛んできて美羽の頬を掠る...

 

光弾の飛んできた方向を見ると魔理沙がそこに立っていた...

 

全身ボロボロだけど、まだ闘気ありふれた顔をしている...

 

 

 

 

 

 

「...あら?まだ戦えたの?」

 

「あいにく諦めは悪いほうなんだぜ!」

 

魔理沙が光弾を放つが先ほどと比べて光弾にキレがない...これでは美羽を仕留めることはまずできないわね...

 

美羽はその光弾を手で薙ぎ払う...

 

 

 

 

「あきらめたら?明らかに威力は落ちているし...アタシを倒す火力はないわン」

 

美羽の方は戦闘をやめにしており、退屈そうに欠伸をしている...

 

油断しきっている今なら魔理沙でも倒せる算段はあるけど、疲弊している以上彼女に勝つ事はもうできないわ...

 

でも魔理沙の顔はまだあきらめていない...

 

 

 

「やってみないとわからないだろ!」

 

魔理沙は光弾を放つが狙いが甘かったのか美羽には当たらず彼女の横を通り過ぎていく...

 

本棚が破砕する音が聞こえるわ...

 

 

 

 

「やめとけばいいのにン...でも好きよ?そういうあきらめの悪い子はねぇ」

 

美羽は両手を上に掲げ巨大なエネルギー弾を生成する!

 

先ほどよりも強力なものだ!

 

これを受けたら人間である魔理沙は!!

 

「本気か...」

 

「いえ?まだ30%くらいよ!痛みもなく眠りなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ばき...がたん!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

物音に気付き美羽の気がそれる...

 

何かが壊れて倒れるような音がみたいね...

 

 

ばきき!!がたん!!!

 

その物音がどんどん大きくなっていき、美羽は攻撃を中止し辺りを見回す...

 

 

「何が起こってるの?」

 

「ふふ...うまくいったぜ!」

 

美羽の反応に魔理沙は笑う

 

 

「何したの?」

 

「偶然の産物みたいだが...今!現在!疲弊した私でもお前を倒せるほどの力が!集まった!」

 

魔理沙が叫ぶと破砕音と倒れる音が美羽の背後から響く...

 

 

 

 

 

 

「...え?」

 

美羽が振り向くとそこには彼女に向かって倒れてくる巨大な本棚...

 

美羽は逃げ出そうとするが...あまりにも遅かった...

 

 

「いやあああああ!!!」

 

 

 

ずぅぅぅぅん!!

 

 

 

 

彼女は本棚に押しつぶされる...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...一体何で?」

 

私は物陰から美羽を押しつぶした本棚を見る...

 

奥の方の本棚も本棚に向かって倒れている...

 

これはもしかして...

 

 

「ドミノ倒しって奴だな!」

 

「!?」

 

魔理沙の声が響き彼女の方を向くと彼女は私の方を見てにこやかに笑っていた...

 

しまったわ...前に出過ぎたかしら?

 

「私に気づいてたの?」

 

「ああ...戦う前からな...」

 

魔理沙は美羽を押しつぶした本棚をしげしげと眺めている。

 

そして奥の本棚を見て一息つく

 

 

 

 

「本当にうまくいったぜ...これが成功しなかったら負けだった...」

 

「ドミノ倒しって...いつのまにやったのよ?」

 

「最後のダメ押しの光弾だぜ...あの時は美羽本体ではなく奴の背後の本棚を狙った...あれは最後の賭けみたいなものだ...」

 

倒れてきた本棚の奥を見ると奥の壁際に置かれていた本棚が一番損壊が大きい...

 

本棚に沿って平行に配置していたから...ドミノみたいに崩れたのね...

 

 

魔理沙は伸びをして奥を見る

 

 

「さて!強い奴と会ったけどまだ異変は終わらないぜ...さっさと外の紅い霧も晴らさないとな!」

 

「...あ」

 

...そういえばこの子...美羽を異変の協力者と勘違いして戦ったのよね?

 

ある意味助かったけど...これでよかったのかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...人間風情が...このアタシに...勝ったと思うんじゃ...ないわ」

 

本棚の中から濃厚な殺気があふれ出し私達は後ろへ飛ぶ!!

 

魔理沙も殺気に驚いたのか冷や汗を流している

 

「!!」

 

 

 

「本気出すなと言われてるけど...破ることなんて造作もないわ...そうでもしないとアタシのプライドがズタズタになってしまうのよ!!」

 

辺りの空間に変化が起きる...

 

何やら薄い青色の霧が立ち込めたと思いきや、辺りの本棚が宙へと浮く?

 

まるで無重力下の道具のように宙を漂っている...

 

 

 

 

そしてその中に傷だらけの美羽を発見する...

 

先ほどつけていた帽子はどこかにいっており、長いアホ毛のある頭からは出血・白い軍服のようなものも彼女の血で汚れており、彼女は足を組んだまま座るように宙を浮きながら不機嫌そうな顔をして頬杖をつく。

 

「...まだ意識があったか...しかしこれは一体?」

 

「100%のアタシの力...その気になれば空間すら歪められるわ...さて時間も惜しいし...終わりよ!」

 

美羽は先程以上のエネルギー弾を生成する!

 

傷を受けているのに!まだこれだけの余力があるなんて!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何をしてるんです?美羽...)

 

空間から声が響き美羽は不機嫌そうに辺りを見回す

 

「...柚神ぃ...何の用?今すごい忙しいんですけどぉ!」

 

柚神?そういえば美羽の言葉の端々でそんな名前が出ていたわね...

 

確実の仲間の名前ね...

 

「大体貴女は肝心な時に余計な...」

 

美羽が文句を言っていると柚神と呼ばれた女性の声が響く

 

(早く仕事を終わらせるんでしょう?心を平常心にしませんと...)

 

「はっ?先ほどの貴女だって...誰かとの戦闘で随分とお怒りだったと思うけど?」

 

(...小言はここまでです...現在ワタシは博麗の巫女ともに黒幕の下へ向かっております...そんなに時間は取りませんので...早めの合流をお願いします)

 

「博麗の巫女~?...わかったわよ」

 

美羽はエネルギー弾を消滅させ地上に降りると辺りに浮いていた本棚なども地面に落ちる...

 

 

 

 

 

(ええ...それでいいです...では後程...)

 

「はいはい...」

 

美羽は床に落ちていた帽子を拾い頭に被った後、背を向けて地下室の方へ向かう...

 

そんな美羽に魔理沙が話しかける

 

 

 

「おい!やめるのか?」

 

「...仕事の途中だもの...仕方ないわン...それに何だかやる気がなくなってしまったし...」

 

「仕事?」

 

「...組織の命令でねぇ...紅い霧をどうにかしろと言われて遠路はるばるここまで来たってわけ...」

 

「紅い霧?じゃあ!お前は異変を解決しようとして...」

 

美羽は私達の方を見ずにキセルを吹かして僅かに笑みを浮かべる...

 

「冷静に考えてみれば貴女もよねぇ...全く無駄な戦闘をしてしまったわン」

 

美羽は地下室へと入り姿を消し、魔理沙の方は私を見つめる。

 

 

 

 

 

 

「お前の方が異変の協力者?」

 

「...」

 

私が大人しく頷くと魔理沙は溜息をつく...

 

「はぁ...やっちまった...」

 

「...言えた義理ではないけど...間違えは誰にでもあるわ...」

 

頭に黒い雲を陰らせながら落ち込む彼女を見ながら、私は美羽が消えた地下室の方を眺める...

 

 

彼女の最後に見せた本気の力...

 

本棚と自身の体を浮かせた...アレは無重力空間を作り出したみたいね...

 

振動波に高エネルギー・常軌を超える速度・そして無重力...

 

考えれば考えるほど力の本質が分からないわ...

 

 

「でも...妹様の玩具にはなるんじゃないかしらね?」

 

これで私の観察はここまで...残りは大人しく事の展開を見守るかしらね...

 

 

 




次回霊夢と柚神

ではこれにて

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