東方天災手記   作:ベネト

15 / 78
乱入者過多...


白黒と紅白

天逆美羽とパチュリーノーレッジの戦いが始まり数刻の時が経過した頃...

 

両者の力が苛烈を極め、打ち出す攻撃の質が高まり始めていた。

 

 

しかし...美羽の相手であるパチュリーは美羽の力に疑問を感じ始めていた...

 

時間が経過するにつれて彼女にも焦りの色が出る...

 

 

 

 

 

 

 

 

sideパチュリー

 

「...おかしいわ!」

 

私は美羽から距離を取りながら彼女を観察する。

 

疑問に思うことが浮上したからだ。

 

 

「あら?休憩?それでもいいけどね」

 

美羽はキセルを吹かしながら壁に寄りかかっている。彼女が油断したのは私としては好都合だけど...

 

美羽の能力...それに警戒を怠るわけにはいかないわ...只でさえ謎があるのだから...

 

 

 

 

 

まず...先ほどよりも美羽の攻撃の質が上がり始めている...

 

単純に彼女が本気を出していなかったと考えれば、その疑問も薄れるのだけど、もう一つのことを疑問に行きつく...

 

それは私の力が少しづつだけど、弱まり始めていることに気づいたからだ...

 

 

 

 

 

 

「...今日の分の薬は飲んだわよね?」

 

私の体は喘息を患っていて貧弱だけど今日はいつもと比べては体の調子も良かったから不調ではないはず...

 

体の不調ではないとすると一体何が起きているの?

 

美羽の方は煙を虚空に吐き出して私の方には全くと言っても良いほど警戒していない...

 

 

 

 

 

「フー...無理はしないほうが良いと思うけど~?アタシとしても病人相手にマジな戦いはできないというか...」

 

「心配は無用よ...」

 

私は美羽に光弾を放つが彼女はそれを腕で薙ぎ払うだけで打ち返し、打ち返された光弾はあたりの本棚を破壊する。

 

ああ...貴重な魔導書が...

 

 

 

 

 

 

 

「のんびりお仕事をしているのもいいけど...そろそろ柚神の奴が騒ぎそうだから終わりにしないとね...」

 

美羽はキセルを咥えながらこちらへとゆったりとした足取りで近づいてくる...

 

どうやら...休憩時間は終わったみたいね...

 

そろそろ彼女が本気を出してくる頃合いね...

 

 

 

 

「終わりなのは貴女よ!日符(ロイヤル・フレア)」

 

私は巨大な光弾を美羽に向かって放つ...

 

彼女は避けもせずにそれを眺めるだけ...

 

 

 

「...言ったでしょ?終わりにするって?±符(バースト・エナジー)」

 

美羽がこちらに手を向けると彼女の手から高濃度の光線が放たれる

 

その光線とロイヤルフレアが直撃し辺りに爆煙が舞う...

 

私はその爆炎に押されて壁際まで追い詰められる。

 

 

 

 

 

 

 

「げほ!!げほ!!まさか!私の魔法が!」

 

ロイヤルフレアは現段階の私の魔法の中では最大の力を持つ物!

 

それをいともたやすく消滅させるなんて、美羽の力の底が見えないわ...

 

 

 

 

「ふふふ...驚いたぁ?」

 

煙の向こうから美羽の姿が露わになる。

 

彼女自体は全くの無傷だ...

 

彼女は左手を腰に当てて右手で私の方を指さす...

 

「驚きの連続よ...貴女の能力が強力だということを痛感したわ...」

 

「ええ!それはそうよねぇ...それがアタシが最強と呼ばれる所以だからねン...」

 

美羽は自身の手を眺めて考え老け始める。

 

「でも制約がきついわね...中途半端じゃ能力を活かしきれないわ...さっきのだってアタシが本気を出せれば光弾ごと貴女を巻き込めたのにね...」

 

彼女は右手に集中して光弾を私に向けて放つ...

 

私は魔法壁を発動し、それを防ぐが一回受けただけで魔法壁が消滅する。

 

「ぐ!」

 

「とりあえず...お仕事だからねぇ...とりあえず何回まで耐えられるかしらン?」

 

美羽はまた光弾を放つ!

 

再度魔法壁を発動するがまた直撃して消滅する...

 

 

 

「はぁはぁ...嬲り殺しにするつもり?」

 

「変に防ぐからよン...大人しく受ければすぐに楽になるわ」

 

美羽は再度右手に力を籠める...

 

 

 

「ぐ...げほほ!!」

 

体に負荷をかけ過ぎたかしら?...こちらとしてももう限界ね...

 

レミィ...後は頑張りなさいよ...

 

私は抵抗することもなく目を閉じる...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁー!私も混ぜろよ!」

 

「あら?げほん!?」

 

...?

 

何やら声が響き私は目を開ける...

 

目の前には後頭部を手で押さえながら床を転がって悶えている美羽の姿があった?

 

私は何もしていないのに何が起きたの?

 

 

 

「痛い痛い!!一体何よぉ!!!」

 

美羽は涙目になりながら辺りを見回している...

 

「ここだぜ!」

 

声のする上の方向を私達は見る。

 

 

 

 

 

本棚の上には金髪の少女がいた...

 

黒い魔女帽子に白黒のエプロンドレスを身に着けている。

 

彼女は二カっと笑うと本棚から降りてくる。

 

 

「貴女ねぇ...仕事の邪魔しないでくれない?人の後頭部に光弾を直撃させるし!!」

 

美羽は叫ぶか少女は悪気もなく笑うだけだ。

 

「私だって仕事みたいなものだぜ?この紅い霧を晴らすためにここまで来たんだ...おい!これ以上痛い目にあいたくなければ紅い霧をなくせ!」

 

何故か少女は美羽に向かって言い放つ?

 

私ではなく何で同じ目的をもった美羽に?

 

美羽の方は怒りで判断能力を失ったのか反論せずにいきり立つ...

 

 

 

「うっさいわ!!!これ以上痛い目にあいたくなければですって?ならアタシが痛い目に合わせてあげるわよ!!」

 

「いいぜ!こいよ!!!」

 

「...」

 

ある意味チャンスかもしれないけど、巻き込まれるのはごめんね...

 

離脱するには良い機会かも...

 

私はそっと彼女達から離れて物陰に避難する...

 

戦闘を眺めるにはちょうどいいわ...

 

美羽の能力...見させてもらうわよ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃...

 

紅魔館の廊下では異変の解決に向かった幻想郷の巫女である博麗霊夢がそこにはいた。

 

紅魔館の門番である紅美鈴と道中にいた屋敷妖精を蹴散らし、異変の黒幕へと近づいていることに彼女は確信を持っていた...

 

しかし...運命とは狂うに狂うものである...彼女を待ち伏せている者の存在に彼女は気づいていない...

 

 

 

 

 

side霊夢

 

「...ふん...随分とぬるいわね」

 

異変の元凶を目指して私は廊下の奥へと進む...

 

こんな大それた事をやったのだから苦戦するとは思ったけど、出てくる者は妖精くらいだし苦戦はしなかったわね?

 

少し妙な感じがするけど...楽になることにはこしたことはないわね...

 

 

 

 

「しかし...長い廊下ね」

 

いつまで進んでも同じような景色が続くわ...

 

それなりに大きい屋敷だけどここまで大きかったかしら?

 

 

 

 

「あら?」

 

廊下を進んでいくと遠くに人影が見え私はお札を構えて臨戦態勢に入る...

 

その人物は窓の外を眺めており、後ろ手を組んでこちらに背を向けている。

 

ここの住人かしら?

 

しかし...隠しきれない力を感じるわね...

 

 

 

 

 

 

「先手必勝!」

 

私はその人物に向かって光弾を放つ...

 

その人物はそれに気づくような素振りも見せない...

 

もらったわね...

 

 

 

 

「...ふふ」

 

「!?」

 

その人物は微かに笑い声をあげると同時に霧のように姿を消す?

 

私の光弾は窓を突き破りその人物を捉えることができなかった...

 

 

 

「一体どこに!?」

 

私は辺りを見回すが誰もいない...

 

確かに誰かいたはずなのに!

 

 

 

 

 

「噂でしか情報がありませんでしたが...人間にしては中々の力を持っているみたいですね」

 

「!?」

 

後ろを振り向くと私を見つめて笑みを浮かべている女性がいた...

 

灰色の長い髪に黒い軍服のようなものを身に着けている...

 

その緑色の目は吸い込まれそうになるくらい明るい色をしている。

 

 

その顔はどこか見覚えのある顔だった...

 

 

 

 

 

 

「美羽?何でアンタが!?」

 

その女性は前に神社で戦った美羽にそっくりだった...

 

私の話を聞いて女性は首をかしげる

 

 

「美羽ですか?いえ?ワタシの名前は天逆柚神です...美羽とは似ていますがね」

 

「別人?」

 

...よく見たら口調や細かな見た目は違うみたいだけど本人にそっくりね

 

しかし彼女から感じる力は美羽と一緒...

 

よくわからないけど強力なものだと私の勘がつげているわ...

 

 

柚神と名乗った女性はスコープを取り出し目に着けて私を観察するように見つめている...

 

 

 

「...ふむ齢10代とまだ若いのにこの力とは...生まれ持った天才というべきですかね?人間にしては中々ですね」

 

「私博麗の巫女よ?それなりの力はないと博麗の巫女は名乗れないわ」

 

柚神は笑みを浮かべ拍手をする...

 

「素晴らしいです!情報以上の人だということを確信しましたよ!」

 

「...ええ」

 

何というか...美羽と比べると調子が狂うわね...

 

まだ彼女の方が話しやすかった気がするわ...

 

しかし...何で美羽に似たこの人がここに?

 

彼女も来ているのかしら?

 

 

 

 

 

「少し聞くけど...美羽はここに来ているのかしら?」

 

「ええ...ワタシとは別行動ですがね...」

 

柚神はスコープのレンズをハンカチで拭いている...

 

質問には淡々と答えているわね...

 

でもワタシの勘がつげているわ...

 

この人...美羽以上にタヌキみたいね...

 

どす黒い本性を隠している人と同じ臭いがするわ...

 

まだ油断はできないわ

 

 

 

「次に聞くけど...アンタらの目的は何なの?」

 

「...目的ですか...仕事でこの紅い霧の調査に来ただけですよ...本来は美羽の仕事ですがワタシが影ながらバックアップをさせてもらっていますがね」

 

とりあえず嘘は言ってはいないみたいね...

 

少し引っかかるところはあるけど、私としてもこれ以上時間を浪費するわけにはいないわね...

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう...一応敵ではないことは理解したわ...で?この奥にこの異変の黒幕がいるのよね?」

 

柚神は頷く

 

「そうみたいですね...美羽がいつまでたっても来ませんので、どうしようと思っていた時に貴女が来ましたのでね...」

 

「...貴女戦えるかしら?そっちとしても早く異変を終わらしたいのでしょう?利害が一致すると思うけど?」

 

「協力というわけですか?」

 

柚神は少し迷ったような表情をするが利害が一致したのかすぐに頷く

 

 

 

「ワタシでよければ...美羽よりは戦闘能力は落ちますがね...」

 

「決まりね...」

 

私は柚神の手を引いて廊下の奥へと進む...

 

落ち合うはずだった魔理沙と合流できなかったけど...

 

彼女がいれば何とかなるわね...

 

 

 

 

 

 




美羽と柚神の能力の説明は異変後に

ではこれにて

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。