東方天災手記   作:ベネト

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紅魔館へ到着です


紅い洋館

美羽と柚神は霧の湖を抜けて、霧の発生地点へと急ぐ。

 

進むにつれて濃くなっていく霧に彼女たちは異変の首謀者へと近づいている手ごたえを感じていた。

 

しかしまだ物語は始まったばかり...まだこの異変は終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

side美羽

 

霧の湖を抜けてしばらく経過する。

 

進むにつれて霧が濃くなり謎の力も強くなっていく...異変の首謀者まで近づいていることが実感できる。

 

 

「柚神!後どれくらいなのよぉ?」

 

柚神はスコープのレンズをハンカチで拭いている

 

「...ん?何か言いました?」

 

こいつ!話を聞いてなかったわね!!

 

アタシは後ろを向いたまま移動し柚神と対峙する。

 

 

 

 

 

 

「だから!敵の本拠基地まで後どれくらいよぉ!!」

 

「...目の前ですが?」

 

「は?」

 

後ろを振り向くと紅い洋館がアタシの眼前に映る...

 

でも!すぐ目の前には窓が!!!

 

もう無理...避けられない...

 

 

 

 

「大事なことは先に言いなさいー!!」

 

アタシは窓に突っ込み内部の壁に激突する。

 

床に無様に倒れこみ、壁に掛けてあった絵がアタシの頭部に落下する...

 

「いぎゃあああああ!?痛い!痛いっ!!!」

 

「ああ...ですから油断大敵と何回も...」

 

悶絶して床を転がるアタシを見下ろす柚神はスコープをもとに戻す。

 

「ゆ...柚神...絶対今のはアタシの所為じゃないわぁ...」

 

「ワタシの所為でもありません...」

 

彼女は窓の外を眺めている...

 

こいつ...アタシがこんな目にあっているのに!!

 

少しは心配したらどうなの!!

 

 

 

「あらら...これはすごい...」

 

「何がすごいのよ!!」

 

割れたガラス片を払いながらアタシも窓の外を見る...一体何がすごいんだか!!

 

 

 

 

 

 

「...あらん?」

 

窓の外にはいつぞやの博麗の巫女こと、博麗霊夢が誰かと戦っている光景が目に映る。

 

 

「あの子が...あの」

 

「ええ...そうね...」

 

アタシを初めて倒した人間の一人博麗霊夢...

 

あの時の勝負の光景が脳裏にちらつくがここは落ち着きましょう。

 

 

 

 

 

 

「ぎぎぎぎ!!」

 

落ち着きなさい!落ち着くのよん!!!

 

幾ら屈辱でも!幾ら悔しくてもここは敵地!!平常心で行かないといけないわ

 

 

「爪噛むのやめましょうよ...」

 

「五月蠅いわぁ!!」

 

落ち着いて戦いを見ると霊夢の相手は...紅い髪をしており、緑色の中華服をつけている。

 

どこからどうみても劣勢を強いられているみたいね...

 

窓から眺めているから会話までは聞き取れないけど、見ているだけで戦いの行く末は分かった気がするわ...

 

キセルを取り出して火をつける。

 

 

 

 

 

 

「...本当に人間の割のよくやるじゃない」

 

霊夢の体が光り出し光弾の嵐が相手方に降り注ぎ、霊夢の相手は避けることが出来ずに吹き飛ばされる...

 

人間の身でありながらあの戦闘スキルの高さと才能...

 

生まれながらの天才というべきかしらね?

 

 

 

 

「あらあら...もう決着ですか...」

 

柚神の方は残念そうに霊夢を観察している。

 

柚神だし...恐らくは霊夢のデータを取りたかったのでしょうけど、過ぎたものは仕方がないわ。

 

アタシは館内を眺める。

 

 

 

館内は洋風な造りの物が所せましと置いてある...

 

日本の物というより、海外の文化に似ているわね...

 

アタシはこの手のものに理解はないわ...

 

「柚神...ここが目的地よね?」

 

「ええ...そうです...えーと」

 

柚神はホログラム画面を眺めている。

 

 

 

「ざっと危険な人物は4人といったところでしょうか?ワタシ達ならすぐに片付くでしょう」

 

「4人ね...」

 

案外少ないわ

 

なら早く終わらすことが最重要条件ね...

 

 

 

 

「あらぁ?」

 

考えてみれば...何で霊夢がここにいるのかしら?

 

あの子は博麗結界の守護者のはず?

 

こういう問題の解決にも来るのかしら?

 

 

「敵の敵は味方というものかしらね?」

 

「何がです?」

 

柚神はアタシに尋ねるがそれはどうでもいいことね...

 

アタシ達の任務は早急にこの霧を止めることなのだし...

 

 

 

「散らばるわ...二手に分ければすぐに終わるから...」

 

「ええ...では」

 

柚神と別れてアタシは反対の方向へ向かう...

 

こっちのほうが強力な力を感じる気がするわ...

 

本気を出せない分楽しめれば良いのだけどね...

 

 

 

 

 

 

 

 

side柚神

 

 

「...さてどうなりますかね?」

 

ホログラム画面には館内の要注意人物は4名と書かれていますが、外からの侵入者までは計算にいれていませんでしたね...

 

外から二名ほど館内に侵入したみたいです...一人は博麗の巫女として、もう一人は?

 

 

「...計算が狂いますね?」

 

余計なイレギュラーは計算を狂わせる原因です。

 

早急にこの異変を解決しないとどんどん拗れていく可能性も考えられる。

 

 

 

 

 

「ですが...その問題の前に目の前の問題を片づけることにしましょうか?」

 

ワタシの目の前にはホログラム画面に映った要注意人物がいる...

 

銀色の髪に海外のメイドのような恰好をしていますね...

 

しかし...人間が要注意人物とは...世の中も変わりましたね。

 

しかし油断大敵...何の力を持っているのか不明ですが慢心はいけません...観察して動向を探る...能力も時機に分かることです...

 

 

 

そのメイドはワタシにナイフを取り出して向ける...

 

 

「霧で誰かここへ来るとは思っていたけど...予想以上に早かったわね...」

 

「霧ですか...この紅い霧ですかね...」

 

ワタシは窓の外を眺める...

 

話の内容からしてこの紅い霧の事を言っているのでしょうね...

 

彼女は頷きワタシに向かってお辞儀をする。

 

 

「ええ...申し遅れました...私はこの紅魔館でメイド長をしている十六夜咲夜と申します...どうぞお見知りおきを...」

 

「ご丁寧にどうも...ワタシは天逆柚神...ただのサポート役です」

 

ワタシも会釈をすると咲夜は手に持ったナイフを回す。

 

 

 

「貴女の言う通り、この紅い霧は私の主が命じたもの...これでならお嬢様が嫌う日光も照らすことはないわ」

 

「主...お嬢様...どうやらそのお嬢様という方がこの異変の首謀者というわけですか」

 

「ええ...またもご名答よ...でも貴女をお嬢様に会わせるわけにはいかないわ!」

 

咲夜が指を鳴らすと空間が歪む...

 

 

 

 

「...これは?」

 

ワタシの周りを見ると幾多の妖精に囲まれている?

 

先ほどのチルノよりは力は無いみたいですが、いつの間にこの数を?

 

ワタシの力なら辺りに敵がいれば気づくはず、なのにこの数に囲まれて全く気付かないとは!!

 

「何かの能力ですか?」

 

咲夜は微笑む。

 

 

「種のない手品みたいなものよ...でもそれは教える必要はないわ...さぁ!あの侵入者を片づけなさい!」

 

「了解です!メイド長!!」

 

 

咲夜の号令で妖精たちがワタシに飛びかかってくる...

 

これは...少々苦戦を強いられるかもしれませんね...

 

 

「...戦闘は専門外なのですがね」

 

辺りにホログラムを展開する...

 

久々な戦闘ですが...何とかなるでしょう...

 

 

 

 




紅魔館に入って早々の戦いです

ではこれにて

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