東方天災手記   作:ベネト

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2面ボス...


霧の湖と氷の妖精

任務中盤...

 

天逆美羽と天逆柚神は紅い霧の発生源を目指して森の奥へと進む。

 

 

美羽達が進むにつれて、霧と謎の力が濃くなり始め、彼女達の警戒も高まり始めている...

 

 

そして森を抜けた彼女達を待ち受けているものとは?

 

 

 

 

 

side美羽

 

「...あら?」

 

「妖怪の山にはこういうものはありませんでしたね...」

 

 

アタシたちの眼前に広がるものは、大きな湖だった...

 

霧に覆われていて詳細は不明だけど、蓮の葉が水面に浮いていることが分かるわね。

 

 

「見た限りかなりの面積ね...」

 

「ええ...まだ発生源までの距離はあります...これを超えた先でしょうかね?」

 

 

柚神の言葉を聞いてアタシは内心溜息をつき、キセルに火をつける...

 

まだ元凶の場所はずっと先...早く任務終わらせて帰りたいのにねぇ。

 

 

「...アタシの能力が最大限に使えればいいのに」

 

「何度も言いますが諦めが肝心ですよ?」

 

柚神はキセルの煙を嫌そうにして離れる。

 

 

 

「分かってるわよ...とりあえず進めばいいんでしょ?」

 

湖の畔に降りてアタシは水面を歩く...

 

距離があるとはいえ、敵本拠基地の近くだし見つからないことに越したことはない。

 

 

柚神もアタシの後についてきて、ホログラム画面を見る。

 

 

 

 

 

「...特に強力な力を持つ者は近くにはいないみたいですね?」

 

「何で疑問形なのよん?」

 

 

柚神は画面を見ながら、首をかしげる。

 

 

「いえ...力はそれほどでもなさそうなのですが...何か近づいてきます...」

 

 

「それを早く言いなさいよ...」

 

 

...確かに柚神の言う通り、何か微弱な力を持つ者がこちらへとやってくる。

 

向こうはこちらに気づいているみたいだ

 

 

 

「どうしましょ?」

 

「今度はアタシがやる...」

 

柚神を下がらせて、一歩進むと気温が少しずつ下がり始めている。

 

 

「...うっ」

 

夏だというのに肌寒いとは何よこれ?

 

何か変な力も感じるし。

 

 

 

「あーははは!!サイキョーのアタイがサンジョウ!!」

 

「...」

 

変な高笑いが聞こえたかと思うとアタシの目の前には水色の髪・青い服を着た少女がいた。

 

背中には6枚の透明の羽根があるけど、妖怪ではなさそうね?

 

 

 

「どちら様かしら?」

 

少女は得意顔でアタシを指さす。

 

 

「アタイはサイキョーの氷の妖精!チルノ!アタイの縄張りに来たお前らを倒すものだー!」

 

「氷の...妖精ねぇ...」

 

あの羽根はよく見たら氷でできているみたいだ。

 

妖精ねぇ...戦ったことはないけど、アタシにかかれば何とやらよ。

 

 

 

「どいてくれないかしら?その奥に用があるのだけど?」

 

アタシの言葉にチルノはほほを膨らませる。

 

 

「やだ!この先を通りたければアタイを倒していけ!!」

 

「はいはい...分かったわよ...」

 

面倒くさいけど、さっさと終わらせましょ...10%出せば何とかなる...

 

 

 

 

「...ん?」

 

足が動かずアタシは目線を下に落ちす。

 

アタシの目が移した光景は、カチカチに凍った水面とそれに便乗して凍り付いているアタシの足!!

 

何時の間にこんなことに!!

 

「ええ?」

 

上昇しようにも全く足がびくともしない!!

 

それどころか!今の季節は夏!湖の水面が凍ることはありえないわ!

 

 

 

「...はっ!」

 

アタシはチルノを見る。

 

この子は氷の妖精!近づいただけで気温が下がったのだもの!湖の水面が凍り付くのも頷けるわ!!

 

 

「ほら!いくよ!雹符(ヘイルストーム)」

 

氷の弾幕がアタシの方へ!!

 

「ちょっと!待ちなさいよ!!」

 

 

 

 

 

もがくアタシの脳裏に言葉がよぎる

 

柚神の(油断大敵)という言葉と博麗の巫女の(つまり敗因はアンタってわけ)という言葉が...

 

油断大敵?

 

敗因はアタシの所為?

 

 

「ひゃああああ!!!!」

 

 

それをもろに受けてアタシは湖の底へ沈む...

 

 

 

 

 

 

side柚神

 

 

「あーあ...ぼりぼり」

 

美羽が湖の中に沈んでしまいました...

 

全く悠長に会話しているからこうなるんですよ...

 

というより、凍っている足に気づかない方もどうかと思いますがね?

 

「困りましたね...ぼり」

 

セロリを食べえ終えて妖精を観察する。

 

 

データを見た限り、力は弱い方ですが普通の妖精にしては強い方かもしれませんね?

 

ワタシの目測が誤りでしたか...

 

 

チルノはワタシの方を向く...

 

 

「次はお前だぞ?」

 

「...次はワタシですか...ですが?倒した相手はちゃんと見ませんと?」

 

 

 

 

「何!?」

 

チルノが後ろを向くと、そこにはびしょ濡れになった美羽の姿があった...

 

すでに額に青筋を立てていますし、これは...

 

 

 

「お...お前!アタイの攻撃を受けたのに!?」

 

チルノは再度氷弾を美羽に放つが美羽は高速でそれを避けて水面に立ち拳を構える。

 

 

 

「...そよ風みたいなものよ...とっとと!ぶっとべ!!!」

 

美羽が水面は殴りつけるとその水面を振動する。

 

その波紋はどんどん勢いを増して大津波と化して上空にいるチルノを襲う。

 

 

チルノは避けようと津波を避けていくがもう遅い...

 

軽く本気を出した美羽の攻撃は妖精ではどうにもなりません...

 

 

 

 

 

「わぷ!!!」

 

水面の波の飲まれてチルノは湖の中へと消えて事態は収束に向かう。

 

 

 

 

ワタシは美羽の方へ向かうが彼女は辛そうに足を抑えている

 

 

「...いかがなさいました?」

 

「...ごめん...少し陸にいかせて」

 

「ええ?」

 

美羽に肩を貸して陸へ上がると彼女はブーツを脱ぎ捨てる...

 

 

 

 

 

 

「ぐっ!!」

 

「あらら...」

 

 

美羽の足は赤く腫れていた。

 

これは軽度の凍傷の症状ですね...

 

先ほどに凍らされたことが原因ですかね?

 

妖精とはいえど、ここまでの力をもっているようですね...

 

 

 

 

「大丈夫ですか?」

 

「...平気よ...とりあえず...アタシの力を使えばね...」

 

美羽が足に手をかざすと凍傷はあっという間に消えてなくなる...

 

 

 

「ふぅ...」

 

「能力を抑制しているのにその回復量は驚きですね?」

 

美羽は足をさすりながらキセルに火をつける...

 

 

「...アタシの力は完璧よ...どんな力でもアタシを屈することはできないと思うわ」

 

自身満々に答える彼女ですが、ワタシは知ってます...

 

美羽とワタシより強力な能力を持っている方をね...

 

 

 

美羽は立ち上がりワタシの方を向く

 

 

「さて!残りはどれくらいかしら?」

 

 

美羽の言葉にワタシはホログラムを出す...

 

目的地まで後、2.5km...

 

かなり近づいたみたいですね。

 

 

 

「残り僅かですね...」

 

「そう...なら!早く終わらせましょう?」

 

 

美羽はブーツの紐を結びながら答える...

 

やる気があるのは結構ですが、あまり無理はしてもらいたくはありませんけどね。

 

 

 

 

「...無理はしないでくださいよ?」

 

「分かってるわよ」

 

 

美羽は霧の奥へと進みワタシもその後を追う...

 

ワタシも美羽が心配です...本気で取り組むとしますかね。

 

 

 




軽いチルノの登場です

ではこれにて

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