東方天災手記   作:ベネト

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異変パートです


第2章:1stミッション 紅い霧を調査セヨ!
紅い霧


妖怪の山の牢屋の中では、天逆美羽がいつも通りにベットで寝っ転がり、外の世界の書物を読み時間を潰していた...

 

いつもの事だが今日は違う...

 

本日は彼女にとって初めての任務が言い渡される...

 

そのことを彼女はまだ知らない...

 

 

 

side美羽

 

「ふーん...外の世界にも色々あるのねぇ」

 

雑誌を見ながらアタシはキセルを咥える...

 

今ではこんなに、ひらひらな服があるのね...

 

まるで餃子みたい...

 

アタシには到底似合いそうにない...

 

 

 

「...何かいいイメージはないかしら?」

 

雑誌をめくりながら考えていると...

 

 

 

 

 

どたどた!!

 

 

 

何やら騒がしいわ...

 

 

誰かがこちらへ向かってくる?

 

 

 

 

 

 

 

「あやや!!美羽!お仕事ですよ!」

 

牢屋の戸を開けて現れたのは文...

 

汗だくになっており、息を切らしている

 

 

「お仕事?」

 

「ええ!上層部からのお仕事です!受けてくださいな?」

 

アタシは文が突き出す書類に目を通す

 

 

 

(謎の紅い霧が発生...その原因の調査をせよ)

 

「...」

 

紅い霧?

 

とうとう目でも悪くしたのかしら?

 

紅い霧なんて...自然界にあるわけないじゃない!!

 

アタシは書類をばら撒く

 

 

 

「あや!?なんてことを...」

 

「夢でもあるまいし...こんな奇想天外な事起きるわけないでしょ?」

 

「外を見てくださいよ!本当ですから!」

 

「...」

 

嫌々アタシは格子の外を見る...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...うそでしょ?」

 

 

 

 

いつも見る妖怪の山の風景は紅くなっていた

 

まだ夕方でもないのに、紅いとは...

 

どうやら紅い原因は俟っている霧のようね?

 

 

 

「...うそではないことは分かったわ」

 

「でしょ?お願いできますか?」

 

「分かったわよ...とりあえず原因突き詰めてこれをやった奴を取っちめればいいんでしょ?」

 

「そういうことです...って!?何してるんですか?」

 

 

「ん?何って着替え?」

 

この前の服を脱ぐと文は両手で顔を覆う

 

別にいいじゃない?女同士だし?

 

 

 

「も...もう!とりあえずお願いしますね!後これを渡しておきますから!!」

 

文は白い紙の束を置いて鼻血を垂らしながら牢屋を出る...

 

 

「何で鼻血なのよん?」

 

アタシは軍服に着替えて後、文が置いた白い紙の束を見る...

 

なにこれ?

 

何の説明もなしに置かれては困るわね?

 

 

 

 

 

 

「それはスペルカードというやつですね?」

 

「!?」

 

後ろを振り向くと柚神が覗き込むように立っていた?

 

 

「...貴女!びっくりするじゃない!!」

 

「失礼しました...文がいたので姿を隠すしかできませんでしたが故に...」

 

柚神は白い紙を観察する?

 

そういえばそれについて知っているような感じだったわね?

 

 

「それ...何よ?」

 

「ん~?幻想郷の戦いにはルールがあるみたいですよ?弾幕ごっこというもので...それで争いを丸く収めるとか?」

 

弾幕ごっこねぇ?

 

アタシらが現役だったころと比べてぬるくなったわね...

 

 

「もしかして今回の任務...それやらなきゃダメ?」

 

「ええ...書類の隅に小さく書いてありますよ?それと貴女の力は±40%までと...」

 

はぁ...緊急事態だというのに制約はかけられるのね...

 

 

「...貴女の能力で隠蔽できない?」

 

「こちらとしても隠蔽はあまりしたくないんですよね...諦めてください♪」

 

うぐぐぐ...制約かけられていない癖に!!

 

 

「アタシとしてもやり辛いのよねぇ...まぁいいか...とりあえず...原因のところまで行くわよ...」

 

柚神はホログラム画面を出して、それをスライドさせる

 

 

「ええ...場所は何となく分かっております...少し遠いですが半日あれば終了かと...」

 

「バックアップ頼むわよ?アタシは制限かけられているんだから...」

 

「ええ...では参りましょう...」

 

 

 

柚神が牢屋を出てアタシはその後を追う...

 

40%ね...

 

半分の実力も出せないとは...

 

羽根を伸ばせないとはこのことを言うのかしら?

 

 

 

外に出ると外は紅い霧に包まれている...

 

これはどっきりとかそういうものではないわ...

 

薄っすらだけど、変な力も感じるし...

 

 

 

 

 

 

 

山を出て深い森にたどり着く...

 

空が見えない幻想郷の森の中にたどり着くが、相変わらずここも紅い霧に覆われている...

 

 

 

「奇想天外というやつ?」

 

「ええ?...科学では解明されませんね...」

 

アタシと柚神は道中現れた妖怪・妖精をなぎ倒しながら目的地に急ぐ...

 

 

何故かは知らないけど、普段より狂暴化している気がするわ...まぁ...この程度なら問題なく倒せるけどね...

 

 

 

 

 

 

 

「...距離はどれくらい~?」

 

「ざっと...7kmくらいですかね?」

 

柚神はスコープの曇りが気になったのかそれをハンカチで拭きながら答える...

 

 

7km...

 

地味に距離があるような...ないような...

 

 

 

 

「...先が遠いわね」

 

柚神の方を見ると、彼女が映しているホログラム画面にDENGERと書かれた文字が出現し彼女は動きを止める?

 

「...む?何か近づいています!?」

 

「何が?」

 

アタシが確認すると前方から黒い巨大な球体がこちらへとやってくる?

 

 

 

 

 

「貴女たちは食べられる妖怪?」

 

黒い球体は私達に声を発する...

 

声からして子供...それも女みたいだけど?

 

第一声がそれとは...

 

 

 

「アタシがやろうか?」

 

前に出ると柚神はアタシを止める...

 

「ここはワタシにお任せを...

 

柚神はアタシの前に出て黒い球体を対峙する...

 

 

「大丈夫なの?貴女みたいなインドア派が?」

 

「大丈夫です...少し脅かすだけですからね」

 

柚神がホログラム画面を動かすと辺りの空間がゆがみ始め、黒い球体が震え始める...

 

 

 

 

 

「ひぎぃ!!」

 

球体から何かが飛び出してそれは地面に落ちる...

 

地面に落ちたそれは妖怪の少女だった...

 

金色の短い髪をしており、白のブラウスに黒のベスト・スカートを身に着けている...

 

 

 

 

少女は地面を這いながらアタシ達から距離をとる...

 

 

「何なのだ!?あれは!!ば...ばけもの!!」

 

すごい怯えている様子を見る限り、柚神の奴能力で相当酷いのを見せたようね?

 

当人もやり過ぎたのが分かったのかあたふたしている...

 

 

 

 

「あらら?やりすぎましたかね?」

 

「ひぃぃぃ!!」

 

柚神がその少女に近づくと彼女は更に怯え、柚神は傷ついたような顔をする...

 

 

 

「えっと...えっと...」

 

柚神は懐を探り中から飴玉を出して少女へと見せる...

 

「?」

 

「どうぞ?あげますよ?」

 

 

「ほんと?」

 

「ええ」

 

「やったー!!」

 

柚神の手から飴玉をもって少女は消える...

 

柚神はその後ろ姿を見て寂しそうに見送るだけだ...

 

 

 

「...」

 

「...どうしたのよん?」

 

彼女はスコープを外してそれをハンカチで拭く...

 

 

 

「少し昔を思い出しただけですよ...○○...あのお方との思い出を少しね...」

 

「それは禁句だと何回言った?」

 

柚神はアタシの言葉を気にせずにスコープを拭くだけだ...

 

あのお方ねぇ...

 

 

「...そういえば...貴女の方がアタシより、あの子と会うの早かったわね?」

 

「...ええ...半年くらいですかね?身の回りのお世話をさせていただきました...」

 

彼女はスコープをつけて先を見つめる...

 

 

 

「残り6.5km...目的地まで遠いですよ?」

 

「...分かってるわ」

 

先へ進む柚神を見てアタシは過去を思い出す...

 

戦いだけの毎日...

 

血の臭いに飽き始めた頃にアタシはあの子にあった...

 

 

そして...兵器としては未完成品だったアタシに...

 

 

 

 

「...はぁ...思い出すだけで辛くなるわ...」

 

柚神を追って森の奥へと進む...

 

まだ任務は終わっていない...

 

感傷に浸るのはその後よ...

 

 




頑張ります!

ではこれにて

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