東方天災手記   作:ベネト

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人里編


表は蕎麦屋

天逆美羽と柚神は人里での軽い問題を解決し、人里の守護者である上白沢慧音と出会う...

 

慧音の提案により、人里で蕎麦をごちそうになる2人は内心は心を躍らせていた...

 

慧音の方は圧倒的力を持つ彼女たちの正体に興味を持っており、食事の際に色々と聞いてみようと考えているようだ...

 

 

 

side慧音

 

「ずるるる...」

 

「ずるるる...」

 

蕎麦屋にて美羽と柚神の2人は、私の目の前で蕎麦を啜っている...

 

昼食前だったため、お腹を空かせていたのか良い笑顔をしている...

 

 

まぁ...ここの蕎麦屋も中々人気な店だからな...

 

今でも他の客が入っているし、席も混み始めを見せている...

 

初見の人でもここの蕎麦の美味しさは分かるだろう...

 

 

 

 

しかし...随分とこの二人は似ているな?

 

違うのは、目の色だけでありそれ以外はすべて一緒だ...

 

 

服装からして外来人のようだが?

 

 

「貴女たちは外来人なのか?」

 

「がいらい?」

 

「じんですか?」

 

二人は言葉を分けて話す?

 

どうやら外来人という言葉を知らないようだ?

 

 

「簡単に話すが?この幻想郷が外の世界から隔離されている世界ということは知っているな?」

 

「ああ...聞いたわね...そんな話」

 

「ええ...確かにその様ですがね...」

 

幻想郷の事は知っているみたいだ...

 

 

「つまりだ!外来人の事を簡単に言うと外の世界から幻想郷へ来た人間ということを指すんだ...つまり貴女たちは...」

 

「いや?気づいたらここにいたねぇ...外の世界がどうなっているか知らないし...」

 

「右に同じく...」

 

美羽たちの言い分では外来人ではないみたいだ...

 

 

 

 

 

「そうなのか?服からしてそんな感じだと思ったのだが?」

 

「牢で拾った雑誌通りにしただけよ...」

 

美羽は蕎麦を食べ終わったのか蕎麦汁にお湯を入れている...

 

 

「牢?」

 

何で牢屋が出てくるんだ?

 

今の失言に気づいた美羽は口を押える...

 

 

「おっと...しまったわ...」

 

「自分の情報をべらべら話すからこうなるんですよ...」

 

柚神は蕎麦汁にお湯を入れずに啜っている...

 

「外来人じゃないとしたら?お前らは一体?」

 

「ごちそうさま...」

 

美羽は両手を合わせた後、隣の柚神を見る

 

 

 

 

 

「いつも通りのお願いね?」

 

「はいはい...」

 

柚神が空間に何か出現させ、それを弄っている...

 

 

 

「ん?」

 

「う?」

 

「...」

 

辺りの客や店の者を見ると全員が倒れてはじめている!?

 

「どうしたんだ?」

 

まさか!里の者達は柚神の能力で?

 

 

 

「貴様!!里の者に手を出すとは!!」

 

私は席から離れて彼女たちと対峙するが、双方とも私と見つめるだけだ...

 

「話ができる環境を作っただけよ...」

 

美羽はキセルを吸いながら答える...

 

 

 

「貴様ら!」

 

いきり立つ私を柚神は止めに入る...

 

「ご安心を...ただワタシの能力で眠らせただけですので...何も心配はいりません...」

 

「!?」

 

柚神の言葉に私は近くの里の者の体に触れる...

 

規則正しい寝息をしている...

 

本当に眠っているのか?

 

 

 

「ね?」

 

柚神は残ったお新香を食べている...

 

どうやら本当に話し合う環境を作っただけらしい...

 

しかし何故?こんな面倒なことを?

 

「そうみたいだな...」

 

私は席に座りなおしておいてある水を飲む...

 

 

さて何から切り出すべきか...

 

 

 

 

 

「...お前らの正体は何だ?」

 

私の問いかけに頬杖をついた状態でキセルの煙を明後日の方向へ吐いている美羽が答える

 

 

「天逆美羽...天狗組織所属...年齢不詳...以上」

 

「天逆柚神...以下同文です」

 

美羽と柚神が黒い翼を出してそれを軽くさする...

 

天狗だったのか...

 

 

「天狗が何でここに?」

 

「只のお忍びよ...上層部が五月蠅いから人間のふりをしていたのよね」

 

「ワタシに関しては上層部に存在すら把握されていませんし...」

 

 

どうやら里の者に被害を加える気はないみたいだ...

 

しかし...何かが引っかかるな...

 

 

「まさか...あの記者以外にも人里に天狗がいるとは...」

 

「文のこと?まぁ...あの子は他の仕事もあるからねぇ...アタシたちもお忍びで来ただけだし...」

 

美羽は立ち上がり私の方へ来る...

 

「な...なんだ?」

 

「...貴女?人間よね?何やら他の力も感じるけど?」

 

「!?...っ」

 

私の反応を見て美羽は翼をしまい入り口の方へ向かう...

 

 

 

「まぁ...いいけどね...とりあえずお蕎麦ごちそうさま...柚神元に戻しておいて...」

 

「はいはい...」

 

柚神が空間を弄ると彼女たちの姿が消えて、倒れてい里の者は起き上がり始める...

 

 

「ふぁぁ...あれ何してたっけ?」

 

「いかん!!蕎麦打ちが途中だというのに!!」

 

里の者達は何事もなかったかのように仕事をしたり、話をし始める...

 

どうやら本当に寝ていただけみたいだな...

 

私は安堵した後、彼女達について考える...

 

 

柚神の強力な能力に美羽の私の正体を見破る程の洞察力...

 

 

そして妙に何かが引っかかる彼女達の正体...

 

分からないことばかりだが...危険は無いみたいだ...

 

 

「...いかん!そろそろ授業の時間だな!!」

 

私は代金を払い寺子屋へ急ぐ...

 

色々と忙しいが授業だけは欠かすことはできない!

 

私を思ってくれている生徒のためにも!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人里(外)

 

人里から出た美羽と柚神は満足そうに妖怪の山を目指して空を飛ぶ...

 

「お蕎麦中々美味しかったですね...」

 

「ええ...一応あそこの場所だけでも覚えておこうかしら?」

 

美羽がキセルをしまうと柚神は目をこする

 

 

「しかし...それ控えておいた方がいいですよ?○○」

 

その言葉を聞いた美羽は顔を引きつらせる

 

 

「...禁句」

 

「失礼しました...つい昔の癖で」

 

 

 

「...」

 

「...」

 

どこか気まずい雰囲気の中、彼女達は妖怪の山へと帰還する...

 

 

 

 

 

 

 




次回異変です

ではこれにて

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