東方天災手記   作:ベネト

1 / 78
第2作投稿いたします



第1章:天狗...幻想郷を知る
プロローグ 出所した問題児


幻想郷...

 

それは極東の地である国...日本にそれはあった...

 

 

人々から忘れられた者の訪れる最後の楽園...

 

幻想郷は全てを受け入れる...

 

その言葉は創始者である幻想郷の母・妖怪の賢者の八雲紫の言葉だ...

 

 

 

 

 

 

 

そしてここは幻想郷に存在する巨大な山こと妖怪の山...

 

天狗などの種族の妖怪が群れをなして暮らしている人にとっては危険な場所だ...

 

外部のよそ者の侵入を許さない天狗達の生活では妖怪の山がひとつの国として幻想郷に君臨している...

 

 

 

 

そして天狗の里の中にある。大きな屋敷のとある部屋ではそんな天狗社会に生きる天狗こと射命丸文が上司である大天狗に呼び出されていた...

 

 

 

 

 

 

side文

 

「来たな...射命丸よ」

 

「...何でしょう?」

 

上司である大天狗に呼ばれ私は執務室の中央に立つ...

 

何故私が呼ばれたのでしょう?まだ昼食の途中だったのに急に呼び出すとは...

 

何か悪いことでもした?問題行動はやっていませんよ?

 

せいぜい椛を可愛がった程度です!!

 

...まさかセクハラで訴えられたのでしょうか?

 

 

 

 

上司は書類を見たまま話しを続ける

 

「今日の話というのはこの幻想郷の最近のことについてだ...」

 

「あや?」

 

良かった!問題行動の話ではないようです

 

これなら気楽に話が聞けるというものですね!!

 

 

 

 

「幻想郷の最近ですか?」

 

私の話に上司は頷く

 

「幻想郷が出来て早数百年...外の世界から様々な妖怪が出るようになった...それは知っているな?」

 

「ええ...」

 

確か情報では霧の湖に外界の館が出来たとか...

 

あれは確実に外の世界の妖怪が住み着いているとの噂です...

 

私は怖くて確かめる勇気はありませんが...

 

 

 

 

 

 

 

「外の世界の妖怪の進出...先週の会議で天狗の脅威になるとなってな...」

 

「あやや...確かに...」

 

天狗組織は妖怪の山の内部を起点に独自の生活を行っている閉鎖社会主義...

 

つまり外部から来た、よそ者に関しては特に警戒が強い傾向にあります...

 

正直私は、その暮らしにはあまり良くは思ってはいませんが仕方がありません...

 

 

 

 

 

 

 

上司は溜息をつきながら書類から目を離す

 

「儂はの?その会議での決議案には反対だったのだが...」

 

「決議案ですか?」

 

何の会議の決議案でしょう?

 

それが反対となると少し危機感が出始めましたね...

 

 

 

 

「ああ...」

 

上司は気乗りしないように話す...

 

少し話が長いです...

 

早く本題に入ってもらいたい...

 

私だって暇ではありませんから...

 

「その結果は何です?決議案とは?」

 

上司は腕を組む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その会議で奴の封印を解くことが決定した...」

 

「!!?奴!?封印ってまさか!!」

 

上司は頷く...

 

 

「天逆美羽...奴の封印を解くことが決定した...」(あまさか みはね)

 

「天逆美羽ですって!!?」

 

 

 

天逆美羽...

 

遥か昔ふらっと妖怪山に住み着いた出生不明の天狗妖怪...

 

鬼の四天王を相手にして勝ったという伝説を持っています...

 

しかし...自身が持て余す強すぎる力故に組織から危険視され、懲役900年天狗の里の中にある封印牢に幽閉されている...

 

まさか彼女の封印が解かれるとは...

 

 

 

 

 

 

 

「確か...後200年くらいは封印されているのでは?」

 

「事態が変わった...早い出所というわけだ...とりあえずこれを」

 

上司は私にごつごつした鍵を渡す...

 

 

「あの...これは?」

 

「奴の独房の鍵だ...開けて来い...」

 

「!!?」

 

 

 

 

何を言っているんですかこの人は!!?

 

相手は鬼を倒せるほどの力を持っているのですよ!?

 

この私がどうかできるわけないじゃないですか!!

 

「何故私が?」

 

「たまたまお前が食堂にいたからだ...別に誰でも良かった」

 

そんな!そんなことで私の人生を終わらせてしまうのですか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやいやいや!!無理無理無理!!」

 

「給料...ボーナス2倍でどうだ?」

 

「うっ...」

 

...正直喉から手が出る程欲しいですが

 

私の命は軽くない!!

 

ですが最近の文々。新聞の売り上げが下がりに下がっているのでお財布が寂しいのも事実...

 

少し交渉してみましょう...

 

 

 

 

 

 

「5倍で手を打ちましょう...」

 

「3倍でどうだ?」

 

「大負けに負けて4倍で...」

 

「...3.5」

 

「...3.8(泣)」

 

「じゃあそれで良い」

 

上司は私が哀れにでも思ったのか3.8で頷く...

 

勝った気がありますが...

 

胃が痛い

 

「行って来い...」

 

「...逝ってきます」

 

 

私はその鍵を手に持ち封印牢へと歩を進める...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋敷の地下へ続く階段を降り私は長い廊下を進んでいく...

 

石造りで無機質な風景...

 

その奥には札が貼られた鉄製の扉が佇んでいた...

 

「...う」

 

錠に手を触れるが濃厚な力を感じ手が止まる...

 

やらなくては...

 

ボーナスのため...

 

私の今後のため!!

 

 

 

 

 

 

 

「いざ!!」

 

私は錠を開け中に入り目を開ける...

 

眼前には簡易ベットと机・トイレが置かれているだけのあいかわらずの殺風景な牢屋...

 

その部屋の中央に彼女はいた...

 

 

 

ボロボロの着物に手入れの届いていない長い灰色の髪、頭頂部のところには湾曲した長いアホ毛がある...

 

黒い翼もイマイチ艶がない...

 

目は閉じていますが私の記憶だと青い瞳をしていたのを覚えています...

 

部屋の中央に座禅した状態の彼女は目を閉じたままこちらのほうを向く

 

 

 

 

 

「予想通りの時間に来たわねぇ...射命丸文」

 

(天逆 美羽(あまさか みはね)通り名:????の司令官)

 

 

 

 

 

「目を閉じているのによく私だと気づきましたね?美羽...」

 

私の言葉に彼女はわずかに笑みを浮かべる...

 

「...ここに来た理由は分かっているわン...アタシの力が必要なのでしょう?」

 

「ご名答です...流石ですね天逆美羽」

 

「ふん...それを言われるの分かっているわぁ...アタシは完璧なのだからねぇ」

 

彼女が開眼すると青い瞳が現れる...

 

その瞳は怪しく光っている、まるですべての事を見透かすような雰囲気を醸し出している...

 

これが天狗の最終兵器ですか...不思議な雰囲気です

 

 

 

 

 

 

私が観察していると彼女が座禅したまま浮遊する

 

「とりあえず!お風呂に入らせて!長い牢獄生活はアタシにとっては地獄だったのよ!」

 

「はいはい...とりあえずついて来て下さい~!」

 

私は彼女を浴場まで先導する...

 

彼女は実力はありますがお嬢様気質で傲慢・高飛車・精神が子供に近いです...

 

一回ご機嫌を損ねたら私がとばっちりを受けかねません!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女?入浴中

 

 

「ふんふ~ん」

 

扉1枚を挟んで彼女が大人しく入浴するのを観察する...

 

扉に彼女の女性らしいシルエットが映る...

 

「...」ぺたぺた

 

負けていないと思います多分...

 

しばらく彼女を待っているとバスルームの戸が開く

 

 

「ふー!良い湯だったわ~」

 

全裸で彼女が出てくる!?

 

 

「ちょっと!せめてタオルくらい巻いてくださいよ!」

 

「何なのよ...すぐ終わるわ...」

 

美羽は翼を軽く羽ばたいた後に目を閉じる

 

体に付着した水滴が消え、彼女の頭上に白の軍服のような衣装が現れる...

 

彼女は着たあと帽子をクルクル回しながら頭頂部のアホ毛を触る...

 

 

 

「やはりこの服装がしっくりくるわねぇ...」

 

「あやや...では次は...天魔様との話し合いでしたっけ?」

 

正直不安でしかありません...

 

美羽の高慢な態度が天魔様の逆鱗に触れなければいいのですが...

 

彼女は呑気にキセルをふかしている...

 

時間が惜しいです...早く向かわせないと

 

 

 

「次行きますよ!」

 

「ええ...」

 

私は美羽の手を引いて天魔様のいる部屋へと向かう

 

 

 

 

 

 

天魔様の屋敷についた私たちはアポをとった後、天魔様のいる部屋の前へ辿りつく...

 

「ここが天魔様の部屋です...私は入れませんが失礼のないようにお願いしますよ?」

 

「はいはい...指図されなくとも分かってるわ」

 

美羽は戸を開けて中に入る...

 

何とかなりますかね...

 

「やれやれ...とりあえずの事は一段落つきました...」

 

壁に寄りかかり一息つく...

 

何とかなりそうです...これは思ったより楽な任務かもしれませんね...

 

 

 

「ふふふ...ボーナスも弾みますねこれは!」

 

 

 

ぼこぉ!!

 

 

 

 

何やら部屋の中から鈍い音が...

 

しばらく待っていると戸が開き中から出てきたのは頭に大きなたんこぶをつけた美羽の姿...

 

その表情は青筋が出ている!!

 

「ど...どうしました?美羽!?」

 

「...頭が高いと殴られた...ふふ!!このアタシがねぇ?」

 

美羽は拳を握りしめて歯ぎしりする...

 

うっすらと辺りの空間に歪みが!!!!

 

マズイです!早く彼女をコントロールしなくては!!

 

 

 

 

 

 

 

「み...美羽?そういえば長い間牢屋にいたから幻想郷の事を良く知らないでしょう?これから説明しようと思ったのですけど?」

 

「幻想郷?何?それは?」

 

美羽は私の話に食いつく...

 

彼女は900年も牢獄にいたんですから幻想郷のことを知らない...

 

幻想郷の話はこの話を逸らすには丁度良いですね!!

 

「ここではアレですし人里の甘味処へ行きますよ!」

 

私は彼女の手を引いて人里を目指す

 

早くこのことを忘れてもらわないと!!

 

 

はぁ...給料は上がりましたけど心労も増えました...

 

 

 

 




東方五行大神伝の他にこちらも投稿致します...

楽しんでいただけたら幸いです...

ではこれにて

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。