【凍結】霧雨さん家の居候 ~死ななきゃ良いってもんじゃねえよ!?~   作:みずしろオルカ

4 / 4
 どうも、最近友人からも読者からも、「この作品はギャグというよりは日常系」と言われたオルカです。

 ギャグが書けない体質なのか俺は!?
 そんな訳もなく、単純に下手なのでしょう。

 今回も日常寄りになってしまった。

 それでは、どうぞ。


第4話 ギャンブル運の無い可愛い少女

 

「タモ~、ゲームしようぜ!」

「この俺にゲームを挑むとは愚かな! ババ抜きで勝負だ!」

「えらくカッコつけた割にはショボいぜ。それに、二人でやるゲームではない」

 

 ですよねー。

 せいぜい、トランプの枚数確認が利点かね?

 

「ここはブラックジャックとかポーカーとかが基本!」

「ポーカーフェイスできてから出直して来い、15連敗」

「じ、15連敗じゃない! 12連敗だぜ!」

「よし、今回で20の大台に乗せてやる」

 

 今回はブラックジャックで行くことにする。

 交互にシャッフルしていき、最後にシャッフルした人がテーブル中央に置いて、もう一人が上下2つに分けて入れ替える。

 これでゲームスタートだ。

 

 30分後。

 

「ぐぬぬ……」

「いや、ぐぬぬじゃなくてな……」

「なんで勝てないんだぜ!!」

「ガチな助言をするなら、ブッコミ過ぎ」

 

 19で引こうとするその勇気。

 いや、蛮勇か?

 

「だって、Qと6と3だったから次は2かAが来そうだと思った」

「純粋にそれ以外の確率の方が高い件について……」

「確率なんて飾りだぜ! 臆病な奴にはそれが分からんのだぜ!!」

「お前、薬学魔術研究してるくせに確率論否定すんなよ」

 

 熱くなりやすいのだろう。

 熱中すると周りが見えなくなるタイプだ。

 そのくせ、研究の時はしっかりしてるし、どんな性格だよこいつ。

 ゲームの時はこいつが壊れ気味になるから、俺が逆に冷静になっちまう。

 つか、ギャンブル運無さすぎワロタ。

 

「あれだぜ、タモが強すぎるからいけないんだぜ!」

「いや、そういう問題じゃない」

「霊夢……はカンが強すぎるから、アリスとかパチュリー呼んで来ようぜ」

「いや、アリスはともかくパチュリーは来ねえだろ」

「なら、大図書館でやろう!」

「俺が咲夜に殺される件について」

「いつもの事だぜ」

「最近、魔理沙に殺されないようになってきたのに、わざわざ死地に送るなよ」

 

 これはガチな話だ。

 魔理沙は最近、威力を落として速射性と連射性を高めたマスタースパークならぬ、クイックスパークというものを開発していた。

 ツッコミ専用らしい。

 無駄に洗練された無駄のない無駄な技術だ。

 

「タモってギャンブル運を保存してないか?」

「いや、自分で認識できてないから低い時に保存すると死ぬ目を見る」

 

 高度とか鮮度とか、目に見えて分かるモノは保存しやすい。しかし運とか健康度とか理解し辛いモノをタイミングが悪い時に保存すると、低いまま保存されてしまい、ひどい目を見る。

 試しに運を保存した時は、コントのような展開が小一時間続いたものだ。

 

「あ~、前にタモが一人コントしてた時のあれか」

「見てたのかよ」

「絨毯で滑って転んで、絨毯に乗ってたタライが頭に落ちてきて、視界が塞がれてフラフラしてたらテーブルに足の小指ぶつけてたな」

「ちなみに、転んだ時にケツに画鋲刺さってたからな?」

 

 二度と運を保存しないと誓った。

 高い時に保存したことはないが、それまでにあのコンボがまた来ると思うと、無理だな。

 

「なぁなぁ、誰呼ぼうか?」

「いや、呼ばなくていいって」

「タモとやっても負けてばかりなんだって」

「他人入れれば賭けになるし、賭けになれば魔理沙、全裸にされるぞ?」

「いやいや、そんな訳ないぜ~」

 

 

********************

 

 

「何かコメントは?」

「泣けるぜ……」

「タモツは容赦ないわね」

 

 アリスを呼んで三人でディーラー交代しながらのポーカー勝負。

 ちなみに、魔法を使わなければだがイカサマはバレなければ有りのルール。

 アリスはさすがに指先が器用で、イカサマは気づきにくくて仕方がない。

 

「一応手持ちのコイン12枚ずつ渡してるんだ。そりゃ、衣服も一枚でコイン6枚に交換できるようにしたけど」

「それがダメだったんじゃない?」

「俺は衣服1枚でコイン3枚のハンデもあっただろ?」

「互いにタモツは上着、私はケープで済んだけど……」

「見事に下着になったなぁ」

「うっさいエロタモ!」

「風呂上りと同じ格好だし、見慣れたわ」

「魔理沙……羞恥心とか持った方がいいわよ」

 

 洗濯もしているせいか、魔理沙の下着の種類と枚数を把握しているという状態だ。

 俺、悪くないよな?

 

「いや、タモの家事スキルが高すぎるのが悪いんだぜ」

「ひどい責任転嫁を見た」

 

 羨ましいと思うか?

 だが、日常的にそんな姿を見てたら、ムスコの反応も鈍くなってくるわ。

 お前ら同じネタで何日いける?

 俺は2週間だ。

 

「アリス、こいつ本当に一人暮らししてたのか?」

「料理は上級、洗濯は並み、掃除は下手ってところかしら」

「ちょ、アリスひどいぜ!」

「事実よ」

 

 俺が来たときは、生活空間は少し汚いかなぐらいだったが、研究室はひどいものだった。

 資料や記録、サンプルや検証実験機材などで足の踏み場がない状態だった。

 

「つーか、タモもアリスも思ったより仲良くなったよなぁ」

「そうかしら?」

「そうだぜ、初対面でセクハラして、首飛ばした間柄とは思えない」

「セクハラに対する制裁とはいえ、一回殺しちゃってるからね。それで許さないほど狭量でもないわ」

「そりゃ、死ぬほど痛いからな」

「貴重な体験ね」

「二度と御免だがな」

 

 初めて自分の背中とケツを見たわ。

 首から上無かったけど……。

 

「さすがにこれ以上脱がすのは女性として止めたいのだけど……」

「もっちょっと早くその良心が欲しかったぜ」

「お前の場合は自業自得だ。ムキになって俺とアリスも同じような目に遭わせようとするからこうなる」

「なんだよー、いつものセクハラタモじゃないぞー」

 

 いや、現状が十分セクハラですし。

 パンツとブラのみで立たされている状態は、世間一般で言うところのセクハラ行為だろうに。

 それにこれ以上セクハラすると、この作品のタグにR-18タグを追加しなきゃいけなくなる。

 今だって、R-15かどうか微妙なラインなのに。

 

「魔理沙はセクハラされたいの?」

「……にゃ!?」

「だって、妙にタモツのセクハラに対してやって欲しそうな言動があるじゃない」

「なんだと? なら遠慮なく」

「わー! わー! 『クイックスパーク』!?」

 

 上半身がこんがり焦げた。

 死ななかったが、それなりに痛かった。

 

 

********************

 

 

 気を失ってたせいで、風呂を沸かし損ねた。

 今は外に出て、窯に火を入れて竹筒で空気を送って燃やしている最中だ。

 

「タモ~、ぬるいぜ~」

「はいはい、お姫様。今沸かしてますからね~」

 

 くそう、居候はつらいぜ。

 覗いてやろうか……。

 

「覗いたら『クイックスパーク』だぜ?」

「二度も上半身を日焼けならぬスパーク焼けさせるわけにはいかないな」

「速射性と連射性を上げて威力を下げたツッコミ用のマスパだけど、いい仕事したぜ」

「その労力を研究に使えと思うのは俺だけか?」

「研究は研究で順調だぜ?」

 

 そりゃ、採取の難しい薬草やら保存の厳しい薬品を俺が管理してるからな。

 つか、それらを正確に記憶してる魔理沙の知識量も驚くべき物なのだが。

 

「タモの能力のおかげでお風呂の薪の節約にもなる。タモ様様だぜ」

「様様扱いのやつの上半身をこんがり焼いたのはお前だがな」

「それはそれ、これはこれだぜ」

「くっそう、家主の正論だから何も言い返せない!」

 

 まぁ、言うほど気にしちゃいないのだが。

 クイックスパークを開発したのだって、俺が何度も死ぬほど痛いと言っていたからだろうし。

 ウチの家主は年齢相応の可愛い女の子ってやつだな。

 言ったらまたクイックスパークだろうが。

 

「そろそろいい感じだぜ~」

「了解~」

 

 後は、保存してた火の勢いを解除すれば、自然に消えていく。

 魔理沙が上がった後は、湯の温度を保存してゆっくり俺も入る。

 いつもなら、沸かしておいて保存するのだけど、今日はトラブルがあったからな。

 

「それじゃそろそろ、俺は風呂上がりの一杯を用意しておくよ」

「今日はオレンジジュースの気分だぜ」

「それ、毎日だからな?」

 

 というわけで、霧雨家にはオレンジのストックが大量にある。

 俺が保存できるから食糧庫に入れておくだけでいいし。

 ちなみに、生絞りの100%ジュースである。

 氷はチルノから貰って保存している物を砕いてグラスに入れる。

 

「うん、幻想郷でのちょっとした贅沢ってな」

 

 冷蔵庫なんて無いし、あったとしても電気が無い。

 あったとしても、氷を入れて中を冷やすタイプだけだ。

 そんな文明レベルで、氷を保存できるのはちょっとした強みだったりする。

 

「タモ、上がったぜ」

「おう、では早速俺の生絞りミルクを……」

「風呂入る前にまたスパークするか?」

「ほい、100%オレンジジュース、絞りたてだ」

 

 速攻引き下がる俺。

 まぁ、冗談だしなぁ。

 

「そんじゃ、風呂いただくよ」

「おう、タモの分もオレンジジュース作っておくぜ」

「サンキュー」

 

 ここでセクハラすると、クイックスパークが飛んできそうだったから普通に済ませる。

 危機回避能力も高くなったものだ。

 

 

 

 

 湯船は少しぬるくなっていた。




 お台場のVR体験コーナーを予約してみました。

 ホラーは一人プレイではないようです。
 ボッチには辛い。

 ちょっと楽しみなので、今からワクワクです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。