【凍結】霧雨さん家の居候 ~死ななきゃ良いってもんじゃねえよ!?~   作:みずしろオルカ

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 7/7中には間に合いませんでした。

 第2話です。

 ちょっと、改行を替えてみました。


第2話 人間より妖怪の方が優しい気がする

 

 幻想郷には海が無い。

 だから、魚は川魚か湖の魚しかない。

 

「タモ~、紅魔館に行って来て~。ついでに湖で魚釣ってきて」

「コンビニ行って来てみたいな感覚で助手を死地に送るとは許し難し! かくなる上は、死ぬ前の思い出に今穿いている下着を所望する」

「よし、マスパで上半身吹き飛ばそう」

「すいませんでした」

 

 即土下座である。

 直立状態からの土下座への移行速度が上がっていると感じる今日この頃。

 

「大体タモは死なないだろ~? デスルーラすればいいんだぜ」

「死なないだけでめちゃくちゃ痛いからな? 死ぬレベルの痛みを感じるから」

「生存チートって言われてるけど、案外めんどくさいぜ」

 

 人生そんなもんだ。

 しかし、魔理沙の下着とかも俺が洗っているというのに今更なぜに恥じらうのか?

 これは、洗濯時に使用済みを拝借する計画も……

 

「不穏なことを考えているのはこの頭か?」

「サーセンした!」

 

 180度ターンからのDO・GE・ZAである。

 後頭部に押し付けられたちょっと熱いモノが恐ろしい。

 

 そんなポコポコとミニ八卦炉を向けないでほしい。

 

「恥ずかしいなら下着ぐらいは自分で洗った方がいいと思う」

「研究に夢中になるとついつい……」

 

 恥ずかしそうに視線を反らして、苦笑い気味。

 くそ、写メ取れないのは残念だ。

 

「食事は当番制だぜ!?」

「一人暮らしをしてた女の子とは思えない。まぁ、役得だしいいんだけどね」

「へ、変態だぜ……」

 

 男は総じてそんなもんだ。

 特に好きな女性相手ならな。

 

「その変態に家事の八割任せてる奴の言うことじゃねぇよ」

「その分研究に没頭できるから助かってるぜ」

「その研究にも俺の能力十二分に使ってるのにな」

「タモの能力って本当に使い勝手良いぜ。しかも死なないから地底とか冥界とかにも放り込めるし」

「やめぇい! 死なないけど痛てえんだよ! 戦闘能力も一般人なんだぞ!?」

 

 俺の能力は生存特化だから、戦闘能力はほぼ変化がない。

 身体能力は体力とかには効果を適応できる。

 

「逸般人が何を言っても説得力が無いぜ」

「字が違わねえか!?」

 

 

********************

 

 

 結局、紅魔館に来てしまった。

 居候の立場は弱いからね、仕方ないね。

 

「ドーモ、パチュリー=サン、タモツです」

「あなたは何を言っているのかしら?」

 

 挨拶が片言になっていることは許してほしい。

 後ろからナイフが光っているのが自覚できるから、声が上ずってしまう。

 

「魔理沙から魔導書のお届けです」

「あら、あなたが来てからきちんと返してくれるのは助かるわね」

「ですので、後ろのナイフ構えているミニスカメイドさんをどうにかしてください」

 

 ナイフの刃が冷たいです。

 この人、きちんと手続きをして中に入ったのに、ずっとナイフをチラつかせてておっかない。

 初対面の時に、ミニスカの中確認したのがいけなかったのか、それとも会う度にセクハラしてるのがいかんのか?

 

「両方だと思うわよ?」

「あなたもサトリ妖怪ですか」

「あなたがサトラレなのよ」

「否定できない」

 

 そろそろ本気で心配になってきた俺のサトラレ説。

 

「まぁ、貴方が分かりやすいだけよ。魔理沙関係かセクハラしか考えてないでしょ」

「なぜ俺がそれだけで生きてると分かったし」

 

 ちなみに魔理沙相手にセクハラするのが至福だったりする。

 あいつ、ズボラな癖して耐性が無いのかすぐ赤くなるから、かわいいんだよ。

 からかい過ぎたらマスパで上半身消し炭にされるが。

 

「最近魔理沙があなた用の魔法を開発中だって言ってたわね」

「え、なにそれこわい」

 

 そんなにセクハラが嫌だったか?

 本気で嫌がっているなら、考えなきゃならんが。

 

「威力を下げて、速射性を上げてとか言ってたから、ツッコミ用の魔法じゃないかしら?」

「上半身が消し炭にならないならうれしいが」

 

 しかし、ツッコミ用か。

 死ななくなるなら歓迎だけど。

 

「それでは存様。ご用件が済んだなら、お帰りになられてはいかがですか?」

「露骨に嫌われてるなぁ」

「セクハラがいけないんじゃないかしら?」

「俺からセクハラ取ったら何が残るというのか」

「むしろ、セクハラ以外は優良物件だという自覚あるかしら?」

「オッパチュリーさんは人を見る目無いなぁ」

「良し帰れ」

 

 追い出されました。

 

 

********************

 

 

 紅魔館を背に湖で釣りを始める。

 鯉、鮒、鰻、鯰、ヒメマス、サツキマス、アメマス、ニジマス、ワカサギ、海の魚以外にもこんなにもおいしい魚は住んでいる。

 

「おー、クモツが釣りしてる!」

「来たか氷妖精、いい加減俺の名前覚えろ。タモツだ」

「いちもつ?」

「ワザと言ってんのかテメェ」

 

 俺の名前をきちんと呼ぶ相手の方が少ない件について。

 どこをどう聞き間違えたらそうなるんだよ。

 

「遊んでー」

「お前と遊ぶと二回に一回死ぬからなぁ」

「そんなことあったっけ?」

「人の頭にツララぶち込んでおいて覚えてないのがむかつく」

 

 氷精なのに熱くなる性格なのか、遊びに夢中になると弾幕がガチ仕様になる。

 魚の調達ルートが此処か川、あとは人里の干物系になるから、よくチルノに遭遇はするんだが。

 

「大妖精は?」

「大ちゃんは置いて来た!」

「ハッキリ言ってこの戦いにはついてこれそうもない」

「なんのこと?」

「ネタが通じないって悲しいな」

 

 まぁ、ドラゴンボールネタは幻想郷じゃ無理か?

 いや、ありそうな気がしないでもないが。

 

「ねぇねぇ、タコス~。釣れてる?」

「ついさっき始めたばっかりだからな。あと、いい加減頼むから名前覚えてくれ。タモツだ」

 

 もう、こいつは狙ってるんじゃないかと思えてくるが、侮ることなかれ。

 興味の無いことは、十秒と頭に留まらない素敵スペックの幼女だ。

 

 あれ? ってことは俺の名前の重要度ってチルノの中では相当下の方ってことか?

 この前、笹の葉の小舟を作った時に一発で作り方を覚えたから、それ以下ということになる。

 笹の葉以下かぁ……。

 ちょっと涙出てきた。

 

 

********************

 

 

 居候とは、家主の許可を得て住まわしてもらっている立場だ。

 当然、対価は払う必要があるし、俺にはお金を稼ぐ手段がない。

 なので、自然と俺が払う対価は、家事や能力を使った魔理沙の研究の手伝いになる。

 

「タモ~、今日のご飯は~?」

「マスのムニエル、キノコソース仕立て」

「おお、相変わらず凝ったモノを作るぜ」

 

 良いマスが釣れたからね。

 あの後合流した大妖精と一緒にチルノと遊んだけど、危うく死ぬところだった。

 あの氷精、最初はフカフカした雪を飛ばしてくるだけだったのに、後半はツララが飛んで来ていた。

 氷精のクセして、熱くなりやすい性格をどうにかしてほしい。

 

「ご飯食べ終わったら洗濯するから今着てるの脱いでタライに入れておいて」

「おま!? 今朝の今でよくそんなこと言えるな!」

「なんと、魔理沙は下着を替えないで過ごすと申したか!?」

「誰もそんなこと言ってないぜ!? 当然私が……!」

「俺のTシャツをにとりにプレゼントした人が何が申してます」

「ぐぬぬ」

 

 前に俺のTシャツを一緒に洗濯した時に手違いで流されて、にとりに拾われた過去がある。

 親切に届けてくれたよ。

 どうも、妖怪に親切にされている頻度が多い気がする。

 どうしてこうなったのか?

 

「安心しろ。別に下着に顔をうずめて、クンカクンカとかしないから」

「それをしたら、容赦なくマスパでチリ一つ残さず消し飛ばすからな」

「イエス・マム!」

 

 ミニ八卦炉から何やらすごい音が出ていたので、速攻で謝る。

 まぁ、下着なんかよりも個人的には中身を愛でたいので、今後も実行に移すことはないだろう。

 

「何はともあれ洗濯だ。小分けにすると手間なんだから、きちんと出しておいてくれよ」

「ぐぬぬ、無駄に家事スキルが高いのがむかつくぜ」

「失礼な、誰がオカンか」

「タモはタモだぜ。そんなんだからタモツなんだぜ」

「人の名前をまるで蔑称のように使うのはやめてほしいです」

 

 こんなバカなやり取りをしながら、今日も一日は過ぎていく。

 




 改行を変えた感想とか頂けると嬉しいです。

 主人公の能力とかはもう少ししたら出せると思います。

 伏せてる意味?

 特にありません。

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