世界が俺に輝けと囁いている   作:凡人9号

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会話できるようになったフラッシュライト君


意思疎通

轟君と無事バイクレースゲーをやり、ファミレスで適当に食べならが連絡先を交換したり世間話したりと楽しい一日だった。

轟君はまだ八時にもなってないのに「こんな時間まで出歩いたのは初めてだ」と初めての夜遊びを経験したらしくなんか楽しそうな雰囲気で別れた。

 

合間合間に携帯で俺が殺したって奴が本当に一般人なのか詐欺師なのかを色々と調べてみたが、どうにも本当に一般人っぽい。というか詐欺師どころかとあるヒーロー事務所の受付さんだった。

つまりだ、ブローカーとやらにトガヒミコが騙されている可能性がある事だ。問題はトガヒミコ自体が別に騙されてても関係ねーって感じだからなぁ。

勿論轟君のいない時に調べ、戻って来たら何気ない顔で接する。結構疲れるね、これ。

 

その帰り道だ、タイミングがいいのか悪いのか。トガヒミコとすれ違った。

何が怖いって?一瞬こっちの事スッゴイ見てたけど首を捻りながらどこか行ったわ。バレたかと思ったわ。

後でも追ってみようかと考えたけど顔隠す物がないから止めておこう。一回家に帰ってからいつもの服に着替えて夜の街に繰り出そう。いつもより早めだし親にもちゃんと「友達の家に泊まるよー」とか言っておけばいいか。

まあ泊めてくれるような友達いないけどな!

 

適当にコンビニで買ったサンドウィッチを紅茶片手に食べながら目を光らせ、その辺の屋上から屋上へと徘徊していく。

流石に手遅れなのはどうしようもないけど、これから誰かが害されるってのは流石に見逃せない。トガヒミコの場合、害するどころか殺害するなんだから余計に見殺しには出来ない。ヴィランはヴィランでもボクは悪いヴィランじゃないよ・・・ヴィランに良いも悪いもないけどさ。

 

っと、トガヒミコが路地裏に入っていくのが見えた。

正直ネットの記事もトガヒミコの発言も両方信じられないからなぁ。かと言ってペラペラ喋るわけもにもいかないし・・・そうだ、メモ帳とシャーペンを急いで買おう。

少し目を離すのも怖いが、背に腹は代えられない。俺が急いで買ってくる間に誰かがすこーしだけ怖い思いをするだけだ。

っと、帽子とゴーグルとネックウォーマーはちゃんと外していかないと強盗に間違われちゃうな。危ない危ない。

 

 

 

二つ買っても二百五十円も行かないって便利な世の中だ。

ついでに買ったものをポケットに突っ込みながらビルへ向かっているとスーツ姿の女性がトガヒミコが入った路地裏の方へと進んでいたので少し離れて後を追ってみる。

少し進むと別の路地裏へと入って行ったがので少し待機していると悲鳴が響いた。

うん?別の所に入って行った、よな?

 

目から光を出しながら路地裏に入るとそこには足から血を流す女性とナイフについた血を確認してるトガヒミコの姿が!

誰がどう見てもアウトです本当にありがとうございました。

 

「あ!フラッシー君!今日は早い時間から動いてるんだね!」

 

ナイフ片手に笑顔で手を振って来たトガヒミコと「ふ、フラッシュライト・・・」と放心したように声を出した女性。

なんか無地の黒い野球帽とゴーグル、ネックウォーマーで俺って認識されてんのか。いやまあそういう思惑もあってこの格好してる訳だけどさ、いざ直接突き付けられるとなんか凹む。総勢七千円程度の装備だし、クソダセェんだよな。

ちなみに一番高いのはゴーグルだったりするからな!顔を隠せそうな、スキー用の。

 

「えっと!フラッシー君はなんでここに!」

 

その言葉にポケットからメモとシャーペンを取り出し全部カタカナで、出来るだけ直線的な線で描いた「この間、お前が殺した相手が詐欺師じゃなかったと聞いて」そう書いたメモを破ってトガヒミコに渡し、手元を照らすように覗き込む。

文字を一つ一つ指でなぞりながら読み上げて行き、ようやく納得がいったのか「え!そうだったの!」っと笑顔のまま顔を向けてきて「眩しい!」と叫んで顔を背けた。なにしてんのこの子。

 

顔をナイフを持ったままの手で押さえているトガヒミコは放っておいて、カタカナで「お前は誰だ」と書いたメモを破って女性に渡す。

震える声で自己紹介された名前をネットで調べると出てきたのはかなりクリーンな会社の社長秘書の名前。顔写真も載っていたので確認したが当人の様だ。

他人に似る個性などの可能性も込めて載っていた生年月日を聞けば全問正解。

俺の横から携帯を覗き見ていたトガヒミコは首を捻っている。おい待て俺の携帯取ろうとするな!自分の携帯取り出すな!・・・はぁ、諦めてくれた。クッソこええわ、こいつと連絡交換したら俺の生活ズタボロよ!

 

「じゃあこの人殺しても住みやすい世界にならないのね!フラッシー君!」

 

そんな顔で俺を見るな、同類と思われる。まあ確かに住みやすい世界云々は俺も思うけど、多分お前の思ってる住みやすい世界とは大分違うと思うの。

つか見てみろよ、秘書さんにドン引き・・・されてはいないな、なんだこの、何とも言えない表情。初めて見たから良く分からない顔だ。泣いてんの?笑ってんの?呆れてんの?こんな顔出来るんだ、人間てスゲェな。

 

「そうなら別に殺さなくていいかな!じゃあねー!」

 

っと、どこかに行く前に「これからは依頼されたらちゃんと確認しておけ、全方位に敵意振りまいても自分の首絞めるだけだぞ」と書いたメモを渡しておく。

しばらくは首を傾けて解読している様だったが、分かったのか「これからはちゃんと調べるねー!」と言いながら走って行った。

なんというか、色々と心配になるなトガヒミコ。主に頭の中が。

 

とりあえず社長秘書さんにはトガヒミコの特徴だけを強調して書いた全体像をメモに纏めて渡して警察署の前まで行ってから帰る。

いやしかし、影とか服の皺とか意識しないと意外と書けるもんだな。輪郭とか髪型とか、大まかな服装とか。まあ髪型は特徴的だし、服はセーラー服の上にカーディガンだからな。俺自身がどこの制服とか把握できてないからそこまで詳しく書けないけどどーせヴィランからの情報だーつって、まともに取り扱わないだろ。

 

 

 

翌日、登校がてらにネットを見てると興味深いスレッドを見つけた。

立ち上げられた時間はあれから一時間半後。俺が活動を止める一時間前。

 

【朗報】殺人犯は別にいた【夜のヒーロー/ヴィラン】

書き込まれた内容から完全に社長秘書さん。

女子高生くらいの女の子に襲われたけど突然現れたフラッシュライトがメモ用紙で会話して私を見逃すように説得?してくれた。その後は全身を写したメモ用紙を渡して警察署の前まで連れて行ってくれた。とのこと。

フラッシュライト仕事してた。とか。信じてたぜフラッシュライト!とか。やっぱりフラッシュライトのファン続けます。とか。

いつも通り手の平クルックルだなお前ら。全く、これだからネットの住民って・・・これだから止められないんだよ!

 

っと、向かいから轟先生来てるから携帯仕舞っとこう・・・って、なんか機嫌悪そうなんですけど先生。学校行きたくえねぇ、家に帰りてぇよぉ・・・




筆談を覚えた主人公。
今日もトガちゃん絶好調。
機嫌の悪そうな轟先生。

次回、そろそろ物語動かしたいです。

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