授業なんかは教師はヒーローだが極々普通の授業だ・・・まるで訳が分からない。教員免許取るの大変だったろうなぁ、とか思いつつのびのびと授業を受けている俺です。
なんか、なんというか・・・ヒーローとしてのキャラは強いが普通に分かりやすいのが悔しい。
んでもって、学食は旨いときたものだ。父さんも母さんも仕事が忙しくなってきたらしいから大助かりだ。
そんなこんなでクラスメイト達と色々話したり個性の話をしたり・・・全くこいつらの個性うらやましすぎるぜ!
体から影で出来た完全に意志を持ったモンスターが出て来たり。腕が形容出来ない形をしているが触手を生やして口を生み出したり、目を生み出したり、耳を生み出したり。砂糖食べて筋力アップしたり。小さい生物を操れたり。肘からセロハンテープが出たり。ある程度の重さまでを無重力に出来たり。
ふーぅ!全くヒーロー科最高だぜ!
とまあ、色々と情報を聞き出すことに成功した。俺?俺は全身光るよ。と答えたら耳郎さんが「ビーム出せるでしょ」とバラしてしまった。バレた結果?ビームソードをお披露目して見たら男子の一部がテンション上がって大変なことになった。やっぱロマンは素晴らしいな。
この二十日間で随分仲良くなったと思うよ。割と学校帰りに個性談議しながらファミレス行くし、中学では考えられなかった充実っぷりだ。
勿論みんな大好きフラッシュライトさん活動もしてるよ!
でも最近暴れてる連中見かけなくてなんか画策してやがるな。おのれ黒霧達め、俺の趣味の邪魔をしやがって。
っと、四月末なんですが。今日の午後の授業の所に不穏な単語があるんだよな。ヒーロー基礎学、担当の名前はオールマイト。うん、絶対コレヤベェ・・・俺の勘がそう言ってる。
無事昼休みにたっぷり飯を食べ、教室で待っていると「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!!」と普通にドアから入って来た。
相変わらず画風と言うか存在感がおかしいが、あの人中身ただの八木さんだからな。なんか妙な気分だ。
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う科目だ!!」
だよね、実戦ですよね。と内心呟いていると「単位数も最も多いぞ」なんて言葉も付け加えて来た。
「早速だが今日はコレ!!」そう言ってBATTLEと書かれたプレートを突き出しながら「戦闘訓練!!!」
その言葉にクラスメイトの何人かがザワつき出した。俺は、ほら。フラッシュライトですし。
「そしてそいつに伴って・・・こちら!!!」教室の左側面に切れ目が入り、棚の様な物がせり出してくる。
「入学前に送ってもらった個性届けと要望に沿ってあつらえた・・・
クラスメイト達が湧きあがる。まあ、俺もテンションが上がる。
「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!!」その言葉に揃って「はーい」と勢いよく返事をする。
棚から俺の出席番号の書かれたケースを取り出して更衣室に向かう。
俺はそこそこ欲張った。
ただのゴーグル。
太陽光発電で動くファンを内蔵した黒パーカーと、吸汗速乾の黒タンクトップ。
太陽光発電の小型クーラーボックスと冷却シート。
パッケージングされたガーゼと包帯とそれを入れるポーチ。
そして俺に足りない機動力を補うフック付きワイヤーと巻き取り機構。
結果として用意されたのが、
太陽光発電出来て蓄電可能、パーカーやクーラーボックスに接続できるゴーグル。
ベルトに付けられるポーチサイズの太陽光発電クーラーボックス。
パーカーとタンクトップは要望通りだが、ファンを回すとクーラーボックスの冷却された空気がパーカーへ送り込まれるようになっている。パーカーも良く見ると内側の要所要所にソーラーパネルが内蔵されてて、今まで気付かなかったが端っこにぶら下がっているコードと、その先端がクーラーボックスと接続出来るようだ。
左腰にぶら下げる応急手当セット。マジックテープ式の紐が付いており太ももに巻き付ける事で固定できる。
全体的にグレードアップしている上に・・・一番驚いたのはコレ。
右腰に下げれるようになっているガンホルスターに納められた太陽光発電コイル発射式ワイヤーガン。見た目は完全にモデルガンで重量もあまり重くない。グリップ部分がソーラーパネルになっており、しっかりと持ってから手の平を光らせると甲高い音を立て始めた。これ、発射までに時間差があるのがネックだな。
つーか仮にもヴィランにこんな便利アイテム渡しちゃっていいんですかねぇ。
色々と動作確認をしながら言われたグラウンドβへと向かって行く。
ファンはしっかり作動してクーラーボックス内の冷えた空気をパーカー内部に送り込んで体を冷やしてくれる。寒すぎる位だから止めておく。要望以上の仕事しやがって全く。
クーラーボックスは開けるとひんやりとした空気が漂う。冷却シートは薄く、それでいて相当数がある。多分全裸になって全身シート塗れになる事が出来そうだ。
応急手当セットの中身も確認していたら続々とクラスメイト達が集まって来ていたので後回し。多分依頼したものとあまり変わらないだろう。
皆思い思いの服装でカッコいい、でもまだ服に着られている感が否めない。
「轟君・・・なんで左半身氷で覆ってるのさ」
「なんとなく、気合入れておくか・・・ってお前なんでゴーグル」
「元は顔隠すため。でもなんか凄いの渡されたからこれはこれでいいかなって」
「ちゃんとゴーグルつけろよ。なんでヘアバンドみたいに使ってるんだよ」
「・・・そうだな、俺も轟君みたいに気合入れとくかー」
ゴーグルをしっかりと付け、辺りを見回してみる。女の子のコスチュームはなんか、みんなボディラインを見せる様な服装だ。なんというか・・・ふと目が合った峰田と親指立て合った。
「あんた、何してんのさ」
「あ、耳郎さん。チョーカーと丈の短いジャケットが似合ってるねー」
「そっちも、ゴーグル似合ってるよ」
「そう?なら良かった・・・それにしても、皆スゲーな。切島君とか見てみなよ」
「何あれ半裸じゃん。セクハラ?」
「個性的に服着ても体硬化して無傷だし服が無駄になるからなんだろうな」
「・・・でも上着くらい羽織って欲しいね」
「それな。八百万さんもなんか、アカン恰好してるし」
「アレ凄いよね。ロックだよ」
八百万さんはほぼレオタードで腰にベルトを二個つけてミニスカートっぽくしてる服装がロック・・・ロックってなんだ(哲学)
「さぁ!!始めようか有精卵共!!!戦闘訓練のお時間だ!!!」
そんな俺の悩みをかき消すように、オールマイトの大声が響いた。
第一巻完。
次から二巻ですね、先は長い。