世界が俺に輝けと囁いている   作:凡人9号

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伊倉 一山様、鯖缶詰様、誤字訂正ありがとうございました。


試験の終わりから

必殺技、初めて使ったからどんなことになるか分からなかったけど、仮称「光の柱」と名付け、それの反動で右手が突っ立ってるだけで痛くなる火傷を負ったのでしばらく動けなかったが、あの耳たぶイヤホンガールの事を思い出したのでちょっと我慢して彼女の元へと向かって行く。

 

「やっほ、さっきぶり」

「なんだ、あんた・・・そっちの個性のが凄いじゃん」

「信じられるか?元々は全身が光るだけだったんだぜ、これ」

「・・・さっきっから右手動かしてないけど、大丈夫なの?」

「んー、駄目。でもそれくらいなら何とかなる」

 

左手をそのまま隙間に突っ込み、下から押し上げる。それと同時に「あ、行けるかも」と呟きが聞こえた後に「もう下ろして大丈夫」と声がかけられたので少しずつ力を抜いて・・・よし、終わった。

 

「さっ、次行きますか」

「え、あんたまさかそのままやるつもりなの?」

「そりゃそうでしょ。他のヒーローが来るまで自分の出来る事をするのもヒーローの仕事じゃん?」

 

とりあえず重そうな瓦礫に潰されてる奴からかなー、とか考えてたら「じゃあここからはウチの仕事」と言って俺の肩に手を乗せて先に行き、耳たぶの先端をコンクリート片に当てたと思ったら次の瞬間コンクリ片が爆発四散した。

 

「やっぱそっちの個性のがスゲーじゃん」

とかその場に座って彼女の救助活動を眺めていたら、白衣を着て注射器の様な形の杖を突いたおばあちゃんがその辺の受験生に「はいはいお疲れさま~ドロップだよ、お食べ。ハッカが出ても気にせずお食べ」とブリキ缶を振って飴を渡しながらこちらへ向かって来た。

 

「さっきの子も酷かったけど、お前さんも無茶をしよるな。ドロップだよ、お食べ」

「どうも、いただきますリカバリーガール」

 

左手を伸ばして貰う・・・ってハッカか、まあ貰った物はありがたく食べさせてもらう。嫌いじゃないし。

ハッカを口に入れると同時に「ちゅ~~~!!」と叫んだリカバリーガールの唇が針のように伸び、俺の右手の平に刺さると映像を逆再生したように火傷跡が消えて行った。痛みも、まるでない。

 

「助かります。他にも瓦礫に挟まれた連中もいるんで、そっちへ」

治った右手でグーとパーを繰り返しながらそう言うと「期待しとるよ、少年」とこっちに笑顔で告げてから耳たぶイヤホンガールの元へと向かって行った・・・さて、帰りますか。

 

 

 

受験もその場で火傷が治ったので無事終わり、轟君に筆記試験の自己採点を手伝って貰い・・・ま、何とかなるでしょ。と軽くファミレスで食事会。

合格したらピザでも取ろうぜ、と言うとなんと轟君、ピザ食べたことないらしい。人生の半分くらい損してると思うので是非とも合格して欲しい。

 

と思っていたら翌日、朝食を食べていたら八木さんから雄英に来るようにと電話での呼び出しがかかった。

深刻そうな声だったのでもしかして・・・捕まる?と、戦々恐々しながら雄英に向かう。

 

クッソデカイメカニカルな校門の前で待ってた八木さんと合流してそのまま校長室に案内される。

中に入ると、そこは魔境だった。

 

根津校長を始めとしたオールマイト、プレゼント・マイク、ミッドナイト、セメントス、スナイプス、その他見覚えはあるけど名前は覚えていないヒーロー達。そして、正直割と真面目に尊敬している13号。先日火傷を治して貰ったリカバリーガール。雄英教師陣が勢ぞろいしていた。

普通に有名所で固められている辺り流石雄英、と言いたいところだが。

 

「木っ端ヴィランなんかにこんな大勢で、オールマイト一人でも十分過剰でしょうに」

「いやいや、そんな事は無いよ星遠君。君の味方はこれだけいるって事を伝えたかったのさ!」

「オール・フォー・ワンは私達でも手に余る存在なんだ。そんな奴と接点を持っている人間、君を守らなければならない」

「・・・期待に応えられるよう、頑張りますよ。まあ、そんなすぐには行動しないでしょう」

 

あ、なんかフラグが建った気が・・・い、いや、深く考えないようにしよう。

 

「さて、ここまで言ったらもう分かってるとは思うけど。筆記、実技試、共に試験は最高って程じゃないけど十分上位。でも、ボクは校長推薦枠を使わせて貰うよ。23人になっちゃうけど、大丈夫だよね相澤君」

根津校長が話を振ると首にマフラー?を何重にも巻いた真っ黒モジャモジャの人がこっちを向いた「まあ、見込みがなければ校長の推薦とはいえ退学にしますが、よろしいですね」と。うーん、この感じ。いいね!

 

その彼と向き合い「相澤先生ですね。判断、よろしくお願いします」真正面から挑ませて貰う。

目と目が合い、良く分かる。あんな言い方してはいるが、一本強い芯を持っている。はっきりしてる人は見分けやすくて助かるね。

 

「これで用事も終わりですか?」

「そうだね、後はこれ。入学手続きの書類だから親御さんに渡してね」

「分かりました、では自分はこれで。お先に失礼します」

 

最後、何て言葉を言えばいいのか分からなかったから適当に出てきた言葉を言ってしまった。

これからよろしくお願いします、の方が良かったか?いやでもあいざわ先生が見込み無しと判断すれば切られるわけだし、まだまだこれからよ。

 

さーて、修行だ修行。

 

 

 

 

人間の体は完全に自分のイメージ通りに動くわけではない。

武術の修行で拙いながらも体の動かし方をある程度は理解した。そもそも九年程度修行した所で山で言えば三合目についたかどうかも定かじゃない。始める前は山頂が見えても、いざ登ってみるとどこにいるかも分からない様なものだ。

そんな武術はコツコツやって行くとして、この実技入試で俺は痛感した。

 

やだ、俺・・・レーザー以外何もしてない!?それ以外を考えれば近づいて殴る、だから無人ロボ相手にならいいけど普通のヴィラン相手の参考に欠片もなってなかった・・・いや、雄英教師陣はフラッシュライトだって事知ってるけどそれじゃ意味がない。

つまり、至急俺の個性の新しい活用方法を模索してセールスポイントを作って押し出さなければならない。どうあがいでも地味だろうけど・・・

 

色々と調べてみたり実験して見た結果。なんかちょっと分からないことになった。

チラッと視界に入った飛んでいるハエがウザったいと思ったらいつ間にか捕まえていた。

状況が掴めずに呆けていると突然右腕全体に激痛が走り、その場で蹲って痛みを我慢する事しか出来なかった。

 

俺の異常に気付いた両親に連れらて行かれた病院で検査した結果、筋肉痛らしい。医者がドン引きするレベルの。

突然医者が変わり、個性と状況を説明したら「電気系の個性なら何もおかしくないけど・・・え?個性は光?じゃあ筋肉に送られる指令が電気信号じゃなくて光信号で送られたのかな?どんな体してるの?解剖して良い?」とかいいだしたので速攻で帰る決意をした。 

最後に「ま、何はともあれ個性届けは更新申請しておいた方がいいよ?」と忠告を貰った。

まあその後に「解剖される気になったらいつでも来てね」とワクワクした様な顔をしながら名刺を父に渡していたのだが・・・俺より変なのいるだろ、異形型の遺伝子がどうなってるか知りたいからそっちでどうぞ。




耳たぶイヤホンガールとリカバリーガール。
呼び出し面見せと言う待遇。意訳:変な真似すんなよ?
やったね星遠君、新しいアピールポイントだよ(ニッコリ)

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