roveltaさん、知ったか豆腐さん、河合さん。
まさかの誤字だらけの過去作品まで誤字報告、本当にありがとうございます。
この作品は、ご覧の赤ペン先生の提供でお送りいたします。
どうせならヴィランとして華々しく散りたい。
それは、フラッシュライトとしての活動を始めた当初からの願いだ。
ヒーローになる一歩手前の状態の緑谷や轟君の前に立ちはだかったりしてみたい。苦悩、葛藤を乗り越える場面を見たい。まさにヒーローな彼らを見てみたい。
見たいが、ヘマしてその辺のヒーローに捕まるよりは、今。目の前にいる
凄い不本意だけど、ものスッゴイ不本意だけど全部話しちゃった以上捕まるのも俺自身の責任だ。あーもう、カッコよく自己責任を貫けなかったなぁ・・・
「ソレは、本気・・・だよね」
「まあ、八木さんに捕まるのを覚悟するくらい本気です」
焦らすなー八木さん、今すぐぶん殴っても良いのよ?
「その時は、どうするんだい」
「そりゃ、全力で抵抗して逃げますよ。ヴィランなんでね、そんなもんですよ」
座ってたゴミから降りて八木さんを真正面から見据える。
しばらくの間見つめ合い、オールマイト状態から煙を立てて八木さん状態に戻った。え?あれ?
「少し、上に掛け合ってみよう」
「いや、捕まえないんですか?」
「人の為に行動する事が出来るのはヒーローとしての素質があるからだよ、星遠君」
「確かに昔はヒーローに憧れもしましたけど、もう遅いんですよ八木さん。一度ヴィランになったら、そいつはもうずっとヴィランなんですよ」
実際、今まで警察に届けた連中の中に何度か同じ顔を見た事がある。
と言うか、大半が再犯っていうね。救いようが無いんですよ、ヴィランって。
「それに、俺があいつ等がヒーローになった所を見たいってだけなんで・・・やっぱり人の為じゃないですよ」
「君は想像以上に拗らせてるんだな。まったく、色々とやることが増えてしまったな!」
「なんかわかりませんがお疲れ様です」
「大半が君の事なんだけどね!」
謝ったら解散宣言された。ってマジで放置?俺ヴィランなんですけど?
ま、八木さんなら俺を捕まえようと思い立ったら一時間もかけずに捕まえられるだろうから見逃すっていう手もあるのか。俺自身、建物を壊したりしてないからそこまで危険度高いヴィランでもないしな。
レーザーでも使えば建物にしろ街にしろ人にしろオーバーキルして危険度跳ね上がって即捕縛対象扱いだから使いたくないんだよね。
数日、音沙汰もなく過ごし。平穏な日々が・・・
と思ったか?
「星遠君?私がなんで怒ってるか分かるよね?」
残念!翌日に轟先生からのお説教です!
「先生、一つだけ言わせてください」
「言わなくても分かってる。ウチの焦凍が誘ったとは聞いた」
「いやそこじゃなくて」
「じゃあなんだ?他にいう事はあったか?」
ゆっくり深呼吸して、ゆっくりと両手を地面につけて、頭を下げる。
「すみませんでした」
日本の最大の謝罪の体勢、土下座である。怒ってる相手には真面目に謝罪した方がいい、それが親しい人間であればなおの事。
「何に対して」
「弟さんを引き止めるべきでした」
「今度誘われたら?」
「勿論遊びます」
無言で殴られた。
いや俺も悪いけどさ、殴ることは無いじゃん。他の人に見られたら問題よ先生。
幸い生徒指導室なので誰にも見られることなく説教され続ける事になったけど・・・
「で、私が怒るよりも早く話があるって言っていたが。何についてだ?」
「ああ、それについてはこれです」
上着の内ポケットに入れていた封筒を取り出して献上する様に渡す。まだ解いていいって言われてないから正座だよ、そろそろ足がヤバいよ。
「ん?進路希望?なんだ、変えたのか?」
「中身を見て判断してください」
「そうか、じゃあ失礼して・・・・・・星遠君」
「はい」
「君は高校に行ってまで私の弟を不良の道に進ませたいようだな」
「いや違いますよ!なんでそんな曲解しちゃったんですか!」
「この話の流れからそうとしか考えられなくてな」
「と言うか、ヒーローになる勉強に忙しくて不良になる暇ないでしょう」
「それも、そうだな。だが、行けるのか?」
「ま、頑張ります。夏休みに弟君借りますね」
「焦凍の邪魔はするなよ」
「いやそこは俺の事応援してくださいよ」
「阿呆。かわいい弟と不良の生徒では比べ物にならんさ」
「色々な所を敵に回しそうな発言ですねそれ」
「なに、星遠。お前が言わなければいい」
「ですよね、知ってた」
なんというか、ブラコンだねぇ先生。
そういうとまた殴られた。解せぬ。
それから数日。
元気に登校して元気にチンピラぶん殴って元気に寝たりしていたら八木さんから呼び出しがかかった。
ビクビクしながら海浜公園に辿り付くといつも通りの光景が広がっていた。
「緑谷、お前疲れてんだろ」
「え?星遠君?なんで?」
「なんでポール引き抜こうとしてんの?」
「・・・あれ?これポールだ。そう言えばなんでだろう」
「八木さんも笑ってないで助言くらいしてあげなさいよ。貴方の弟子でしょ」
「なんというか、うん、星遠君は真面目だね!」
「ほっといてくれません?」
八木さんに話を振っている間に緑谷に持ってきたスポドリを渡して休憩させておく。ってなんでそんな離れていくんだ緑谷よ、まあ助かるけどなんでなんだよ緑谷ィ・・・
「で、呼び出してどうしたんです八木さん。この間言ってた、上ってのが何らかの判断をしたんでしょうけど」
「その通りさ。君の来歴とフラッシュライトの情報を全て集めて会議さ」
「結構大事になっててビビるわ」
「ヴィランがヒーローの御膝元に駆け込むなんてない事だからね。でも、そこまで大勢に知られているわけじゃないよ」
「まあいいんですけど・・・で、結果は?逮捕か、フラッシュライト一生引退か。どっちです?」
悪くて逮捕、良くても強制引退。これでも甘く見た対処だ。最悪?一生独房。
「なんでそう後ろ向きなんだろうね・・・結論は、雄英の校長直々に面接してから出すそうだよ」
「・・・・・・は?頭悪いんですか?」
「まさかこんな直接心に刺さる言葉が出るとは思ってもなかった!」
「いや頭おかしいでしょ。ヴィランよ?俺、ヴィランよ?なんでヒーローを育てる学校の校長が直々に会おうとしてんの?馬鹿なの?馬鹿だろ!」
「君の事を事細かく伝えた結果だから、私からはとやかく言えないんだ。とにかく、一度会ってみないかい?」
「・・・・・・その校長の予定の程は?」
「夏休みに時間を作るそうだよ。日程が決まったら私を通して教える様に、とも言っていたよ」
「やっぱ馬鹿だー、絶対馬鹿だよそいつ」
「まっ、君と同じさ」
俺と同じ?何言ってんの?この人まで頭おかしくなったか?
「自分が見たいものがあるから色々するのさ!」
次回、ヒロアカトップ知力持ち疑惑の根津校長。