やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのは間違っている。-改訂版ー   作:新太朗

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少し遅いですが、新年明けましておめでとうございます。

今年もどうぞ。よろしくお願いします。



ボーダー上層部②

三門第三中学校に開いた際に訓練生の三雲がトリガーを使用してトリオン兵を倒した件とその後すぐに開いて出てきた飛行型のトリオン兵の攻撃から市民を避難させるために三雲は二度目のトリガーを使用した。

と、言っても二度目は俺が許可した事を言ったが、一度目が許可なしだったので流石に俺でも上手い良い訳が思いつかない。

上層部が集まった会議室はなんとも言いがたい重たい空気になっていた。

 

「三雲君の話はもう良いでしょう。今はイレギュラーゲートをどうするかです!」

 

三雲の話が決着する前に根付さんがイレギュラーゲートの話に切り替えた。根付さんとしてもメディアへの対応をしないといけないからな。

 

「先程の爆発で分かっているだけでも10人くらいが死亡。重軽傷者は比企谷隊のおかげで50人くらいに……建物への被害も少なくすんでいる。ですが、これは第一次ネイバー侵攻以来の大惨事ですよ!」

 

流石に死亡者が出てしまったか。俺とシノンだけで落されている爆弾を全て破壊する事は出来ないからな。

これをメディアが相当叩いてくるな。

 

「このままでは三門市を去る人間も増えるでしょう。被害者への補償も大変な額になりますよ。ねえ唐沢さん」

 

「いや、金集めは私の仕事ですから言ってもらえれば必要なだけ引っ張ってきますよ」

 

根付さんに話掛けられた唐沢さんはそれなりの仕事をしてきているので問題ないかのように言っているが、大丈夫なのだろうか?

 

「しかし今日みたいな被害が続くと流石にスポンサーも手を引くかもしれませね。開発部長」

 

「……それは言われんでも分かっている。しかし開発部総出でもイレギャラーゲートの原因が掴めんのだ」

 

今だ、イレギャラーゲートの原因は分からないのか。そう言えば、イレギャラーゲートが開くようになって材木座からくだらん小説が来なくなったな。

まあ、俺としてはそれは有り難いがな。それでもイレギャラーゲートの原因は早めに見つかった方がいいな。

 

「今はトリオン障壁でゲートを強制封鎖しているが……それも後、46時間しか持たん。それまでにどうにかせんと……」

 

……後、46時間が限界か。二日ない中で原因を特定して排除しないとダメか。

それにしても迅さんは会議そっちのけでスマホで何か見ているな?何を見ているんだ?

 

「……で、お前が呼ばれたわけだ。やれるか?迅」

 

「もちろんです。実力派エリートですから」

 

林藤支部長に言われて迅さんは明るい笑顔で答えた。迅さんの明るい笑顔が妙に腹立たしいな!!おい!

 

「……どうにかなるのかね!?」

 

「任せてください。イレギャラーゲートの原因を見つければいいんでしょ?」

 

迅さんは自信満々に根付さんに言ってきた。流石だと思う反面、何を考えているのかが分からないから面倒だ。

すると迅さんは三雲の横に立ち、肩に手を置いた。

 

「その代わりと言っちゃなんですけど、彼の処分は俺に任せてもらえませんか?」

 

「……彼が関わっていると言う事か?」

 

「はい。俺のサイドエフェクトがそう言っています」

 

迅さんは城戸指令に毎度お馴染みのセリフを言ったよ。だけど、城戸指令は……

 

「……いいだろう。好きにやれ」

 

「城戸指令……!?」

 

「解散だ。次回の会議は明日の21時よりとする」

 

城戸指令は誰の反論も出させないまま会議は終了した。やっと終わったよ。

時間も時間だし今夜は作戦室で仮眠でもするか。イレギュラーゲートの所為でここ二、三日は本部に詰めていないといけにようだしな。

 

「比企谷隊長。ちょっと、いいか?」

 

「……はい。何ですか?忍田本部長」

 

部屋を出ようとしたら忍田本部長に呼びとめられてしまった。何だろうか?

 

「君は今回のイレギュラーゲートをどう思う?」

 

「……どう思うとは?」

 

「直感でいい。聞かせてくれないか?」

 

忍田本部長としても出来る限りの事はしたいという事なのだろう。

 

「……分かりました。今回のイレギュラーゲートですけど、その全てがボーダー隊員がいる側で開いています。その事から『隊員』と『ゲート』には何かしらの関係があると思います」

 

「関係が?それは一体何だと思う?」

 

「そこはなんとも言えないですけど、1、2回なら怪しいとは思いませんけど。これまで開いたイレギャラーゲート全ての側にボーダー隊員が居ると言うのは怪しいと思います」

 

「……『隊員』と『ゲート』とには何かしらの関係があるか……一応、鬼怒田室長に言っておこう。呼び止めてすまなかったな」

 

「いえ、自分はこれで……」

 

俺は今度こそ、部屋をでようとした。その際にちらっと迅さんを見た。

何やらスマホを根付さんに見せてあれやこれや話していた。まあ、俺には関係無いと思うしいいか。

 

「……作戦室に戻るか」

 

「ちょっと待ってくれ。比企谷」

 

部屋を出てすぐに迅さんに呼び止められてしまった。今度は迅さんかよ、一体何の用だよ、この人は。

 

「……何ですか?迅さん」

 

「そう不機嫌そうな顔をするなよ。目が濁るぞ?」

 

「余計なお世話です。それに今はメガネで隠しているんで問題ありません」

 

まったく何なんだ?用がないなら早く行きたいんだがな。

 

「それで何ですか?わざわざ呼び止めて」

 

「ああ、実は頼みがあってな」

 

「頼み?迅さんが俺にですか?」

 

怪しいな。あの迅さんが俺に頼みとか、怪しさありまくりだな。まあ、何か知らないが聞くだけ聞いておくか。

 

「……それで俺に何をさせる気ですか?まさか上層部と戦えって言わないですよね?」

 

「ああ、そうだ。と、言っても最初に戦うのは太刀川さん達だと思うけど」

 

「…………はぁ!?……迅さん。冗談ですよね?」

 

「いや、マジ」

 

「…………」

 

開いた口が塞がらないとはまさにこの事だろう。目の前の人物は何を言っているのか、俺には理解出来なかった。

組織のトップに立つ人物達にケンカを売ろうとしているのだ。迅さんは……。

 

「……迅さん。良い病院の脳内科を見つけてきますんで、じっとしていてください」

 

「いや!別に頭はどこも可笑しくはないから。上層部と戦う事はこれからのボーダーにとって大事な事なんだよ」

 

「……具体的にも聞いていいですか?」

 

正直な所、迅さんにこの手の説明を求めても答えてくれない場合が殆んどだ。迅さんは少し考える素振を見せた。

 

「そうだな……ボーダーの戦力強化と言った所かな」

 

「……戦力強化、ですか?それは近い内に大きな戦いがあると見ていんですか?」

 

「ああ。それと前に比企谷に言った、欲しい物が手に入るぜ」

 

そう言えば、前に迅さんが言っていたな。随分前だったから忘れ掛けていた。

 

「……なるほど。これでようやく分かりましたよ。どうして迅さんが俺を遠征部隊の訓練に参加させたのかが」

 

「流石、比企谷だな。察しが良くて助かるぜ」

 

迅さんがどうして俺を遠征部隊との訓練に参加させたのかが、今日ようやく分かった。つまりあの戦いはこの時のための予行練習と言った所だろう。

A級部隊の戦術はある程度、頭に入ってはいるが実際に闘ってみるのではまったく違う。

 

「……ホント、迅さんって性格悪いですよね。ある意味、捻くれている俺より」

 

「褒めてもぼんち揚げしかあげる物がないけど、食べるか?」

 

「……いえ、褒めてませんし皮肉ですから。でも戴きます……」

 

俺は迅さんからぼんち揚げを袋ごと貰った。ぼんち揚げは好きだ。ボリボリと食べるのがいい。

 

「それじゃ俺からはこれを……」

 

俺は上着のポケットに入れておいたMAXコーヒーを迅さんと三雲に渡した。

 

「あ、ありがとうございます。比企谷先輩」

 

「メガネ君、気をつけろ。このコーヒーはもの凄く甘いぞ」

 

「甘いんですか?」

 

「ああ、メガネ君が想像している十倍は甘い」

 

「じゅ、十倍……」

 

三雲は迅さんの言葉に驚愕していた。何故?そんな顔をする?分からん。

 

「では、迅さん。今度こそ俺はこれで……」

 

「ああ、またな」

 

「お疲れ様です」

 

俺は迅さんと三雲の二人から別れて比企谷隊の作戦室に向かった。今夜はそこで仮眠をしてから学校に行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、八幡。お帰り」

 

「え?浅葱!?」

 

俺が比企谷隊の作戦室に入ってみると何と浅葱がいた。しかもエプロンを着て料理していた。

まさか、炒飯を作ってはいないだろうか?

 

「お帰りなさい。八幡先輩」

 

「雪菜。お前も残っていたのか?」

 

「私だけじゃありませんよ。夜架先輩にシノン先輩もいます」

 

雪菜は部屋の奥を指差したので見てみるとそこには夜架とシノンが格ゲーをしていた。

 

「どうしてまだ本部に居るんだ?防衛任務はとっくに終わっているだろ?」

 

「八幡を待っていたのよ。最近、他の隊の防衛任務で時間が合わなかったから今日は皆で一緒に帰ろうって思ってね」

 

俺の疑問に浅葱があっさりと答えてくれた。なんかちょっと嬉しいな。

 

「八幡。お腹空いていない?」

 

「まだ食べていないからな」

 

「夜食を作ったから皆で食べるわよ」

 

そう言って浅葱はキッチンに戻って行った。まさか新作の炒飯を食べさせる気ではないだろうか?

胃薬、あったかな?

 

「大丈夫ですよ。八幡先輩」

 

「……何が大丈夫なんだ?雪菜」

 

「浅葱先輩が作ったのは炒飯ではなくてサンドイッチですから」

 

「そうか。それは大丈夫だな」

 

炒飯ではなくて良かった。俺達は浅葱の作ったサンドイッチを食べてから毛布を出してそれぞれ仮眠を取る事にした。

流石に時間が時間だったので、全員で作戦室に泊まる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンポーン!

 

比企谷隊の作戦室で仮眠をしていたら部屋の呼び鈴が鳴ったので眠い中、訪問者を確認した。

 

「一体誰だよ?こんな朝早くから……」

 

「よお、比企谷。おはようさん」

 

扉を開けてみるとそこには昨日会ったばかりの男がぼんち揚げを片手に持って挨拶してきた。どうしてこんな朝早くから来たんだ!アンタは!!

 

 


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