やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのは間違っている。-改訂版ー 作:新太朗
こっちの更新は久し振りです。
新章のネイバー遠征編です。
では、どうぞ。
材木座義輝②
修学旅行が終わって家に帰った俺は荷物を片付ける前にベットに直行した。正直なところ帰りの新幹線の中で戸塚と川崎の二人とトランプをしたりしたのもあるが、やっぱり旅行と言うものはどうしても疲れてしまう。
だからベットの直行した。荷物などは明日にでも整理すればいいだろう。
「おはよ~!!お兄ちゃん!!!」
「ぐはっ?!」
気持ちよく寝ていたらいきなり腹の上から衝撃が落ちてきた。誰だ!人が気持ちよく寝ていたのに起こすのは?!
いや、そもそも俺をこんな起こし方をする人間は一人しかいない。小町だ。
「こ、小町……お前、こんな起こし方をしていたらお兄ちゃん、病院のお世話になるから次からは辞めてくれ」
「ええぇ……もう!せっかく、可愛い小町が起こしてあげたのに寝起きの言葉がそれなの?!もっと、こうないの?『流石は小町だな!お兄ちゃん、小町の兄で良かったぜ!』とか?」
「いや、こんな起こし方をする妹にそんな言葉は出ない……」
まったく朝から酷い目にあったな。だが、小町がやれば可愛いから許すほか無い!それにしても久し振りに小町に会ったな。
暫く振りだからだろうか?小町が心なしか前より可愛く見えてしまう。
いかんな。将来、ネイバー遠征に行く予定の俺としてはたった数日で小町の事を愛おしく思うとはな。
これから出来るだけ小町がいなくても大丈夫にしていかなくては、遠征など行けない。だが、小町と離れたくない!!!
世界一可愛い小町と離れたくない!!クソ、一体どうすればいいんだ?
そんな事を考えていると小町が手を差し出してきた。なんだ、この手は?
「……お手?」
「違う!!お土産だってば!」
「ああ、そうか。ちょっと待ていろ」
俺は旅行鞄を開けて買ってきたお土産の袋を小町に渡した。お土産リストにあった物の一つの「ねこまたん祇園ver」だ。
「おお、やっぱり可愛いな!ありがとね。お兄ちゃん!」
「おう。喜んでもらえて俺も嬉しいぜ!」
小町が喜んでもらってよかったぜ。それに小町の笑顔が見れて疲れも吹き飛ぶと言うものだ!夜架やシノン、雪菜にもお土産を渡さないとな。
「それじゃそろそろ出るか」
「お兄ちゃん。どこか出掛けるの?」
「ちょっと本部にな」
「今日って防衛任務あったの?」
今日は比企谷隊の防衛任務はあるが、俺は今は雪ノ下隊と葉山隊と合同防衛任務に着いている事は小町は知らない。そもそも教えていないからな。
「俺、今は別の隊の防衛任務に加わっているんだ。だから別行動中なんだ」
「へぇ~そうなんだ。それじゃいってらしゃい、お兄ちゃん!」
「おう。そう言えば、川崎隊は今日の夜だっけ?」
「うん。そうだよ。あ、今日お母さんが夜、同僚の人と飲んでくるから泊まって帰るってさ」
夜、小町も母ちゃんもいないのか。だったら俺は本部で寝るか。
「そうか。小町、今日の晩飯いらないから」
「そう?わかった!あ、カーくんのご飯用意しとかないと!」
小町はカマクラのご飯の準備のために下に降りて行った。俺も行く準備をしないとな。忍田本部長、太刀川隊、嵐山隊、那須隊にお土産を渡しておかないとな。
ボーダー本部に着いて、まずは忍田本部長にお土産の生八つ橋を渡した。上層部の人達と食べるだろう。
その次に太刀川隊に寄ったが、防衛任務中だったので国近先輩に渡しておいた。まあ、喧嘩する事は無いだろう。唯我がいじられるだけで。
嵐山隊は広報の仕事が入っていたので後日にする事にした。那須隊は日浦がスナイパーの指導を奈良坂に教わっていたので、後で渡す事にした。
一先ず、俺は開発室に行く事にした。材木座から新型トリガーを見せたいと催促があったからだ。
そうもあるが、俺としても新型トリガーどんなものなのか気になっている。ブレード型と打撃型と聞いている。早く見てみたいな。
開発室に入ってみるとやっぱり材木座はいつもの白衣を制服の上に着ていて、指抜きグローブもしっかりとしていた。
こいつの格好を見るたびに思う。暑くないのか?と言った所で変えるわけでもないので言わないが。
「ふっふっふっ……漸く来たな。我が相棒にしてライバルよ……!!」
「……相棒なのかライバルなのかはっきりしろよ。材木座」
「何を言う?!かつて地獄の試練を乗り越えたではないか?!」
「……お前の言う、地獄の試練とはC級の時の訓練の事か?だったらお前は乗り越えてないだろ」
「そ、それは……」
材木座は視線を逸らして下手な口笛をした。まったく吹けていないのが、イラつかせてくれる。
出来ないならやらなければいいものを……。
「それで、新型のトリガーはどこだ?」
「ふむ。これだ!!!」
材木座はテーブルの上の『剣』を手を使って指した。見た目は『天月』より長かった。これは『野太刀』と『チェーンソー』を合わせたような剣と言った方が分かり易いな。材木座が言うにはスイッチを押せば刃が回るらしい。削り斬るというのがこのトリガーのコンセプトだそうだ。
その『野太刀』を持ってみたが、見た目ほど重くはなかった。
「……重くはないな」
「うむ。持ち易いように軽量化してあるのだ!凄いであろう!!我を大いに褒めるがいい!!!」
「……ちょっと、黙っていろ。材木座」
「ひぃ……?!」
材木座があまりにもうるさかったので本気で睨んだら材木座はガチで怯えていた。俺の気にするところではないな。
それにしてもやっぱり見た目ほど重くはないので振りますのには丁度いいか。
俺はもう一つのトリガーの方をみた。思いっきり見た目は『ハンマー』だった。これが打撃型の新型トリガーか。
「それで材木座。そっちのが打撃の方か?」
「う、うむ。そうだ!名を『超振動撃破DXスーパーハンマー』だ!!」
「……『超』が付いているのに『スーパー』とか、後DXってなんだよ?」
こいつのネーミングセンスは由比ヶ浜と似ているな。妙に覚えにくい。
「ネーミングは我が今、書いている小説に出てくるものにしている。その方が我が覚え易いからな!!」
「……そんな理由だったのか。それでブレードの方の名前は無いのか?」
「まだ無いのだ。八幡が名付けてもよいぞ!」
ブレードの方は名前がまだ無いのか。材木座から名付けてもいいと言われたが、なんと名付けようか?
弧月に天月と名が付いているからここは『月』をつけた方がカッコいいか。
「……そうだな。だったら『牙月』で決まりだな」
「うむ。『牙月』か。流石は八幡だ!我には負けるがいい名であるな!」
材木座の一言にキレそうになったが、なんとか押さえ込んだ。一々、付き合っていたらこっちの身が持たない。
「それではさっそく名称を登録してトリガーを例の試作トリガーにセットしておくぞ」
「……ん?ちょっと待て、材木座。あれは確かもうトリガースロットがいっぱいだったはずだろ?どれか抜かないとセット出来ないはずだろ?」
「ふふっふ……その心配には及ばないぞ!八幡。あのトリガーはこれまでの研究の成果で更に二つトリガースロットを付け加える事が出来たのだ!!八幡の心配する事は何もない!!!」
トリガースロットを更に二つ追加するとはな、やるな材木座。ちょっとは褒めてもいいと思うぞ。
「それなら材木座。空いた一つに『エスクード』をセットしてくれ」
「『エスクード』だな?承知した。しばし待たれよ!」
材木座はこう言う仕事は意外に早いんだよな。出来たらソロ戦でもするか。
「それじゃさっそく試してくるか」
「それなら我が相手になってやろうではないか。八幡よ」
「……え?マジで?」
「我は大マジだ!!」
材木座の一言に一瞬、呆けてしまった。材木座が試作トリガーの相手をしてやるだと?!これは少し面白くなってきたな。
「……ホントにいいんだな?お前のその出ている腹がスリムになるまで削り落しても文句はないな」
「……は、八幡?じょ、冗談ですよね……?」
俺はただ、何も言わずに笑顔で材木座に答えた。材木座の口調が丁寧になっていた。
俺と材木座は開発室にあるトレーニングルームに入った。ステージは市街地Aになった。天候は快晴だし時間は昼になっている。
先に仕掛けてきたのは材木座からだった。
「行くぞ!!八幡よ!!超スーパー振動グランドインパクト!!!」
「技名がややこしいんだよ!シールド!」
材木座が振り下ろしたハンマーは俺のシールドをいとも簡単に粉砕した。材木座はハンマーを振り下ろすと同時にスラスターで勢いを付けていた。
それであの威力は納得だなと思ってしまう。これは負けてられないな!
新型トリガーは中々に使い心地は良かったし、材木座を切りまくったのでそれなりに楽しかった。
この日はとりあえず試作トリガーを試したので、帰る事にした。
「お、比企谷。ちょうどいい所に」
「うげぇ……迅さん」
帰る所に現れたのは尻フェチで『未来視』のサイドエフェクトを持つ迅さんだった。てかなんで本部に居るんだ?この人。
「そう嫌そうな顔をするなよ。それで比企谷に頼み事があるから今から来てくれ。MAXコーヒー奢るからよ」
正直、嫌な予感がするがマッ缶を驕ってくれるなら聞いてもいいか。俺は迅さんの後に付いて行った。
「それで俺に頼みってなんですか?迅さん」
「ネイバー遠征の訓練を俺と組んでしてくれ」
「……え?」
俺は迅さんの一言に思わず驚いてしまった。
『牙月』
大型試作ブレードトリガー。
『野太刀』と『チェーンソー』を合わせた剣。弧月、真月と違いオプショントリガーは使えないが、その分破壊力がどのブレードより高い。
『超振動撃破DXスーパーハンマー』
試作打撃トリガー。
材木座が自分の趣味全開で製作したトリガー。レイガストのオプショントリガーの『スラスター』と組み合わせる事が可能でその事により一撃の破壊力が高い。