やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのは間違っている。-改訂版ー   作:新太朗

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相模南②

それは文化祭実行委員になった浅葱が倒れてので俺が実行委員の仕事を手伝った次の日に起った出来事だ。

比企谷隊の深夜からの防衛任務を終えて会議室に俺は浅葱と共に会議室に向かっていた。

 

「ごめん、八幡。今日も手伝ってくれて……」

 

「気にするな。俺個人としても文化祭が開催出来ない方がいいんだが、クラスや他に頑張っている奴を見て俺もちょっとはやる気を出そうかなって思っているかな」

 

「ホント、八幡らしいね。まあ、今日もよろしくね」

 

「ああ、程ほどに頑張るかな……」

 

浅葱と話していると会議室が見えたので話を一旦止めて、俺が会議室の扉を開こうとした所、中が妙に騒がしかった。

何か問題でもあったのか?

会議室に入ったがその問題なのか分からなかった。ここは氷見に聞いた方がいいな。

 

「氷見。何かあったのか?」

 

「あ、比企谷君に浅葱ちゃん。2人共防衛任務お疲れ様」

 

「うん。ありがと、亜季。それで、どうしたの?」

 

浅葱が氷見に騒ぎの原因を聞いた。

 

「それが……雪ノ下さんが風邪で今日学校を休んで仕事が溜まっているんだよ」

 

「……雪ノ下さんが?それ不味くない」

 

浅葱の質問に氷見が答えてくれて、この騒ぎの原因が分かった。

これまで雪ノ下に仕事の管理を任せていたツケがこんな事になるとは予想はある程度していたが、まさかここまでとはな。

風邪で休んだという事だが、それは体調管理が出来ていないという事だ。

 

一学期に雪ノ下は俺に自分は完璧超人だのと言っていたが、体調管理も出来ない奴が完璧とは言いがたい。

風邪が直ったらその事を指摘して悔しがっている雪ノ下の顔を拝んでやろう。

 

「そういえば、生徒会長はどうしたんだ?氷見」

 

「確か会長はスローガンの事で外部から問い合わせが来たからそっちに掛かりっきりになっているよ」

 

まあ、生徒会長がサボったり、風邪を引いたりしてはいないんだな。それなら安心だな。

 

 

 

 

 

「ヒキタニ君」

 

俺が仕事をして暫くしてから葉山に呼ばれた。こいつはいつになったら俺の苗字をワザと言い間違えないのだろうか?ここで言うのは、止めた方がいいな。

 

「……なんだ?葉山。俺は仕事をしていて忙しいんだが?」

 

「それは分かっている。いや、そうではなくて雪乃ちゃんのお見舞いに行かないのか?結衣はもう行ったぞ」

 

こいつは本気で言っているんだろうか?だとしたら小南ではないが一発殴った方がいいだろうか?いや、B級に上がった時にソロ戦でボコった方がいいな。

こいつを滅多打ちにした上でポイントを奪えるからな。この怒りはその時まで取っておこう。

 

「……だから?それで俺にも行けと?ふざけんな。何で俺があの女のために時間を割いてお見舞いにいかないといけない?もしかして奉仕部員だからか?だったら残念だな、葉山。奉仕部はもう廃部になっている。俺があいつのお見舞いに行く理由はどこにもない!分かったら、俺の仕事の邪魔だけはするな」

 

「………………」

 

俺は葉山に言いたい事を言って書類作業に戻った。

ふと視線を感じたのでその方を見てみると葉山が俺をもの凄い顔で睨みつけていた。

それに俺にお見舞いに行けと言うが、だったら自分が行けばいいのに。

睨み付けている暇が有るなら作業をしろ、葉山。

 

この日も最終下校時間まで作業をした。時々、葉山が俺を睨みつけてきたが、大した問題ではないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、文化祭実行委員会はスローガン決めで集まっていた。

スローガンにいちゃもんが付いたからだ。

 

『面白い?面白すぎる!潮風が聞こえますよ。総武高校!!』

 

……確かにこれではいちゃもんが付くのも頷ける。パクリも大概にしろ言いたくなる。

まあ、当然と言えば当然却下されてしまった。そのため急遽委員会の人間を招集したのだ。

オブサーバーして葉山と雪ノ下さんが出席した。浅葱の要望で俺も出る破目になった。

会議が始まっていないのをいい事に全員が誰かと喋っていた。

秩序があったものではないのはこの現状を見れば一目瞭然だ。

 

「相模さん、雪ノ下さん、みんな集まったみたいだし始めよっか」

 

生徒会長が友人と話していた相模を見兼ねて声を掛けた。その際、相模は舌打ちをしたように見えた。

 

「それでは実行委員会を始めます。議題は文化祭のスローガンについてです。何か意見やアイディアはないですか?」

 

アイディアを求められても始めからやる気のない連中にそれは無理難題に等しい。

 

「いきなりの発表は難しいだろうし、紙に書いてもらうと言うのはどうでしょうか?」

 

見るに見兼ねて葉山がアイディアを出した。葉山らしいな。

 

「うんうん。さすが葉山君だね。じゃあ紙の準備して」

 

相模は命令するだけで特に動こうとはしない。流石無能委員長!

各自紙が回って来てそれぞれが書き始めて、暫くして回収されてホワイトボードに書かれていった。

 

『友情・努力・勝利』

 

……どこの週刊ジャ〇プだ。パクリのもいい加減にしろ!そもそも最後の勝利って何に勝利する気だ?

 

『ONE FOR ALL』

 

「俺、ああいうのいいなと思うな」

 

葉山にはあれが御気に召したようだ。俺はそうは思わないがな。

 

「1人は皆の為に、か……皆が1人の為に何かしてくれるとは限らないだろ」

 

「そんな事はないさ。絶対にね。それに俺は信じているから」

 

「そうかよ……」

 

葉山と話していると相模がいきなり立ち上がって自分が考えたスローガンを書いた。

 

「それじゃあ最後に。うちから『~絆~友に助け合う文化祭』っていうのどうかな?」

 

「………ぷっ……」

 

相模のスローガンを聞いた途端、吹き出しそうになったので急いで手で口を塞ぎ顔を相模に見え無いように逸らした。

幸い相模はこちらを見ていなかった。良かった~もし見られていたらいちゃもん付けてきたかもしれない。

 

俺が相模のスローガンで吹き出しかけたのはサボリ組みの象徴みたいな奴が助け合うなんて言うスローガンを考えたからだ。

まだ、真面目に出ている奴が出したなら吹き出す事もなかっただろうが出したのがあの相模なのだ。それは吹き出してします。

 

周りを見てみると真面目組みは相模を始めサボリ組みの連中を睨み付けていた。

サボリ宣言をだしたお前が誰を助けたんだよ?相模?

 

『千葉の名物、踊りと祭り!!同じあほなら踊らにゃ sing a song!!』

 

話し合いの結果、このスローガンになってしまったが、これでは総武高の文化祭ではなく千葉のスローガンになっている。

まあ、決めたのは俺ではないし文句はないが、大丈夫なのか?これで。

 

「スローガンは決まったし、みんなお疲れさまでした~」

 

スローガンが決まったと同時に相模がそう言って会議室から出ていった。それに便乗してサボリ組みが次々と会議室から出ていった。

召集されたのに下校時間まで作業をして帰るのが普通だろ?こんなので今年の文化祭は大丈夫か?本気で心配してします。

 

「……チッ……」

 

サボリ組が会議室から出て行くのを見ていた真面目組みの誰かが舌打ちをした。

気持ちは分からないでもないが……もう文化祭、潰れた方がいいかもしれない。

 

「……はぁ~ホント、大丈夫か?今年の文化祭……」

 

ガラにも無く心配してしまう。そんな中、氷見は真面目に作業を始めた。

よくやる気になれるな……あ、そうか。烏丸との文化祭デートのために頑張っているんだったか……。

 

「氷見はよくこんな状況になってもやる気になれるな?俺なんてもうやる気すらないのに……」

 

「それが普通なんだよ。……それでも私は文化祭が開催して欲しいから……折角、頑張って誘ったのに、無駄にしたくないから」

 

「烏丸とのラブラブ文化祭デートな」

 

「うん。……ってラブラブなんて!そんな事、思っていないから!!」

 

「でも、デートは否定しないんだな?氷見」

 

「……///////」

 

氷見は俺の指摘に顔を真っ赤にしてから両手で覆い隠した。やっぱり普段クールな奴ほどからかった時の反応が面白い。

 

「……ちょっと、本気でも出してみるかな……」

 

個人的な意見を言えば、こんなグダグダな実行委員がやる文化祭なんていっその事、潰れてくれれば清々しただろうが、そんな事もなくなった。

前まで人見知りで引っ込み思案な氷見が好意を寄せている烏丸を自分から誘ったのだ。

人の恋を邪魔する気など毛ほどもない……むしろ応援したくなる。

 

だからこそなのか、今日は前よりもやる気になっていた。なんとしても文化祭を成功させたい。

例え、相模がどんな事になろうとしてもだ。




来週はハイスクールを更新するので一回休みます。

再来週をお楽しみに。

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