やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのは間違っている。-改訂版ー 作:新太朗
千葉村に行くのはバイトとして行きます。
では本編をどうぞ。
比企谷八幡⑤
「書類整理終わりました。忍田本部長」
「もうか?さすがに早いな比企谷」
学生にとって一年の間で一番長い休みの夏休みが始まって二日ほど経った頃。俺はボーダー本部の本部長室で忍田本部長の書類整理を手伝っていた。
来月八月の上旬にはボーダー入隊のための試験がある。そのため、試験がある前の月はなにかと忙しいので俺は忍田本部長の手伝いをしている。
もちろん、ギャラが少しは出るのでそれなりにやる気はある……多分。
「ありがとう比企谷。今日はもういいぞ。お疲れ様」
「はい。お疲れ様です忍田本部長。それじゃあ俺はこれで」
「比企谷。少し話があるんだがいいか?」
「?……はい。構いませんけど」
忍田本部長は一枚の紙を俺の差し出してきたので俺はそれを受け取り見た。
「千葉村での小学生のキャンプのバイトですか?」
「そうだ。やってみないか?それなりにバイト料も出る」
「やるのは構いませんけど。……これって大抵はボランティアじゃないんですか?何でバイトを?」
正直疑問だった。何故、ボランティアではなくバイトなのか?そもそも今時の学生がボランティアをするとは思えない。
「実は最初はボランティアで募集を掛けたのだが、まったく人が集まらなくてな。……それならボランティアではなくバイトにしたほうがいいのではないかと言う意見が有って、急遽バイトに変更したのだよ」
「なるほど。大体は分かりました。それで俺に何をしろと?」
「比企谷にはバイトのメンバーを集めて欲しい。比企谷はボーダーでは顔が広かったろ?十人くらいは欲しいので頼めないだろうか?」
「まあそれはいいですけど……。防衛任務があったら無理ですよね?」
「その辺りはこちらで都合を付けるので気にし無くていい。送り迎えもこちらで用意しておくので気にしなくていい」
「そうですか分かりました。それでは失礼します。忍田本部長」
俺は本部長室を出て個人ランク戦のブースに向かった。俺の隊のメンバーに妹の小町を誘えば五人は確実だし、あのバカ二人なら案外暇してそうだしな。
個人ブースに行って目的の人物達を見つけたと思ったら、本部ではあまり見かけない人物までそこに居た。
「よお出水、米屋。それとお前が本部に居るなんて珍しいな烏丸」
「お!ハッチ」
「よお比企谷」
「こんにちは比企谷先輩」
上から米屋、出水、烏丸の順で俺に言葉を返してきた。
「烏丸は何で本部に?」
「今日はバイト昼過ぎからなので米屋先輩と出水先輩と一緒にランク戦をしていました」
「そうか。ところで出水と米屋は八月の初めなんだが暇か?」
「何かあるのか?」
「ああ。実はこれなんだが……」
俺は忍田本部長から貰った千葉村でのバイトの紙を見せた。
「へぇーキャンプのバイトか……でもなハッチ、これ無理だ。この日は防衛任務があるからよ」
「こっちもだ。悪いけど比企谷、これはパスさせてくれ」
「それについては大丈夫だ。忍田本部長が参加するメンバーの任務に都合を付けてくれるから問題なく参加できると思うぞ」
俺は忍田本部長から防衛任務がある隊でも参加できるようにしてくれたことを出水と米屋の言うと二人は喜んでいた。
「マジか!?だったら俺は参加するぜ。それで出水は?」
「だったら俺も参加するぜ。バイトっても小学生にべったり付くわけでもないんだろ?」
「ああ、こっちにもある程度の自由時間があるからな。その時は思いっきり遊べるぞ」
二人が迷わず参加してくれたのでこれで二名確保だな。出水と米屋が喜んでいると烏丸が俺に聞いてきた。
「比企谷先輩。これ俺も参加してもいいですかね?」
「烏丸。お前も参加するのか?でもバイトは大丈夫なのか?」
「はい。その日程ならバイトは入れてないんで参加できます。それにそのキャンプには俺の妹が参加するので」
「そうか。分かったよお前も参加で決まりだな」
烏丸の妹が参加するのか。とりあえずこれで三名確保だな。
「比企谷。だったら柚宇さんに声掛けてもいいか?」
「ああ構わないぞ。お前が参加するからな太刀川隊の国近先輩がいても大丈夫だ」
「ならハッチ。秀次を呼んでもいいよな?」
「三輪を?……まああいつが参加したいならいいぞ」
「よし必ず参加させるからな。そう言えば他には誰が参加するのんだ?ハッチ」
「一応小町と俺の隊のメンバーかな?とりあえずはそれだけかな」
「朝田ちゃんはインドア派じゃないか?」
出水の言う通りシノンはゲーマーゆえに屋外より屋内の方が好きだ。だからこのキャンプには参加しない可能性が高い。
「まあそこはあいつ次第だろ。とりあえず必要な物は後でメールしておくから忘れ物するなよ?」
その後、出水と米屋は防衛任務に向かい烏丸はバイトに行くため本部を後にした。
俺は比企谷隊のメンバーと小町にメールを送って参加するかしないかを確認したところ、全員が参加することになった。
意外だったのがシノンの参加だ。ゲーマーでインドア派のシノンなら参加しないと思ったので驚いた。
その後、出水と米屋から連絡が着て国近先輩と三輪の参加が確定した。
この日は防衛任務は無く、そのまま家に帰って夏休みの宿題をすることにした。俺は面倒なことは早めに終わらして後を遊びつくすタイプだ。
そのために七月以内にほとんどの宿題を終わらせておくつもりだ。
去年の夏の終わりに米屋の宿題を手伝わされたいい思い出……なんだろうか?
宿題のノルマをこなしてラノベを読んでいると俺のスマホに着信がきた。
「……小南?こんな時間に?……はい。もしもし」
『あ、比企谷。今、大丈夫?』
「大丈夫だけど……どうしたんだよ。こんな夜遅くに電話なんて、なんかあったのか?」
『とりまるから聞いてんだけど。あんたキャンプに行くそうじゃない』
「ああ。行くけど……小学生の手伝いのバイトだけどな。それがどうした?」
『そのキャンプに私も参加させなさい』
小南からの電話の内容は例の小学生のキャンプのバイトの件だった。
メンバーは十人くらいと忍田本部長に言われていたがオーバーしてはいけないと言われていないし、問題ないか。
「それなら別に構わないぞ人員は少しくらい多くてもいいだろうからな」
『あ、それなら陽太郎も参加するから』
「はぁ?!何で陽太郎が?」
『とりまるがキャンプの話をみんなにしたら自分も連れて行けって駄々をこねてね。それでボスが連れて行ってもいい許可を貰ったのよ』
「なるほどな……」
陽太郎が駄々をこねる姿が目に浮かぶな。人は結構いるし問題ないだろう。
「了解した。まあ誰か一人が側に付いていればいいだろう。それで小南、お前は持って行く物とか分かるか?」
『とりまるに聞いたから問題なしよ』
「分かった。忍田本部長に参加するメンバーを連絡しておくから当日遅れずに来いよ」
『分かってるわよ。それじゃあまたね比企谷』
「おう。またな小南」
小南との電話を切った後、忍田本部長にキャンプに参加するメンバーを伝えて防衛任務のシフトの変更をやってもらった。
参加するメンバーは俺、小町、浅葱、夜架、シノン、雪菜、出水、国近先輩、米屋、三輪、小南、烏丸、陽太郎の十三人に決まった。
でも陽太郎が来るなら雷神丸も来るから参加するメンバー+一匹と言ったところだろう。
小町は二学期から受験に向けて本腰を入れないといけないので夏休みはできるだけ遊ばしてやろうと思っている。
しかしこの時の俺は千葉村でまさかあいつらに会うことになるとは微塵も思っていなかった。
次回は千葉村までの移動の話になります。
では次回をお楽しみに。