やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのは間違っている。-改訂版ー   作:新太朗

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レプリカ

玉狛支部で迅さんから自律型トリオン兵「レプリカ」を紹介された。正直、驚いた。ネイバーフットにこんな凄いトリオン兵を作る人物が居る事に。

それに驚いたのはそれだけでは無い。レプリカを作ったのが空閑の親父さんでしかもその人は空閑のブラックトリガーになっていたからだ。

そして俺は空閑の過去に興味があったのでレプリカに聞いてみたら教えてくれるとの事だ。

 

「空閑はどう言った理由でこっちの世界に来たんだ?」

 

《ユーマのブラックトリガーは父であるユーゴが瀕死のユーマを救うために自身を核にしたのだ。ユーマはブラックトリガーから父を元に戻せないか、その方法を探しに来たのだ》

 

「そんな理由が……」

 

それからレプリカは空閑の過去を聞かせてくれた。約4年にとあるネイバーフットの戦争に関わっていた空閑親子。

戦争ってのはイマイチ、ピンとこないが凄い事に関わっていたんだな。

そんな中ある出来事が起ったそうだ。空閑親子が味方した側の腕利き兵士が奇襲を受けて殺されたそうだ。

 

その事に何か思う所があった空閑の親父さんは空閑に戦場に出るなと言ったが空閑はそれを守らずに出てしまってそこで何者かに瀕死重傷を負わされてしまった。

そこに空閑の親父さんが現れて自分の命を使って息子の命を取り止めたが、自分はそこで亡くなった。

 

そして空閑は親父さんが持っていたサイドエフェクトを受け継いだそうだ。つまり元々空閑のサイドエフェクトは親父さんのだったんだな。

それにしてもサイドエフェクトが受け継げられるとは驚きだ。

 

「それから空閑はどうしてんだ?」

 

《ユーマはそのまま戦争が終わるまで戦った。それでやる事が無くなったのでそれで生前ユーゴが言っていた「ボーダー」と言う組織がある世界に行こうと私が提案したのだ。そこならブラックトリガーになってしまったユーゴを元に戻す方法があるかもしれないと思ったからだ》

 

「なるほどな……だが、流石にボーダーでも無理だろ」

 

俺はブラックトリガーについて詳しくは知らない。トリガーの核となるのは大量のトリオンを持った人物でその人物の全てのトリオンを注がないとブラックトリガーは作れないと言う事くらいしか知らない。

ブラックトリガーになった人間を元に戻す方法は無いと言ってもいいかもしれない。全てのトリオンを注ぐわけだし、それはつまり自分の命を注ぐと言う事だろう。

 

《こちらの世界でも無理なのか?》

 

「100%とは言わないが、俺は元に戻す方法があるとは思えない。ボーダーの上層部だとか開発部ならそれなりに分かると思うけど……」

 

《そうか。ありがとうハチマン。この後、どうするかはユーマが決める事だ》

 

空閑はこの後、どうするのだろう?父親を元に戻せ無いと分かったら?この世界で生活するつもりだろうか?

でもボーダーの城戸派が居るからな。あそこの派閥をどうにかしないとまともに生活はでき無いだろう。

 

「おっ……こっちも話は終わったようだな」

 

「迅さん。こっちもって事は空閑の話も終わったんですね」

 

いつの間にか迅さんが現れた。空閑の話が終わったって事は空閑はどうするんだ?

 

「ああ。遊真はメガネ君と千佳ちゃんとチームを組む事になったんだ。それでこれから俺達の方も話を詰めて行こうか」

 

「分かりましたよ。それにしても三雲があの二人とチームを……」

 

B級ランク戦に参加したら空閑は一気に注目されるだろうな。三バカが戦いそうだな。まあ、それまで楽しみしておくか。

 

「遊真がボーダーに問題なく入るにはどうしたらいいと思う?比企谷」

 

「俺に丸投げですか?迅さん」

 

「いや~比企谷なら俺以上に凄い案を出しそうだからさ」

 

ホント、この人は。一度全力で殴りたい。覚悟してろよ。

 

「……一応、レプリカと話している時に考えて起きましたよ」

 

「流石、比企谷だな。それでどんな作戦だ?」

 

「その前に迅さんに聞きたい事があります」

 

「ん?聞きたい事ってなんだ?」

 

「一番の問題はやっぱりブラックトリガーです。『風刃』を本部に預ける事は出来ますか?」

 

聞いた事がある。迅さんが使っているブラックトリガー『風刃』は迅さんの師匠の形見だそうだ。

すると迅さんは『風刃』をテーブルの上に置いた。

 

「ああ。こいつが原因になるなら俺は喜んで手放すつもりだ」

 

「……すんなりですね?師匠の形見だと聞いていたんですけど」

 

「最上さんもボーダー同士で争う事を望んではいないからな」

 

「そうですか。ならカードとしては行けますね。もう少し手札は欲しい所ですけど……遠征部隊が戻ってくるまで予定ではもう二、三日と言った所ですね」

 

もう少し時間があれば何か上層部の気を引ける情報を用意出来たと思うが、流石に無いよな。

 

《ハチマン。私も協力されてくれ》

 

「レプリカ」

 

迅さんと話しているとレプリカが話に加わってきた。

 

「協力って……何かあるのか?」

 

《私の中にあるデータにはユーゴが目と足で調べたネイバーフットの地図がある。これは使え無いだろうか?》

 

そんな物があるのか!?それなら行けるかもしれない。その空閑の親父さんが調べてきたものか。一応、どれだけか見てみるか。

 

「レプリカ。すまないがそのデータを見せてもらっていいか?」

 

《ああ。構わない》

 

俺は宇佐美から使っていないPCを借りてレプリカのデータを移した。そこにあったデータは膨大であった。これ程のデータを調べたのか?空閑の親父さんは!

これは凄いのを軽く超えている。これがあれば鬼怒田さんは説得出来るな。

 

《どうだろうか?役に立てそうか?》

 

「……立てるなんてものでは無い。これで上層部の一人は確実に説得出来る。そう言えば、レプリカって他に出来る事とか無いのか?」

 

《他に出来る事か?トリオン兵の解析など複製を作る事が出来る》

 

解析に複製か。ならあれを複製出来るのだおろうか?

 

「……なら此間、駆除した『ラッド』を何体か複製出来るか?」

 

《出来る》

 

するとレプリカは机の上に黒色の『ラッド』を作ってみせた。ここまで再現できるのか。あれ?でもこれ大丈夫なのだろうか?

 

「この『ラッド』が見たものってのは……」

 

《全て私の中に記録される。他には送信される事は無い》

 

「これは使えるな」

 

「比企谷。悪い顔になっているな。いけそうか?」

 

「ええ。それと悪い顔は余計です」

 

そんなに悪い顔をしていただろうか?自分じゃあ分からないからな。

 

「聞かせてくれるか?お前の作戦を」

 

「ええ。まず迅さんが本部から玉狛までの最短ルートの途中で待ち構えてください」

 

「最短ルートの途中にな」

 

太刀川さんや風間さんなら空閑のブラックトリガーの能力を知ったらすぐにでも行動するはずだ。時間を与えれば与えるほど空閑が有利になるからな。

そのため短時間で決めないといけない。だからこそ、あの人はすぐに攻めてくる。

 

「それと比企谷。忍田さんに協力してもらえるようにしてもらうか。太刀川さん達と戦う際には嵐山隊がこっちに協力してくれるから」

 

「嵐山隊が……それなら比企谷隊も加われば十分、勝機がありますね」

 

向こうの戦力は太刀川隊に冬島隊と風間隊、三輪隊と言った所だろう。こっちの戦力は迅さんに嵐山隊と比企谷隊だ。

玉狛第一には念のため残ってもらうとして、こんな所だろう。

 

「迅さんの相手は太刀川さんと風間隊になるでしょうね。当真先輩は俺か嵐山隊に来るでしょう」

 

「比企谷はどうして当真がそっちに行くと思うんだ?」

 

「当真先輩はスナイパーとしてプライド持っていますから『未来予知』で当たらない迅さんより俺たちの方に来ると思っただけです。三輪は……俺の方に来そうですね。裏切者だとか言って……」

 

「確かにそうだな」

 

ネイバー関係で三輪は容赦が無いからな。まあ、作戦としてはこんな所だろう。

 

「レプリカは『ラッド』で俺達の戦闘を録画しておいてくれ」

 

《了解した》

 

俺達の戦闘シーンで根付さんを説得する。流石に隠しきれるとは思えない。そうなれば、アンチボーダー派を勢いを付けてしまう。

そうなれば今の上層部はボーダーには居られ無いだろう。

 

「迅さんは今の上層部の人達を追い出さそうとはしないんですか?」

 

「いや。そんな事は無い。あの人達を追い出したら俺も追い出されかねないから」

 

そんな理由なのか?だとしたらこの人は真っ先にクビにした方がいいな。

 

「それに遊真やメガネ君は将来、城戸さんの役に立つからな」

 

「……あの二人が?」

 

空閑や三雲が城戸指令の何の役に立つんだ?まあ、深くは聞かないでおこう。

 

「それじゃ下に降りるか。これから宇佐美が遊真達にボーダーの事を説明するから比企谷も先輩としてアドバイスを頼むぞ」

 

「……えぇ~」

 

「そう言うなって、ほら行くぞ」

 

迅さんに強引に立たされて下に連れて行かれた。とりあえず帰ってたら比企谷隊のメンバーに色々と話しておかないとな。

あいつらは納得してくれるだろうか?まあ、頑張ってみますか。

 


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