魔法ってこんな殺伐としたものだったっけ?   作:納豆坂

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ep12

 高町家、月村家、それと俺とバーニーで温泉に行くことになった。

 ジュエルシード探しなんて正直どうでもいい。

 どう考えても温泉の方が重要である。

 なんせ俺は子供だからな!

 

 

 

「ちっくしょう。俺はこの世界を憎む」

 

 嬉恥ずかし混浴イベントなんて

 まあよくよく冷静に考えてみれば、高町家が参加しているということは男の保護者がいるということで、そんな状況で子供とは言え女湯に入るなんてことができるわけなかった。

 

「誠君どうしたの?」

「ほっときなさいすずか。あなたにはわからないことだろうから」

 

 ちなみに落ち込む俺に優しい言葉をかけてくれるのがすずか、ほっとけといっているのは忍さんだ。

 

「すまんすずか。やり切れない衝動に身を任せ、世界の成り立ちとか神の存在とかどうして地球は回っているのかとか考えてた」

「う、うん。いつもの誠君だね」

 

 それは俺がいつもおかしいということか?

 

「誠君、貸切風呂借りてあげましょうか?」

 

 忍さんがニヤニヤしながらそんなことを言ってくる。

 いや、夜の一族という特殊な事情を考えればあなたがなぜそう言ってか分かりますが、それにしたってすずかの自身の意向ってもんがあるでしょうよ。

 そもそも意味がわからずに頭にクエスチョンマーク浮かべてる内はまだ早いと思いますよ。

 

「お姉ちゃんどういうこと? 何で貸切風呂借りるの? 露天風呂はいったばっかりだよ?」

 

 聞くなすずか!

 

「すずか、それはね……」

 

 いや、あなたも教えなくていいですから。

 すずかの顔真赤になっちゃったからね。

 

「よし、卓球やろうぜ卓球! 温泉っていったら卓球だろ」

 

 有耶無耶にする為に、卓球場へと走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深夜、バルムンクからジュエルシードの反応を感知したと起こされ、そっと部屋を抜け出した。

 その時なのはの姿がなかったからなんとなく予想はついていたのだが、俺が見た光景はもっと殺伐としたものだった。

 

「なあバルムンク。魔法ってなんなんだろうな」

〈前も言ったけど、お話し合いのためのものだって〉

 

 肉体言語のならぬ魔法言語ってことか。

 もうやだこの世界。

 

「それは知ってる。いやそれでもこれはないだろ」

〈そうかなー? ある意味正しい魔法の使い方だと思うけどねー〉

 

 俺の見た光景とはなのはとフェイトがガチで魔法戦をやらかしているというものだった。

 

「つーかさ、フェイトは言わずもがななのはだってかわいい部類にはいるのに、あんなガチでやりあうとかどうなの? ぶっちゃけ引くわー」

〈譲れないものがあるんだよ! ……きっと〉

 

 そりゃー無意味にあんなんやらかしてたら引くってレベルじゃねーよ

 

「帰っていいかなー」

〈そんなこと言ってマスター、見なかったことになんてできるの?〉

 

 いやまあね、そりゃーそんなんできないけど。

 正直に言って係わり合いにはなりたくない。

 

「俺も大概お人よしだからなー」

〈俺のために争わないでーとか寒いこと言えばきっと止まるよ。空気っていうか時間ごとね!〉

「それはやらんからな! まあでも、取り返しのつかない事態になる前に止めとくかー」

 

 覚悟を決め、戦闘に割り込むことにする。

 

 

 

 

 

 結果から言えば、決死の思いで飛び込んだ俺は二人に羽虫のように打ち落とされた。

 

「マジお前らさ……」

「「ごめんなさい……」」

 

 戦闘自体はとまったのでまあ結果オーライといえば結果オーライなのだが、二人同時に邪魔の一言と共に魔法を撃ってくるのはどうかと思う。

 

「あの……あなたは? なのはやそっちの子の知り合いみたいですけど」

「オコジョが喋るだと……」

「ユーノ君はオコジョじゃないの! フェレットなの!」

「ユーノ君ってことは雄なのか?」

 

 つーかこいつ女湯入ってたよな?

 絶対に許さん!

 

「いや問題はそこではなく……」

「まあジュエルシードの関係者で、どうせなのはに魔法教えたのもお前だろ?」

「そ、そうですけど。なぜそこまでわかるんですか?」

「いや、普通に分かるだろ。話せるオコジョ「フェレット!」……フェレットがいる時点でどう考えても魔法関係だろうし」

 

 なのはお前どんだけフェレットにこだわんだよ。

 

「ユーノ君に協力してジュエルシードを集めてたんだけど……」

 

 そっとフェイトの方に視線を向けるなのは。

 

「フェイトお前な……。とりあえず魔法で何とかしようとするのまじ止めろ」

「だってマコトが集めてるのが知ってるやつだったら多分名乗るだろうっていってたから。名乗らないってことはちがうんだと思って……」

 

 それ以前に、名乗る暇を与えたのかと問いたい。

 

「まあ状況は理解した。ユーノだっけ? とりあえず俺もフェイトもジュエルシードを集めてる。俺は危険だから、フェイトは母親に頼まれたからだそうだ。だよな?フェイト」

「うん」

「つーわけだから、そっちの事情も教えてもらおうか」

 

 

 

「ユーノが発掘したジュエルシードを輸送中に事故があって管理外世界である地球におっこって、んで責任感で回収しにきたけど返り討ちにあって偶然知り合った魔力のあるなのはに協力を依頼したと」

「その通りです」

 

 ……全部こいつが悪いんじゃね?

 

「あれは、ジュエルシードは危険な物なんです。だから早く回収しないと」

「そんな危険な物なら民間に輸送させんなよと問いたい」

 

 いや割と真面目に。

 

「つーか危険なものって言うけど、現状が不安定だから危険なだけでちゃんと手順踏めば電池とかわらんぞこれ」

「いや、そんなはずは……。次元断層を引き起こして世界を崩壊させる危険を持ったものなんですよ?」

「そういう認識なら余計民間に輸送なんてさせんなよ。それにあれだ、遺跡から発掘したっていってたよな? 多分その遺跡に取扱説明書みたいなのあったんじゃねえの? 探査がすすんでなくて気づかなかっただけで」

 

 使い方わからないから自動車からガソリンだけ抜いて、爆発するから危険だっていってるだけな気がする。

 

「例えそうだとしても、現状で危険なことは変わりないはずです!」

「まあそれは認める。だからフェイトと協力して集めてるわけだしな」

「では……」

「だからと言ってそっちに渡すわけでもないけどな」

「どうしてなの誠君!」

「フェイトっていう先約があるからな。俺の集めたジュエルシードは条件次第ではフェイトっていうかフェイトの母親に譲る約束をしてる。だから回収が済んだあとの所有権とかめんどくさい話はそっちとやってくれ」

 

 最終的にこの街の平穏が守れればそれでいい。

 なのはやユーノ達は渋ったけど、まずは安全の確保が第一ということは理解しているらしくなんとか納得してくれた。

 

 その後、忘れていたお互いの自己紹介をさせ捜索済みの範囲や今後の捜索予定などをすり合わせたのだが、

 

「高町なのは。なのはって呼んでねフェイトちゃん」

「なのは……。うん」

 

 いつの間にか二人が仲良くなっていた。

 

 なんか通じるものが合ったらしい。

 ……しらんけど。

 

「お前らよくあんな魔法戦やらかして普通に仲良くできるな」

「え、そんなことしてないよ? あれはちょっとした自己紹介だよ」

「残念だがなのは、お前との付き合いも今日限りだ!」

「えーなんでなの誠君?」

 

 本気でわたわたするなのは。

 ……戦闘民族は友達にはいりません。

 

「マコト、そんなこといっちゃだめ」

 

 そう言えばお前もいきなり攻撃しかけてきたよな……さてはお前も同類だな。

 

「なのはと俺のこれからの関係は後で考えるとして、とりあえず話もまとまったことだし戻るぞなのは」

「えー、もっとフェイトちゃんとお話したいよー」

「お前な……士郎さん達に黙って出てきてんだろ? ばれたら怒られるじゃすまないだろ」

 

 主に一緒にいなくなった俺が。

 高町家の男共は過保護だから夜部屋を抜け出して一緒にいたなんてばれたら生き残れる気がしない。

 

「……はーい。またねフェイトちゃん」

「またねマコト、なのは」

 

 二人でいなくなっていたことは保護者連中にはばれなかったものの、すずかにはばれてしまい俺だけが問い詰められることになったのは別の話。




ストック終了したので次話から少しお休みします。
無印終了まで書き溜めたら投下しますのでしばらくお待ちください。
多分4~5話程度で無印は終ると思います。

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