どうぞ
地獄の宿泊研修も終わり、卒業生達のフルコースを味わった一年生達は後は帰るだけと思っている、しかし食事会の最中に銀さんから発表があった。
「皆今日まで良くぞ生き残った、その褒美として明日1日をこの遠月で過ごし英気を養って欲しい、その際にかかる費用などは遠月が負担する」
その言葉に一年生達は歓喜の声を上げた、そりゃー嬉しいやろ、なんせ全部タダやねんからな、その後は特にこれといった事も無く食事会は幕を閉じた。
最終日やで
今日は最終日、一年生達は思い思いに行動している。ソーマ達極星寮組は遠月ホタルのプールや遊具施設に遊びに行っとる、俺も誘われてんけど俺は別の用事で行かれへんと言って断った。
その別の用事とは
「では始めようか清人、ここに居る卒業生達にお前の料理を振舞ってくれ」
そう俺は今日、卒業生達に俺の料理を振る舞う。
今回、振る舞う俺の料理はたまたま宿泊研修前から作っていたあの料理、俺はそれを卒業生の人達に出した。
「お待たせしました、今回俺が出す料理はスープです」
「スープか、清人お前にしては簡単なもんを選んだな」
そう言って笑う小次郎さん、スープだって馬鹿にしたらお仕置きだべ〜
「四ノ宮先輩は本当に捻くれてますねぇ、だからおんな「ゴッ!」お・・おおっ」
小次郎さんをおちょくった日向子さんが頭にチョップをくらい、頭から煙を上げていた。
「四ノ宮、清を馬鹿にしたら許さない」
「ヘェヘェ、相変わらず清人には優しいねぇ水原」
小次郎さんと冬美さんがまた睨み合う、この二人は合うと必ず睨み合って威嚇し合っとる、もっと仲良くして欲しいもんやで
「お前達いつまで遊んでいる、今回の目的は清人の料理を食す事だ、喧嘩がしたいなら外でやっていろ」
いつまでも止めない二人を銀さんが一括、漸く二人は止まった。
「今回は関守さん、ドナートさんも来てくれてありがとうございます」
「何を言っている、君は四ノ宮や水原だけで無く堂島さんからも認められている、そんな君の料理を食べれるんだ、こちらから是非お願いしたいくらいだったよ」
「その通りです、君の腕を見れるなら幾らでも時間を開けるよ」
「ありがとうございます、では皆様お待たせいたしました、こちらが今回の俺のスープ料理、センチュリースープです」
俺は卒業生の皆さんの前にセンチュリースープを出した、卒業生達は出された皿の蓋を取る、すると蓋を開けた瞬間この部屋いっぱいにオーロラが広がった。
「なんだこれは!オーロラ!」
「なんでオーロラが!?もしかして!」
「このお皿から出てるの?!」
オーロラが出た事に驚愕している小次郎さん達、そして卒業生達は皿の中に目を向けると
「おいおい清人どういい事だ、何もねぇじゃねぇか」
「清君、オーロラには驚きましたが何故何も入ってないお皿を?」
小次郎さんと日向子さんが皿に何も入って居ないと言う、そう俺が出した皿には何も入って居ない・・・ように見えるがそうじゃない、中身はちゃんと入っている、ただ見えていないだけ
「・・・!四ノ宮、乾、匂いを嗅いでみろ!」
銀さんは気づいたみたいやな、銀さんに言われ二人は皿に顔を近づけた
「なっ!確かに匂いがする、しかもなんて濃厚な匂いだ!こんな匂いを今まで気づかなかったとは」
「本当です!でも匂いはするのにお皿の中には何故何もないんでしょう」
不思議に思っとるな、俺もこれを作った時はほんまにビックリしたわ。声の通り作った言ったらこれやもんな
「清!これはどういう事?なんで濃厚な匂いはするのにお皿には何も無いの?」
冬美さんが俺に聞いて来たので俺はスープの事を話した
「確かに皿の中にはスープが入ってるで、ただ見えへん、いやめちゃくちゃ見にくいだけやねん、このスープは透明度が高すぎんねん」
「それは本当か!この透明感、透明度が高いとかそんなレベルでは無いぞ!まさに透明そのものだ」
「数え切れないほどスープをこしましたから、灰汁取りも何百回としました」
「果てしない調理過程ですね、こんなスープ僕に作れないですよ」
関守さんとドナートさんが口々に感想を述べる、でもこんなんで驚いて貰ったら困るで、この料理はここからやで
「この程度で驚いてたらあかんで皆さん、さぁスープを飲んで下さい」
俺は言葉に卒業生達は、スプーンを持ちセンチュリースープを飲んだ。
sid銀
俺は開いた口が塞がらない、清人が出してきた料理センチュリースープ、これは本当に今まで見た事ない料理だ、それにこの透明感、肉眼ではほぼ見えないこんな料理があった事に驚きつつも清人に勧められスプーンをスープに浸した口に運んだ。
「・・・もぐ!・・・なんだ!?思わず噛んでしまった!」
なんて濃厚なスープなんだ!まるでステーキを口に入れたような濃厚さだ
「凄すぎる!旨味の種類・数がハンパなく詰まってる」
「美味しさのぶ厚い層が口の中でだんだん広がる!」
関守とドナートも驚いているようだな、それに四ノ宮や水原、乾も皆驚きを隠せていない、こいつらは紛れもない天才達だ、その天才達をしても驚かせる清人の料理、紛れもなく清人も天才の器、そしてここまでの料理を出せる清人自身はまだ成長段階・・・末恐ろしいな。
それから暫くスープを堪能しながら皆で話していると、思わぬ来客があった。俺達以外この厨房を使ってる事を知っているものはいない、それでもここに来たという事は何かを感じただろう彼女また
「失礼します、誰かおられま・・・堂島さん!それに卒業生の皆さんも、それとなんてお顔をされているのですか?」
訪れた彼女、薙切えりなはそう言って俺達に鏡を渡してきた。はっきり言って気持ち悪い顔をしている、顔の筋肉という筋肉が下がり、なんとも形容しがたい顔になっている。
「あぁー言うの忘れとった、このスープ飲むとな顔が大変な事になんねん、皆凄い顔になっとるで」
清人は笑いながら補足説明をしてくるがまもう少し早く教えて欲しかったものだ。
sid清人
「どないしたんえりな後ろに緋紗子もおるな、二人とも今日は完全オフやろ?」
「え・えぇそうなのだけど、何故かここに足が向いてしまって」
無意識に足が向いたか、やっぱりえりなも食材に選ばれた料理人か、まだ足らん所も多いけど必ず化けるやろうな
「えりな達がここに来た理由はこれちゃうか?」
俺は鍋の蓋を開け、センチュリースープを見せた。鍋の蓋を開けた瞬間、またオーロラがこの部屋いっぱいに広がる。その光景を見てえりなと緋紗子が驚く
「これはオーロラ!」
「なんで厨房にオーロラが!」
驚いてる二人にセンチュリースープの説明をすると、飲んでみたいと言うので二人に振る舞った。
「なんて濃厚なの!!」
「ふわぁぁぁ、美味しい!」
二人も美味かったようで良かった、緋紗子は既に顔が蕩けてるな
「清人君、この料理凄すぎるわ!一体何種類の食材を入れているの?」
「軽く100種類は超えてるな、時間もアホみたいにかかるしな」
「でしょうね、美味しすぎるものこんなの食べた事ないもの」
「ありがとうえりな、緋紗子は・・・大丈夫か?」
俺は緋紗子の方を見るとへたり込んで震えていた、えりなが慌てて近寄ると美味しすぎて腰が抜けたらしい、そんな美味かったか?
そして俺の食事会も終わりになり、未だ立てない緋紗子をおんぶして俺達は厨房を後にした。
sid銀
清人達が厨房から去って30分程か、残った俺達はある事について話していた。それは清人を十傑に推薦するかどうかだが
「いいんじゃないですか堂島さん、俺は推すぜ清人を」
「そうですね、正直あのスープを飲んだら十傑すら霞そうですね」
「なんなら僕の店で働いて欲しいですね」
四ノ宮、乾は賛成か、ドナートは少しズレているがまぁ良いだろう
「水原、関守お前達はどうだ?」
今まで黙っていた二人に俺は話を振った
「私は反対です、清にはもっと同世代と切磋琢磨して欲しい」
「同じくです、もう少し機を待ってみてわ」
成る程、どちらも頷ける意見だな
「よし!今回の清人の十傑推薦は見送る!もう少し機を待っていようと思う」
その後、一年生達は遠月に帰り卒業生達も各々の店に帰っていった
ヤバい、オリジナルって思ってた以上にムズイ!
しかも次回もオリジナルになる模様、俺は書けるのだろうか_| ̄|○
今回はどうだったでしょうか?楽しんでもらえれば嬉しいです。
では次回