New Styles ~桜井夏穂と聖森学園の物語~   作:Samical

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 また遅くなりました・・・。いままでを1章としてここから2章突入、ということで。
  ★簡単な人物紹介コーナー
・桜井夏穂・・・聖森学園高校野球部2年生、投手。ノビのある直球と明るさが持ち味。男女共に人気のある可憐な少女。
・松浪将知・・・聖森学園高校野球部2年生、捕手。大胆なリードと勝負強さが武器。中学時代は「夢尾井の知将」と呼ばれたほどの逸材。
P.S.聖森の打順間違ってました、すいません!


夏穂と始動の夏と秋
20  始動、そして初陣


 聖森学園が敗れた翌日、チームはグラウンドに集合し、3年生の引退式が行われた。その最後に発表された新チームのキャプテンには松浪が、副キャプテンに夏穂が選ばれた。

 その夜、松浪はアパートの自室のベランダでぼんやりと考え込んでいた。果たして自分にこのチームでのキャプテンが務まるのか、と。キャプテン自体は中学でもやった。しかし中学と高校では別物であることは目指すところとレベルが違うことからも別物だと思う。

「結局・・・、昨日の夏穂を何とかしてくれたのも先輩たちだしなあ・・・」

 と、松浪は昨日・・・、試合に負けた直後のことを振り返っていた。

 

*        *       *       * 

 

 サヨナラホームランを浴びた夏穂はある程度予想していたとはいえ、ひどく落ち込んでいた。泣きじゃくるわ、ロッカーのベンチから動かないわと花﨑コーチですら手に負えない状態だった。打たれたときにボールを受けていた松浪もいろいろと慰めてみたが効果なしだった。

 そんな夏穂に歩み寄ったのは本来一番悔しいであろう木寄や御林たちであった。

「夏穂、そんなに泣かないの。あなたは十分頑張ったわ」

「・・・で、でも先輩たちは・・・、私が打たれたせいで・・・」

「そんなことないさ、僕と、剛が打たれて降板した時点で君に非は無いし、エースを任されて役目を果たせなかった僕の責任だ」

「一人で背負うなよ、御林。俺が2回も持たなかったのも悪いんだ」

「それに誰が悪いだなんて、私は言うつもりは無いわ。みんな頑張った。それぞれが自分なりにね。それで勝てなかったのなら、私たちの2年半より向こうの2年半の方が強かっただけだわ。それに・・・」

 木寄は夏穂の目に真っすぐ向き合って続けた。

「あなたたちはまだもう1年ある。その1年で、目指すべき場所に行けるかはこれからのあなたたち次第なんだから・・・」

 そして今まで黙っていた岩井も落ち込みを隠せないチーム全員に向かって言った。

「悔いは無い、って言えばそれは嘘になる・・・。まだ何かできたんじゃないかってな・・・。だからお前ら、今の2年と1年は自分たちの高校野球が終わるときに悔いの無いようにやってくれ。・・・どんなに後悔したって、終わってからじゃ何もできねえんだからな・・・」

 

 完全にかどうかは置いておいて、夏穂やチームのメンツはある程度立ち直ったように見られた。一連の出来事を思い出してため息をつく。

 「・・・いやあ・・・、先代が偉大過ぎると、辛いもんだな・・・」

 そう呟きながら、松浪は飲んでいたコーヒーを一気に飲み干した。

 

*       *       *        *

 

 1週間の休みを経て、新チームは松浪キャプテン、桜井副キャプテンのもと、始動した。

 まず始まったのは激しいレギュラー争いだった。秋の大会に向けて岩井たちが抜けた穴を埋めなくてはならない。ピッチャーは夏穂がおそらくエースとなると目されてはいるが、それ以降の争いがあった。2年生でツーシームとカーブを生かしたパワフルな投球が持ち味の杉浦。意図的なクセ球と多彩な変化球を操る久米。剛速球が武器の白石。制球力と緩急で勝負する美田村。この4名の争い。この争いは夏穂への刺激ともなっている。キャッチャーは松浪、控えに雪瀬が当確ではあるが、もっとも激しいのはサードと外野。サードはパワーならチーム随一の田村信、外野もこなす元木、守備面で勝る田中、そして自ら野手転向を申し出た夏穂の弟の満。足の速い大森が争う。

 そして外野陣。夏は全員が3年だったこともあって争いは激しい。俊足がウリの矢部川、打撃センス溢れる初芝、意外なことに走攻守万能な空川、派手さはないが確かな実力を持つ露見。そして、投手陣から打撃の良い杉浦、久米、白石は外野、ファーストなど複数のポジションの練習もしている。

 そんなスタメン争いを繰り広げる部員たちを見て松浪は一安心する。

「(ひとまずみんな熱心に練習に取り組んでくれていて助かった。みんな見てるだけなのは悔しかったんだな・・・)」

「トモー!! ボール受けてくれない?」

 トスバッティングを丁度終えた松浪の元に夏穂がやって来た。

「オーケー、ちょっと待ってな。防具付けるから」

「あいよー、先にブルペンに行っとくからー」

 

 スパ――ン! と夏穂投じたストレートが松浪のミットに突き刺さる。

「ナイスボール!」

「次がラスト、右のアウトローに真っすぐで!」

「よっしゃ来い!」

 全身の力をボールに伝え、快速球が飛んでくる。これもドンピシャだった。

「調子いいな、今すぐ秋大会始まっても良さそうだな」

「・・・あとはスタミナ、かな・・・」

「そうだな・・・」

 夏穂が特別体力が無いわけでは無い。しかし全身の力を使うフォームと投球スタイル上、夏穂が連戦完投を狙うのは厳しい。体が柔軟でケガも少ない夏穂だが疲労は簡単に抜けるものではない。

「ま、そこは仲間を頼ればいいさ。お前は一人じゃないぜ」

「そうだね、みんなで・・・、勝ちたい!」

「よし、しっかりアイシングとストレッチはしとけよ」

「了解でーす」

 

*      *       *         *

 

 あの後、この地区を制したのは関明大学附属だった。決勝でも文武相手に中盤まで接戦を繰り広げていたが地力の差を見せつけて、6-0で勝利したのだった。

 そして開幕した甲子園でも渡部が三振記録を樹立するなど躍動したが、ベスト4で敗退。決勝ではあかつき大附属とアンドロメダ学園高校が激突し、アンドロメダ高校が出場3回目にして初優勝を掴み、夏が終わった。

 一方で聖森学園は基礎的な練習に取り組み、地力を磨いた。そして夏休み後半には昨年同様に「渚浜スポーツセンター」へと合宿に向かったのだった。

 

――渚浜にて――

 私たちは合宿所に着くと、昨年と同様に砂浜マラソンや坂道ダッシュ、疲れ切ったところにさらにアメリカンノック(外野の端から走らせて捕れるか捕れないかのギリギリのところに打つノック。滅茶苦茶キツい)などと厳しい練習をこなしていった。ある程度練習に慣れてきていた1年も相当キツイらしく、あの百合亜でさえも苦戦していた(でも、なんだかんだっで乗り切っていた。白石、美田村の両名はダウン)。

そして中日(なかび)の休日は恒例(?)の海水浴をすることになった。

「いえーーーい! 遊ぶぞーー!!」

「夏穂ちゃん、元気だねえ~」

「あれだけハードな練習こなしてこれだけ元気なら後半はまだ増やせるな」

「ト、トモ!? あれ以上は流石に死んじゃうよ!?」

「そ、そうだぜ松浪! 俺も死んじまう!」

「杉浦・・・、お前はそれでいいのかよ・・・」

 そうだよ、あれだけ走ったのに増やされたら砂浜でぶっ倒れちゃうよ・・・。

そして去年と同じく、恵と彩ちゃんの水着姿に姫香と村井ちゃんが嫉妬してみたり、美田村くんがなぜかパーカーを脱がなかったり(あれ?男の子だよね?)、トモが風太を砂浜に埋めてしまったり、百合亜と泳ぎで勝負したりと、まあ色々と遊んでいたのだった。

 

一方、その頃・・・、

「元木くん、田村くん、見るでやんす! パラダイスでやんす!」

「ああ! やっぱしウチの野球部の女子はレベル高いぜ!」

「恵ちゃんや彩ちゃん、夏穂ちゃんのビキニなんて、オイラもう・・・」

「いやいや、久米とか露見のスレンダーなスタイルも素晴らしいぜ!」

「矢部川、田村、なにかもうひと押しできねかな?」

「ふっふっふ、オイラに名案があるのでやんす。これでやんすよ!」

「「ビーチバレー?」」

「そうでやんす! 男女混成にすればもしかしたら・・・、とかあるかもしれないでやんす!」

「矢部川、お前天才か!?」

「今すぐ誘ってみようぜ! スポーツなら乗ってくれるだろうしな!」

「そうと決まれば行くでやんすよ! おーい、みんな、ビーチバ・・・」

 と矢部川が女子陣へ声をかけようとした瞬間だった。

 

私たちが次は何して遊ぼうかと考えていると、少し離れたところでなにやら会話していたらしき矢部川くんたちがこちらに何か言おうとしてるのが聞こえたからそっちを向いてみると、突然何かに矢部川くんが弾き飛ばされ宙を舞った。そしてそのまま海へと墜落していった。

「「や、矢部川―!?」」と、元木くんと田村くんが叫ぶ。そして、

「やあ、そこのかわいいガールたち、俺っちと遊ばない?」

 と、サーフボードを担いだ良く日に焼けた優男が現れたのだった。

「うっわ、めちゃタイプの娘ばっかなんだけど! マジテンション上がるわー!」

「「「「「なんなのコイツ(この人)―!!」」」」」

村井ちゃんは恵の後ろに隠れ、姫香は威嚇するように睨み付け、私と彩ちゃんは困惑し、百合亜と露見ちゃんは事態を今一つ呑み込めていない。

と、女子陣は各々の反応を見せる。というか姫香、アンタは番犬か。そこにトモと杉浦くん、大、満(風太は埋まってて動けなかった)がやってきた。

「おい、俺の姉ちゃんにちょっかいかけるなよ!」

「そうだぜ、ウチの大事なチームメートをなにナンパしてんだよ」

「とっととどっか行きやがれ、このチャラ男!」

「(コクコク)」

 威嚇する満とトモ、杉浦くん、そして大は何も言わなかったが無言の威圧。一方の優男は・・・、

「うわ、マジで男とか、むさ苦しいからノーサンキューなんだけど、俺が話したいのはこっちの女の子たちなんだけど・・・」

「このやろー、ウチの女子陣から離れろ!」

と、杉浦くんが突っかかろうとした時だった。

「「見つけたぞ! 難波(なんば)あああああ!!!」」との声と共にサーフボードが飛んできて、

「ぶげらっ!?」

 難波、と呼ばれたチャラ男が吹っ飛ばされて海へと墜落した。

 聖森メンバーが全員ぽかんとしているとこちらも日によく焼けた男が二人やってきた。難波は海から這い出てくると、二人の男を見て、

「げげっ、丘さんに南風さん!? なんでここに!?」

「どうせ、おまえのことだからよ! 練習サボったらこの辺にいるって思って来てみたらよ!」

「やっぱり、いやがったじゃんかよ! しかもまたナンパしやがってよ!」

 え、なんでこの人たち、そんな2人でリズミカルにしゃべってるの?

「練習抜けてサーフィンするならともかく・・・」

「ただ女の子をナンパしに行くなんて・・・」

「「許さねえぜ!!」」

「「「「「「(え! サーフィンはいいの!?)」」」」」

「という訳で難波! 帰るぞ!」

「皆さん、ご迷惑掛けました。それでは~♪」

「嫌だああああああ! 俺は女の子たちと遊ぶんだあああああ!!」

「「「「「・・・・」」」」」

 なんだったのかな、今の。練習とは何の練習なんだろ。サーフィンは・・・、でもそうではないっぽい言い方だったね。

「・・・ね、ねえ、スイカ。食べよっか?」

「「「「「さ、さんせーい!」」」」

 彩ちゃんの機転(?)で、私たちはまた遊びだしたのだった。ちなみに矢部川くんが目を覚ましたのはもうすぐ帰るよー、ってくらいの時間で、なぜかは分からないけどものすごく残念がっていた。なんでだろうね?

 

*       *      *        *

 

 最終日前日の練習終わり頃のこと。

「みんなー、前から言われていた通り、明日は締めの練習試合をするからそのつもりでって監督と花﨑さんが」

 彩ちゃんが試合の話をみんなに伝えに来てくれた。

「今年も海底分校?」

「ううん。なんだか今年は忙しいらしくて、こっちには来れないそうだよ」

「むー、そっか。残念」

 1年ぶりに澄原さんと対戦してみたいと思ってたんだけどなあ。

「で、彩。相手ってどこなんだい?」

 トモが聞くと彩ちゃんはノートをパラパラとめくって、

「えっと、“なみのりさわやか高校”ってところだそうです。ここからそう遠くないとこにあって、数年に一度は甲子園出場もしてるなかなかの強豪みたい」

「結構なとこと組んだんだな。ま、初陣の相手にしては上等だな」

 そう、この試合が私たち、新生聖森学園高校の初陣となる。

「明日が楽しみになって来たな! よし、宿舎に戻ったらミーティングだ!」

「「「おおー!!」」」

 

 で、翌日。なみのりさわやか高校を出迎えることに。バスでやって来た相手チームのキャプテンは見覚えのある人物だった。

「どうも、キャプテンの南風(みなみかぜ)ですー♪。今日はわざわざご招待を・・・、って、ああ! あなた方は!」

「あ! この間のサーファーさん!?」

「キャプテーン、さっさと降りてくださいよーう・・・、って、あ! あの時の女の子じゃん!」

「あ、アンタはこの前のナンパ男!!」

「おいおい、俺っちにはちゃんと難波好生(なんばこうせい)って名前があるし!」

「・・・お前選手なの?」

 トモが驚いたように聞いた。それには南風が答えた。

「恥ずかしながらコイツ、ウチのエースなんですー♪ マジで不本意だけどー♪」

「リズムに乗ってディスんないでくださいよ!」

「しかも年下・・・」

 私は目を覆った。良かった、こんな後輩じゃなくて、百合亜や白石くんのような後輩たちが後輩であることを心底ホッとした。

「と、とにかく! 今日はよろしくー♪」

 と、あいさつ以外は陽気で歌うように話す南風だった。

 

 それからしばらくして試合前。ベンチ前に集合し、榊原監督からスタメンが発表された。

「現段階のベストメンバーを組んだつもりだ。相手はそうは見えないかもしれないがかなりの強豪だ。全力を以て挑むぞ。花﨑、頼む」

「はい、ではスタメンを発表します!

 1番 ショート   梅田くん

 2番 セカンド 椿さん

 3番 ライト    空川さん

 4番 ファースト  竹原くん

 5番 レフト    久米さん

 6番 キャッチャー 松浪くん

 7番 サード    田村信くん

 8番 ピッチャー  桜井夏穂さん

 9番 センター 初芝くん

 これでいきます! 控えの選手は杉浦くん、白石くん、雪瀬さん、桜井満くん、草野くん、田中くん、田村快都くん、露見さん、矢部川くん、元木くん、大森くん。他の選手は申し訳ないけど試合運営の手伝いをお願いね。さ、頑張って勝ちましょう!」

「「「「おおおーーー!!!」」」」

 そしてメンバー表の交換で相手のオーダーも発表された。

 1番 センター   南風

 2番 ライト    矢代

 3番 ショート   丘

 4番 キャッチャー 浜田航

 5番 ピッチャー  難波

 6番 サード    板野

 7番 ファースト  浜野亘

 8番 セカンド   島田

 9番 レフト    木下

 

 先発、しかもクリーンナップとは、あのチャラ男君はどうやらかなりの実力者みたいだね。人は見かけによらないもんだね。そしてまもなく試合は開始されようとしていた。

 

*        *       *        *

 

 先攻はなみのりさわやか高校。初回、先発のマウンドに上がった夏穂は先頭の南風と対峙する。

「(まずはもちろんストレート。外角に、アバウトでいい)」

「(わかった)」

 夏穂はサインに頷くと振りかぶって初球を投じる。綺麗なスピンのかかったストレートがミットに突き刺さった。

「ストライクッ!」

「へえ~、良い球~♪」

 続く2球目にもストレートを投じ、カウント2-0とすると夏穂はテンポよく投げ込んでいく。

ズバーーン!!「わおっ!」

 3球目もストレート勝負。変化球を警戒していた南風は完全に振り遅れ空振り三振。続く矢代もストレート3つで三振。丘は2球目に振り遅れてセカンドライナーに倒れ三者凡退のスタートを切った。

 

「いっけー! 風太!」

「先頭出塁しよーぜ!」

「よっしゃあ!!」

 味方の後押しを受け、梅田が打席に向かう。マウンドには波乗りさわやか高校のエース、右腕の難波。

「アンタみてーな野郎には興味ないっていうかー、さっさと女の子の相手してーなー」

「どえらい自信だなあ、おい」

 梅田が打席に立つと難波はスリークオーターのフォームからボールを投じた。

 初球はストレート。

「(ああは言ったが様子見と行くか・・・。球速自体は140キロ前後・・・、加えてフォームが変則気味だな・・・)」

 難波のフォームは小さく振りかぶって足を上げた後、少し体を捻ってから腕を振るう。まるで助っ人外国人のようなフォームだった。

 2球目はカーブ、それなりにスピードのあるカーブでカウントを稼ぎに来てストライク。追い込まれたが、3球目のストレートはカットする。そして4球目のカーブもカット。

「(コイツ・・・、滅茶苦茶コントロールいいのか? 全部ギリギリのコース・・・!)」

 全てのボールでコーナーを狙っている。

「粘るなよー、めんどくせーから・・・よっ!」

 そして4球目、アウトローにストレートより遅い球。

「(ストレート、ではないっ・・・! とにかくカットを・・・!)」

 しかし、当てに行ったバットを躱すようにボールは沈んでいった。

「!! シンカー・・・!」

「ストライク! バッターアウト!」

 梅田は空振り三振。続く姫華もアウトロー主体の配球に苦しめられ・・・、

「うわあ!?」

 インハイのストレートを振らされて三振。

 3番の恵が左打席に向かう。

「いやー、女子選手がいるとは聞いてたけど、エースの子はともかく、バッターの方は俺っちが打たせねーしー、まあ野郎にも打たせねーけどー」

「まだまだ始まったとこだよ~、さ~、来~い!」

 恵はしっかりと難波を見据える。南場はサインに頷き、初球にアウトローのストレートを投じたが、恵が思いっきり踏み込んでボールを叩いた。

キイイイイン!!「「!!??」」

「ファール!」

 痛烈な打球が飛んだが、ラインドライブがかかってファールゾーンへと切れていった。

「(今の・・・、危なかった・・・)」

「(おいおい、この娘、めちゃ良いスイングしてくんじゃん・・・)」

 なみのり側のバッテリーが考えを改める。

「(ここまで踏み込まれたらまずい・・・、1球インにカーブを・・・)」

 難波が頷き、インコースへとカーブを投じた。膝元へと沈むカーブ、

「いっけええ~!」

 そのボールを恵はフルスイングで捉えた。

カッキイイイン!!「「えっ・・・!?」」

 インコースの球にバットを体に巻き付けるようにして振り、真芯で捉えた打球は高々と上がって、そのままスタンドへと飛び込んだ。

「やった~! ホームラン、打てたよ~!」

「す、すっごーい!! 恵ちゃん、ナイスバッティング!!」

「あいつ、飛ばすなあ!!」

「すごいよっ! 恵っ!!」

 聖森側は大騒ぎ、なみのり側、特にバッテリーは唖然としていた。

「(別に甘い球じゃなかった・・・! あの内角の捌き方は想定外だ・・・!)」

「(え、打たれた・・・? マジで・・・?)」

 これで聖森が先制、1-0とした。

   練習試合

なみのり 0         0

聖森学園 1         1

              (1回裏、攻撃中)

 




 なみのりさわやかにオリキャラぶっこんでみました。こんなチャラ男、今時あんまし見ないと思いますが・・・。
 今回のおまけは2人です。
 ・空川恵 (2年) 左/左
 バッティング技術が向上し、インコースの捌き方には定評がある。マイペースな性格で気づかれにくいがかなりの努力家。意外なことにプレー中にも様々なことを考えているらしい。成績は中の中、好きな食べ物は肉類だが、嫌いな食べ物も特になくなんでもよく食べる。趣味はウィンドウショッピングと食べ歩き。苦手なことはお化けなどのホラーもの。

 弾 ミ パ 走 肩 守 捕   守備位置
 3 E D D E E E   外E 一F
 プルヒッター チャンス○ 三振 ハイボールヒッター インコース〇 送球△ 積極打法 強振多用 ムード○ 

 ・難波好生 (1年) 右/右
 波乗りさわやか高校のエース、女好きの練習嫌い。実力は本物だがいつも練習をサボって町やら海やらでナンパしようとするが、基本的には連れ戻されて、南風にお説教を食らう。ただし、懲りない。
  球速  スタ コン
144km/h   C  A
 ⇘ カーブ 3
 ⇙ シンカー 5
 弾 ミ パ 走 肩 守 捕  守備位置
 3 E C C C E E  投E 外F
 低め〇 ピンチ△ 乱調 調子極端 三振 プルヒッター 強振多用

 次回もお願いします!

この作品の中で好きな登場人物は?(パワプロキャラでもオッケー)

  • 桜井夏穂
  • 松浪将知
  • 空川恵
  • 久米百合亜
  • ここに上がってる以外!(コメントでもオッケー)

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