「……ちょっとは人目を気にするって言葉は、あんたたちにはないの?」
昼食時、鈴が唐突にそう切り出した。
最近では一夏と鈴、北条とラウラで、朝食昼食夕食を共に過ごす姿が見慣れてきた。
見慣れてきた……のだが。
「なにがだ?」
「あんたとラウラよ」
最初こそ遠慮していたものの、最近では鈴とラウラは呼び捨てで名前を呼ぶくらいまでの友好を深めていた。
そんなラウラは、はやめに食事が終わったので(終わらせたので)、北条の膝枕を堪能中である。
食堂で。
行儀が悪いと言われるかもしれないが、これには少し事情があるので見過ごしてもらいたいところだ。
「あー、ま、いいんじゃないか?」
「よくないわよ! なんでこんな人前でいちゃいちゃしてられるのかしら、神経を疑うわ」
「なるほど、鈴ちゃんは一夏に構ってもらえなくて嫉妬してるわけか」
「違うわっ!!」
「ほら、一夏。鈴ちゃんのこと構ってやれよ」
「お、おう。え、えーと……よしよし」
「頭撫でるな!」
といいつつも鈴は抵抗しない。
素直じゃないなー。と北条は思いながら黙っていた。言ったら余計に騒がしくなること間違いないからだ。
北条とラウラは昨日、もしくは今日は一睡もしていなかった。
いわゆる徹夜。
理由は、束とシャルル・デュノアのことについて話し合っていたからだ。
どういう状況かというと……、
「シャルル・デュノアは偽名? 本当の名前はシャルロット・デュノアで、性別は女?」
いつものごとくラウラと密着しながら、ベッドでごろごろしていたら束から連絡が入った。
部屋に鍵がかかっているからと言って、無警戒すぎるような気もするが、北条には危険察知の能力があるのでその辺りはちゃんとしている。はずである。
「はぁ……男性操縦者のオンパレードだとは思ってたけど、まさかその中に女の子が混じっているなんてなー」
「ふむ、でも、ありえない話ではないな」
『現にこうしてなっているんだからね。もうありえないなんてことはないんだよきょーくん』
ちなみに今の束の音声はラウラにも聞こえるようになっている。
今はもう部屋の中で、ラウラに聞こえないように束が声をかけてくる方が珍しかった。北条は面倒になったんだなーと思っている。
『デュノア社の社長の実子ではあるみたいだけれど、そいつの愛人との間に生まれたみたいだから、色々と苦労はしているみたいだよ』
「んなことは知らないさ」
北条はいう。
「彼……つーか、彼女か。あいつが助けてって言ったのは、多分間違いがない。でも、それはどれから助けてと言っているのかがこれでまた微妙になってきたな」
「あの山本一哉に脅されて従わされているから助けて欲しいんじゃないのか?」
「そりゃあわからないけど、まぁそう考えるのが妥当なのかな」
『というよりも、自分の家のことを他人に助けてなんていうとは思えないけどなー。それとも、そういうのは普通に行われることなのかい?』
「普通じゃないんじゃねー? 俺も普通じゃないからわからないわ」
恭弥は普通ではないのか? と不思議そうな顔をしているラウラを優しく撫でる。
私は子供じゃないぞ! と口ではいいながらニコニコしているラウラさんも、やっぱり素直じゃない。
『あー、映像見える機能つけなくてよかったって束さんはしみじみ思うよ』
「悪い悪い。ラウラが近くにいるとついつい」
『……束さんのことは捨てるのね。よよよ』
「なんだそれ」
捨てるとか言われても、元々付き合っているわけでもないのに。と北条は疑問に思う。組んではいるけれど。
ラウラを撫でる手を止めると、こちらをじっと見つめてくる。どうやら撫で足りないらしい。
彼女の髪を触っているのは、北条も嫌いじゃない。むしろ大好きなので撫でるのを再開した。
「助ける……ね」
『まず、彼女が何から助けて欲しいのか。っていうのは置いといて、助けるかどうかっていうのを決めようよ』
「一哉から助けて欲しいってんなら、少しは利用できるかもしれないけれど、実家の方をどうにかして欲しいとか言われたらどうしようかな……」
『利用って、きょーくんならあんな奴速攻で倒せるんじゃないの?』
んー、と北条は伸びをしながら答える。
「なんていうか、何なんだろうな。よくわからないんだけれど、あいつはただじゃ倒せないような気がするんだよな。本当に、よくわからないんだけど」
『……それって、あんなやつが強いってこと?』
「可能性はある。つーか、
「その……あのときは悪かった……」
「気にしてないってば」
悪いのは一哉なのだから。
あとから聞いた話ではあるが、2回目にラウラが一哉と戦った理由は、一哉に北条を馬鹿にされたからというものだった。
それを聞いた北条は、なんでそんなことで怒るかなーという気持ちよりも、そんなことの為に怒ってくれたラウラが愛おしいという気持ちの方が勝ったので、ぎゅっと抱きしめてあげた。というより抱きしめたかったのでそうした。
詳しくは語らないが、ラウラがあわあわしながらも、幸せそうな顔をしていたということをここに記しておく。
「とにかく、山本一哉を侮らない方がいい。甘くみたらやられるかもしれない」
『……そう、……わかった。きょーくんがそこまで言うなら信じるよ』
「ありがとな。確証はないけれど、そんな気がするんだ」
「ふむ、では奴と学年別トーナメントで戦うことになったら、私はシャルロットの方を相手すればいいのか?」
「そうなるかな。そこで、彼女に協力してもらってラウラが簡単に勝てればいいんだけど」
「む、私がそいつにも負けると思っているのか!」
「いやー、万が一ってのがあるじゃないか。絶対勝てるなんてことはないだろうし」
「うぬぬ……」
「ラウラが勝てるとは思ってるよ」
「…………わかった」
北条が身体を起こして、ラウラの目を見ながら真剣に言ったら信じてくれたらしい。
恥ずかしくて目を逸らしたかったからかもしれないが。
「と、そんな感じでシャルロット・デュノアの協力を得れば試合も簡単に進むんじゃないかな」
『侮るなって言っておきながら、簡単に勝つっていうなんて、どっちなのさ』
「俺は進むって言っただけで、勝てるなんて言ってないぞ」
『ふーん? じゃあ勝てないんだ』
「……勝ちますよー。勝てばいいんでしょ! 勝てば!」
「お、落ち着け恭弥」
『とりあえず、なんとか話かけて見ることが重要になりそうだね。あの男から助けて欲しいって言われることの方が確立は高いと思うけれど、実家のことをどうにかして欲しいって言われたときはどうすることにしたの?』
「んー……断ることにしよう。俺なんかがどうこうできる問題じゃない」
『そうだね。正しい判断だと思うよ』
「で、束せんせーが教えてくれた通りなら、シャルロット・デュノアは一哉に性別を偽って学園に来ている。てことをばらされたくなければーなんて感じで脅されてるんだろう。そこら辺は……今度訊いてみよ」
『訊くって、堂々と話しかけたらあの男がうるさいと思うけど』
「大丈夫、話のネタはある」
そう言って視線をラウラの方に向ける。
ん? といった感じでこちらを見る現在のラウラは、Yシャツ1枚という格好だった。
北条が毎日毎日裸で寝ているラウラに、なんとかして着せることに成功した貴重な服である。(Yシャツは北条のもの)
「ラウラの寝巻買うから付いて来て、ってお願いしてみようかな。女の子みたいだし、そっちの知識は多少あるでしょ」
「私の格好に何か文句あるのか!?」
「大有りだあほ」
一体どれだけ彼女の大事な部分を直視しないように苦労したか。
……直視してないだけれで見はしたんだけれど。
『丁度明後日は休みだもんね』
ちなみに、その後ラウラが北条に何の問題があるのかと問い詰めていたら朝になってしまったのだった。
ちゃんと仲直りしているあたり、北条とラウラの関係は順調……とはいかないものの、崩れることはなさそうだった。
とそんな回想を挟んだところで、現在の時間は放課後。
シャルロット・デュノアを確保するラストチャンスともいえる。
「さて、作戦通りに動けよラウラ」
「うむ、わかっている。私がシャルロットを誘えばいいんだろう?」
「ああ。俺は囮になって、一哉君とお話ししてるから」
教室にいる所で話す。ということも考えたがその場合は一哉がそこにいる可能性がある。
放課後になっても、無理矢理彼女を拘束している可能性があるので、北条が囮になることにしたわけだが。
「予想的中ってな」
廊下の曲り角から身体を隠すようにして、北条とラウラはその方向を見る。
山本一哉……と、その後ろを歩くシャルロット・デュノアの姿をだ。
「準備は?」
「いつでも」
「おーけー。行くぜ」
気配をなるべく消して、一哉に近づく。と言っても、真正面から向かって行っているので、すぐに気付かれるのだが。
「……ちっ」
「いきなり舌打ちかい」
出会い頭の舌打ち。だが、これは幸運だった。話かける切っ掛けを得ることができたからだ。
「何の用だ」
「いいや、用なんてないが」
「目障りなんだよ、視界に入るな」
「……相変わらず口が悪いなー」
一哉が北条に集中しているうちに、ラウラが北条と一哉の横を
そして、ラウラがシャルロットの手を引いて、どこかに向かった。それでいい。
「イレギュラーが」
「だから意味わかんないって」
「そこまで俺の邪魔したいか?」
やはり、話は通じないようだった。
邪魔をする、イレギュラー。何のことか北条に心当たりはない。しかし、邪魔というのならば、今この状況がそうなのだろうか。
「ふっ。お前、次の学年別トーナメントで無事で居られると思うなよ」
「……」
一体その自信はどこからわいてくるのか。
「言っておくが、俺はもうお前の攻略は完了した。お前はもう俺には勝てない」
「攻略されたつもりはないんだけど」
「はっ」
鼻で笑って、一哉は懐から鉛筆を取り出し、北条へ向けて放り投げて来た。
最近このような嫌がらせをかなり北条は受けていた。
とはいっても、束との修行に比べればかわいいものだ。なので、北条は特に不快な思いはしていなかった。
しかし、今回は攻略した。という言葉が引っかかったので、避けるだけではなく投げ返すことにした。
空中でキャッチして、そのまま一哉の方へと投げつける。今までの恨み(ラウラのことか)も少々含めて、強めに投げつけたが、北条は躱されると思っていた。
一哉はもう北条は攻略した。と言っていたのだから。
この程度の行為ならば対応できると北条は思っていた。
……思っていたのだが。
「いたっ!?」
「……えー」
見事、おでこに命中。一哉はその場に蹲ってしまった。
あまりの恰好悪さに、北条は呆れて何も言えなくなった。
「……てめぇ、許さねぇ」
「お前より恰好悪い奴みたことない」
「けっ」
そのまま北条の横を通って、一哉はどこかへ向かって行った。シャルロットのことなど頭から抜けているのだろう。
それは、こちらとしても好都合なのだが、なんだか北条は複雑な気分だった。
「よし、出発だ」
「うむ」
「う、うん」
なんとか、というよりも簡単にシャルロットを連れ出すことに成功していた。
実はラウラがシャルロットを誘うときには、北条が一緒だということを教えていなかったので、少し彼女は戸惑っているみたいだった。
「さて、行きますか。
「僕に出来ることなら出来るだけ協力するよ!」
まだシャルロットと呼ぶには学園が近いのでシャルルと呼ぶ。
シャルロットは学園からか、一哉からか、解放されるのが嬉しいようで暗い表情をしていなかった。自分が助けてと言ったことを覚えていないのだろうか。
「……もしくは気付かれてないと思っている、かな」
「……恭弥」
「おっと、悪い」
ラウラに手を握られて、思わず声に出していたことに気が付く。
彼女にどうして欲しいのかを訊くのは、学園から離れてからにする。
「……えっと」
「ん?」
「北条君とボーデヴィッヒさんは……」
「ああ、別に気にしなくていい。いつものことだから」
「そ、そうなんだ」
ちょっと引かれているような気がするけれど、北条は我慢した。だって、そうしてなければラウラが不機嫌になってしまうから。
「さーて、そろそろいいか」
ラウラ寝間着を買う。という名目で街までやってきたが、本当の理由は違う。
「単刀直入に訊く。
「え……?」
「えって。助けて、って言ったのはあんただろ?」
「き、気付いてくれていたの……?」
「じゃなきゃこんなことしないよ。ああ、ラウラの服を買うのは決定事項だけどな」
何!? と隣で何か聞こえたが無視する。
「で、でもなんで僕のことがわかったの……?」
「俺の後ろには世界一天才な味方が付いてくれてるからな。それくらい簡単にわかるのだよ」
『もしかして束さん褒められてる? ね、きょーくんもしかして褒めてくれてるの?』
この声は北条にしか聞こえていないらしかった。無視したけれど。
「そう……なんだ。はは……一哉以外にもばれちゃったんだね」
「んー、何か深刻そうに捉えてるみたいだから言っておくが、別にそのことを周りに言いふらしたりとかするつもりはないからな」
「へ?」
「いや、助けてって言うから話を聞くためにちょっと調べたんだぜ? それなのにその本人を脅してどうするんだって話になるだろ」
彼女がこんな風に捉えるようになってしまったのは、きっと周りの所為なんだろう。
一哉から脅されているというのは、まだ確定ではないが、先ほどの態度を見る限りその線で間違いはなさそうだ。
脅されている。と仮定するならば、それはかなり神経を使うことだろう。
何時秘密をばらされるのかわからない状況というのは、かなりのものだと北条は思う。それが些細な物ではなく、かなり大きい秘密ならば余計にだ。
だから、物事をマイナスに考えてしまうのは仕方がないことなのだ。
北条は優しく訊ねる。出来るだけ優しく。
「それで、お前は一体何から助けて欲しいんだ?」
人目の多いところでは話がしたくない。ということだったので、北条たちは人が少ない公園のベンチに座って話を聞くことにした。
座る順番はシャルロット、ラウラ、北条というものだった。
「僕が、この前助けてって言ったのは、山本一哉からって意味で言ったの」
「やはりそうか。お前のこの秘密を知ってから、そうじゃないかと予想していたんだが、その通りでよかったよ」
もし実家関係のことを言われたらどうしようかと、北条は今でも緊張していた。……そうだった場合断ればいいだけなんだけれど。
「その、なんだ。一哉からどういう風な脅されてるんだ?」
「もうわかってると思うけど、僕が男じゃなくて女だったってことが1つ」
それなら北条とラウラも知っている。北条的には、そんなに脅しの材料には効果がないようにも思える。もちろんばらされたら困りはするが、死ぬまで抵抗するというようなものでもないだろう。
「あとは、僕が実家の命令で男性操縦者のISの技術を盗めって命令されていること」
「……それって俺が聞いてよかったことなのか?」
「うん。もう、ここまで来たら意味がないから」
疲れたような笑いを浮かべるシャルロット。北条としては、大変なんだなーと思うだけで、同情する気にはなれなかった。
それが嫌なら、実家にはむかえばいいだけなのだから。
と、ISという力をかなり使いこなせる北条が言ってもあまり意味がない。それは、力があるから言えるってだけなのだから。
実家からそういうことを命じられるということを、シャルロットは一哉に対して、説明をしたわけではないが、理解されてしまったらしい。そういう部分は
「それ以外に、何かあるか?」
「えっと、その……」
顔を少し赤くしながら、シャルロットは言うかどうか迷っているようだった。
少しして言う決心が付いたのか、北条たちに聞こえるか聞こえないかくらいの声の大きさで、そのことをゆっくりと話始めた。
「……と、盗撮された」
「……は?」
「だ、だから……裸を、撮られちゃったの」
つまり、話を纏めると部屋が一緒になった頃はまだ一哉のことを信頼していたので、安心してシャワーを浴びていたところやられてしまったらしい。のだが。
「それはおかしい」
今まで黙っていたラウラが言った。彼女は黙っていたからと言って話を聞いていないわけではないのだ。北条の方に寄りかかって、ぼうっとしていたなんてことはないのだ。
「なぜ、そんなことが出来る? お前が女として同室になっていたというのなら、可能かもしれない。でも、男として部屋で生活していたのに、最初から盗撮だなんて、まるで、
「ラウラ。もしかしたら、彼は男が好きなのかもしれないぞ?」
「えっ」
「ええっ!?」
……可能性はなくはない。
本当は、原作知識でシャルロットが女だと知っていたから行ったわけだが、原作を知らない北条たちにはホモと思われても仕方ないだろう。
哀れ。
「で、とりあえずそれで終わりか?」
「う、うん。それ以外にはないけど……僕は、どうしたらいいんだろう」
実家の命令で学園にやってきたシャルロット。学園では一哉という男の命令に従うだけのまるで、
「人形みたいだな。あんた」
「っ」
「いや、俺が言えることじゃないんだけさ。そんな人に従ってばっかりでいいのか? 納得してるならいいんだけど、そういうわけでもないみたいだし」
北条は束の人形と言われてもいい。偶に刃向うけれど。納得しているからそれでいい。北条には時間もないのだから、そうするしかないのだから。
「納得してないから、助けて欲しいんだろ。なら、どうするかなんて決まってるんじゃないのか?」
隣でラウラもうんうん。と頷いている。彼女は今回のことについては、無条件で北条に従うことにしている。というよりも、全てのことに対してかもしれない。
「シャルロットよ。恭弥は優しい奴だからな。助けて、なんて言われたら簡単にそうしてくれるはずだぞ」
「おい、簡単ってどういうことだよ」
北条がラウラに対して優しいのは好きだからであり、決してみんなみんなに手を差し伸べるつもりはない。……まぁ、今回はその少ないうちの1つに入るわけだが。
北条は自分の頭をがしがしかきながら、
「あー、なんていうか。今回のことは俺たちにも利点がある。だから、お前が望むなら助ける
「ふふっ。恭弥も素直じゃないな。全く」
「うるさい」
彼らの様子を見ていて、シャルロットは自然と笑みがこぼれていた。そのことには自分でも気が付いていないようだったが、しかし、気持ちが楽になったのは感じていた。
だから、言った。
「僕を、助けてください。彼に従いながら学園での生活なんて、もう嫌なんだ」
「任せろ。よし、そうと決まればもういいな。詳しい話はラウラの寝間着買いに行きながら話すぞ。時間がもう少ない」
「な、何!? その話はもうないんじゃなかったのか恭弥!?」
「お前は可愛いんだからもっと可愛くなるように可愛い寝間着着ろ!」
「うぬぬ……」
「……なんだか、悩んでる自分が馬鹿みたい。折角だから、僕がお勧めのお店を紹介するよ」
「そうか。じゃあそこに行こう。先行してくれ」
「うん。わかった」
吹っ切れたのか。シャルロットが先ほどと同じ人物とは思えないような晴れやかな表情をしていた。
別に、笑わせようと北条とラウラが話していたわけではにのだけれど、プラスに働いたみたいだ。
「そういえば、学年別トーナメントでペアを組もうってラウラを誘ってなかったよな。今更だけど一応言っておくよ。一緒にペア組んでくださいな」
「遅いぞ。でも、答えはもちろんだ」