バカとテストと召喚獣 観察処分者は女の子? 作:木原@ウィング
プロローグ
???side
今日もまた、朝が来た。今日から私も文月学園の2年生だ。
振り分け試験の日は、少し「面倒事」に巻き込まれて受けられなかったからFクラスになるのは分かっている。
そっちはまぁ、仕方がないからともう割り切っている。今はそれよりも……Fクラスに知り合いはいるのかな?ってことの方が心配だ。
って、もうこんな時間!? 急いでさらしを巻いて学校に行かないと!!
優子side
私は木下優子。文月学園の2年生にして最高クラスのAクラスの生徒だ。でも、私がAクラスに入れたのは振り分け試験日に「あの子」に助けられたからだ。その子とはあの日以降会えていない、会ってお礼が言いたいのに……そういえば、「あの子」って男の子よね? 制服は男子のだったけど顔が何か女の子みたいな感じだった。
……まさか、あれが噂に聞く「男の娘」ってやつかしら!?
あぁ~だったらなおさらまた会いたいな~!!
「優子? 聞いている?」
優子「っは!? ご、ごめん。代表、少し考え事していたわ」
しまった、今は代表と話をしていたの忘れていた。こんなの、やっぱり私らしくないか。
翔子「珍しいね、優子がボーっとしているなんて」
優子「う、うん。ちょっと振り分け試験の日に助けてくれた子の事を思い出していてね?」
翔子「前に言っていた子? ……その子の特徴とか覚えていない?」
代表はなにやら写真とメモ帳を取り出して聞いてくる。
でも、なんで写真も出したの?
優子「えっとね~髪は茶色で、目は少しキリッとした感じで……後は少しバカっぽい顔をしていたわね」
それを聞いた瞬間、代表が持っていた写真を私に見せてくる。
翔子「……それって、この子?」
優子「あ! そうそうこの子この子!!」
あれ? なんで代表があの子の写真を持っているの?
ていうか、この写真かわいい!! なにこれ、天使か!!
優子「ね、ねぇ代表? この子って男の娘かな?」
翔子「? 違う」
優子「えぇ~じゃあ、ただの男の子かぁ」
これが男の娘じゃないんだったら、巷で言われている男の娘ってどのくらい可愛いんだろう~
翔子「? ……それも違う、これは女の子」
優子「……え?」
この子は、女の子? いやいやいやいや、だって男子の制服を着ているじゃない。なんで女の子が男子の制服を着ているのだ? 罰ゲーム? いやいや、どんな罰ゲームだよ
翔子「この子は……私の、嫁」
優子「……は?」
代表、あなたは何を言っているんですか? って何で顔を赤らめながら言っているのよ!? 冗談にしてはちょっと引いちゃうレベルよ!?
……っは、そういえば前に代表は百合気質が有るって聞いたことがあるわ。まさか、あの噂は事実!?
優子「へ、へ~そ、そうなんだ。……でも、本当にこの子可愛いわね」
翔子「うん、本当だったらAクラスに拉……連れてきたい」
優子「代表、拉致って言いかけて言い直したけど意味はあんまり変わっていないわよ?」
……大丈夫なのだろうか、このクラスは
優子side out
吉井side
あぁ~少し家出るのに手間取った!! 昨日の夜に調子に乗ってゲームを続けるんじゃなかった!!
「吉井、新学期早々慌ただしいな」
吉井「鉄、西村先生」
西村「今、鉄人と言いかけたか?」
吉井「い、いえ、気のせいです!!」
あ、危なかった!! つい口が滑って鉄人と言いかけてしまった。
西村「まぁ、良い。ほれ、振り分け試験の結果だ」
吉井「……振り分け試験、受けていないので受け取る意味がないんですけど?」
西村「まぁ、そう言うな。これが規則なんだ」
西村先生も少し困ったように言いながらクラス表を渡してくる。
そこには予想通りにFクラスと書かれた紙が入ってあった。
西村「吉井、俺は去年のお前の行動を思い返して「もしかして吉井はバカなんじゃないか?」って思っていたんだが、あれは訂正しよう。お前は「人のためにバカを見れる」奴だとな」
吉井「へ、へ~まぁありがとうございます?」
西村「吉井? もし、Fクラスの奴らに何かされたら俺達に言え。どうにかして守ってやる」
吉井「大丈夫ですよ、そんなクラスメイトの事を野獣みたいに」
西村「……お前は自分についてもういちどよく考えるべきだな」
吉井「? は、はぁ」
西村「まぁ、良い。ほら、早く行かないと遅刻するぞ」
吉井「あ!! そ、それじゃあ西村先生!! ありがとうございました!!」
僕は西村先生にそう挨拶して急いで教室に向かう。
うひゃ~これがAクラスか。設備が凄い事になっているね~
ここって本当に学校? 何で学校にリクライニングシート付のシステムデスクがあるの? しかも横には冷蔵庫も有るしノートパソコンまである。こんな教室じゃあ、余計に勉強ができなくなっちゃうよ。
翔子「……Aクラス代表の霧島翔子。これから1年間よろしく」
あ、翔子さんだ。Aクラスの代表になれたんだ。……どうしよう、この間の賭けに思いっきり負けちゃったな。
あ~もう! なんであんな賭けを翔子さんとしちゃったんだろう!! よく考えたら、翔子さんがAクラスの代表になるのなんて分かりきっていたことなのに一途の願いを込めたのに!!
吉井「……気が付かれる前にFクラスに行かないと」
「誰に気が付かれる前に?」
吉井「それはもちろん、翔子、さん、に?」
あれ? なんで僕の後ろから翔子さんの声が聞こえるのかな? さっきまで目の前の教室にいたはずなのに?
翔子「吉井……約束の事、忘れていないよね?」
吉井「よし、一旦落ち着こう。翔子さん、もう授業が始まるからその話はまた今度にしよう」
翔子「……分かった。それと、吉井?」
吉井「……何かな?」
翔子「……さらし、すこしずれているよ」
吉井「え!?」
確認してみると確かに少しずれている!? あ、朝巻いた時にまきが足りなかったのかな!?
あ~巻きなおす時間がないのに!!
吉井「と、とりあえずトイレで巻きなおしてくるよ」
翔子「うん、気を付けてね?」
翔子さんにそういわれて僕は男子トイレに駆け込んでいった。