本好きと暗殺教室   作:与麻奴良 カクヤ

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明けましておめでとうございます。

今年も自分の作品をよろしくお願いいたします。


173 「27時間目 軽い偵察の時間」

今、目の前で繰り広げられている所業をどう表現すればいいのだろうか?

 

店主である若女将とその娘を巻き込んで、突然行われた、タコと暗殺者の同コンごっこ遊び。

 

 

帰って読書していた方が有意義だったかも。

 

 

そのうちに暗殺者達は急に落胆し、お金を払って出ていった。

 

店主と看板娘も見送りに出ていく。

 

 

タコはお酒の前だと結構、だらけきって・・・方向性が違うだけで、いつもと一緒。

 

特に収穫はなし、帰るか。

 

その前に!

 

 

酔っている今なら、と淡い期待でタコにナイフを投げつける。

 

パッシブスキル『刃投』

 

このスキルは刃物を投げ付ける時に効果を発揮する。

 

主に命中精度と威力、速度をアップさせる。

 

最大まで上げたスキル補正の効果で私が投げたナイフの速度は、弾丸にも匹敵する。が

 

 

「ニュルフフフ。甘いですねぇ?誰だか分かりませんが、姿を見せることをオススメします」

 

 

飽くまで弾丸に匹敵する程度、タコの触手速度には届かない。

 

仕方なく姿を現すことにした。

 

 

「流石ですね、先生」

 

「若麻績さんでしたか。あなたの答えはこれですか?」

 

「どういう事ですか?」

 

「クラスの皆さんには集まって話したのですが、あなたは気を失っていましたので目を覚ました時に話したはずですが・・・?」

 

 

あぁ、私が管理者になる直前のことか。

 

何億年も昔のことだから忘れていた。

 

 

「先生が初代死神だったことですか?」

 

「そうです。あなた以外の生徒たちは悩んでいるはずです」

 

 

悩む?

 

一体何に対して?

 

悩むようなことはないはずだけれど・・・もしかして。

 

 

「私は悩むことなんてしてませよ。むしろ、その回さえ思いつきませんでした。先生を殺す、これだけで充分でないですか」

 

 

あいつらは9か月もタコと過ごしてある感情が芽生えたのだ。

 

そのせいで、「助けたい」と言う気持ちになる。

 

私はあいつらとは考え方が根本的に違う。

 

あいつらの力はタコに教わって育てた物、私のは自分の強い思いから貰ったもの。

 

私の力はタコから貰ったものではない。

 

あいつらと違って、助けたい気持ちが芽生えなかったもの、今までの積み重ねの結果。

 

もし、あいつらがタコを助けると言うのなら、私は・・・邪魔者は全力で排除する。

 

 

「冬休み期間は私だけになりそうですが、お相手をよろしくお願いいたします。殺さない程度に仕掛けますよ」

 

「・・・にゅ!!若麻m」

 

「それでは先生。また後日」

 

 

今度こそ、『テレポート』を使って山奥の自宅に帰った。

 

先ほどの時間を取り戻すように、本の世界にのめりこんだ。


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