明久「僕が女の子に!?」   作:白アリ1号

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早めに更新できてよかった……。
いつも不定期で申し訳ないです……。( TДT)

ついにこの作品も80話となりました。
ここまで応援してくれた読者の皆様に感謝!<(_ _)>


80話 覗き作戦

sideアキ

 

 

「俺らが何したっていうんだよ……なんでこんな目に……」

 

「……見つかるようなヘマはしないのに」

 

30分後に複数の女子生徒から解放された須川くんにムッツリーニ。

 

「酷い濡れ衣じゃったのぅ……ワシは被害者扱いだったのも解せぬが……」

 

「何があったの……? いろいろと状況が掴めないんだけど」

 

女子生徒は入浴時間だというのに、なぜここにいるのかも謎だが、一番はどうして雄二たちが拷問らしき行為を受けていたのだろうか。

 

「……CCDカメラと小型集音マイク」

 

「え? なんて? ムッツリーニ。カメラがどうかしたの?」

 

「……これが女子風呂の脱衣所に設置されてあったらしい」

 

「えぇ!? それって盗撮じゃないか! ムッツリーニ! いくらなんでもそれはないよ!」

 

ムッツリーニの肩を掴んで、気は確かなのかと揺さぶる。

 

「……お、俺はやっていない……!」

 

「アキちゃんよ。それは誤解なのじゃ」

 

「秀吉まで……じゃあ誰がやったっていうのさ?」

 

「よくわからんが、女子風呂の脱衣所に小型のカメラとマイクが設置されてあったみたいで、それから犯人を俺たちと疑った女子たちが俺らの元にやってきて、ご覧の有様だ」

 

須川くんがやれやれといった表情で説明してくれた。

 

「証拠不十分でしばらく尋問……というより拷問を受け続けていたのじゃ。ワシは受けてはおらぬが……」

 

「そうだったのか……それは災難だこと」

 

それにしても盗撮とは怖いな……。

もうすぐで入浴時間だというのに。

 

入る直前に見つかったのは不幸中の幸いかもしれないが、盗撮が見つかった以上はあまり落ち着いて入浴時間を過ごせそうにないな……。

 

「雄二、大丈夫? さっきから黙っているけど」

 

ずっと返事がなく、心配になってきたので話しかけてみる。

 

すると、雄二は何かを決意したかのようにその場から立ち上がった。

 

「……上等じゃねぇか」

 

少し怒りを孕んだ低い声が部屋に響く。

 

「え? どうしたの? 雄二」

 

「どうせここまでされたんだ。本当にやってやろうじゃねぇか」

 

「まさか、本当にって……」

 

「ああ。そのまさかだ。あっちがそう来るのなら、本当に覗いてやろうじゃねぇか!」

 

よりによって何を言い出したのだろうか……。

 

「雄二。そんなに霧島さんの裸が見たいなら、個人的にお願いしたらいいんじゃないかな?」

 

「バ、バカを言うな! 翔子の裸なんかに興味があるか!」

 

「じゃあ、なんでそんなことを……」

 

「犯人扱いされた以上、そのままって訳にはいかねぇだろうがよ! それなら思う存分覗いてやろうじゃねぇか!」

 

雄二の声が荒さを増していくばかり。

 

「そうだな! そんな不名誉を押されたまま食い下がるなんてバカな真似はしたくない!」

 

と須川くんまで同意している。

 

犯人扱いされたからって、開き直って覗くほどバカな真似はないと思う。

 

って、横でもムッツリーニは覗くために機材の用意を始めてる!?

ムッツリーニもやっぱり賛成派なのか!

 

「明久。お前も協力しろ」

 

「えぇ!? 雄二、いきなり何を言い出すのさ! 正気なの!?」

 

「俺はいつでも本気だ! 女の姿であるお前がいれば百人力だ」

 

「無理だよ! いくら僕でもそんなことには参加したくないよ!」

 

「なぜだ? まさか女子に情でも湧いたのか?」

 

違う。

そんな単純な理由なんかじゃない。

 

女の子の姿になった僕ならわかる。

男子に裸を見られるのがどれだけ屈辱的で恥ずかしいことなのかを。

 

年頃の女の子にとっての一大事に関わることだ。

ここはなんとしてでも雄二たちの蛮行を阻止せねば。

 

「絶対にダメだよ! いくら人としてのマナーに欠ける雄二でも、こればかりは度が過ぎているよ!」

 

「知るか! 俺らは絶対に覗くからな! 覚悟しておけよ!」

 

「いや待てよ。アキちゃんが味方じゃなくなったら、アキちゃんの裸を覗けるということに……!」

 

「…………これで準備万全」

 

「わ、ワシはどうすればいいのじゃ……?」

 

もう! 普通に誤解を解いて謝罪してもらえれば名誉挽回なんてできるのに!

これじゃあ、本末転倒だよ!

 

「くっ……そんなに言うなら……今から女子のみんなに知らせなくちゃ……!」

 

僕は雄二たちの部屋から急いで出て行った。

 

 

 

 

走りながら、女子風呂へと向かう途中のこと。

 

「廊下を走ってはいけませんよ! 止まりなさい!」

 

前方から鋭い声が響いてきた。

 

「布施先生……すみません。急いでて」

 

声の主は化学の教師、布施先生だった。

 

「どうしたのですか? 入浴時間はもう始まってはいますが……そんなに慌てる必要があるのでしょうか?」

 

「それはですね……ええっと……」

 

雄二たちが覗こうとしているのを知らせるためなんて言える訳が……。

 

……いや、待てよ……女子のみんなよりも、先生に知らせた方が効果的じゃないか!

ここは先生に力を借りよう!

 

「実は雄二たちが覗きを企んでいるんです! それを知らせようとしてて……!」

 

「そういうことでしたか。更衣室にカメラが設置されいたと聞いて警戒してみたら……まさか坂本くんたちの仕業でしたか……」

 

と納得する布施先生。

 

カメラの件は雄二たちのことではないけど……まぁいいか。

どうせこれから覗くことだし。

 

「とりあえず、ここは教師が対応するので任せてください。吉井さん、あなたは早く入浴を済ませてきなさい」

 

「はい、わかりました……」

 

なんだ、教師が既に動いているなら心配ないか……。

とにかく、これで安心して入浴できそうだ。

 

僕はホッとして、女子風呂へと向かった。

 

……………………。

 

………………………………。

 

「…………それにしても、吉井さんのあの格好はいったいなんだったんでしょうか?

この旅館に巫女服なんてありましたかね……?」




次回は重大イベントの入浴!
ニヤニヤするようなムフフ展開をお届けできればいいなと思っています!

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