明久「僕が女の子に!?」   作:白アリ1号

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お久しぶりです!
投稿遅れて申し訳ありません!
大変お待たせしました!

作者にもいろいろ事情がありまして、去年から今日まで
なかなか投稿できなかったんですよ……。(恒例の言い訳タイム)

とにかく、今日からまた以前のように不定期ながらも投稿再開します。
基本ノリと勢いでの更新なので、まぁ……週に2~3回投稿できればいいかと考えています。

それはさておき、今回は前回の初デートの引き続きです。
今回はメインじゃないのですが、超重要イベントの一つなので、
一層力を入れました!(投稿久しぶりで文章力落ちている可能性大ですが)

お楽しみいただければ作者にとって一番の幸いです。

今回は久保君視点を少しだけ入れてみました。


69話 初デート2

side久保

 

 

駅前から少し離れ、映画館に向かっている時のこと。

 

あぁ……アキちゃんの手凄く柔らかい……。

 

ただいま現在、僕はアキちゃんと手を繋いでいます。

とても小さくて暖かくて柔らかいです、はい。

 

まさかデートできるだけでもすごく夢みたいな話なのに手まで繋げるなんて、

夢のまた夢の話かと思ってたけど……今しているのです。

 

最初は緊張してかなり抵抗があったものの、繋いでみるとアキちゃんのぬくもりのおかげか、すぐに緊張がほぐれて、今じゃまるで、当たり前のように繋いで歩いている。

 

どうせ人通りが多いから迷子にならないようにするためか、男が寄らないようにするためのガードマン的な役割のためにしているのだろうけど、少しでも役に立てていればいいと思っている。

 

「言い忘れていたけど、今日はありがとう。わざわざ僕のために付き合ってくれて」

 

アキちゃんが横からお礼を言う。

 

少し笑っているように見えるけど、申し訳なさそうにも見えた。

 

「いや、お礼を言うのはこちらの方だよ。お誘いありがとう」

 

これは誘われた側が感謝するべきだろう。

 

正直、デートできるだけでもすごくありがた過ぎます。

私服姿の可愛いアキちゃんとできるから尚更だ。

 

「ところで、吉井くんはなんで僕を誘ったのかな?」

 

「え? どういうこと?」

 

唐突な僕の問いに思案顔を浮かべるアキちゃん。

 

今思い出したのだが、僕にはずっと気になっていたことがあった。

 

「いや、吉井くんは僕以外にも誘う相手は沢山いるだろう?

なのになぜ、僕を誘ったのか気になるんだ」

 

素朴な疑問だが、僕の中ではかなり気になっている。

 

「僕ってそんなに誘えるような相手いないよ……?

こんなことに誘えるのは久保くんくらいしかいないし……」

 

僕しかいない……?

 

意外過ぎる返答だった。

 

「そうなのか……。吉井くんって、Fクラスの男子にそういう相手はいないのかな?」

 

こんなに可愛い同級生が同じクラスに居たら普通に声掛けするはずなのに。

 

「Fクラスの男子? う~ん、Fクラスの男子とはそんなに関わってないなぁ……。

関わっているのはせいぜい、雄二とかムッツリーニとかくらい?」

 

Fクラス代表の坂本くんといつも(いろんな意味で)お世話になっている土屋くんだけ?

 

でも、確かにこんなに可愛かったら逆に声掛けし難いかもしれない。

 

唯一、元から仲が良かった2人なら気軽にできそうだから納得がいく。

 

「じゃあ、その2人は誘わなかったの?」

 

あんなに仲が良いのだから気軽に誘えるはずだ。

 

「え? いやいや、絶対に誘わないよ……。

そもそもペアチケットは雄二から貰ったものだし、仮に雄二から貰ってなくても、雄二と行くのはなにがなんでも嫌だし……何より婚約者である霧島さんに悪いからね。

ムッツリーニは女の子に耐性がないから、デートどころじゃなくなるよ」

 

言われてみれば確かにそうだった……。

 

「それなら、女子の友達とかはどうなんだい?

そっちの方が気軽に誘えるんじゃないのかな?」

 

ペアチケットとはいえ、男性同士だろうが女性同士だろうが一応、

使えるはずなんだが……。

 

「女子だったら姫路さんを誘おうとしたけど生憎、今日見る映画をもう見ちゃってたみたいで、流石に同じ映画を2回も見させるのは可愛そうだと思うからやめたんだ。

秀吉も誘ってみたけど、部活があるから無理だったんだよ。

美波も誘おうとしたけど、美波って恋愛映画に興味無さそうだから……。

見る映画が酔●とかロ●キーだったら間違いなく誘ってたかな?」

 

なるほど。

 

姫路さんの場合、女子の中の女子だから恋愛系の映画には興味があると言っても過言ではないから、既に見ててもおかしくはないか。

 

木下くんは演劇部で忙しいと姉である木下さんがそんなことを言っていたような……。

ん? っていうか、なぜ女子の中にしれっと木下くんが紛れてるんだ?

 

島田さんは……よほどのアクション映画が趣味なのか? それとも格闘マニア?

どちらにせよ、女子高生が●拳や●ッキーを見たがるってなかなか珍しいな。

 

「つまり、僕しか相手はいない……と」

 

「う、うん。さっきも言った通り、久保くんしかいないよ」

 

「そうなんだ……」

 

これってもしかするとチャンスなんじゃ……?

 

告白したらOK貰えてしまったりして……。

 

って何を馬鹿なことを考えてるんだ、僕は。

 

まぁ正直アキちゃんは可愛いし優しいし彼女にしたいよ?

しかし、僕みたいな勉強一筋でやってきた男が相手なんて相応しくないだろ?

 

だから僕はアキちゃんを守る存在としている訳であって、もし仮にアキちゃんに彼氏ができたとしても僕はそれを応援する。ただそれだけだ。

アキちゃんが幸せになればそれでいいんだ。

 

仮にできてしまったら生きる気力を失うだろうなぁ……。

本当はできて欲しくないのが何よりの願い。

 

「久保くん……どうしたの? 具合でも悪いの?」

 

アキちゃんが心配そうにこちらの顔を見ている。

 

表情に出てしまっていたか……。

今考えていたことは口が裂けても言えないな。

 

「なんでもないよ……ちょっと映画が楽しみだと思って」

 

一瞬、きょとんとした表情をアキちゃんは浮かべた。

 

「そうなんだ…………僕も楽しみだよ」

 

ニコッっと笑いながら繋いでいる手をギュっと握ってきた。

 

や、柔らかい……手汗が出てきているかもしれないけど、アキちゃんは気持ち悪くないかな……?

 

 

 

 

sideアキ

 

 

映画館の受付にて。

受付は混雑するほどではないが、多くの人で列を作っていた。

 

今日は土曜日で仕事や学校などが休みなのであろう。

学生のカップルや、熟年夫婦、高齢者夫婦などの沢山の人々がいた。

 

きっと、今日僕たちが見ようとしている映画を見に来たに違いない。

あれは恋人同士で見るにはうってつけの内容だったからだ。

 

休日に恋人と2人で一緒に恋愛映画を見る人たちが、少しだけ羨ましく思えた。

 

周りの人を羨んでいる間に、自分達の座席指定をする番が来た。

お互いにチケットを出し合って、座席指定を行う。

 

空いている席が多いはずなのに、指定できる座席がかなり限られていた。

どうやらペアチケット専用の座席のようだ。

 

よく分からないが、僕と久保くんは適当によさげな席を2人で決めて指定した。

 

「それでは、上映の時間になりましたら上映するスクリーンまでお越しください」

 

受付のスタッフにそう言われて、受付を離れる。

 

「上映は12時30分からの予定らしいけど……時間が結構余ってしまったみたいだね」

 

久保くんが自分の腕時計を見ながら言う。

腕時計を覗き込むと、時計の針が10時30分を指していた。

 

「あ、本当だ。前もって調べておくべきだったね」

 

待ち合わせの時間は2人で適当に決めたし、上映時間も調べていない、ほぼ無計画のようなものだ。

 

事前に調べておけばこうなることは避けられたはずだった。

 

「そしたら、どうしようか……2時間もの間ひたすら待つなんてことは流石に無理があるから……その間、違う場所に行かないか?」

 

「そうだね、ここの近くはいろいろありそうだし」

 

限られた時間を有効に活用しないとね。

2時間も待つなんて、僕たちにそこまでの忍耐力はありません。

 

なので、別のところで時間を潰すことにした。

 

ここから本格的に僕と久保くんのデートが始まったのであった。




誤字脱字報告と感想お待ちしております。

次回からデートらしくなってきます。

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