やっておいて本当によかった!( ∩´・ω・`∩) ンフ~~
今回は(o´艸`)ムフフな展開にできるように書けた……と思いたい。
sideアキ
「ねぇ、ムッツリーニ、これはどういうことだろう?」
「…………さっぱりだ」
2日目の学園祭開始から数分経過した頃、中華喫茶『ヨーロピアン』の店内はお客さんで埋め尽くされており、外では現在の待ち時間が約20~30分になるほどの列ができていた。
客が増えることは大体予想がつくけど、予想外過ぎてホール役の僕達や厨房役もあたふたしている。
開始早々だというのに、最低限の対応を取ることで手一杯だった。
姫路さんと美波は召喚大会の決勝でいないため、僕とムッツリーニと秀吉の3人という、
少ないメンバーなのでそれはもう、あまりに過酷だった。
~男子目線~
「すげぇ、なんだあのエロ可愛い子は……マジやばくね?」
「ああ……ここに来るのは2回目だが、昨日より過激な衣装だな」
「スタイルいいなぁ、胸もでかいし可愛いし……あれぞ完璧JK」
「この学園にいる生徒が羨ましいな、あ~俺もこの学園に通っときゃよかったなぁ~」
~女子目線~
「ねぇ、あの子、すっごく可愛いんだけど!? どう思う!?」
「おお、私、あの子となら付き合っていい……いやむしろ付き合いたい」
「胸凄くない!? 何を食べてああなったのかな?」
「他の店にも子も可愛い子がいたけど、あの子はずば抜けてレベルが高いねぇ」
初日とは比にならないほど、客からの視線が痛い。
想定内だけど、いざとなると……ね。
「あの子も可愛くね? 昨日ここの店にいたっけ?」
「俺達が気づかなかっただけだろう、あんなに小さいロリ体型だったら」
「だよなぁ、ロリっ子は別に興味ないが、あれはあれで萌えるな」
ちょっと耳を傾けると、こんな話まで聞こえてきた。
ロリっ子ってことは……ムッツリーニのことであろう。
やっぱり、ムッツリーニのことを知らなかったり、初見の人とかには気づかないんだろうね。
僕も最初、見た時は女の子にしか見えなかったし。
僕だけに限らず、ムッツリーニも相当恥ずかしいだろうなぁ。
頑張れムッツリーニ。
「騒がしいので、何があったと来てみれば……何をしているんだ。吉井、土屋」
「あ、西村先生。今日も来てくれたんですね」
「……いらっしゃいませ、鉄人様」
Fクラスがあまりにも盛況なので、気になって来たのであろう。
それか暇だったりして……?
「まったく、その格好はどうしたんだ、吉井。昨日より過激な方向に走っていないか?
それと土屋、なぜそんな衣装を着ている?」
と半分呆れ顔で聞く西村先生。
「これは僕たちが故意にやってる訳じゃなく、不況対策ということで……」
「……深い事情」
「はぁ……このクラスはいったいどうなっているというのだ…………吉井が女になって以来、から思っていたのだが……」
頭を抱え込む西村先生。
それは僕も痛いほど共感します。
「とにかく……学園祭だからといって羽目を外し過ぎるなよ。これだけは言っておく」
そう言い残して、西村先生はどこかへ行ってしまった。
おかしいなぁ。
こんな格好をしてて、なぜ注意をしないのだろうか?
う~ん、もしかしていつも学園の中で、僕が仮装とかをしているからかな……?
だとしたら、先生の指導感覚が麻痺しているってことか。
先生もFクラスの習慣に毒されているんだな。
「……アキちゃん、手が止まっている」
「ああ、ごめん。少し考え事を……」
ムッツリーニに声を掛けられ我に返り、すぐに仕事を再開。
この後もお客さんの数は減ることがなく、むしろ増える一方だった。
自分の格好の恥ずかしさなんて、いつの間にか忘れるくらいに忙しかった。
★
午後に突入して、大分落ち着いてきたが、まだ客もかなりいる。
空席が見当たらないくらいに。
「お主ら、そろそろ休んだらどうじゃ? ここはワシに任せてもいいのじゃぞ?」
「いや、大丈夫だよ、秀吉の方こそ休んだら? 秀吉もかなり忙しかったみたいだし」
「心配しなくてもいいのじゃ。ワシはまだまだやれるのじゃ」
「そっか……じゃあ、お言葉に甘えて休もうか――」
「遊びに来たよ! アキちゃん!」
少し休息を取ろうとしていた時に、それを妨害する人物が。
「た、玉野さん……? なんでここに!?」
「水着姿のアキちゃんが見れると聞いて、いてもたってもいられなくて、クラスから抜け出しちゃった☆」
おいおい、大丈夫か?
自分の店よりこっちを優先しちゃってもいいのか?
「あぁ可愛い/// 生で水着姿のアキちゃんが見られるなんて感動!」
玉野さんは構わず、僕に抱きつく。
こういうことをするのは目に見えているので、何も言わない。
そもそも抵抗しても無意味な気がするし。
「あの子、誰? 友達?」
「そうなんじゃない? Dクラスのお店の制服着てるし」
「うわぁ、羨ましい……私もしたいのに……」
周りの視線が僕と玉野さんに集まる。
恥ずかしいからそろそろやめて欲しいな……。
「もう、美紀。勝手にサボって、何してるの?」
「まったく、羨ましいことしてるんだから」
と丁度いいタイミングでDクラスの女子生徒2人が玉野さんを連れ戻しに来た。
「あっちゃ~、見つかっちゃった、ありがとねアキちゃん、また来るから」
いや、もう来なくて結構です。
今ので十分満足したでしょ? ね?
「ちょっと待って。美紀がしたんだから私たちもいいわよね?」
玉野さんを連れて行こうとした、女子生徒が足を止める。
「え? 何が――」
聞き返そうとするも、その前に玉野さんを連れていこうとした女子生徒2人は僕をギュっと抱きついた。
「んんっ……この抱き心地……クセになる……」
「幸せな感触……いつまでも抱きしめた~い」
いきなりされたもので、僕は「え? え?」という言葉を発したまま、抱きしめられっぱなし。
「ありがとう、アキちゃん。じゃあ行くわよ」
「ありがとね~、バイバ~イ」
ご満悦な表情で玉野さんを連れてFクラスを出て行った。
いったい、なんだったんだ……あの女子生徒は。
「吉井ク~ン」
「うわぁ、工藤さん!? ビックリした……」
後ろから、今度は工藤さんから抱きつかれた。
いつの間に来ててんだ?
「いやぁ、何やら面白そうだったから来てみたんだけど……すっごくHな格好だね、吉井クン」
「うぅ……あんまり見ないでよ……」
恥ずかしくなって、僕は胸に腕を回した。
「恥ずかしがる吉井クン、カワイイ/// いつもその格好でいたらいいのに~」
「だ、ダメだよ! 常識的に考えて無理だよ!」
僕は痴女か!
好きでやってる訳じゃないのに……。
「ねぇ……ちょっと、いい?」
「な、何?」
僕が工藤さんに聞き返した時、工藤さんはいきなり僕の胸を指で突いた。
「ひゃんっ……! ちょと、工藤さん! あっ、あんっ、や、やめてよ」
ああ、周りにいるお客さんが鼻血を出して倒れちゃったよ!?
あ、しかも女性のお客さんまで!?
「この気持ちがいい弾力と柔らかさ…………もっと触っていい?」
「ダメだよ! ひゃあぁ、ダメって言ってるのにぃ……」
拒絶しているのに、工藤さんはやめず、僕の胸を指で突く。
あまりのくすぐったさに声が漏れてしまう。
背中にゾクッとしたものがこみ上げてくる。
「もう、愛子。やめてあげなさい」
横から木下さんが止めに掛かってくれた。
あぁ、救世主がここに……。
「ごめんね、吉井くん。もっとアタシが愛子を監視するべきだったわ……」
「いや、大丈夫だよ、ありがとう」
僕は木下さんに助けてくれたお礼を言う。
「ッ!///」
? 何で木下さんは顔を逸らすんだ?
(ダメよ私……いくら吉井君があんな格好で、可愛いからって……襲うのはダメよ)
「優子~? どうしたの~?」
「な、何でもないわよ」
「ホントに~?」
ニヤニヤと木下さんを見つめる工藤さん。
本当になんでもないのかな、木下さん……。
「あれれ? もしかして、この女の子は……」
「…………人違いだ」
工藤さんはムッツリーニ(女装中)を見つけると、興味津々な目つきで、
「やっぱり! ムッツリーニクンだ。どうしたの? なんでそんな姿に?」
「……人違いだ……!」
ブンブンと首を振るムッツリーニ。
「もしかして、吉井クンと同じく女の子になっちゃたのかな~?」
いたずらをしそうな目つきで、ムッツリーニの身体を見回す。
「今はとある事情があって、僕とムッツリーニはこんな姿になっているんだ……」
とりあえず、軽く説明はしておく。
「そうなのね……いい考えじゃない、考案者もいい趣味しているわね」
なんで木下さんは関心しているんだ……。
「カワイイ~! これから女装していけば? 写真を撮るより、撮られる側になっちゃえば……」
「……そんなのは御免だ……!」
工藤さんとムッツリーニは……うん、楽しそう。
「もうちょっといたいけど、休み時間はもうないし、そろそろアタシたちはAクラスに戻るわ。行くわよ、愛子」
「あぁ、そうだねぇ~……じゃあ、吉井クン、まったね~」
ちょっと残念そうな顔をして工藤さんと木下さんは自分のクラスに戻って行った。
僕と同じで休み時間だから、ここに来ていたのか。
「……アキちゃん、そろそろ行くぞ」
「ん? ああ、もうこんな時間か」
ムッツリーニから言われて気がついた時にはかなり時間が経過していた。
玉野さんと工藤さんの相手をしてて、あんまり休めた感じはしないけど……あんなに忙しい中、少しでも休息が取れただけよしとしよう。
引き続き、僕は大変忙しい接客仕事を再開。
この後もお客さんは絶え間なく来店して、形勢がひっくり返るのはまさにこのこと。
初日が嘘だったかのような2日目となった。
そういえば、玉野さんが登場したのって久しぶりだなぁ。(´・ω・`)