明久「僕が女の子に!?」   作:白アリ1号

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やっと終わった、アキちゃんのAクラス体験!
久々にFクラスの日常が書けた~。(´・ω・`)b

……それと、投稿遅くなって申し訳ないです!
今年からは遅くなることが多々あります。
ご了承ください。<(_ _)>


53話 Fクラス復帰

sideアキ

 

 

「ふあぁぁ~……もう朝か……」

 

翌週の朝。

窓から差し込む朝日に照らされて目を覚ました。

 

僅かに意識が朦朧とする中、眠い目を擦りながら、僕はベットから起き上がり、机に目をやる。

 

そこにはAクラスのみんなとコスプレをした僕が写っている、記念写真があった。

 

楽しかったなぁ……Aクラス。

 

写真を見て、Aクラス体験の出来事を思い出して、僕はクスッと笑う。

 

楽しくて嬉しかったものだから、ご丁寧にフォトフレームに入れて、飾っている。

あんなに恥ずかしかった思い出も喉元過ぎればなんとやら。

 

さて、そういえば今日からまたFクラスでの学校生活がスタートする。

 

先週ずっとFクラスに顔すら出してないからなぁ……。

みんな、僕がいない間何をしてたんだろう。

 

何事も起きてないといいけど。

 

学校に行く準備を整えて、制服に着替えながら、ボケーッと考えていた。

 

「これでいいよ……ね?」

 

鏡を見ながら自分の姿を眺める。

 

最近、着替えたりする度に身だしなみとかに気を遣うようなってきた。

前まではこんなとこで気を遣うことはなかったんだけどね。

 

女の子になてから随分と変わったものだよ。

姿や形が違うだけで、ここまで変わるとは思ってもいなかった。

 

慣れって怖いなぁ……本当に。

 

……って、こんな下らないこと考えてないで行こう。

Fクラスがどうなっているか気になるし

 

こうして僕は家を出て、学校に向かった。

 

 

 

 

「んッ……にしても今日からFクラスかぁ」

 

流石にちょっといなくなっただけで、久しぶりな気もする。

 

Aクラスの生活に慣れてしまったものだから、またFクラスの生活に慣れないとね。

 

ちょっとした状況変化に慣れないとこの学園で生きていけない気がする。

 

……いや、今回は特殊な経緯で起きたことだから、二度とこんなことになるはずはないから、慣れる必要性はなかったじゃん……。

 

「あ! おはようございます、アキちゃん」

 

次は絶対にこんなことが起きませんよーにと願っていると、僕を呼ぶ声がしたので、僕は振り返る。

 

「ん? あ、佐藤さん。おはよう」

 

振り向くと、そこにはAクラス在籍の佐藤さんがいた。

 

「登校、ご一緒にさせてもらってもいいですか?」

 

「うん、もちろんだよ」

 

佐藤さんと友達になったあの日以来、2人で学校へ行ったり、帰ったりするようになった。

 

意外と家が近かったものだから、行きと帰りの暇潰しには丁度よかった。

 

……それに、佐藤さんともっと仲良くなりたいというつもりでもあるから……ね。

 

「そういえば、アキちゃんは今日からFクラスに戻るんですよね」

 

「うんそうだよ。今日からまた、Fクラスで活動再開だよ」

 

「ですよね。1週間もアキちゃんがいなかったから、Fクラスの皆さんは寂しい思いをしたんじゃないでしょうか?」

 

「あはは……そうかもね」

 

女の子が希少なFクラスのことだからね。

 

Fクラスの男子生徒共は僕がいないだけでも、かなり辛いだろう。

 

自分もあんな男だらけの場所にいるのは耐え難いだろうな。

 

どうか、秀吉と美並と姫路さんがFクラスの女子生徒として、役割を果たせているといいけど……。

 

「それなら、再会を祝って、コスプレ姿をお披露目したらいいんじゃないですか?」

 

「えぇ!? な、なんで……?」

 

佐藤さんの口から、唐突にありえない言葉が出たものだから、声が裏返ってしまう。

 

「だって、アキちゃんの姿がしばらくの間見れなかったなんて、Fクラスの皆さんもさぞかし、辛い思いをしたんじゃないですか?」

 

Fクラスのことだからあり得るかもしれないけど……。

 

「そうかもしれないけど、だからってコスプレするのは、話が別かと……」

 

「いいえ、関係あります! アキちゃんが見れなくて寂しい思いをしている人に、アキちゃんがコスプレを見せてあげるべきでしょう?」

 

「何、その無茶苦茶な理屈!?」

 

と言っても強い口調で言われたものだから反論できない……。

 

というか佐藤さんって、こんなキャラだったけ……?

友達になってから、かなり劇的な変化を遂げている気がするのは気のせい?

僕が佐藤さんのキャラに気付いてないだけ?

 

「という訳で、早速コスプレに着替えましょう。行きますよ」

 

僕の腕を掴んでどこかへ行こうとする佐藤さん。

 

「ちょ、ちょと! 僕はいったい、どこに行くの!?」

 

 

 

 

佐藤さんに手を引かれて、僕は学校の更衣室に連れて来させられた。

 

「あの……佐藤さん? なぜ僕をこんなところに連れてきたの?」

 

「それはもちろん、アキちゃんにコスプレをさせるためですよ!」

 

そう答えながら、自分のカバンを漁っている佐藤さん。

 

「え……もしかして、さっきの話を本気にしてるの!?」

 

「元から本気でした。冗談なんて言ったつもりはありません。これが衣装です!」

 

佐藤さんはカバンの中から衣装を取り出して、僕に手渡す。

 

「まさか、これを着ろと…………?」

 

「そうです、早く着替えてください、早くしないと遅刻してしまいます!」

 

ほらほら、と言わんばかりに押し付けられた。

 

「うぅ……分かったよ、着るから……」

 

どうしてこうなった……とばかりに、僕は佐藤さんが用意した衣装を着ることとなった。

 

そういえば、なんで佐藤さんはこんな衣装を持っているのかな?

もしかして、最初から着せるつもりだった…………とか?

 

Aクラス体験で散々、コスプレをさせられたというのに、次の週のしょっぱなから、コスプレさせられるとは……。

 

僕はコスプレの呪いにでも憑りつかれたのかな……?

 

 

 

 

「それで……言われた通り着てみたけど……」

 

「わぁ~……やっぱりアキちゃんにピッタリです! 買った甲斐がありました!」

 

「ところで、この衣装は何? また変わった衣装を用意してくれているけど」

 

「これは『リンナ警部は呼吸ができない』のリンナ・ミルフォードというキャラの

衣装ですよ」

 

「これも、マンガとアニメキャラの衣装なのか……」

 

またしても、マンガ、アニメキャラ衣装……。

 

この衣装はマンガや刑事ドラマでもお馴染みの警部が着る衣装であり、制服(?)みたいなものを下に着て、グレーのコートを羽織っている。

 

「こんな格好をさせるのはいいけどさぁ……なんで僕に着せるの?」

 

「もちろん、先程も言った通り、Fクラスの皆さんのためです、寂しい思いをさせたからには、その寂しい心を癒してあげるべきなのです」

 

と胸を張って言う佐藤さん。

 

そんな自信満々に言われても……。

 

言いたいことは山々あったが、着てしまったものは仕方ないし、また着替えるのが面倒なので、このままいくことにしよう。

 

佐藤さんがFクラスのことを気遣ってしてくれたことだし……ご厚意に甘えるか。

 

(まぁ、本音を言えば、アキちゃんのコスプレ姿を見たいからですけどね)

 

「ん? どうかした?」

 

「いいえ、何でもないです」

 

と首を振ってニコニコしている佐藤さん。

若干にやけ混じりな笑顔が少し怪しい気もした。

 

「それじゃあ、僕はもう行くよ……このコスプレは着ていくからさ……」

 

「はい、頑張ってくださいね。アキちゃん!」

 

「うん……頑張るよ」

 

何を頑張るのかは分からないが、とにかくFクラスに行かないと、遅れてしまう。

 

僕は更衣室を飛び出して、Fクラスへと向かった。

 

 

 

 

「ははっ……やっぱりここは相変わらずだな」

 

いつ誰が見ても、廃墟みたいにみすぼらしい雰囲気や外観。

Aクラスの時とは大違いだ。

 

Aクラスに居慣れたせいだろうか……。

以前よりもみすぼらしさが増している気がする。

 

変わってないのは分かってるけど、そんな気がするのだ。

 

さて、外観を拝んだところで、教室に入ろう。

みんな、どうしていたのか気になるし。

 

ここに来るのは久しぶりだったので、少しぎこちない手つきで、教室のドアを開ける。

 

「あ、アキちゃん! よくぞご無事で!」

 

「おお、戻ってきたか! Aクラスに行くと聞いたから心配したぜ」

 

「大丈夫!? Aクラスの奴らに何かされなかった!?」

 

「ずっと寂しかったぞ、アキちゃん! って、まさかのコスプレ姿で参上とは!?

1週間の初めからありがたいものを見させていただきました」

 

大勢のFクラス男子生徒が僕に詰め寄る。

 

「お、おはよう……みんな、久しぶり…………」

 

「本当に久しぶりだぜ、アキちゃん! さぁ、席にご案内するぞ」

 

と1人のFクラス男子生徒が僕の席へと誘導する。

 

なんだこの、どこぞのお嬢様のような待遇は……。

 

ええっと、そしてこの男子生徒の名前は……確か福村くんだったけな?

まずい、ここに来てなかったせいか、顔と名前を忘れかけている。

 

「はい、ここがアキちゃんの席だ。みんなで掃除と机の補修しておいたから」

 

少し顔を合わせてないからといって、そんなことしなくていいんだけど……。

 

「えぇ……わざわざ、ありがとう……」

 

「いやいや、礼はいらねぇよ。頼んでくれたらいつでもしてやるよ!」

 

そう言って、自分の席へと戻っていった。

 

席を見ると、補修されて新品同様の光沢を放つ卓袱台と、干したての洗濯物のような座布団があった。

 

なにはともあれ、ここまでしてくれたみんなには感謝しよう。

 

それにしても、懐かしい卓袱台と座布団だ……。

最初は居心地が悪かったけど、慣れると落ち着くんだよな。

 

腰を下ろして、席に座る。

 

ふぅ~……この座り心地、なんだか落ち着く…………やっぱり元のクラスが1番……かな?

 

「アキちゃああああああああん!!」

 

僕が自分の席でリラックスしかけていたところ、聞き覚えのある声と共に誰かが勢いよく抱き着いてきた。

 

「うわぁ……!? びっくりした、姫路さんか…………久しぶり」

 

突然のことに戸惑いながら言葉を返す僕。

 

「アキちゃん…………ずっと会えなくて寂しかったですよ……」

 

「ごめん、ごめん。僕だってこうなるとは思いもしなかったから……だから泣かないで、僕はもうどこにも行かないから」

 

姫路さんは泣きじゃくりながら、僕にずっと抱き着いたままだ。

 

たった1週間会えなかったからといって、本気で泣くことはない気がするけど。

よっぽど、男だらけの空間が辛かったのだろうか。

 

「あぁ……この抱き心地、この匂い…………もう離れたくないです」

 

く、苦しい……ちょっと姫路さん、そんな強く抱き締められると苦しいよ!

 

「あの、姫路さん……苦しいから、もう放してくれない?」

 

「嫌です! 後、1時間あっても足りません!」

 

いや、本当に苦しいんだよ! 思ったんだけど、姫路さんって結構、力が強いよ!?

うわぁぁぁ、本当に放してぇぇぇ! 息ができないぃ!

 

「おい、いい加減、放してやれ。明久が死んじまう」

 

横から声が掛かったので、首を横に向けると、赤髪のゴリr……雄二がいた。

 

雄二、遅いよ! もっと速く助けてよね!

 

「わかりました……アキちゃん。またしてくださいね?」

 

少し不服そうな顔をして、姫路さんは自分の席に着く。

 

「はぁ……やっと解放された……朝からいろいろと大変だよ……」

 

「それはこっちのセリフだ、お前がいない間苦労したんだぞ。

翔子に強制的にデートさせられたり、FFF団に追い掛け回されたり……。

Aクラスでいい思いをしている、誰かさんとは大違いだ」

 

「むっ……なんだよその言い方。元はといえば雄二が全部悪いじゃないか」

 

あたかも、こちらに非があるような雄二の発言に腹が立った。

 

今回の件は雄二がどう見ても悪い。

 

だからFクラスのみんなは怒っているんでしょうが!

僕も雄二の馬鹿馬鹿しい計画に振り回された被害者だから、Fクラスのみんなが怒るのは痛いほど分かるよ。

 

というか、1番ひどい目にあったのは僕だからね。

まぁ、Aクラスは楽しかったと言ったら、楽しかったけど。

 

このことについては、まだ話が終わってなかったな。

ここで雄二と話をつけないとね。

 

なんなら処刑も再開したいところ。

 

「よく言うぜ、どうせAクラスで仮装して、楽しく快適な生活を送ってたんだろ」

 

こいつ、あくまでも僕に罪があるようにする気だな?

 

「仮装するのがどんだけ恥ずかしいか分からないくせに、わかりきった風に言わないでよ!」

 

「そんならなぜ、今そんな格好しているんだ? その恰好で言われたって説得力は皆無

だぞ」

 

「こ、これは好きでやってる訳じゃないよ! 佐藤さんが着ろって言ったから着てるの!

別に僕の本心でやってる訳じゃないの!」

 

「そんな理由だけで着るなら、もう好きでやってるのと同じだろ?」

 

ぬぅ……そうかもしれないけど、決して好きでやってる訳じゃないんだ。

本当だから……。

 

「ちゃんとした理由になってるよ! というか、話の論点がずれてるよ!

あの時、雄二が負けたせいでこうなったんでしょうが!」

 

「ああ、確かに負けたな! だがな、よく考えてみればお前が久保を倒せばよかった話じゃねーか!」

 

開き直っちゃったよ、この人!?

人を捨て駒扱いしたのはどこのどいつだ!

 

「雄二だって久保くんに勝てないでしょ! どうせ、手も足もでないくせに!

なんなら雄二が捨て駒になっておけばよかったじゃないか、この馬鹿クラス代表!」

 

「なんだと!!」

 

「何!? やる気!?」

 

僕と雄二はお互いに立ち上がり、掴みかかろうとする。

 

「貴様らは朝から随分と仲がいいな」

 

「「どこがd……あ…………」」

 

殴り合いになる寸前で、横から西村先生が入ってきた。

 

「「西村(鉄人)先生、おはようございます」」

 

「何が『おはようございます』だ! 悠長に挨拶せず、早く席に着かんか!

そして坂本! 西村先生と呼べと、毎回言ってるだろうが!」

 

ドゴッ←雄二が頭にげんこつを喰らう

 

「ぐおぉッ!?」

 

ビスッ←僕がデコピンを喰らう

 

「ギャッ!?」

 

うぅ……デコピンとはいえ、西村先生のごつい指でされると、たまったもんじゃない。

額に穴が開きそうな感覚……。

もう、こうなったのは雄二のせいなんだから! 後で覚えておいてよ!

 

「うぅぅ……なぜ俺はげんこつで、明久はデコピンなんだ……」

 

「俺も、なぐる相手を選ぶ時は選ぶ。男女の見境がないと思うなよ?」

 

そうだよね……今の僕の身体で殴られたりしたら、病院送りにされてもおかしくない。

当たりどころが悪ければ、死ぬ可能性だって大いにある。

 

何が何でも今後は殴られないように気をつけよう……。

 

「そんなことより、1週間ぶりに戻ってきたというのに、今日も仮装か?

その恰好はなんだ? あ●ない刑事ごっこでもしているのか?」

 

「そんな遊びを、今どきの高校生がやるとは思えませんけどね……」

 

1986年に放送された、ドラマの遊びをする高校生がどこにいるというんだ。

というか、そんな遊びをしている子供が当時いるとは思えないけれど。

 

「まぁいい……。別にやるなとは言わんが……せめて、学習に臨める恰好でいろ」

 

呆れたような口調で言い、西村先生は出席をとるために教卓に上がる。

 

久しぶりのFクラスだけど、あまり変わってない様子で、少し安心した。

 

こうしてまた、Fクラスでの学校生活が始まった。




Aクラス体験が終わって、早々、コスプレネタを出しました!(笑)
実は今回のコスプレは活動報告でアキちゃんに着せたい仮装を募集したのですが
結構多く来たため、採用できなかった人もいました。

ですが、何かもったいなくない!?
と思い、粉雪吹雪さんの意見をこの場で採用させていただきました!
本当はAクラス体験で出したかったのに、こんな場所で出してしまい申し訳ないです!

ですが粉雪吹雪さん、あなたの意見は無駄になりませんでしたよ……!

ありがとうございました! そしてこんな形で申し訳ないです!!<(_ _)>

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