明久「僕が女の子に!?」   作:白アリ1号

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ちょっと久しぶりに買い換える前のPCで投稿しました。
※一応、まだ使えるので、作業用としてたまに使っています。

使ってみると、数ヶ月前がとても懐かしく思えます。(´-`).。oO

そんな中、今回でアキちゃんのAクラス体験は最終回となりました!
皆さまの衣装提案と応援などのおかげでここまでくることができました。
誠にありがとうございます!<(_ _*)> アリガトォ
振り返ると、結構長かったようで、短かったような気がします。

最終回も惜しむことなく執筆しました。
楽しんでいただけたら幸いです。




52話 Aクラス体験6

sideアキ

 

 

翌日の金曜日。

 

今日は僕の長かったようで、短かったAクラス体験も最終日を迎える。

 

思い出せば、いろいろと恥ずかしい思いをしてきたなぁ……。

実を言うと結構トラウマになってたりするんだよねぇ……。

 

でも、なんだかんだ言って、Aクラス体験は楽しかった。

Aクラスでの習慣や学習について知ることができたし、新しい出会いや経験も沢山ある。

 

いつものFクラスより快適で楽しい時間だったけど、今回で終わってしまうのが、なんだか惜しい気がする。

 

最初はあんなに嫌だったっていうのに、どうして今はこんな心境なんだろうなと、最初の自分が不思議に思えてくる。

 

そんな中、僕はいつも通りAクラスの更衣室にいる訳だが、今回は衣装の着付けが、やけに大掛かりだった。

 

今回はなんと女子生徒が5人、僕の衣装の着付けを手伝うことになっている。

 

Aクラスのみんなは「最終日だから盛大に!」と張り切っている。

最終日だからといって、僕の衣装まで盛大にしなくていいんだけどな。

気持ちはわからなくもないけれど。

 

「さぁ、アキちゃん。早速服を脱いで頂戴」

 

「あ、うん」

 

僕は言われた通り制服を脱いでいく。

女子が5人いる中で、服を脱ぐのは流石に恥ずかしくて仕方ないけど……。

 

女同士だから気にしない精神で、制服を脱ぎ、無防備な下着姿になる。

 

「うひゃ~、下着姿のアキちゃんが見れるとは……眼福に感謝!」

 

「着付け担当で本当によかった! なれなかった人はかわいそうだけど」

 

「もうこのままでいいんじゃない? この姿で全然いいんだけど!」

 

いや、よくないからね!?

そんなことしたら、学校問題どころの騒ぎじゃ済まないからね!?

 

冗談だとしてもなかなか笑えない。

 

「それじゃあ、衣装を着せるわね。みんなで最高の最終日するのよ!」

 

「「「おー!!!」」」

 

1人の掛け声とともに、着付け担当の女子生徒はテキパキと僕に衣装の着付けをしていく。

 

着せている衣装はいったいなんだろうな?

最終日だし、みんな張り切っているから、すごいものが来る予感。

 

「はい、ここに腕を通して」

 

「はいはい」

 

「次、バンザイしてー」

 

「はいはい」

 

「じゃあ、少しお腹引っ込めて」

 

「は、はい……」

 

手間の掛かる衣装だなぁ……。

 

見た感じ、派手で豪華な舞台衣装だった。

赤をメインとしたドレスで、上品であり、可愛らしさも多少感じられる。

 

少し気になったのは、前の足から股間の部分までが透けている布地でできており、パンツが見えてしまいそうな構造だったこと。

 

歩く時に用心しないと……。

そこを除けば、本当にすごい衣装なんだけど……しかし、よく用意できたな、こんなの。

 

「よし、後は胸を留めるだけね。もう1回バンザイして」

 

「はいはい」

 

僕は言われた通り、両腕をまっすぐ上に伸ばす。

 

「よーし、それじゃあ…………あれ……?」

 

少し間が抜けた声を上げて、女子生徒の手が止まった。

 

「急にどうしたの?」

 

「い、いや、なんでもないわ」

 

また手を動かして、作業を再開する。

 

チラッと見下ろすと、胸のボタンを留めるのに苦戦している様子。

 

大丈夫かな……?

 

「よし、なんとかできた!」

 

やっとボタンを留めることができたようだ。

 

それはいいんだけど、胸元が苦しい……。

 

これはまさか、サイズを間違えたのかな?

採寸とか行ってなかったし……。

 

それよりも、これきつい!

胸が潰れそう……!

 

とても胸が苦しい。

かなり締め付けられて、胸が圧迫されている。

 

プツン

 

すると、衣装のボタンの耐久が限界を突破して、勢いよくボタンが外れて飛んでいく。

それと同時に、圧迫から開放されて踊り出る僕の胸。

 

「…………」

 

「「「…………」」」

 

しばらく更衣室の中に沈黙の状態が続いた。

 

「……こうなったら、やるしかないわね」

 

すると1人の女子生徒が声を上げる。

 

「こうなったら、おっぱい増量よ! 衣装の胸部をアキちゃんのカップに合わせるのよ!」

 

「「「おー!!!」」」

 

「ちょっとぉ!? そんな恥ずかしいこと大声で言わないでよ!?」

 

今の声は外にいる人達に聞こえてないといいけど……。

 

 

 

 

あれから数分後、やっと衣装の調整も終わり、今度こそできた。

 

これが最後のお披露目だ。

やっと…………やっと開放される……。

 

「行くわよ、アキちゃん。これは大好評間違いなしね!」

 

1人の女子生徒はやけに興奮気味だ。

 

「はは、それはどうだかなぁ」

 

「絶対にそうだよ! 私が保証するから!」

 

もう1人の女子生徒も言う。

 

なぜ、着付けをした人には自信があるんだろうな。

 

「とにかく、見てもらわないと結果は分からないわよ! Let's go!」

 

女子生徒に背中を押されるように更衣室を出る。

 

「はい、みんなー! 注目! アキちゃんの最後の衣装よ!」

 

出た途端、注目を寄せ集めるように呼びかける女子生徒。

 

「おお! ネロちゃんの衣装じゃん! クオリティがすごい……!」

 

「最終日に相応しい衣装ですなぁ……いや~、本当に可愛いし美しい……まるでどっかの国のお姫様のようだな」

 

「何言ってるんだよ。アキちゃんは元からお姫様だろぉ!?」

 

「お、そうだな」

 

お姫様って……。

綺麗なドレスを着ればみんなお姫様になれるのかな……?

 

こんな体験、僕がしてしまっていいのだろうか……、

 

「うわぁ、とっても似合ってるよ! 吉井クン!」

 

と工藤さん。

 

「はは、工藤さんはいつも。そういうコメントばっかりだなぁ」

 

「だって、本当のことなんだもん。じゃあ、いつも通りのハグ」

 

そう言って、何の違和感もなく抱きつく工藤さん。

 

何で「じゃあ」になるのか意味がわからないけど。

 

「本当にアンタは吉井くんにベタベタなんだから……吉井くんのことも少しは考えなさいよね」

 

呆れたように、木下さん。

 

「大丈夫だよ木下さん。こういうのは慣れたから」

 

この1週間でいろんな女子から抱きつかれることになったことだから、嫌でも自然と耐性が着くようになったんだよね。

 

思い返すと、まるでテディベアみたいな扱い……。

 

「そう……ならいいわ、後でアタシにもしてね」

 

「うん、いいよ……って、なんで木下さんまで……?」

 

1週間前の木下さんはこんなこと言わなかったのに。

僕だけに限らず、木下さんまで変わっているような……。

 

「それにしても、今回はゲームキャラなんだね。髪型も変わっててすごくいいと思う」

 

抱きつきながら言う工藤さん。

 

「うん、『どうせなら髪型も!』って言われたものだからね」

 

ちなみに自分の髪はシニヨンという結い方をしている。

 

髪が長かったからできたんだよな~、この髪型。

 

「アタシと愛子の髪の長さじゃ、到底できないわねぇ」

 

自身の髪を触りながら、苦笑する木下さん。

 

「髪なんて、自分がいいと思った長さがベストなんだけどね」

 

僕は今の長さでいいと思っている。

不便なところも多々あるけど、これが落ち着くというか……下手にいじりたくない。

 

「おーい、アキちゃん! ちょっとこっちに来てくれない?」

 

どこからか僕を呼ぶ声がした。

 

 

 

僕は呼ばれるがまま、自分を呼んだ声が聞こえた、Aクラスの教室の後ろに向かう。

 

「急にどうしたの? 櫻井さん」

 

呼び主は櫻井さんでした。

 

「アキちゃん。実はね、今回でアキちゃんがAクラスにいるのが最後でしょ?」

 

「うんうん」

 

「だからね、最後にみんなで記念撮影しようと思うんだ」

 

「うん……?」

 

記念撮影か……。

 

今回で僕はAクラスからFクラスに戻るから、最後にサプライズ的なことをするつもりなのかもしれない。

 

僕1人のためにしてくれるのが申し訳ない気がする。

 

「いいんじゃないかな? なんの記念になるかはわからないけど……」

 

「そうだよね! それじゃあみんなを集めるからちょっと待っててね!」

 

櫻井さんはみんなを集めに、どこかへ行った。

 

 

 

 

しばらくして、教室の後ろにAクラス在籍生徒が一同集まり、縦3列に並んで、集合写真を撮るような形になる。

 

僕はなぜか主役として、1番目立つ1列目の真ん中。

しかも、全員制服の中なので、衣装がなおさら目立つ。

 

場違い感が目に見える光景な気がするけど、いいのか? これで。

 

「アキちゃんのお隣、いただいちゃいました」

 

横でクスクス笑っている佐藤さん。

 

「美穂、アンタって昨日から吉井くんと仲いいわね……しかもアキちゃんなんて呼び名になっているし……何かあったのかしら?」

 

「いいえ、別にどうということはありません。アキちゃんとはそういった関係、ただそれだけです。そうですよね、アキちゃん」

 

「うん、そういう関係」

 

木下さんは意外に思ったらしく、少し驚いた表情を見せた。

 

「ふ~ん、そうなのね……道理で美穂と休み時間に一緒にいた訳だわ」

 

「あはは、よく見てたんだね、木下さんは」

 

「よーし、みんな集まった? 用意はいいかな?」

 

そんなやり取りをしていると、櫻井さんからの声がかかった。

 

「とっくにできてるよ~……並ぶだけのことだからな」

 

僕の真後ろにいる男子生徒がそう答えた。

 

「うん、それなら、写真部の田中くん! 撮影よろしく!」

 

「ほいほい、いい記念写真が撮れるよう頑張りますよ」

 

撮影は写真部がするのか。

部活動意外でも、こんな場面で活躍するんだな。

 

しかも性能がよさそうな一眼レフを使っている。

カメラのことについてはよく知らないけど、見た目からしてそう見える。

 

もしかして、ムッツリーニの影響かなぁ……?

 

「んー、じゃあ撮るぞ、いいか?」

 

田中くんは一眼レフを構える。

 

「いいよ、準備完了」

 

「そんなら行くぜ…………1+1は?」

 

櫻井さんが合図を送ると、田中くんは集合写真ではお決まりのセリフを一言。

 

「「「にぃー」」」

 

みんな揃って笑みを見せた瞬間、パシャっとシャッターを切る。

 

「よっしゃ、我ながら上出来。現像が終わり次第配るから、楽しみにしとけよ~」

 

 

 

 

写真撮影も終わり、授業も終わり、放課後となった今。

ついにAクラス体験が終了した。

 

もう次から僕はAクラスの生徒ではなく、元のクラスだった生徒に戻る。

 

「吉井クン、またAクラスに来てね! いつでも歓迎するから」

 

「ありがとう工藤さん、またいつか、ここに来るから」

 

「絶対にだよ! 約束だからね!」

 

「うん、約束する」

 

僕と工藤さんはお互いに約束と抱擁を交わす。

 

「私からもお願いします。また来てくださいね、クラスは違っても気軽に立ち寄ってください」

 

「うん、また来るからね、佐藤さん」

 

絶対に来るよ、必ずね。

 

「はい、吉井くん。今朝撮った記念写真よ」

 

木下さんは現像された写真を僕に渡す。

 

「ありがとう、木下さん」

 

「どういたしまして、その写真は大事にしなさいよ? いい?」

 

もちろんだ、大事にする……いや大事にしないといけない。

 

「吉井くんがいて、にぎやかな1週間だったよ。ありがとう、吉井くん」

 

「お礼を言うのはこっちだよ。久保くん」

 

隣の席にいる時、ずっと楽しかったよ。

授業についていけない僕をフォローしてくれてありがとう。

 

「……また来てね……Fクラスに戻ったら雄二のこと、よろしく」

 

「うん、また来るよ、雄二が浮気しないよう。しっかり見張るから」

 

雄二のことはは心配しないで、僕に任せてよ。霧島さん。

 

「みんな、ありがとう。また来るからね、絶対に!」

 

僕はそう言って、記念写真を大事にしまって、コスプレ姿のまま、帰路に着いた。

 

この行為は冷静になって考え直すと、すごく愚行だった。

けど、まぁいいか。




最終日はなんとザルバさんが提案してくれたFate/EXTRAの赤セイバーの衣装でした!

Fateの衣装っていいよね!?
作者自身は個人的に大好きです!
あのファンタスティックで、男心をくすぐられるデザイン!

どんな衣装か気になる方は「赤セイバー」でGGってください。(・ω・)ゞ

やっと完結しました。(*´-ω-`)……フゥ

面白いと思っていただけたらいいなと思っています。


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