明久「僕が女の子に!?」   作:白アリ1号

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結末はいかに……? (゚д゚;)


43話 アキちゃんVS久保利光

sideアキ

 

 

「それでは3回戦目を始めます。代表の方、どうぞ」

 

と高橋先生の掛け声と共に前へ出る。

 

3回戦目は雄二の悪知恵のおかげで、僕と久保くんの真剣勝負となった。

科目はAクラスが決めて総合科目になった。

 

総合科目となると……うん大体予想はつく。

もう、玉砕覚悟のダメ元で行くしかない。

 

「アキちゃん頑張れー!」

 

「久保なんかに負けるな!」

 

「アキちゃん愛してる!」

 

Fクラスのみんなからは必死の声援が送られてくる。

 

いや待て、最後のやつは応援なのだろうか……?

 

まぁいい、応援ありがとう。

 

と心の中でお礼を言っておく。

 

「あの……そろそろ始めてもよろしいでしょうか?」

 

戦う前だというのに、緊張感のないやり取りを見せてしまった。

 

すみません、高橋先生。

 

「はい、では行きます。試獣召喚(サモン)

 

「行くよ、吉井くん。試獣召喚(サモン)

 

僕と久保くんはお互い、試召喚獣をする。

 

 

 

総合科目

 

 

 

2ーA 久保利光 4250点

 

VS

 

2-F 吉井アキ 3682点

 

 

 

おおぉ……流石、学年次席の久保くん。

学年次席という名の実力は伊達じゃないな。

 

格の違いを見せつけられて、思わず怖気づいてしまう。

 

僕の召喚獣はいつもお馴染みの胸にさらしを巻いている改造学ランに太刀。

 

対して久保くんは袴と……大鎌?

いかにも死神などが持っていそうな大鎌だ。

 

もしかすると一瞬で首を持っていかれちゃったりして……?

死神を相手にするのって、こんなにも怖いのかな……。

 

「かなりの努力を積んできたようだね。吉井くん」

 

強者の余裕なのか、僕の点数を感心しながら見ている久保くん。

 

「うん……でも、久保くんには及ばないよ」

 

一騎打ちの代表に選ばれるなんてこと、期待はしてはいなかった。

けれど、念のためと思って、苦手教科を予習したんだけどね。

 

「点数が負けてもその努力があれば勝機は十分あると思うよ? 僕は吉井くんのその努力に負けないよう、本気で行かせてもらうよ」

 

「ぼ、僕だって本気で行くよ……! 『Flameblade』」

 

負ける気しかしないけど、攻めて一矢報いなければ……。

最初から本気でかからなければ、即敗北してもおかしくない相手だ。

 

なので、自分専用の腕輪『Flameblade』を発動する。

僕の召喚獣が持っている太刀の刃が赤く光って真っ赤な炎が燃え盛る。

 

「せぇいッ!」

 

その状態から、久保くんに太刀を大雑把に振る。

 

「ッ!? これはなかなか面白い腕輪じゃないか」

 

久保くんは咄嗟に防御態勢をとって、あっさりと攻撃を受け止めるが、追加効果がプラスされていたので、完全には防げた訳ではないようだ。

 

「はぁッ!!」

 

僕は久保くんを追撃するように反時計回りに薙ぎ払う。

 

「同じ手は通用しないよ!」

 

久保君は僕の動きを予測していたのだろう、素早く後退して僕の攻撃をかわす。

 

「次はこっちの番だ!」

 

いつまでもやらせる訳にはいかない久保くんは、反撃を仕掛けてくる。

 

大鎌を右から左に回転しながら振り回す。

 

次に横なぎ払い、そこから踏み込んで、真上から振り下ろす。

 

「うぅ……速過ぎてよく見えない……」

 

防御がワンテンポ遅れて、何度かダメージを受けてしまった。

かすった程度だが、かすり傷では済んでいない。

 

これは攻撃を受けないようにと細心の注意をしなければ……。

まともに食らったら、もうそこで終わる。

 

「まだまだ行くよ!」

 

久保くんは容赦なく突っ込んでくる。

 

僕も負けじと腕輪の効果を上手く使い、久保くんに僅かながらもダメージを与えていく。

 

「おおー! いいぞ、アキちゃん! そのまま、そのまま!」

 

「頑張れ! そこからカウンター!」

 

戦いがヒートアップしていく度に応援の声が激しくなってくる。

 

当事者である僕と久保くんはそれどころではなく、耳には届きそうにないけれど。

 

ふぅ……なかなか差が縮まらないなぁ。

これ以上やられると確実に相手が優勢になって、先に倒れるのは僕だ。

 

何かいい方法は……あ、そうだ。

 

「もうこうなったら、奥の手!『ドレスチェンジ』」

 

少しでも形勢が傾くようにと、『ドレスチェンジ』を発動する。

 

すると僕の召喚獣の身体が光ってシルエット状態になる。

そしてシルエットの光が一気に消えてなくなり、僕の召喚獣が衣装と武装が変化していた。

 

衣装は黒色のシスター服(修道服)で胸には十字架のペンダントがつけてある。

結構動きにくそうな気がするけどまぁよしとしよう。

そして武装は……聖剣(?)らしきものを持っている。

 

これは多分……RPGを長年やってきた僕からみたら聖剣『デュランダル』だろう。

紫色のラインが入っており、まるでファンタジーな世界を連想させるような、美しい形をしている。

 

「吉井くんもまた、面白い腕輪を出してきたな……それじゃあ、こちらも『hellmode』」

 

こちらに対抗するよう、久保くんも腕輪を発動してきた。

 

すると久保くんの召喚獣が持つ大鎌が青黒く染まり

まるで本当の死神を思わせるようなオーラを放っている。

 

「ここで決めるよ……覚悟しておいてよ、吉井くん」

 

久保くんは小さく何かをつぶやいて、大鎌を大きく振りかぶる。

すると大鎌の刃の形をした青黒い炎が飛んでくる。

 

ズバッ!

 

「うわッ! 久保くんの腕輪もチート並にすごい!?」

 

僕の召喚獣の頬あたりに、わずかながら当たった。

 

そんなことを思っている間にも、容赦なく青黒い炎は飛んでくる。

 

わわッ! これは危ない……! というか、死ぬッ!?

 

僕は咄嗟に当たりそうになった、青黒い炎を聖剣で防御する。

すると、聖剣に当たった青黒い炎は一瞬で消えてなくなり、黒い煙だけが残る。

 

ん? 今のはいったい?

 

「えっと……? これは……」

 

まさか……いや、いくらなんでも……。

 

僕は半信半疑になりながら、飛んでくる炎を召喚獣の持つ、聖剣で受け止める。

 

ボシュッ

 

抜けるような音を立てて、炎が即座に消える。

 

えぇ……こういうことだったの……。

 

まだよくは分からないものの、どうやら、この召喚獣の装備は聖剣の加護(?)を得られるようだ。

 

「なるほど……いろいろツッコみたいけど、一応それに感謝して……このままいくよ!」

 

僕は弓矢のごとく、飛んでくる青黒い炎を聖剣で受け止めながら、敵との距離を縮めていく。

 

「……どうやら、これは通用しないようだね」

 

そんな状況を見た久保くんは、意味がないと分かった途端、攻撃を一旦ストップして態勢を変える。

 

「そこだぁ!!」

 

僕はその隙を逃さず、久保くんの召喚獣を斬り付ける。

 

「これでラストだ!」

 

久保くんも大鎌を振り上げて、僕の召喚獣に斬りかかる。

 

ズサッ!

 

タイミングはほぼ同時だった。

だが、久保くんの召喚獣の攻撃が一枚上手だった。

 

僕の召喚獣の腹心部に、大鎌の先端が深く突き刺さっている。

 

 

 

総合科目

 

 

 

2ーA 久保利光 1078点

 

VS

 

2ーF 吉井アキ DEAD

 

 

 

「勝者、Aクラス」

 

その言葉と共に、僕は力が抜けて、その場にへたり込む。

 

どんなにやっても、久保くんには敵わないか……悔しいけど……僕の負けだ。




(´;ω;`) アキちゃん残念!


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