明久「僕が女の子に!?」   作:白アリ1号

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さぁ夏休み編は後半に突入!
なかなか、完結のさせ方が思いつかなかった作者。(´・ω・`)
完結のしかたは我ながら結構ビミョーです。




30話 お泊り会

アキside

 

 

「夏休みもあと少しだな」

 

8月のカレンダーを見ながら腕を組む雄二。

 

「いろいろとあったからね。すぐに過ぎるよ」

 

今は雄二の家で残りの夏休みの計画を立てていた。

夏はいよいよ8月の下旬に突入している。

 

「ん~、何かやり残したこととかないか?」

 

考えるのが面倒になってきたのか、言い出しっぺの雄二は無責任ながら、

誰かに話題を振る。

 

「やり残したことね~……う~ん、僕は特にないけど」

 

「ワシも十分満足しておるぞい。あっという間じゃったな」

 

「……いいものが沢山撮れた……夏休み明けの経営はバッチリ」

 

「ウチもいっぱい楽しめたし、何も文句ないわ」

 

「アキちゃんのあんな姿やこんな姿が見れただけでもよかったです」

 

と一同は特に何も食い付かない。

 

今年の夏休みは普通に充実していただろう

 

現にみんなはやりたいことがなくなるくらい遊び尽くしていると思うし、

僕もやり残したことがあるなんて思いもしない。

 

だからこそ残りの休み期間をどう過ごすかが悩ましいところ。

 

「そうか…………おかしいな、何かを忘れてる気がするんだが……」

 

雄二はまだやりたいことでもあるのだろうか?

いったい何を忘れてるというのだ?

 

僕を含めた全員が雄二の姿を見て、疑問のまなざしを向けていた時のこと。

 

「ああぁぁ!! 思い出したぞ! まだ夏休みの宿題ぜんぜんやってねー!」

 

「「「あ」」」

 

雄二の叫びを聞いた僕と秀吉とムッツリーニは重要なことを忘れていた事実に気づかされ、顔が真っ青になる。

 

そうだ……そういえば僕たちは夏休みに入ってから遊んでばかりで、

宿題の存在に気づいてなかったんだ……。

 

「ど、どどどどどうする? 一旦お落ち着いて考えろ。もう夏休みは10日もないぞ」

 

「考える前にまずは雄二が落ち着いてよ……って、もうそんなに夏休み過ぎてたの!?

どうしよう……何も課題に手をつけてないよ……」

 

「言い難い話なのじゃが……ワシも正直、そこまで終わっていないのじゃ」

 

「……俺もだ……」

 

夏休みの宿題の存在を綺麗サッパリ忘れてしまっていた。

 

誰だ? さっきまで、やりたいことはもうないとかほざいてた奴は。

 

もしも宿題が終わらなかったら2学期早々、西村先生から過酷と言っていいほどの補習と罰を受ける。

 

なんとしても宿題を片付けなければ、夏休み明けの地獄を見ることになる。

 

「美波は終わったの?」

 

雄二の一言を聞いてたから、ほぼノーリアクションの美波に尋ねる。

 

「昨日、やっと終わったところよ」

 

美波はちゃんとやっているんだね……。

こういう時は真面目なんだから。

 

「じゃあ、姫路さんは?」

 

「7月中に終わらせましたけど……?」

 

「はやっ!?」

 

あれだけの量を難なく終わらせるとは、流石姫路さん。

Aクラス並みの成績は伊達じゃない。

 

うぅ……こうなったら、奥の手を使うしか……。

 

「姫路さん、ちょっといいかな?」

 

ガシっと姫路さんの肩を掴んだ。

 

「は、はい……なんでしょうか……?」

 

 

 

 

という訳で……僕の家で夏休みの宿題をすることを兼ねたお泊り会をすることになった。

 

「そんじゃ、じゃまするぞ明久」

 

雄二に続いて、他のメンバーもぞろぞろと入ってくる。

 

「うん、とりあえず上がって、その辺で適当に座ってて」

 

今から雄二、ムッツリーニ、秀吉、美波、姫路さん、木下さん、

工藤さん、霧島さん、このメンバーで今から夏休みの宿題をすることとなった。

 

泊まるメンバーは、秀吉を除いた女子の全員。

 

雄二とムッツリーニと秀吉は、男が女の家に泊まるってのはないだろ。

というような内容を言われたので、夏休みの宿題をやってそのまま帰ることになる。

 

「じゃあ、愛子は土屋くんの宿題を見てあげて。姫路さんと島田さんとアタシは

吉井くんと秀吉の宿題を見るから」

 

「まっかせて~、ほらやるよ」

 

「……お手柔らかに……」

 

「……私は雄二担当」

 

「すまん翔子、世話になる」

 

木下さんに指示されて、宿題が終わっている組が終わってない組を支援する形に。

 

このメンバーの中で夏休みの宿題が終わっているのは美波、姫路さん、木下さん、工藤さん、霧島さんだ。

 

女の子の中で終わってないのは、僕と秀吉のようだ。

 

「それなら、吉井くんと秀吉は分からないところを見せて頂戴」

 

「ええっと、この問題だよ」

 

「ワシはここなのじゃ」

 

それぞれ木下さんに理解できない問題を見せる。

 

「ん……あ~ここはxにyを足したら5になるから――」

 

ジッと問題を見つめた後、木下さんはすぐに解説を始めた。

 

見ただけですぐに教えられるあたり、教える側の役割に手慣れているみたいだ。

 

「それで、ここに2を移行して――そのまま9になるから――」

 

小1時間くらい経った頃には、ほとんど教えられずに解けるようになってきた。

 

というより、教えられればすぐに解ける状態になってて案外、簡単だった。

 

「アキちゃん、問題を解くペースが早いのじゃ……ワシには追いつけぬ」

 

「そ、そうかな? 意外と解けるものだけどね……」

 

「ワシも女子だったら、早く解けるかもしれないのじゃ……アキちゃんが羨ましいぞい」

 

「もう……秀吉も、女の子でしょ」

 

「いや、男じゃぞ!?」

 

秀吉に言葉を返しながら、ペンを動かしていく。

 

「かなり早いわね…………しかも、全問正解よ」

 

これには木下さんも驚いていた。

 

う~ん、ただ普通に解いてるだけなのに……そこまで早いのかな?

 

「この調子なら今日中に終わりそうね……もうひと踏ん張りよ」

 

「頑張りなさいよ、アキ」

 

「終れば楽しいお泊り会ですからね」

 

教える組に言われるがまま、僕はひたすらペンを動かして、問題を解いていった。

 

 

 

 

あれから5時間後、夏休みの宿題はすべて片付いた。

これだけ早く終わったのは、みんなから教えてもらったおかげであろう。

 

「ふぅ……やっと終わった~」

 

大きく息を吐いて、頭を使った疲れがドッときてぐったりする。

 

「頑張ったわね、吉井くん」

 

木下さんはにこやかな表情で僕の頭を撫でる。

 

ん……頭撫でられるのって、やっぱり気持ちいいかも。

 

「えへへ、ありがとう。木下さん、美波、姫路さん」

 

「「「どういたしまして」」」

 

あれだけ山積みだった宿題を終わらせることができたのは木下さん、美波、姫路さんのおかげだ。

 

3人には大いに感謝している。

 

ちなみに雄二の方は……

 

「助かった翔子……全部終わった訳ではないが、なんとか終わらせそうだ……」

 

机に突っ伏して、気が抜けたような声を出していた。

 

やっぱり雄二には、何時間も連続でするのはきつかったかもしれない。

 

「ほらほら、ガンバって。この問題を解いたらおしまいだよ」

 

「……もう限界だ……」

 

ガクッと頭が下がる。

ムッツリーニもついに限界がきたようだ。

 

「とりあえず、今回はこれまでにしようぜ……俺たちはもう帰る」

 

「ワシもここまでにするのじゃ」

 

「……俺も……」

 

雄二と秀吉とムッツリーニは勉強道具を片付け始める。

 

「そっか、じゃあまたね」

 

「おう、またな。お泊り会、楽しめよ」

 

「失礼するぞい」

 

「……おじゃました……」

 

ここで3人は帰って行った。

 

始業式までに無事に宿題を終らせているといいけどね。

 

そして一方、秀吉を除く女子のみんなはこのまま家に残る。

今からお泊り会が始まるのだ。

 

「さて、今からどおする?」

 

「そろそろご飯の時間だから、夕飯にしましょう」

 

自分のカバンに勉強道具を詰めながら木下さんは言う。

 

「じゃあ、出前か何かを頼もうか。ここは台所が狭いからね……」

 

みんなで何か作ろうと思ったけどキッチンが狭いし、そもそも全員分の食材もない。

 

なので結局、出前を頼むことにした。

 

 

 

さっさと食事を済ませて、午後の9時になったところだった。

 

「お風呂に入ろうか。僕の家の風呂は2人ずつしか入れないけど?」

 

そこまで広くはないので、スペース的に2人が限界かも。

 

「それなら、誰かと一緒に入るんだねぇ~……誰と一緒に入る?」

 

工藤さんの一言で僕以外のみんなは考え込む。

 

すると、何かヒソヒソと話し合いを始めた。

 

僕を置いて何を話し合っているんだろう?

 

「いいわね? 負けても文句なしよ」

 

「いつでもいいよ☆」

 

「絶対に勝ってみせます!」

 

「これは、負けられないわ」

 

「……私が勝つ」

 

「それなら、行くわよ!」

 

「「「じゃーんけん……ポン!!!」」」

 

木下さんの掛け声と共に、じゃんけんバトルが勃発。

 

あのー…………何で僕はじゃんけんに参加しないの?

 

いきなり僕以外の女子全員が繰り広げる勝負に、ただただ置いて行かれる僕だった。




お泊り会って、前回の山の話と同じ感じですが
極力、ネタがかぶらないようにしたいと思います。

えっと、活動報告にてアンケート開始しました。
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