明久「僕が女の子に!?」   作:白アリ1号

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今回から花火大会の話です。
皆さんは花火大会に行きましたか?

作者はもちろん行きましたよ!

友人とね……。(´・ω・`)
花火を見ている最中アキちゃんが彼女だったらいいなとずっと考えていました。

妄想してニヤニヤして、友人に肩を叩かれ現実に戻される夏はいいよねぇ。(白目)


22話 花火大会にて

sideアキ

 

 

いよいよ本格的に夏の季節となってきた8月の初日のこと。

 

「うぅ……クロスボーンガンダムX1強すぎる……セブンソードでも勝てない……」

 

テレビ画面に映る敗北。

 

本気を出しても勝てないのかとガクリと肩を落とす。

 

という風に僕は今日も暇人の鏡のような生活を送っていた。

 

傍から見れば時間を有意義に過ごせてない惨めな姿に見えるが、今夜は違う!

今夜は年に一度の重大イベント、花火大会があるのだ!

 

去年は訳あって見ることができなかったから、今年こそは見ておきたいところだ。

 

浴衣を着た美少女をナンパするのもいいかもね!

今年中に彼女を作る絶好の機会かもしれないし。

 

……………………。

 

「あ、そういえば僕、女の子だった」

 

危ない、いろんな意味で我を忘れていた。

 

この身体で女性にナンパを仕掛けたら、間違われて同性愛者のレッテルを貼られる未来が目に見える。

 

いや、僕はもともと男だったし身体は変わっても、心は女の子になる訳ではないような……。

 

そう考えたいところだが、現に女の子の生活に慣れて心情も少しずつ変化しているような気がするのでなんとも言えなかった。

 

あああもう、いいですよーだ。

どうせ友達と行くから寂しくないですよ。

 

赤信号みんなで渡れば怖くない。

彼氏彼女、みんないなけりゃ安心だ。

 

などと開き直った考えをしていた僕の横に置いてあるスマートフォンが着信音を鳴らした。

 

相手は……雄二だ。

 

そういえば、こいつ霧島さんという婚約者がいるから実質彼女持ちじゃんか。

この裏切り者め。

 

心の中で軽く舌打ちして、画面をスライド。

 

「もしもし、どうしたの?」

 

「よう、明久。花火大会の準備はできたか?」

 

「準備って……花火大会の時間はまだまだ先なんだけど?」

 

夕方にすらなってないのに、こんな早くから行くつもりなのか?

 

「ってことは、まだ姫路と島田は来ていないのか?」

 

「姫路さんと美波? いろいろと話が飛んでる気がするけど、なんで2人が来ることになっているの?」

 

2人が迎えにでも来るのだろうか。

迎えとはいえ時間的に早すぎる気がするのだけれど。

 

「それは来たら分かる、それじゃまたな」

 

「え、あ、ちょっと! あぁ……切られちゃったよ」

 

雄二の奴め……いつものことだが、いきなり切るのはないでしょ……。

 

そんなことよりなんで2人がくることになってるんだ……?

2人が来るなんて聞いてないんだけど……。

 

迎えにくるのか知らないが、別にくることは問題ないのだけれど、

なんと言うか……正直あの2人が来ると嫌な予感がするのは気のせいだろうか?

 

 

 

 

ピンポ~ン

 

しばらくして、玄関のインターホンが鳴る。

 

雄二の言った通り、姫路さんと美波が来たのだろうか。

 

迎えに来たのか、それとも別の理由か……。

 

なぜ2人がここへ来たのかは本人である2人に聞くことにしようと、玄関を開ける。

 

「こんにちは、アキちゃん」

 

「お邪魔するわよ、アキ」

 

「いらっしゃい2人とも」

 

とりあえず、2人を僕の部屋へと入れる。

 

「いきなり2人揃って来たけど、どうしたの? 花火大会はまだ先だけど」

 

「知ってるわよ」

 

当然じゃないと言わんばかりな表情で言う美波。

 

「じゃあ、なんでここに来たの?」

 

「それは今から分かることよ。瑞希アレを出して」

 

「はい!」

 

美波に指示されて鞄から何かを取り出す姫路さん。

 

そして、美波の言った『アレ』と思われるものを広げて見せた。

 

「…………浴衣?」

 

姫路さんの広げたものは1着の浴衣だった。

 

「そうよ、花火大会に行くのだからアキに似合うものを用意したわ」

 

「アキちゃんのために私と美波ちゃんの2人で選びました」

 

姫路さんが持っている浴衣は蜜柑色の生地に、ハルシャギクが描かれており、

鮮やかな色合いが見る者を明るい気分にさせるようなデザインだった。

 

2人はこれを着せようがために、ここへ来たのか……。

 

浴衣というものは日本古来の文化でもあり、とても素晴らしいものだが、

自分で着るとなるとちょっと恥ずかしい気もする。

 

「う~ん、着るのはちょっと恥ずかしい気が……」

 

「大丈夫よ、私達も浴衣は着るわ」

 

「恥ずかしがらなくても大丈夫ですよ」

 

むぅ……ここまで言われたら着ない訳にもいかないな。

それに浴衣ってかなり値段が張るものだし、2人は相当手に入れるのに苦労したのかもしれない。

 

この時点で2人には悪いことをさせてしまってる気がするし、着ないのは更に悪いし失礼だろう。

 

しょうがない、ここは恥を忍んで着るとしよう。

 

僕の人生初の浴衣を体験することとなった。

 

「分かったよ、ちゃんと着るから……えーと、これどうやって着るの?」

 

姫路さんから浴衣を受け取って、首を傾げる。

 

「それなら私たちに任せておきなさい」

 

「着付けなら任せてください」

 

そのまま2人に着付けをしてもらったのだが、これが結構大変なのである。

 

「……いつ見ても立派よねぇ」

 

浴衣に着替えるべく、下着姿になった僕を見て、はぁ……と深いため息をついた美波。

 

美波に着付けは任せなかった方がよかったんじゃないかと、今更ながら思った。

 

「それじゃあ、次はこの下着をつけなさい」

 

気を取り直して、美波はスポーツブラのようなものを用意した。

 

「下着まで着替えるの?」

 

「そうねぇ……絶対に必要なことではないわ。でも、瑞樹やアキみたいな胸は浴衣に似合わないから、胸が出すぎないような下着にするのよ」

 

ふーん……美波には必要ない工程だね。

 

「……変なこと考えてたら胸潰すわよ」

 

なんも考えてませんよ。

 

「と言っても、今から胸を潰すようなものだけれど」

 

ん? それはどういうことだ。

 

「それじゃ、ブラ外すわよ」

 

後ろに回って、美波はブラジャーを取る。

そして、用意しておいたスポーツブラのようなものを僕に着せる。

 

「うぅ……このブラジャーきつい……」

 

美波はそれでもお構いなしに、ギュっと僕の胸をブラジャーで絞める。

 

「はい、これでいいわよ」

 

「ありがと……美波」

 

なかなか、きついなこれ。

 

僕の胸は見事に潰れず、逆にブラジャーを押し返すような形になっており、通常のよりも少し小さくなったくらいだ。

 

大きいのはここでも不便だな……できればほどほどの大きさでよかったのに……。

 

「次は、浴衣を着ますよ!」

 

姫路さんがノリノリの口調で、下着を着替えた僕に浴衣を着せていく。

 

「ここに腕を通してくださいね~」

 

「はーい」

 

「もっと背筋を伸ばしてください」

 

「はーい」

 

かなりの時間を要して、やっと浴衣に着替えることができた。

 

浴衣って1人で着るのは難しい……というかできないな……。

1人でできる人っているのかな? いたら教わりたいものだ。

 

浴衣を着るのは一筋縄では行かないと僕は身を持って実感した。




できた……。

浴衣のデザイン案はオファニム1925さんから意見を貰いました。
オファニム1925さんいつも本当にありがとうございます!<(_ _*)> アリガトォ

感想やご指摘よろしくお願いします!
次回も見ていただけると嬉しいです。

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