明久「僕が女の子に!?」   作:白アリ1号

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夏の暑さでへたれ込んでいる作者です。(´・ω・`)

暑くて悩まされる毎日です。
熱中症になったらナースのアキちゃんに看病していただきたい……。( >д<)

それではどうぞ


11話 身体測定2

アキside

 

 

着替えを終えた僕たちは、まず初めに身長を測ることとなっている。

 

「はぁ……こんな身長で身体測定なんて……余計に鬱になるなぁ……」

 

身長の低い人が身体測定をする時というのは、こんな気分なのだろうか。

 

自分の頭に手を置いて、ため息をつく。

 

女の子になってから、かなり背が縮んだというのは自分自身が一番理解している。

だが、正確な身長というものは、はっきり分かっている訳ではない。

 

自分のこの身体について知るつもりはないし、知りたくもないけどね……。

 

少なくとも女子の平均くらいはある……と思いたいが、周りの女子に比べると僕の身長が低いというのは一目瞭然なので、身長なんて測りたくない、というくらいに自信がなくなりかけていた。

 

本当に嫌だなぁ、もう……。

 

「はい、次。吉井さん」

 

「は、はーい」

 

担当の先生に呼ばれて、僕は身長計に背をつけて立つ。

 

さて、いったいいくつなんだ!?

 

興味はないと思ってはいたが、いざ測ってみると気になるものだ。

 

「はい、吉井アキさんは158㎝です」

 

……う~ん、微妙。

 

せめて160㎝はいって欲しかったものだ。

 

「はぁ……身長だけは本当に元のままがよかった……」

 

また、ため息が漏れる。

 

「おお! 去年より伸びてる!」

 

「道理で最近、あんたの背が伸びたと思ったわ……はぁ……私も伸びないかなぁ……」

 

「いや、あんたの身長それ以上いったら男子より高くなるわよ?」

 

むぅ……周りの女子を見るとやっぱり僕が低すぎるんじゃないかと思わざるを得ない……。

 

もしかするとこの女子の中で身長が低いのは僕だけなんじゃ……。

 

…………べ、別に悔しくないんだからね!

 

……………………。

 

いや、嘘です。ごめんなさい。

めちゃくちゃ悔しいです。嫉妬すら覚えてしまうくらいに悔しいです。

生まれた中で悔しかったことランキングの上位に入りそうなくらい悔しいです。

 

次は体重測定である。

 

それぞれ、体重計に乗った後は記録用紙を貰うのだが、僕の記録用紙を見て美波と姫路さんはorzの状態に……。

 

「ここもアキに負けるなんて……!」

 

「アキちゃんはずるいです……!」

 

今朝と同様に睨まれてるよ……。

 

2人の体重は2人の身体相応の体重……いや、むしろそれより軽いんじゃないかってくらいなんだけれど……。

 

なぜそこまでこだわるのだろうか……訳が分からないよ……。

 

その次は座高測定だ。

 

まぁお察しの方もいるとは思うが、僕のこの身長では座高の結果などとっくに見えているだろう。

 

期待してもいないし、あきらめている。

人間、あきらめが肝心だ。

 

…………べ、別に開き直っている訳じゃないんだからね!

 

……………………。

 

いや、嘘です。ごめんなさい。

めちゃくちゃ開き直っt――以下同文。

 

 

 

 

「あら? アキって身長の割には座高低いのね」

 

僕の座高の測定結果の記録を見た美波が意外そうな顔をしている。

 

「身長が低くて分からなかったわ……足は身長の割にはそこそこ長いようね……」

 

身長の割には、ね…………。

 

少し意外な結果だった。

素直に喜ぶべき(?)ことなのかもしれないが、身長が低いことには変わりないから……。

 

「それに比べて瑞希は……」

 

姫路さんの記録を見て、本人をジトッと見つめる。

 

「ア、アキちゃんの足が長すぎるだけです!!」

 

美波から言われたことに対して、必死に弁明している。

 

姫路さんはそのままでいいと思うんだけどね。

今の方がベストというか、姫路さんらしいから今のままがいいなと僕は思った。

 

フォローしようかと思ったが、あの様子じゃ何を言っても慰めにはならないだろうな……。

 

 

 

 

次で今回の身体測定は終了だ。

 

最後の測定は

 

「最後は胸囲を測ります、胸囲を測るため準備をしてください」

 

胸囲か……。

 

これは以前、霧島さんに測って貰ったから僕はする必要はないと思うけど、身体測定だから大人しく測られる他ない。

 

「美波ちゃん、どうかしたのですか?」

 

美波が胸を押さえながら、ぶつぶつと呟いている。

おまけに視線は僕と姫路さんの胸に向いている。

 

「ここにいる女子で比較対象がいないし……その上にどっちも大きすぎるのよ……」

 

今の言葉は聞かなかったことにしよう。

 

「さぁ、お姉さま、美春がお姉さまの『胸板』を測って差し上げますわ!」

 

「み、美春!? どうしてここに!?」

 

突然Dクラスの清水さんが現れた。

 

Dクラスの女子は別の場所で胸囲を測っているようだが、なぜここに?

 

「お姉さまの『胸板』を測るのは美春の役目です!! お姉さま、服をお脱ぎになって!!」

 

「あんたは保健委員じゃないでしょ!! そして『胸板』の部分を強調して言わないで!!」

 

清水さんは美波に抱きついて離れようとしない。

 

まったく、あの2人はいつでもどこでも楽しそうにしているんだから。

 

「それと、吉井アキさんの胸囲も測ってあげますわ」

 

「えぇ!? 僕の!?」

 

あの清水さんが僕の胸囲を測ろうとするのだろう?

美波の胸板を測るだけで十分ではないのだろうか。

 

「って、あれれ? 豚野郎扱いは?」

 

今まで散々な扱いをしてきたというのに、いつの間にか打ち解けているような……。

 

清水さんは一瞬、きょとんとなった。

 

「何を言っているのですか? 吉井アキさんは女性ではありませんか。女性になったのなら話は別です」

 

え? 今までのあの態度と扱いは男だったからなの!?

男子と女子の扱いの差が激しすぎない?

 

目の前で本当の女尊男卑主義者の鏡を見を見せられた気がした。

 

「アキちゃんの胸囲を測るのは私だよ!」

 

「玉野さん! いつの間に!?」

 

玉野さんがずいっと横から出てきた。

 

「って玉野さんも保健委員じゃないでしょ!!」

 

「大丈夫だよ、私に任せて!」

 

「うん、任せられない!」

 

絶対に任せてはいけない!

と僕の本能がそう告げている…………というか、さっきの着替えの時に酷い目に遭わされた人物に胸囲を測らせようとする人はいないと思う。

 

「はいはい、そこまでです、吉井さんの胸囲を測るのはこの保健委員の私ですよ」

 

玉野さんの肩を押さえる、腕に保健委員の腕章をつけている茶髪のショートカットの女子生徒がいた。

 

その女子生徒は玉野さんを軽くあしらった後、僕と2人で簡易的な個室で胸囲を測ることとなった。

 

「それでは吉井さんの胸囲を測ります。上半身の体操服と下着を脱いでください」

 

「えぇ? 下着まで脱ぐのですか……」

 

「服や下着等があっては正確に測ることがでないので」

 

「そうですか……」

 

下着を脱ぐ……ということはこの女子生徒に自分の胸を晒すという訳であって……。

別に同性だから何も問題はないだろうけど、同性とはいえ自分の胸を無防備に晒すのは少し抵抗を感じた。

 

でも、しょうがないか……。

 

見ず知らずの女子生徒だからこそ晒しても問題ないだろう。

友人とか顔見知りだったりすると、それだからこそ恥ずかしくてかえってやりにくいしね。

 

「……分かりました」

 

そう一言言って、僕は体操服を脱ぐ。

 

(うわわっ///体操服越しでもすごかったけど、下着姿になると更にすごい……!///)

 

保健委員の女子生徒がこちらをキラキラと光る眼で見つめてくる。

 

あまり見られると脱ぎにくいのだが……。

 

視線を感じながらも、ブラジャーのホックに手を伸ばす。

 

「……!!///」

 

「はい、脱ぎましたよ……って!? どうしたんですか!?」

 

僕は保健委員の女子生徒を見て、咄嗟に声を出してしまった。

 

なぜって?

理由は簡単、彼女は鼻血を出して、その場にうずくまっていたからだ。

 

「だ……大丈夫です……こ、これくらい……なんでも……ありませんから……」

 

身体を震わせながら立ち上がる。

 

この状態でなんでもないは流石に無理があるだろう。

 

さっきの木下さんも似たようなことになってたけど、どうしたのだろうか?

 

「そ、それでは気を取り直して……吉井さんの胸囲を測りますね……」

 

「はーい」

 

僕は測りやすいように胸を前に突き出す。

 

(生で見るとすごい破壊力!///直視できない!///)

 

……手が全然進んでいないのだけれど、大丈夫なのか。

 

若干、たどたどしいような手つきで僕の胸にメジャーを巻きつける。

 

「んんっ……」

 

メジャーの感触だからか、それとも女子生徒の手が当たっているからなのか、それが少しくすぐったくて声が出てしまう。

 

「……はい、測り終わりました(ふぅ……とっても柔らかかった……)」

 

そう言ってメジャーを巻き取り、終了。

 

これですべての測定が終わったと……僕は一息ついた。

 

「ちなみに聞いておきますけど、僕の胸の大きさはいくつなのでしょうか?」

 

個室から出た後、前と変わっていないか心配なので、聞いてみた。

 

「えーと、95㎝のIカップです……女子の中では最も大きいと思われます」

 

うんよかった。前と変わっていないな。

最近、膨らんできた気がするのだけど、それは気のせいだったのかもしれない。

 

「今の聞いた?」

 

「うん、まさかあんなに大きいとは……」

 

「アキちゃんの胸囲恐るべし!」

 

僕の胸囲を聞いた周りの女子生徒ひそひそと話している。

 

あまり自分の胸囲は知られたくなかったのに……ここで聞くんじゃなかった。

 

「アキ……あんたはどこまでウチを凹ませれば気が済むのかしら……」

 

僕の肩を力を込めた手で掴んで、美波が恨めしそうな目と声で話しかけてきた。

 

「え? いや……その…………ゴメン」

 

「謝らないで! 余計に悲しくなるのよ!」

 

美波はそう叫んで保健室を出て行った。

 

「…………悲しいのはこっちなんだけど」

 

少しだけ、この身体を美波に譲渡してもいいかもしれないと思ってしまった。




相変わらずグダグダですね……。

誤字脱字や感想お待ちしております!!(´・ω・`)オネガイシマス

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