デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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戦い方がこれしか思いつかなかった……。
非力な作者を許して下さい。


全力勝負です!(後半)

全力勝負です!(後半)

 

Side空

 

先程未来さんは男性からカードを貰っていた。それはきっと未来さんを成長させるものだろう。

 

「早速使ってみたらどうですか? そのカード」

 

「言われなくても使うさ。イフ!」

 

未来さんがイフの名前を呼ぶと側にイフが現れる。現れたイフは、そのまま形を変化させ未来さんの腰に巻きつく。

 

白いベルトの周りに色んなマーク……どっかで見たような……。

 

未来さんに巻き付いたベルトの形に既視感を覚える。

 

「これが無限の可能性を秘めた僕達の力だ! 変身!」

 

未来さんがカードを白いベルトに挿入すると、ベルトの中心が赤い光を放つ。

 

『INFINITE RIDE!』

 

残像のようなものが出て未来さんと重なり合い、体の一部がマゼンタ色に染まる。

 

『<INFINITY DECADE>!』

 

ああ、そっか。あのベルトはそういうことか。

 

変身が終わってようやくわかった。そこにいたのは紛れもなく――――仮面ライダーディケイドだった。

 

「えーっと、一応聞くべきなんでしょうかね? ―――貴様は何者だ?」

 

「通りすがりの転生者で仮面ライダーだ。覚えておけ!」

 

俺の問いかけに対し、ビシッと指を突き付けて決め台詞を言い放った。

 

「はい、覚えました。――――――第二ラウンド始めましょうか!」

 

「ああ!」

 

返事をすると未来さんが距離を詰めて右拳を突き出す。俺はそれを弾き、腹に一発―――――とはいかなかった。空いていた方の左手で掴まれていた。そして、掴んだ手でそのまま俺を投げ飛ばした。空中で体勢を立て直し、地面に着地する。

 

むぅ……リーチの差があるからやり辛い。それに変身してから力も増した気もする。かと言って加減をしないと俺がヤバいんだよな。……全然出来る気がしないけど。ともかく、こんなに神経使う戦いって初めてだ。

 

どう戦うかはさっき考え付いた。あまりやりたくはないが卑怯な手も思いついてる。

 

『INFINITE ATTACK! 〈STARPLATINUM!〉』

 

未来さんがベルトの横に着いたケースからカードを取り出し、ベルトに入れるとイフの声が響く。すると、未来さんの側にスタープラチナが出現する。スタープラチナで来ると思いきや、二人は合体した。

 

今までに覚えた力を自分に憑依させて使えるって事か。

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ……オラッ!』

 

スタープラチナお得意の高速ラッシュ。だが、――――視えない速さじゃない。

今の状態で上手く出来るか分からないけど、武装色の覇気を使い拳を受け流す。

 

よし、出来た。

 

心の中で小さくガッツポーズをする。覇気でならスタンドに触れられることをちょっと前に知ったことが功を奏したようだ。

 

「やっぱりこれくらいじゃ効かないか……だが、これならどうだい!」

 

『INFINITE ATTACK! 〈STARPLATINUM〉! 〈CRAZYDIAMOND〉!』

 

今度はクレイジーダイアモンドもか! 

 

未来さんは二体のスタンドを出し攻撃の手段を増やしてきた。これは流石にきついと思い、未来さんから距離を取る。なのは達の所まで戻って来た。

十分に距離を取ったことを確認し、深呼吸をする。

 

これ勝てるかな……? とりあえずは攻撃防いだら逃げる。時間稼ぎ+力の制御。そう何度も使えるわけじゃないけどしばらくはこれだな。

 

考えを纏めたところで未来さんがやって来た。

 

稼げたのは十秒ってとこか。

 

「攻めてこないのはどうしてだい?」

 

「様子見です。その力がどれほどのものか分からないんで」

 

「そうかい。だが、様子見と言っていられるのも今の内だよ」

 

未来さんは大量の機関銃を作り出してターゲットである俺に照準を合わせて一斉砲火。最初とは比べ物にならない数の銃弾が襲ってきた。

見聞色の覇気で躱そうと思った時、足場がぐらついた。

スタープラチナのパワーで地面を揺らしたのだ。

更に、俺が怯んだ隙をついて地面から鋭く尖った岩が周りから突き出してきた。

 

イグラースが殺して奪った力まで……!

 

逃げ場を失った俺は絶体絶命のピンチに陥った。

 

逃げ場が無いなら作ればいい!

 

「アバター!」

 

『……あいよ』

 

いつもよりやる気の感じられないアバターが現れ、周囲から突き出す岩や俺に当たりそうな銃弾を撃ち消す。

 

「一筋縄じゃないかないか」

 

未来さんもこうなることがわかっていたのか特に気落ちした様子はなかく、新たにカードを再び取り出す。

 

「そうはさせませんよ」

 

「ッ!」

 

足元に転がっていた石ころを蹴って、挿入される前のカードを狙い、未来さんの手から撃ち落とす。

未来さんはカードを諦め肉弾戦で攻めてきた。

 

「はぁあッ! せいッ!」

 

それからも未来さんによるスタンドを複数使う戦い方に防戦一方だった。

―――――――だが、それは長く続かなかった。

 

「はぁ……はぁ……クソッ! 全然当たらない!」

 

肩で息をしながら悪態を吐く。未来さんの体力に限界が来たのだ。

 

あちゃー、時間切れか……。この方法で勝ちたくはなかったんだけど、時間稼ぎしてた俺が今更言えることじゃないな。

 

「未来さんって弱点ありますよね。それも相当な」

 

「…………」

 

「一つ目は体力。今の戦闘で分かったと思いますけど、スタンドを纏う代わりに自分で動かなくちゃいけなくなった。それが体力の減少につながった」

 

ディケイドに変身してからの戦いは10分もない。スタンド使いはスタンドが強くても本体の力や体力があるというわけじゃない。空条承太郎は鍛えてたみたいだし、DIOは吸血鬼だから別だけど。

 

「一つ目ということは他にもか」

 

「はい。二つ目は技術力の無さです。スタンドの使い方は分かってると思いますが、それを纏っての戦い方が……正直に言って素人です。それなら纏わずに使わない方がマシでした」

 

スタープラチナでのラッシュがいい例だ。お世辞にもあの肉弾戦は良いとは言えない。

 

「……そっか」

 

「三つ目ですが――――」

 

「まだあるの!?」

 

「不死身だからといって勝負には負けないわけじゃないんですよ?」

 

「それはさっき言われたよ」

 

さっき? ああ、あの男性にか。

 

この短い時間で言われたとなるとあの不思議な男性しかいないだろう。

 

「確かに不死身は本気の闘いだったら強いでしょうね。なにせ殺せないんですから。でも、倒す方法はある。例えば、首を切り落として海中の奥深くや宇宙空間に転移させれば終わりですね」

 

「…………」

 

「それに六喰の力でイフを封印したり、絶霧(ディメンション・ロスト)でスタンドを使えない空間にしたら叩く手段が無くなる。要するに―――」

 

「要するに不死身だからって自分の力を過信するなって事だろ?」

 

「そういうことです。それで降参します? こんなつまらない戦いになってしまいましたが」

 

今回の戦いで俺が攻撃した回数は片手で数えられるほどだ。未来さんの攻撃をほとんど見聞色の覇気で躱すかアバターで消した。我ながら卑怯だと思う。

 

「ああ、降参だ。これ以上は無意味だろうからね。君に逃げ続けられるイメージしか湧かないよ」

 

未来さんは完全に諦めたのか、両手を上げて変身を解いた。

 

「勝った! 第3部完!」

 

「……確かに僕は負けたけどその言われ方は釈然としない」

 

結界内を逃げ回っていたので皆のいた場所より大分離れていた。未来さんがある程度回復してから再び皆の下に戻った。

皆からお疲れ様と言われたが何人かは不服そうな顔をしていた。特にそれが顕著だったシグナムさんが俺の側にやってきて言ってきた。

 

「……空」

 

「分かってますよ。あの勝ち方が気に入らないんですよね? 他にも何人か言いたそうにしてますし、……何より自分が一番分かってます。でも、未来さんが相手だとどうしてもそれがベストだったんです。……それに」

 

「それに?」

 

「あ、いや、何でもないです。気にしないで下さい」

 

「?」

 

シグナムさんは不思議そうな顔をしていたがすぐにいつもの凛とした顔つきに戻した。

 

《良かったのですか? 言わなくて》

 

「〈うん、いいの〉」

 

流石に言えないよね。何でか知らないけど、今の俺が魔力や神器(セイクリッド・ギア)、精霊の力がほとんど使えないだなんて。アバターだけが使えたことにも当然疑問を抱いた。……ホントにアイツは何なんだ?

 

このことに関してはブレイブと俺の中にいるドライグ達しか知らない。

 

「ほな勝負も終わったことやし帰ろうや。そんで未来さんのお別れパーティーしようや」

 

「あ、いいね! 未来さんはどうです?」

 

「折角だからお言葉に甘えさせてもらうよ」

 

はやての提案で未来さんのお別れパーティーを急きょ開催することになり、速攻で準備をした。

 

 

 

 

 

龍神家でお別れパーティーが始まった。

 

「即席ですけど今日は楽しんでください、未来さん」

 

「ありがとう。ここまでしてもらえるなんて嬉しいよ」

 

「どういたしましてです。どうせなら皆に一言言って下さい」

 

「そ、そういうのガラじゃないんだけどなぁ……まぁ、今日は僕が主役なわけだしやるよ」

 

「はい、お願いします」

 

未来さんにマイクを渡し、皆から見える場所に立ってもらう。

 

「今日はありがとう。僕の為にわざわざパーティーを開いてくれて。……今日は初めての敗北だった。完全に空君の作戦勝ちさ。僕もまだまだだって分かった。イフという力を手に入れて気が付かないうちに天狗になっていた。それをへし折ってくれた空君には感謝してる」

 

感謝かぁ……。あんな勝ち方しておいてされるってのはちょっとなぁ。

 

「だから僕は強くなる! 強くなってまた空君に挑戦する!」

 

「いつでも受けて立ちますよ!」

 

『我モ何時マデモ負ケテハイラレン』

 

イフも未来さんの隣に立ち、強くなることを宣言した。

 

「短い間だったけど楽しかったよ。それじゃ―――――――あ、そうそう、空君」

 

未来さんがポケットからドアノブを出すと何もない所に扉が出来た。扉を開け、別れを告げようとする前に俺の方に振り返って来た。

 

「何ですか?」

 

「周りの女の子の気持ちを考えてあげなよ。その内後ろから刺されるかもよ」

 

『ッ!?』

 

気持ち? 周りの女の子ってことは十香達やなのは達のことなんだろうけど……どういうこと? というか刺されんの!?

 

「え、えっと、良く分かりませんが気を付けますね。よし、そのためにももっと修行しなきゃ!」

 

『(分かってはいたけどもやっぱりそうなるんだ……。これはまだまだ苦労しそう……)』

 

「あ、アハハ……まぁ、そういうことでいいさ。じゃあね」

 

『さよなら(またな/またね)!』

 

未来さんが扉を開けると大量の光が部屋中を満たす。眩しくて目を閉じているとドアが閉まる音がした。目が見えるようになって周りを見回したが、さっきまであった扉と未来さんが消えていた。

 

行っちゃったか……また会いましょう! 未来さん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これにてエイリアンマンさんとのコラボは終了です。
未来さんにカードを渡した人物についてはエイリアンマンさんの作品を見ていただけるとわかります。

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