閑話 目覚め
Side???
自分の見たことのない空間で目が覚めた少年は、ベッドから起き上がり、軽く伸びをした。長く眠っていたのか、体のあちこちからポキポキと音が鳴った。
「うーん、さっきまで長い夢を見てたような……?」
不思議な感覚が頭の中にあるが、どうにも形容し難い。いまいちはっきりとしないのである。
しかし、数秒考えて答えが出ないと思ったのか、今現在自分が置かれている状況について整理することにした。
「ここは……うん、俺の記憶には無いね。周囲に人の反応は……無しか」
ぱっと見で、ここは自分の知らない場所だと判断した。
「天井も壁も真っ白。変わった部屋だ」
少年は次に部屋を物色し始めた。何か手掛かりになりそうなものを見つけるためだ。
「とりあえず、こんなものか」
見つかった物はどれも変な物ばかりで小物が多かった。
白い指輪、二巻目だけある漫画、反時計回りの時計、ウサギのパペット、赤いリボン、金色の小さな鍵、ハロウィンの飾りつけのされた姿見、二つを組み合わせると8の字になる橙色のアクセサリー、女性アーティストのCD、きな粉パンの抱き枕などがあった。
「一貫性がまるでないな! こんなじゃ手掛かりにもならないっての!」
他にも赤い宝石やフェレットの人形なども見つかったが先程と同じようにさっぱりだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……何だよこの部屋。よくわかんないモノばっかだな……」
少年は探しつくしたのだが、最後まで手掛かりになるようなものは一つもなかった。
疲れが出たのか、少年はベッドに倒れ込み天井を見上げた。
「というか……俺ってどうなったんだ? 何でこんなところにいるんだ? それから――――」
一旦、頭を休めると次々と疑問が出てくる。部屋の物色に夢中でその辺りのことが頭から抜け落ちていたようだ。
「俺は確か……ああ、そうだ。――――を止めるために……で、ここは知らない部屋だから……もしかして死んだのか? だったら、これが死後の世界ってやつなのかな? 天国とかあるわけじゃ……あ、天界なら行ったことあるか。じゃあ、ここは地獄……なわけないな。俺が聞いた話じゃこんな感じのとこじゃないって言ってたしな。うん、さっぱりわからん!」
結局、ここがどこなのかは分からず仕舞いだった。それがわかった途端に少年は暇になった。この部屋を出ようにも出入り口である扉はないし、窓はあるが不思議な力が働いているのか一向に開きそうにない。起きてから時間もそこそこ経っているというのにお腹が空く様子はない。幸いっと言っていいのかテレビと何冊かの小説が置いてあるが、それに飽きるのも時間の問題だ。
「ま、いいか。まずはテレビでも見ますか」
この空間でテレビが映るのかは甚だ疑問だが、少年は試すだけ試してダメなら本でも読むことにした。
「お、付いた。あれ? ……この映像……」
テレビが付いたことに驚いたが、それ以上にテレビに映った映像に更に驚くことになった。
少年が見ている映像は自分にそっくり―――生き写しといっていいほど―――の小学生ぐらいの少年の日常だった。
複数の女の子に囲まれアタフタしたり、その中の誰かとデートをしていた。時たま誰かを助けるために戦っていたりもしていた。
「何か……