デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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今回は短いです。




最後のスタンド使いです!

最後のスタンド使いです!

 

Side空

 

すずかとのデートを終え、自分の部屋でアバターを出し、今日の事の説明を求めた。

 

「……で、アバター。今日のアレはどういうことか説明して」

 

俺の言う“今日のアレ”とは、アバターの能力のことだ。

俺が知る限りではアバターの能力はスタンド能力の無効化だったはずだ。

だが、今日は凍っていたプールの水が溶けるのではなく消えた、ということは無効化の能力じゃないということになる。

 

『………………ま、今更言い逃れなんて出来ないしな、大人しく説明するっての』

 

長い沈黙の後にようやく口を開いた。

 

『俺の能力は無効化じゃない。――――消滅の力だ』

 

消滅……消す力。何となく予想はしてたけどやっぱりなのか……。

 

「でも、それだと辻褄が合わなくない? 無効化じゃないなら、シーちゃんが改造された時はシーちゃんは消えなかったし、未来さんに時間を止められたのだって……」

 

『動物園の時は目覚めたばっかでそこまでの力が無かったから偶々あのライオンに掛かったスタンド能力だけ消すことが出来た。時を止めるのが効かなかったのは、()()()()()()()()()()()からだ』

 

そっか、アバターはスタンド能力が掛かったものなら消すことが出来るのか。それが時間だとしても。

 

「説明ありがと。消滅の力は加減さえすればスタンド能力だけ消すことも出来るんだよね?」

 

『ああ、その通りだ。今日は加減を間違えて全部消えちまったけどな、ハハハハハ』

 

「いや、笑い事じゃないから! ……あれ? アバターの能力が無効化じゃないなら、未来さんに能力コピーされてるんじゃないの?」

 

『それは無いから安心しろ』

 

「どういうこと?」

 

『簡単なことだ。一時的に覚える能力を消した。だからあいつは俺の力を覚えられない。いやー、あんときは加減するのに大変だったなー。俺、超頑張った』

 

一時的に消すことも可能なのか。意外と便利……でもないや。スタンド関係にしか使えないんだったらちょっとなぁ。

 

そこで話を止めて、残りのスタンド使いについて考えることにした。

残りはただ一人、ミッドチルダで矢を拾った奴だ。そいつがあの三人をスタンド使いにした張本人。

 

「最後の一人はこの近くにいるんだよね。明日にでも倒さないと」

 

本当ならもっと早く倒すべきなんだけど、こっちがスタンドでの戦闘に慣れてなかったので行くことが出来なかった。

 

『それから矢の破壊だな。あれで死んだ奴もいるだろうからこれ以上そうならないようにも破壊すべきだ』

 

スタンドを発現させる矢。二亜の〈囁告篇帙〉で調べようとしたんだけど、何故ミッドチルダにあったか分からなかった。

 

未来さんが来た所為? いや、それはないな。未来さんが来る前にはすでに矢は存在してたみたいだから。

だとすると、有力なのは俺がいる所為……かな。

 

『最後にこれだけは言っておく。矢には絶対に触れるな』

 

一人で悩んでいたら、いつになく真剣みを帯びた顔でアバターがそう言ってから消えた。

 

……矢に触れるな? 

 

その言葉を聞いてから妙な胸騒ぎを感じるようになった。

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、未来さん。探しましょうか」

 

「ああ。最後のスタンド使い、イグラース・ガランをね」

 

朝早くに未来さんと連絡を取り合い、集合してから隣町に乗り込むことにした。

 

「なのはちゃん達は誘わなくてよかったのかい?」

 

隣町に向かう途中で未来さんが聞いてきた。

 

「……今日はもしかしたら子供(なのは達)には辛いものがあると思います。だから呼びませんでした」

 

ちなみにヴァーリはその辺大丈夫だろうけど、朝に弱いから呼ぶことはしなかった。

 

「おいおい、いくら転生者とは言えそういう君も子供だろう?」

 

「俺は……多分大丈夫だと思います」

 

確証はないけど何となく大丈夫だと思う。本当はこういうのに大丈夫になってはいけないんだろうけど。

 

「君がそう言うならそれでいいさ」

 

「……はい」

 

二人でしばらく歩いていると目的地に着いた。今は使われていない廃工場だ。

 

「あいつはここに来るんだね?」

 

「はい、()()()()()()()()()()()()()。あと五分できます」

 

イグラースが来るまで工場の隅に隠れることにした。

そして、五分後――――

 

「ここに何かあるのか?」

 

イグラース・ガランは来た。

 

「で? どうする?」

 

「すぐ終わらせます。(六喰、力借りるね)」

 

『構わんのじゃ』

 

「―――〈神威霊装・六番(エロハ)〉」

 

六喰の霊装を纏い、〈封解主(ミカエル)〉を発顕する。

 

「〈封解主〉―――【(ラータイブ)】」

 

空間に孔を開け、男の背後に鍵を出す。

 

「―――【(セグヴァ)】」

 

鍵を回し、イグラースのスタンド能力に関する記憶を全て封印した。

 

「これで終わりですね」

 

「うーん、僕いらなかったような……」

 

「いえ、未来さんには『オーバーヘブン』でこの事件が無かったことにしてもらいます。未来さんはデメリット無しで使えるんですよね?」

 

「そうだけど……説明したっけ?」

 

「してませんよ。調べたんです」

 

「うわ、何そのチー―――ッ!? 矢が!」

 

イグラースの服の中から矢が飛び出ると、イグラースの体に突き刺さった。

 

「ガハッ!」

 

お腹を貫かれ吐血した。だが、貫かれた傷はすぐに塞がった。

 

スタンド使いが矢に貫かれたってことは……スタンドが強化されるって事か! しかもイグラースから感じる魔力が急激に増えた!

 

「これはマズイぞ……! 早く止めないと!」

 

「分かってます! アバ……! !? …………!」

 

「そ、空君の声が出てない!? 一体……!? (僕もか!)」

 

こ、声が出ない!? アイツのスタンド能力!? でも、調べた時はこんな能力じゃなかったのに、どういうことなんだ!?

 

急に声が出なくなったことに狼狽していると、イグラースがこちらを向いた。

 

「へぇ……お前らもスタンド使いか。しかも、そっちの金髪は魔力持ち。いいねぇ、潰し甲斐がありそうで」

 

スタンドの記憶があるということは六喰の力がさっき矢に貫かれた時に消されたようだ。

 

「(アバター、俺と未来さんに掛かってるスタンド能力消して!)」

 

『分かってる』

 

アバターが俺と未来さんに触れると、声が出るようになった。そして、アバターを出したことによって強制的に霊装が消えた。

 

「あ? スタンドの能力を消したのか? ハッ! お前の魂頂いて俺の力にさせてもらうぜ! (あのスタンドが出た途端に魔力を感じなくなった……?)」

 

魂を自分の力にする? アイツの元々の能力は魂を壊すスタンド『ソウルデーモン』だったはず。まさか……矢の所為で力に変化が起きたのか? さっきの声が出なくなるのも他のスタンド使いの技だったのを殺して奪ったってことか!

 

「これでも喰らえ!」

 

イグラースが地面を強く叩き付けると、地面が隆起して岩の杭が飛び出してくる。

 

また別のスタンド能力! 

 

「アバター!」「イフ!」

 

『ああ!』『任セロ』

 

アバターが岩に触れて粉々にし、イフは口からミサイルを出して木っ端みじんにした。

 

「キリがない……」

 

「おかげで近づけやしない」

 

防戦一方であるもののこちらは相手の攻撃をすべて防いでいる。見たところ、イグラースは力を同時には使えないようだ。

 

「未来さん、援護お願いできますか?」

 

「……分かった。道は僕が作る。背中は任せてくれ」

 

「それじゃあ、スリーカウントで行きます! 3…………2…………1…………0!」

 

0と同時に走り出し、イグラースに向けて真っ直ぐに向かう。

 

「バカかテメェ。そんなのやって下さいって言ってるようなもんだぜ?」

 

イグラースは俺を嘲笑い更なる杭を地面から出し、ありとあらゆる方向から攻撃してくる。

 

「空君はやらせないよ! イフ!」

 

俺に襲い掛かって来たすべての杭をイフが機関銃やミサイルで粉砕する。

 

「チッ! だったらこれならどうだ!」

 

今度は指を弾くと大音量のノイズが頭に響く。頭が割れそうにな痛みに耐えきれず、その場に蹲ってしまう。その上、イグラースがバインドで俺を空中に縛り上げる。

 

「アッ……ガッ!?」

 

音が響くのは空気があるから! それならその空気を消せばいい!

 

アバターにすぐにノイズの響く空気を消してもらうが、バインドで動きが封じられている。

 

「これで止めだ! ソウルイーター! 奴の魂を喰らえ!」

 

男の背後から死神が持つような大鎌を持った巨大な古びた人形が現れた。傍から見ても不気味としか言いようのないスタンドだった。

 

コイツがイグラースのスタンド!

 

人形が大鎌を振り上げ俺の首を刈ろうとしてくる。アバターを動かそうにもバインドで俺が動けない所為か、アバターも動けないでいた。このままではアイツに魂を刈り取られ、他の人が死ぬ。

 

「アバター、俺の中に戻って!」

 

アバターが消えると俺の中に力が戻るのを感じる。

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)禁手化(バランスブレイク)ッ!」

 

《Welsh Dragon Balance Breaker‼》

 

《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost‼‼‼‼‼》

 

即倍加をして無理矢理バインドを引きちぎり、人形の大鎌を紙一重で躱した。

 

「なッ!?」

 

完璧に決まると思っていたイグラースは余裕そうにしていた顔を驚きで一気に豹変させた。

 

「ま、まだだ! やれ! ソウルイーターッ!」

 

人形が大鎌を乱暴に振り回して俺の首を狙ってくるのを倍加して躱す。攻撃の最中に砲撃やバインドを放ってくるがブレイブに防御魔法を出してもらいすべて防ぐ。 

 

……そろそろかな?

 

 

 

「――――――空君に夢中になり過ぎじゃないのかい?」

 

 

 

「て、テメェ!」

 

俺に攻撃している間に未来さんは完全にノーマークだった。その隙を突いてイグラースの背後に回り込んでいた。

 

「ソウルイーター!」

 

急いで人形を未来さんに向かわせるがそうはさせない。

 

「アバター! アイツの()()()()()()()!」

 

再びアバターを出した為、禁手(バランスブレイカー)が解除された。そのことを気にする間もなく、アバターに命令を出した。

 

『消えろ! 木偶(デク)人形が!』

 

アバターによって殴られた人形は、アバターの能力によって光の粒子になった。イグラースがスタンドを出すことはもうできない。消滅の力でこの世界から消え去ったのだ。

 

「これでお前は戦えない。――――()られる覚悟は十分か?」

 

怯えるイグラースを無視してアバターとスタープラチナの二体の全力高速ラッシュをイグラースに叩き込んだ。

 

 

 

 

 

「さてと、こいつはもうスタンドは使えないから記憶を封じるだけでいいかな」

 

「そうですね。あっ、その前に矢を回収しないと」

 

「これ以上増やされても困るからね」

 

俺はアバターに触るなと言われているので未来さんに頼んだ。

未来さんがイグラースの制服をまさぐり、数秒ほどで矢は見つかった。

 

「よし、イフ―――――また光出した!?」

 

イグラースの時と同じように矢が突然光出し、俺に向かって飛んできた。

俺と未来さんの距離は1mも離れていなかったので躱すことが出来ないと判断し、腕で防ぐことにした。

矢は俺の腕に刺さる程度で止まり、光が収まった。

すぐに矢を抜きさろうとしたところで頭に大量の映像が流れてきた。

 

「あ、頭が割れそう……! さっきの比じゃない……! な、に……これ……?」

 

未来さんが叫んでいるようだが上手く聞き取れない。徐々に視界がブレていき限界が来て意識を失った。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side???

 

真っ白な空間に一人の少年が死人のように眠っていた。年は高校生ぐらいに見える。

 

「…………ッ…………?」

 

少年は突然何かに強制的に叩き起こされた。

眠っているところを叩き起こされて若干不機嫌そうだが、寝ぼけた眼をさすり周りを見回した。

 

「…………? ―――――――ここ、どこだ?」

 

青空のように澄み渡った蒼い眼を何度も瞬かせ、少年は自分以外誰もいない空間でそう呟いた。

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




コラボはもうちょっとだけ続きます。

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