デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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私は(帰って)来た! 

私は(続きを)書いた!

ならば次は投稿するだけのこと! 



というわけで長らくお待たせいたしました。




裁くのは俺達です!

裁くのは俺達です!

 

Side???

 

矢に貫かれて不思議な力を得た日から、俺は矢について調べた。

最近噂になっている魔導師達がいるという『地球』とかいう管理外世界に行き、何人かを矢で貫いた。

調べて分かったことは、この矢に貫かれた生物は俺と同様に不思議な力を得る。

しかし、全員が力を得られるわけではなかった。力を得られなかった生物は死んでいったのだ。それからも矢で貫いたが、結局地球で力に目覚めたのは三人だけだった。

正確にはたくさんの奴が力を得ることは出来たが、その三人以外は俺をいきなり殺そうとしたり、逃げようとしたので殺した。

そして、俺に従順な三人のうちの一人、獅子釜動魔とかいう奴に、この力にスタンドという名前があることを聞かされた。

 

スタンド……いいねぇ。この力で無能な上司をいたぶってやろうか? いっそのこと管理局を自分の物にしちまうってのも悪くないな。……いや、今俺がいるのは『地球』だ。噂のガキンチョ魔導師を潰すか。

 

どれだけ優秀な魔導師だろうとスタンドに魔法は効かない。その特性と魔法があれば俺は最強になれる。

 

さぁ、どうやってガキンチョ共を壊そうかねぇ。

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

Side空

 

アリサの婚約者に(勝手に)されてから一日が経ち、午前中すずかから電話があり、デートをして欲しいと言われた。俺の予定は特に忙しくはなかったのでそれを了承し、一時間後に駅前に集合することになった。

 

「よし、到着っと。すずかは……何ですとォッ!? もういる!?」

 

駅前に植えられた木が作った日陰にすずかはいた。

 

これでも三十分前に着くようにはしてたんだけど、それよりも早く来るとは予想していなかった……。

 

「あ、空君! おはよう! 随分と早いね?」

 

「うん、おはよう。それから、その言葉はそっくりそのまま君に返してあげる」

 

早いのはどう考えてもあなたの方です。

 

「アハハ……家で時間が来るのを待ってたら居ても立ってもいられなくって、気が付いたらここにいたんだよ……」

 

「まあ、いいよ。遅れて時間が無くなるよりは全然マシだよ」

 

「ありがと。……それで、どうかな? 私の服装、変じゃない?」

 

すすかの今日の服装は赤い靴に白いソックス、青いスカートに黒のTシャツ、白い薄手の上着を着ていた。頭の後ろには、去年すずかの誕生日に皆で選んでプレゼントした、白い花の形をした髪留め。頭にはすずかの象徴ともいえる白いカチューシャがあった。

 

「問題無いよ! というかすずかは元が良いんだから何着ても似合うと思うけど」

 

すずかだけじゃなくてなのは達にも言えることだ。服のセンスがあった方が綺麗に見える。でも多少のセンス無かろうがそれを覆すほどの美少女達なのだから。

 

「もうっ、そんなこと言って……。(嬉しいんだけど、どうして恥ずかしげもなく空君は言えるのかな?)」

 

「デートの相手を褒めるのは基本です。それですずかは行きたいところはあるの?」

 

「えっとね、今日は水族館に行ってみたいなって思ったんだけど、どうかな?」

 

水族館。動物園と同じで俺が今まで行けていなかった場所だ。ドライグ達が中にいる状態で行ったときはほとんどの魚が白目をむき、凶暴な鮫――――ホオジロザメでさえ目を合わせた瞬間に死んだふりをしていた。

 

『ドライグ達がいなくて丁度いいじゃない。初めての水族館行ってきなさいよ』

 

琴里の言った通り、今日はこういうことも予想してドライグ達を連れて来なかった。だから、問題なく水族館に入ることが出来るのだ。

 

「了解。それじゃ、行きますか!」

 

「うん!」

 

すずかに手を差し出すと、すずかは俺の意図を理解したのか俺の手を握った。それを確認してから二人で歩き出した。

 

 

 

 

 

今回はバスに乗って目的地まで向かう。目的地に着くまでに他愛無い話をして時間を潰すことにした。

 

「空君って進路とか将来何したいこととかかって決めてるの?」

 

「とりあえず、高校までは行きたいな」

 

この間調べたら、駒王町と現在は女子校だけど駒王学園は存在した。管理局に入るよりかは、高校に行きたいと思ってる。

 

「え、高校? 大学じゃなくて?」

 

「将来なりたいものがある人は早い内から決められるんだろうけど、俺はまだそういうの無いから大学は学部とか学科の選択が大変そうかなって思ってさ、その時になってみないと分かんないから」

 

それ以前に俺がいつまでここにいられるかが問題になってくるんだけどね。俺がしたことは神様も知ってるだろうし何もしてこないなんてことはないだろう。

 

「それもそっか……」

 

「すずかの方はどうなの?」

 

「私は……あの力を持つまでは工学系に進もうかなって思ってたんだけど……」

 

すずかの言うあの力とは、神器(セイクリッド・ギア)や魔法、スタンド能力のことだ。

 

「別のことにも興味が出た、ってこと?」

 

「……うん。管理局でなのはちゃん達と一緒に働くことや、デバイスを作ってみるのも悪くないかなって最近思い始めてるんだよ」

 

機械が好きなすずかの性格なら、ミッドチルダの技術に興味を持ってもおかしくないと思う。

 

「そっか。良いと思うよ、そういうの。決めるの大変だろうけど応援してるから」

 

「ありがと」

 

お礼を言われたあと、すずかは話題を変えてきた。

 

「もう一つ聞きたいんだけど、中学生になったら部活とか生徒会に入るの?」

 

部活や委員会かぁ。面白いのが無かったら作るってみるのもいいかも。

 

「中学? うーん、それは学校次第。あ、そういえば聖祥は中学部から女子校になるから男子とは別の学校だね。だから小学校卒業したら、俺やヴァーリ、雄人は皆と会える時間が減っちゃうのか」

 

雄人の場合は管理局で会えるのか? 働く部署が違ったりすると会えないのかな?

でも、一緒の家に住んでるフェイトやアリシアは家で会えるか。

 

「………………………………え?」

 

「ん? もしかして知らなかった?」

 

遅れて反応が返って来たかと思えば、すずかはまるでこの世の終わりのような顔をしていた。

 

「う、うん……今、初めて聞いた……。み、皆は知ってるかな……?」

 

何やら独り言をブツブツ言い始めたすずかはスマホで誰かとやり取りを始めた。しばらくすると俺の携帯に誰かからの連絡があった。俺もスマホを取り出して確認すると、LINEで作ったグループチャットにすずかからの連絡が来ていた。

 

すずかが送っていた先は俺達のグループだったのか……。

 

ちなみに俺達のグループというのは俺、ヴァーリ、フェイト、アリシア、なのは、はやて、あかり、アリサ、すずか、愛衣、雄人の所謂異能を持つ子供組がメンバー。

 

 

 

すずか『聖祥の中学って男子と女子って別々なの!?』

 

なのは『にゃ!? そうだったの!?』

 

フェイト『それ本当!?』

 

ヴァーリ『そうらしいぞ。俺もどこかで聞いた覚えがある』

 

アリシア『ええッ!? じゃあ、空やヴァーリと小学校までしか一緒に通えないの!?』

 

はやて『私、そもそも皆と一緒に学校に行ったこともないんやけど!』

 

あかり『はやての場合は仕方がないでしょ? それに、脚が動かせるようになって、

    夏休み明けからは一緒に通えるんだからね。でも、中学は別なのかぁ……残念だね』

 

愛衣『空君はどこの学校に通うの?』

 

空『うーん、候補としては近くの学校だと思うよ』

 

アリサ『パパに頼んで共学にしてもらおうかしら』

 

明日奈『私もお父さんに頼んでみようかな……』

 

雄人『お前らが言うとシャレになんねぇよ!』

 

 

 

それからもグループチャットでの会話が続いたが、目的地に着いたので適当なところで切り上げた。降りたバス停ですずかの顔を見たが、先程のことが余程衝撃だったのか、落ち込んでいた。

 

「はぁ……色々とショックだよぉ……」

 

「それは仕方ないことだよ。それに今生の別れじゃあるまいし、そこまでの事じゃないと思うんだけど」

 

「だって修学旅行や文化祭、体育祭が一緒に参加できないんだよ? ショック以外何物でもないよ」

 

あー、そうか。一緒の行事が無くなるのは寂しいな。

 

「そしたら、文化祭や体育祭は互いの学校に行ってさ、修学旅行は場所や日取りが違うと会えないけど、もしかしたら偶然に偶然が重なって会えるかもよ?」

 

「そうだね……。(確かにそうなんだけど、それ以上に私が心配してるのはこれ以上フラグを建てないかが心配なんだけど……無理だろうな……)」

 

『暗い話題はそこまでにして、さっさと中に入んなさい』

 

「(了解)すずか、中入ろうよ」

 

琴里に指示を促されたので、中に入ることにした。

水族館の中は平日だったのにも関わらず、カップルらしき男女のペアがチラホラ見えた。

 

「ここってデートスポットとしても有名なのかな?」

 

「そうみたいだね」

 

今度は十香達とも行きたいな。最近、一緒にいられる時間が少ない気が…………全然しないや。

 

お風呂やベッドに侵入するわ、暇さえあれば抱き着くわ、向こうの方が年上なのに甘えてくるなんてこともあるのがほぼ毎日だ。特訓に関しては精霊の力と神器を合わせること―――――ヤハウェが龍精霊化と名付けた――――を追加されて消耗が激しい。

 

まあ、一撃一撃が強すぎるから家の中じゃ使えなくて、龍精霊化して体に馴染ませることに専念してるんだけどね。

 

とりあえず、現段階で維持出来る時間は龍精霊化するだけなら30分。戦闘するなら10分が限界といったところだ。

 

考えるのはここまでにして、すずかとのデートをしないと。

 

『水族館は暗いからはぐれないようにちゃんと手を握ってなさいよ』

 

「(うん、わかってる。今度琴里達も一緒に行こうね)」

 

『え、ええ、その時は楽しみにしてるわ』

 

インカムから嬉しそうな声を琴里が発したような気がしたが、館内は電波の届きが悪くてそう聞こえたのだろうと思ってすぐに忘れることにした。

 

「すずか、はぐれないように手握ろっか」

 

先程までも繋いではいたが、バスに乗った時に一度離していたため、再び手を繋ぐために差し出した。

 

「うん♪」

 

すずかが俺の手を取り、近くの水槽から眺めることにした。

 

「お魚さん綺麗だね」

 

「うん、そうだね。えーっと、ここは熱帯魚中心のコーナーみたいだね。今見てるのはエンゼルフィッシュ系の熱帯魚みたいだよ」

 

すずかが水槽の下にあるプレートを見ながら魚の種類を教えてくれた。読書家であるすずかは自分の知ってる知識も加えて説明してくれたので、魚達を見るのが一層楽しくなった。

それから、珍しい古代魚や、深海魚などを見た。海の中にいるように感じる透明なトンネルをくぐった時はいろんな魚が寄ってきて周りが騒がしくなったのはいい思い出だ。

 

「そろそろお昼にしない?」

 

「賛成! でも、近くに食べるところあった?」

 

「フフフ、その辺は抜かりないよ。この水族館内にはレストランがあるんだよ。しかも、普通じゃみられないようなレストランで人気なんだって」

 

普通じゃ見られないレストラン。これは興味が湧いてくるね。

 

「へぇ~、気になるね!」

 

すずかに案内されてレストランに入ると、俺は驚きの声を上げた。

 

「レストランの中でも魚が見れるんだね!」

 

そう、この水族館内のレストランでは食事をしながらでも魚を見ることが出来るのだ。俺達が座る席付近にも魚の入った水槽が用意されていた。

 

「さてさてメニューは……流石に魚介類の料理はないね」

 

「ここでその種類の料理を食べるって微妙だからね」

 

魚を見ながら魚を食べるといのは中々に酷なことだ。水族館側もそれを配慮して魚介類は使わないようにしたのだろう。

注文をした後、先程と同じように世間話をしていると未来さんから連絡があったので、すずかに断りを入れてから電話に出た。

 

「もしもし、未来さん。どうかしました?」

 

『ああ、実はさっきスタンド使いと遭遇してね、倒してきたところさ。君がすずかちゃんとデートしてる間にね。君がデートをしている間にね!』

 

何故か厭味ったらしく二回同じことを言われたが、とりあえず―――――

 

「門矢未来! 貴様! 見ているなッ!」

 

恐らく『隠者の紫(ハーミット・パープル)』をテレビか携帯にでも繋いで覗いたんだろう。

 

「何そのポーズ?」

 

携帯電話に向かって変なポーズをとると、すずかに呆れられながらツッコまれた。

 

「ごめん、なんかやらないといけない気がして」

 

「そ、そうなんだ……」

 

「未来さん、そのスタンド使いの名前って分かりますか?」

 

『名前は水上(みなかみ)春雨(はるさめ)。スタンドは―――――なッ!? 体が水になって溶けた!?』

 

「今の反応からして……逃げられたってことですか?」

 

『ああ、そうみたいだ。ごめん。すぐに追い掛ける!』

 

それだけ言い残して、そこで電話は終わった。

 

一旦情報を纏めようか。

 

水上春雨。

ミッドチルダから来た奴に矢で貫かれてスタンド使いになった人。

年齢は16歳で都立海鳴高校の二年生。

性別は男。身長は170㎝。体重65㎏。

特技は水泳で水泳部に所属。全国大会に小中高で出ているほどの水泳選手。

性格は明るい方で友達が多く、学校では割と顔が広い。家庭や友人関係は良好。

年齢=彼女無し。

学力は学年で真ん中程度。

容姿は黒髪黒目の東洋人に在り来たりなもので、自他共に普通と言っている。

 

スタンド名:『ウォーターライフ』。

能力:水を操る能力。生物に触れれば水分を奪うことが可能。

また、水が大量にあれば、変幻自在の水で出来た生物を作ることも出来る。ただし、基本的には自分の体積と同じ量の水が無いと使えない。

【破壊力-D/スピード-C/射程距離-A/精密動作-B/成長性-C】

 

以前、二亜に調べてもらった情報はここまでだ。余計な物もいくつかあるが、広めたりする気は毛頭ない。

この人を放置してたのはスタンド能力に目覚めたものの、殺人や暴力沙汰を起こしていない為放置していた。ただ、能力で女子更衣室の覗きをしていたみたいで、今回はそれを運悪く未来さん見つかり戦闘になったがすぐ倒された。体が溶けたと言っていたので、倒したのは能力で作った分身体ということだ。本体はまた別の場所にいる。

 

「空君」

 

「うん、わかってる。ご飯食べたら探そうか」

 

注文していた料理が来たので、急いで食べて水族館を出た。体を魔力強化しながら走ったので、数分で目的地の学校に着いた。

 

「今回の人は水を利用するんだよね?」

 

「そうだね。だとすると水が多い場所にいると思うな」

 

「覗き魔なら学校のプールが一番じゃないかな?」

 

「俺もそう思う。能力に使うための水はプールのがあるから、部活が終わった後に居残り練習でもして覗いてると思うな」

 

「最低! そんなの許せない!」

 

うーん、いくら人を傷付けていないとはいえ、犯罪であることに変わりはないか。放置してたのは不味かったかな? ……でも、スタンドの相性が悪いんだよね。アバターはスタンドに対して最強と言ってもいいくらいの能力があるけど、流石に複数で攻撃されると防ぎきれない……と思う。実を言うと、その辺のことを試したことないから、あくまで俺の推測でしかないんだよね。

 

「あ、あの人だ。水上春雨は」

 

俺達は相手にバレない位置で様子を窺っていると、何やらブツブツ呟いていた。

 

「クソッ、俺の楽しみを邪魔しやがってあの女! 殺すなんて出来ないが、少し痛い目にあってもらうしかねぇみたいだな」

 

あの女……あ、未来さんか。相変わらず女と間違えられるんですね。あんな格好してれば当然……かな?

 

「どうする?」

 

「うーん……あ、いいこと思いついた。ちょっと耳貸して」

 

相手に俺達がいることをバレないように、すずかの耳元で作戦を伝えた。伝え終えるとすずかの顔が真っ赤で心配になったが、大丈夫だと言われてそれ以上は気にせずに作戦を開始した。

 

「こんにちは、お兄さん」

 

「お? 何か用か?」

 

小学生の俺が高校にいることを気にすることなく気さくに聞いてきた。

 

「お兄さんって水泳部の人だよね?」

 

「おう、そうだぜ!」

 

「そっかぁ。じゃあさ泳ぎを見せてもらえないかな? 高校生の泳ぎを近くで見てみたいんだよ」

 

「そんなのお安い御用だぜ! 見てな! 俺のふつくしいバタフライを!」

 

水上さんは俺の頼みを快く引き受けると飛び込み台に立ち、すぐさま飛び込んだ。

 

おお! これは速い! 伊達にふつくしいと言うだけのことはある!

 

水上春雨の泳ぎは素人目から見ても綺麗だとわかるくらいに見事なバタフライだった。

俺が純粋に驚いている間にあっという間に100mを泳ぎ切っていた。

 

「どうだ! 凄かっただろ!」

 

「うん! すごい綺麗で速かった!」

 

「ハッハッハッ! そうだろうそうだろう! これでも全国大会に何度も出てるからな! アレぐらい当然だ!」

 

「全国にも出てるんだぁ~! ホントにすごい人なんだね! でも覗きはダメだと思うな!」

 

「もっと褒めてくれていいんだぜ? 何なら他の泳ぎも…………ん? 今何て言った?」

 

「覗きはダメだと思うなって言ったんだよ」

 

まあ、放置しておいてホントに今更な話なんだけどね。

 

「ッ! テメェッ、どうしてそのことを知ってる!?」

 

「どうしてだろうねー?」

 

「だ、だけど俺がやったって証拠はどこにもないぜ? この能力が見えるのはスタンドを持つ奴だけだからな! つまりそれが見えない警察は俺を捕まえることが出来ないし、裁判所は俺を裁けない!」

 

確かにその通りだ。残ってプールにいるだけなら覗くなんて不可能だから、彼が犯罪をしただなんてことは誰にも分からない。

 

「あとは俺がお前の口を封じればいいだけだ! 『ウォーターライフ』!」

 

しかし、何も起こらない。

 

「何で水の分身体が出ねぇ――――んなッ!? プールが凍ってるだと!?」

 

プールの方に振り返ってみればプールの全体が凍っていた。

凍らせた犯人はもちろん、

 

「これであなたは能力が使えませんね」

 

すずかだ。

 

「チッ、仲間がいたのか! こうなったら!」

 

水上さんが逃げるように走り出した先にあるのは体を洗うためのシャワーだった。あそこから水を出して能力を使うつもりだろう。

 

「これで俺の勝ち―――――――――」

 

「いいや、君の負けだよ」

 

シャワーと水上さんの間に次元の裂け目が出来、そこから未来さんが現れた。

 

この間の宮田さんのスタンド能力をイフでコピーしたのか。

 

「なッ、テメェはさっきの!」

 

「これで完全に詰みだね。さあ、大人しくしてください」

 

「はっ! 嫌だね! さっきも言ったろう? ()()()()()()()()ってな!」

 

投降を呼びかけたが、その意志は皆無だ。

 

「そうだね。普通の人には裁けない。俺達があなたを捕まえて警察に突き出して説明したところで信じてもらえるはずがない」

 

「おう、そういうことだ。だから――――――」

 

「でも断る」

 

「なにッ!?」

 

「裁判で裁けないって言うんなら俺が……俺達があんたを裁く! アバター!」

 

俺のスタンド、アバターを呼び出す。

 

『ようやく出番か。待ちくたびれたっての』

 

「ふ、増えた!?」

 

水上さんは俺とスタンドであるアバターが瓜二つなことに驚いていた。初見の人からすれば驚くのも無理はないと思う。

 

「三対一で勝てると思う?」

 

余裕の笑みを浮かべる未来さんが訪ねた。

 

「クッ……ここまでか……。はぁ……降参だ、降参。流石にこれ以上は無理だ」

 

長い溜息を吐いてから両手を上げて降参の意思表示をした。

 

「やっと降参かい?」

 

「ああ、これ以上は抵抗しない」

 

「そうかい。――――――じゃあ、歯を食いしばれ」

 

「…………え? 何で?」

 

突然未来さんが言ったことに水上さんだけじゃなくて俺やすずかも首を傾げた。

 

「だって、まだ君の事裁いてないじゃないか」

 

「あ、そっか……いやいやいやいや! 待って! 俺降参したよね!?」

 

「ああ、そうだね。確かに君は降参を宣言した」

 

「ならこれ以上何かするのは――――」

 

「僕は降参したからといって裁かないとは一言も言ってはないよ」

 

うわー……これは酷……くはないかな。覗きしてたんだから正当な報いだよね。

 

「というわけで……オラオラオラオラオラオラオラオラ……オラッ!」

 

 

 

 

 

「……で、悪いんだけどプールが凍ってるの何とかしてくれねぇか? 明日も使うからこのままだと使い物にならない」

 

未来さんにオラオラを喰らい、体中に青いあざを作った水上さんがお願いしてきた。

 

「分かりました。アバター」

 

アバターの力で、凍りついたプールの水が元に戻る――――――

 

 

 

 

 

――――――――ことはなかった。

 

 

 

 

 

ガラスが割れるような音がした後には、プールの中にあったはずの水は無かったのだ。

――――まるで、()()()()()()()()()()()()()

 

「…………え?」

 

「消えた……?」

 

「空君やり過ぎじゃないかい?」

 

「いや、俺にも何が何だか! アバター、どういうこと!?」

 

『ワリ。やり過ぎちまった』

 

やらかした本人は悪びれた様子もなく軽く謝った。

 

「軽いなオイ! って説明してくれ! 何で凍っていたプールの水が消えたんだ!」

 

『それは―――――』

 

アバターは一度深呼吸してから告げた。それは誰もが絶句するほどの理由だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『次回明らかに!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後はホントにごめんなさい。

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