デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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何で今回こんな話にしたのか自分でも分かってないです。


A's編終了しました!

A's編終了しました!

 

Sideクロノ

 

――――ナハトヴァールはまだ消滅していない。

エイミィからそう告げられた。

 

クソッ! どうする? 考えろ考えろ考えろ―――――!

 

「――――ッ! おい! クロノ!」

 

「ッ!? な、なんだ! 僕は今どうするか考えてるんだ! 静かにしててくれ!」

 

考え事をしていた僕に話しかけてきたのは雄人だった。

 

「そうじゃない! アイツがいなくなってんだ!」

 

「……アイツ?」

 

誰がいなくなったんだ? というかこんな時にどうしていなくなる?

 

「空の奴がどっか消えたちまったんだよ!」

 

「はぁ……驚かすな。そんなことどうでも――――よくない!」

 

空が消えただって!? どこに? ……いや、待てよ? 今世紀最大に嫌な予感がしてきたぞ……。アイツは僕達の中で一番何かをやらかす可能性があるからな。

 

「空がどこに行ったか知ってる者はいるか?」

 

『……え、空(君)? あれ!? いない!?』

 

僕の問いかけで空がいないことに気が付いた者ばかりか……。ん?

 

皆が知らないと言っている中で一人だけ挙動不審な奴がいた。

 

「おい、フェレットもどき。どうしてそんなに汗をかいている?」

 

「うぇ!? し、知らない! 空がどこに行ったかなんて知らないよ!」

 

「僕は汗をかいてる理由を聞いただけなのに、何故空が出てくる?」

 

「あっ……」

 

なるほど、こいつが共犯者か。

 

「どういうことか説明してくれるよな?」

 

 

 

 

 

ユーノを尋問して分かったこと、それは空が一人で宇宙に行ったということだった。

空が転移しようとしたことにいち早く気が付いたユーノは、危険だから止めようとしたが空は皆に黙っててとだけ言って転移した、と。

 

「君はふざけてるのか? どうして空を止めなかった!?」

 

「ぼ、僕だって止めようとしたさ! でも、空にあんなに真剣な眼差しをされて何も言えなかったんだよ!」

 

考えればそうだ、そんなことをする奴は誰だって止めるはずだ。

 

「……そうか。すまないな、当たってしまって……」

 

『クロノ君大変だよ! 空君が―――』

 

「宇宙にいるんだろ?」

 

『そうなんだよ! って何で知ってるの?』

 

「さっき聞いた。共犯者からな」

 

はぁ……ホントにあいつは無茶ばかりするな。帰ってきたら説教してやる!

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

俺は今、宇宙にいる。

呼吸は霊装を纏っているおかげで問題はない、らしいと琴里が言っていた。

六喰が宇宙にいたことから出来るんじゃないかってことでやってみたら案外行けた。

 

「そろそろあっちは気が付いた頃かな?」

 

『さあね。ただ一つ言えることは、帰ったら全員からの説教確定でしょうね』

 

……ナハトヴァール消したら家に逃げるか? いや、結局変わんないか。それどころか余計に怒られそう……。

 

「ま、なるようになるでしょ」

 

『相変わらず適当ね(だな/ですね)』

 

それが俺なんで。お、いたいた。

 

『ウヴォオオオオオオオオオッ!』

 

向こうも俺に気が付いたのか、アルカンシェルで破壊された体を再生させながら叫んでいた。その姿は少し前に見た時よりも更に歪になっていた。

 

「お前も辛いんだよな? お前のことは何も知らないけどそれだけは何となくわかる」

 

自分の体をいいように弄繰り回され、改竄させられ、兵器として扱われてきた。俺の想像以上のことも歴代の所有者達にさせられてきたんだろう。

 

「だから、今度こそ楽にしてやる。塵も残さないほどに消してやる。――――〈灼爛殲鬼(カマエル)紅天(クリムゾン)〉」

 

戦斧が変形し、左腕全体に纏わりつく。

その形は、自分の体ほどの大きさがある赤い龍の頭だった。

龍の口が開き、中に熱いものが充填されていく。

自分の中にある何もかもをそこに詰め込む。

 

《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼》

 

今度は倍加をする。

自分が今出来る限界まで。

そして。

 

 

 

「―――――【赤龍砲(ウェルシュ・メギド)】ッ!!」

 

 

 

全身全霊を込めて放った赤よりも紅い熱線が、ナハトヴァール全体を捉える。

熱線が途切れた後に残ったものは何もない。

全てが消え去った。

そこには最初から何もなかったかのように全てを焼き尽くし、灰すらも残さなかった。

 

「……今度こそ終わったよね?」

 

《はい、ナハトヴァールのコアは消失されました》

 

ブレイブに確認してもらい終わったことを確認した。

 

「じゃあ、転移よろしく」

 

《了解です。皆さんのところに転移します》

 

残り少ない魔力を使って何とか転移した。

 

 

 

 

 

《転移完了。無事に着きました》

 

「ありがと」

 

皆のところに戻ると同時に、光に包まれて新たな霊装(?)は自動で解けた。

身長も元に戻り、服装もバリアジャケットではなく私服に戻った。

 

えーっと、皆は……お、いたいた。

 

「おーい! 皆ぁ……って体が、おも……い……」

 

地面に降り立った瞬間、体に力が入らなくなり、その場に座り込んだ。

魔力も霊力もほとんど感じない。

今の俺は、念話すら使えないほど消耗しきっていた。

 

『当然です! あれだけの力を使っておいて代償無しなんてありえませんよ!』

 

でも、あれぐらいしないと倒せそうになかったし……。

 

『まあまあ。空も頑張ったんだから労ってあげないと可哀想だよ』

 

凜祢は優しいなぁ……。涙が出そう……。

 

『それもそうだな。あいつらからの説教が待ってるだろうからな』

 

あー、嫌なこと思い出した……。

 

こんな状態では動くことも出来ないのでどうしようもないが。

 

「(ヤハウェさん、何とか治してくれませんかねぇ? 家に帰れる程度で良いんで)」

 

『出来ますが嫌です。皆さんに説教されて反省してください!』

 

……ですよねー。

 

倒れ込むと、夜天の魔導書を完成させてから曇っていたはずの空模様が快晴に変わっていた。

眩しい日差しに目を細めていたら、急に誰かが太陽を遮った。

 

「おかえりなさい、主」

 

「あ、シエラ。うん、ただいま」

 

「体はどうですか?」

 

しゃがんで俺の様子を尋ねてきた。

 

「指一本動かせない」

 

「今、肩をお貸ししますね」

 

そう言ってシエラは俺を両腕で持ち上げて抱えた。所謂、お姫様抱っこである。

 

「あのー……シエラさん? この体勢は何ですか?」

 

「お姫様抱っこと呼ばれるものです」

 

シエラは質問されることに疑問を持った顔をしていた。

 

「それは知ってるよ。何でお姫様抱っこしてるのって聞いてるんだよ」

 

「主の世界ではこれが普通なのでは?」

 

いや、世間一般でやってる人なんてそうそういないから。

 

「はぁ……疲れてるせいでツッコむ気力もないからこのままでいいや……」

 

この際どうにでもなれだ。

 

俺の体を気遣ってゆっくりと進んで皆のところに着いた。

 

『空(君)!』

 

俺達に気が付くと、一斉に駆け寄ってくる。

 

あ、クロノが説教しそうな顔してる。

 

「ただいま。あ、説教ならあとで聞くから今は寝かしてね。もう限、界……だから……」

 

体をシエラに預けて意識を手放した。

 

 

 

 

 

「……んっ……ふぁ~……うぎゃ!?」

 

目を覚ましてから軽く体を伸ばすと体に激痛が走った。

霊装と禁手を合わせた時よりも負担は少なさそうだが、キツイことに変わりはない。

 

「で、ここは……――――」

 

「アースラの医務室だ」

 

俺の代わりに答えてくれたのは、部屋の丸椅子に座るリインフォースだった。

 

「教えてくれてありがとうございます。俺ってどのくらい寝てました?」

 

「丸一日だ。体の方はどうだ?」

 

サーゼクスさんと戦った時は数時間だったのに予想以上に力を使ったらしい。

 

フュージョンした影響もあるのか? 禁手(バランス・ブレイカー)も使ったから当たり前か。

 

「……体中が痛いです」

 

「……そのすまなかった。私を止めるために色々と……」

 

本当に申し訳なさそうにしているのか視線を落とす。

       

「これくらいなんでもないですよ。気にしないで下さい」

 

「……そうか。私は目覚めたことを主達に伝えて来る」

 

「あ、待って下さい」

 

部屋を出ようとするリインフォースを呼び止めた。

 

「どうかしたか?」

 

「リインフォースさんはいなくなるつもりですか?」

 

「……どうしてそう思う?」

 

そんなに睨まないで下さいよ……。

 

「何か、今にも消えそうな感じの雰囲気をしてたからですかね?」

 

ホントはあかり達に聞かされたからなんだけど……。

 

「……君の言う通り、私はもうじき消える」

 

こちらには振り向かずに自分が消えることを認めた。

 

「何度も改竄された魔導書のバグが完全に消えることはない。このままでいればまた暴走するのは確実だ。それだと主はやてにも君達にも迷惑が掛かってしまう。だから―――――」

 

「皆に黙って消えるつもりですか?」

 

「ッ! ……そうだ。主には申し訳ないがそうするしかないんだ……」

 

リインフォースさんはようやくこちらの方を向いたが、その顔はとても悲しそうだった。

 

「あとどれくらいですか?」

 

「? 何がだ?」

 

「リインフォースさんが暴走しないでいられるのはあとどれくらいですかって聞いたんです」

 

「……三日ぐらいなら持つと思うが、それがどうかしたのか?」

 

タイムリミットは三日。それなら俺の体も回復するからギリギリ問題ないか。よし、決めた!

 

「リインフォースさん」

 

「なんだ?」

 

 

 

「――――――俺とデートしてくれませんか?」

 

Sideout

 

 

 

 

 

Sideリインフォース

 

龍神空からデートに誘われた。

 

彼は何を考えている? 彼の誘いを断らなかったのは何故だ? 

主はやてが言ったように、彼なら何とかしてくれるとどこかで期待してるから?

 

いくら考えてもその答えは出ない。

思えば魔導書に吸収した時からそうだった。

ヴァーリ・ルシファーは心の奥に誰かへの復讐心―――心の闇があった。別にそれに関してはおかしいことは何も無い。誰だってそう言ったモノはある。

それに対して、龍神空という人物にはそれが無かった。名前の通り青空のような心の中に光が満ち溢れていたのだ。

だが、それと同時に得体の知れない何かがあった。

まるで()()()()()()()()()()()()()

 

彼は―――――龍神空とは一体何者なんだ?

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

リインフォースさんをデートに誘ってから二日が経ち、俺は普通に歩けるようになった。

 

ダメ元で誘ったんだけど、まさかOKを貰えるとは思わなかった。消える前に何かしたかったのかな?

 

デートに誘った直後、皆に知られて勝手に宇宙に行ったことよりも何故か説教が長かった。というか、なのはさん達のO☆HA☆NA☆SIだった。

 

病人にやっていいことじゃないでしょ! 万全な状態でもやって欲しくないんだけどね!

 

「さ、そろそろ待ち合わせの時間よ」

 

「うん、行ってくる」

 

とまあ、これからデートなわけだ。別にリインフォースさんをデレさせる必要はない。

 

……俺が何をしてもデレることは無いだろうけどね。

 

シエラのように自分が生きていちゃいけないと思ってる心をぶっ壊して、生きたいという気持ちにさせればいいだけの簡単な役目です。

 

全然簡単じゃないよ! 

 

 

閑話休題(それは置いといて)

 

 

問題は魔導書の中にあるバグなんだけど、黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)で何とかなるはず。確証はないんだけど、奇跡ぐらい起こせるでしょ。

それから、今更だけど最初からそうすればよかったと気が付いた。

そもそもデートして治るわけでもなんでもないのに誘ったのはアホだった。

 

何で誘ったんだろう? シエラと同じで放っておけないからかな?

 

これ以上考えても答えは出なさそうなので諦めた。

 

「……せめて楽しませるぐらいはしないとね」

 

独り言を呟き、待ち合わせ場所に向かった。

 

 

 

 

 

俺が待ち合わせ場所の駅前に着いてから、五分ほどしてリインフォースさんはやってきた。

 

「待たせたか?」

 

「いいえ、待ってないですよ。あ、その服似合ってますね」

 

彼女は薄橙色のミュールに白いフレアスカート、水色のノースリーブ、金色のネックレス、日焼け防止のつばの広い白い帽子という涼しそうなファッションだった。

銀色の髪が風に靡く度に老若男女問わず周囲の視線を独り占めする。

デート中の彼氏は鼻の下伸ばして彼女にシバかれてたがそれは仕方がないと思う。

それだけ今のリインフォースさんが魅力的な女性なんだから。

 

「ああ、これか? これはデートが決まってから主達が君に対する文句を言いながらも選んでくれたんだ」

 

「え、俺文句言われるようなことしました?」

 

説教なら十分受けたはずなんだけどまだ言い足りないのかな?

 

「……自覚がないのか。いや、君はそういう性格だったな」

 

「???」

 

「まあいい。ところでその姿は……〈贋造魔女(ハニエル)〉だったか?」

 

「そうです。今回はリインフォースさんに合わせて二十歳くらいの姿にしました。子供の姿だとデートどころか歳の離れた兄弟ぐらいにしか見えませんからね」

 

「それなら敬語も辞めてはどうだ?」

 

「わかり……わかった、そうさせてもらうよ。それじゃ、俺達のデートを始めようか。(で、どうすればいいですか、琴里様)」

 

『早速か! 少しは自分で考えなさいよ!』

 

琴里の怒鳴り声がインカム越しに伝わり、耳がいたくなる。

 

『ったくしょうがないわね……鞠亜』

 

『はい、ただいま選択肢を出します』

 

『えー何々……なるほどね。空、選択肢が出たわ』

 

①恋愛物の映画に行く。

②遊園地に行く。

③リインフォースの行きたいところに連れてく。

   

『総員! これだと思う選択肢を五秒以内に選びなさい!』

 

今回はいつもとは違ったメンバーが選んでる。

 

『結果は②よ。もちろん相手にそんな気が無ければ止めときなさい』

 

無理は良くないからね。

 

「(了解)リインフォース、遊園地に行ってみない? もちろん無理にとは言わないけど」

 

「ああ、構わない。……そういう選択肢が出たのか?」

 

「え、知ってたの? って俺の記憶見たんなら知ってるか」

 

「そういうことだ。特には気にしてないがな」

 

「アハハ……そう言ってもらえると助かるよ……」

 

俺一人じゃリインフォースさんを楽しませられるか不安だからね。十香達の場合は向こうがリードしてくれる時があるし、そんなにサポートがいらないんだよね。

 

「決まったことだし、早速行きますか!」

 

「あ、おい!」

 

俺はリインフォースの手を引いて駅の中に入った。

周りの男性が殺気の籠った視線を出してきてすぐに放したが。

 

 

 

 

 

電車に揺られること一時間。目的地の遊園地に着いた。

 

「すごいな、これは……!」

 

リインフォースは人の多さに呆気にとられていた。以前一緒に来たフェイト達のようだ。

記憶で知っているのと実物を見るのとはまた違ったものがある。

 

「でしょ? さ、一杯楽しもうか!」

 

「……ああ、そうだな」

 

リインフォースはそんなにノリ気じゃない反応をした。

 

やっぱり、まだ……いや、こんなんじゃいけないな! 目的を果たさないと!

 

「どれから乗ってみたい?」

 

「そうだな……君に任せる」

 

「おいおい、人任せでいいのか?」

 

「私は来るのが初めてだからな。なら、知ってる君の方がいいと思ったんだ」

 

別に直感でもいいんだけどなぁ。まあ、任されて悪い気はしないけど。

 

「わかった。うーん、だったら……最初はアレに乗ろう」

 

そう言って俺が指したのはメリーゴーランドのように回転するブランコだった。

 

「あれは?」

 

「正式な名前は知らないけど、見たまんまの空中ブランコさ」

 

リインフォースの反対は無かったのでブランコに乗ることにした。夏休みの平日のおかげで割と早く列は進み、俺達はすぐに乗れた。柱が回転すると遠心力が働き、少しずつブランコが宙に浮き始める。

 

「どーだー!? 気持ちいいだろー!?」

 

大声を出さないと場所が俺の後ろにいようと聴こえそうになかった。

 

「ああ! 気持ちいい!」

 

おおッ! てっきり念話でもするのかなって思ってたけど、リインフォースも大声で返してくるとは思わなかったッ!

 

『これは意外だったわね……』

 

これには家で観ている琴里も驚いていた。

一分ほどしてブランコは徐々に高度を下げていき止まった。

 

「ご感想は?」

 

「……その、中々いいものだな。風が気持ちいい」

 

リインフォースは少しだけ恥ずかしそうに微笑んで答えてくれた。それが聞けただけでもここに来てよかったと思ってしまう。

 

「ハハ、そっか。じゃあ、ドンドン行きますか!」

 

だが、まだまだ満足はしない……。お楽しみはこれからだ!

 

それからもシューティングゲームで点数を競い合ったり、お化け屋敷に入ったり、絶叫マシンに連続っで乗ったりした。

面白かったのはリインフォースがシューティングゲームで負けて悔しそうにしていたことだ。

叫んだことといい、勝負ごとに熱い所といい、知らない一面がたくさん知れた。

 

「む……何だ、人を見てニヤニヤして」

 

「ごめんごめん。リインフォースの色んなところを見れたことが嬉しくてさ、つい」

 

「あ、あれは忘れてくれ! 思い出すと恥ずかしいんだ!」

 

よほど恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

「ハハハ!」

 

「わ、笑わないでくれ!」

 

最初は綺麗だって思ってたけど、今は可愛いって感じかな。

 

「(今、リインフォースの状態ってどんな感じ?)」

 

『悪くはないわ。十分に楽しめてるんじゃないかしら』

 

「(そっか)そろそろ帰るか。あんまし遅いと皆が心配するし」

 

「……そうだな」

 

「あ、最後に観覧車乗ろうよ」

 

「ああ、構わない」

 

帰る前に締めとして観覧車に乗った。

デートの時間はあっという間に過ぎ、夕方ごろになっていた。遊園地を出て、帰宅することにした。

 

 

 

 

 

「ねぇ、ちょっと公園に寄ってかない? 話があるんだ」

 

「…………。……わかった」

 

リインフォースを八神家に送る途中にあった公園に、二人で入った。

日はほとんど沈んでいて公園に二人っきりだ。

 

「それで、話とは?」

 

二人でベンチに座って話を始める。

 

「今日は楽しかったか聞きたかったんだ」

 

「そうだな、長生きしてきたが自分でも信じられないくらいワクワク、とでも言えばいいのか? ……まあ、悪くはない時間だった。今までそんな経験してきたことは無かったからな」

 

長い時間を生きて来たリインフォースはこういったことは初めての事だった。となると、シグナムさん達も同じだろう。

 

「そりゃ、あんだけはしゃげばね」

 

「う、うるさい! 初めてだったから仕方がないだろ!」

 

リインフォースが顔を真っ赤にしている姿からあの戦いをしてたのがまったくの噓のようだ。

 

「はいはい。……また行きたいって思った?」

 

「ああ、今度は主達も一緒―――――――――ッ! ……いや、それは無理な願いか」

 

自分が消えることを思い出して、さっきまで楽しそうにしていた顔はどこにもない。

 

「そんなことないよ」

 

「……え?」

 

「多分だけど俺の力で消えないで済むと思う」

 

やったことないから何とも言えないけど……。

 

「……だ、だが、私は救われて、幸せになっていいのだろうか……。この手で多くのものを壊した。恨みを持つ者だって少なくないだろう。それを償うならやはり……このまま痛ッ!?」

 

「惜しい! 今のところで“いた”じゃなくて“いたい”だったら“このままいたい”になったのに!」

 

「それは残念って何をする!」

 

「何って頭を聖なるハリセンで叩いただけだけど?」

 

俺の手には聖なるオーラを放つハリセンが握られていた。

 

「またそれか!」 

 

「このまま消えても寂しいだけだぞ? それでいいのか?」

 

怒りだしたリインフォースを無視して話を戻す。

 

「それは……わかってる。わかってはいるが……」

 

「ならさ、お前が不幸にしてきた人の分だけ他の誰かを幸せにすればいいんじゃないか?」

 

「し、しかしだな……そんな簡単に済む話ではない……」

 

あー! メンドイ! どんだけネガティブなの!? さっきまで楽しそうにしていたリインフォースはどこに行った!?

 

「もういい! お前の意思なんて知らん! 黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)禁手化(バランス・ブレイク)ッ!」

 

即座に禁手になり、黄金の光が公園内を照らす。

 

「聖槍よ、俺の想いに応えろ。――――聖槍龍の奇跡(ヘブンズ・ミラクル)ッ!」

 

六対十二枚の黄金の翼がリインフォースを包み込む。

しばらくして翼を離すと、何が起こったのか分からずに茫然としているリインフォースがいた。

 

「今、何を……? ッ! 正常に直ってる!?」

 

「よ~く聞いておけよ! お前が幸せになっていいかわからないなら、―――――」

 

一拍置いて、近所迷惑すらも気にせずに告げる。

 

 

 

「―――――俺がお前を幸せにしてやる!」

 

 

 

それだけ言って俺は先に家に帰った。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Sideリインフォース

 

――――――俺がお前を幸せにしてやる!

 

私のバグが全て消えたあと、彼は私にそう言った。

 

つ、つまり、あれは…………………………プロポーズ!?

いや、落ち着け! 落ち着くんだ、リインフォースよ! 彼は鈍感なんだぞ!? 

だが! 駄菓子菓子! って違う! わ、私は何を言っているんだ!? ……とりあえず、彼はそう言ったんだ。“幸せにしてやる”と。これに間違いはない。な、ならばやはり……そういう意味でいいのだろうか?

……わからない。これ以上は私の頭が破裂しそうだ!

ええい! こうなったら責任を取ってもらうまでだ!

あんな台詞を言ったお前が悪いんだからな! 空!

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は後日談とようやくコラボ編に入ります!


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