デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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誕生日パーティー始まります!

誕生日パーティー始まります!

 

Side空

 

シグナムさん達との手合わせが終わり、はやてからO☆HA☆NA☆SIを受けた俺が再起動すると、四人の服を買いにデパートに行くことになった。皆の服は、俺が〈贋造魔女(ハニエル)〉で普通の服に変えた。

 

流石にいつまでも薄着じゃいられないもんね。特にシグナムさんの胸は目の毒でしかないし。

 

「ところで、いい加減に種明かしをしてくれないか?」

 

皆で歩いてる時にシグナムさんが聞いてきた。

 

「あれは魔剣創造(ソード・バース)聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)っていう神器(セイクリッド・ギア)の力です。剣ならいくつでも創れるんですよ」

 

実際にシグナムさんの前で同じ魔剣を創って見せてみた。

 

「だから、あの時にもう一度創って防いだ、という訳です。多分シグナムさんがこの能力を知っていたら負けてたと思いますよ。戦闘経験も剣の腕もシグナムさんの方が確実に上ですから」

  

「……そうか。教えてくれて助かった。また手合わせしてくれるか?」

 

「そりゃもちろん! こちらからもお願いしたいくらいですよ!」

 

喜んでいると、ヴィータが不満そうに口を挟んできた。

 

「シグナムばっかじゃなくてあたしとも戦ってくれよ」

 

「もちろんオッケーだよ」

 

ヴィータはどんな魔法を使うのか、俺も知りたかった。

 

「俺も空と戦いたくなってきたな」

 

「お前とはほぼ毎日やってるだろ!」

 

しかもお前との戦いはシャレになんないんだからな!

お互い本気でやるから周りが滅茶苦茶になるし、疲れるんだよ!

 

「だが、他の力もあるだろ? あまり見れない力もあるからな」

 

「む? 他にも何かあるのか!?」

 

おっふ。食いついてきやがりましたよ、戦闘狂(シグナムさん)が……。

 

表情はあまり変わらないが、眼が子供のようにキラキラしたシグナムさんに軽く引いた。

 

「ええ、一応……」

 

「しかもさっきよりもかなり強いぞ」

 

余計なこと言うな!

 

「ほう……益々戦いたくなってきたな」

 

「そ、それは今度で……」

 

うわー、この人の印象が今のやり取りで一気に変わった気がする。

 

「そうや! 今は四人の服が優先や!」

 

「ごめん、はやて」

 

「すみません、主」

 

俺達ははやてに怒られて、急いで目的地へと向かった。

 

 

 

 

 

そして、買い物を済ませた俺達はデパート内の休憩所で一休みしていた。

 

「えーっと、これで必要な物は揃ったかな」

 

あかりが買った物を確認して言った。

 

「そうやな。必要な物があったらいつでも言ってな」

 

「そこまでしていただくわけにはいきません。ただでさえ大変な負担が掛かっているというのに、これ以上は……」

 

遠慮がちにシグナムが断った。自分が守護騎士だから遠慮してるのだろうか。

 

「シグナムはアホか! 今日から私達は家族なんやで! 遠慮なんかしないでや!」

 

「そうだよ。皆のことは私達がちゃんと面倒を見るよ」

 

「……感謝します。主、あかり殿」

 

他の三人もそれぞれ感謝の言葉を述べた。

 

はやて、あかり。新しい家族が増えて良かったね。

 

「さてと、そろそろお昼やし、家に帰って食べようや」

 

「あ、だったら先に帰ってくれない? ちょっと買いたい物が出来たんだ」

 

「一人で大丈夫?」

 

「うん、そんな大したもんじゃないからね」

 

「わかった。それじゃ先に帰ろっか」

 

皆はあかりに従って先に家に戻った。俺はそれから昼ご飯に間に合うように、出来るだけ早く買い物を済ませて戻った。

 

 

 

 

 

「戻ったよー」

 

「あ、おかえり。目当ての物は買えたんか?」

 

玄関を上がると、はやてが迎えてくれた。

 

「うん、ちゃんと買えたよ。ご飯はもう出来てるの?」

 

「ちょうど今出来たところや。早く食べようや」

 

「はーい」

 

リビングに入ると、皆は席に着いていた。

 

『いただきます』

 

『いただきます』

 

今度はヴォルケンリッターの皆も一緒にいただきますを言った。

ヴィータがまたギガうまと言ってすごい勢いで食べていた。

昼ご飯を食べ終えると、この後のことを説明した。

 

「シグナムさん達にも一緒に来てもらってもいいかな?」

 

「ああ、もちろんだ」

 

「先に言っておくが、俺達以外にも魔力を持っている人がいる。その人達もはやてやあかりの知り合いだから警戒しないで欲しい。……楽しいパーティーにしたいからな」

 

折角皆が用意してくれたのを台無しになんてできない。俺もヴァーリと同じくそう思っている。

 

「そんなことしねぇよ。もし、管理局の人間がいたとしてもよっぽどのことがない限りは黙って過ごすつもりだぜ」

 

「……ありがと。あ、もしかしたら皆にも頼めば協力してくれるかもよ? 一応聞いてみようよ」

 

その言葉を聞けて安心した。

 

「……その者たちが信用できるかはともかく、そこまでしてもらっていいのか?」

 

「友達のためなら出来るだけのことはしたいんです」

 

「……そうか。本当に迷惑かけてすまない」

 

「そこはありがとうが聞きたかったです」

 

「フッ、そうだな。ありがとう、空、ヴァーリ」

 

『どういたしまして』

 

区切りのいいところであかりが皆に声をかけた。

 

「それじゃ、そろそろ行きますか!」

 

「そうやな!」

 

皆も賛成して龍神家に向かうことになった。

 

 

 

 

 

家の前に着くと、自分の家なのに緊張してきた。今年はどんなパーティーになるのか楽しみで仕方がない。隣のヴァーリもいつもより浮かれた表情をしていた。

 

「さ、インターホン押すか、って思ったけどシグナムさん押してくれません?」

 

「……? 何故だ? 空が押せばいいだろう?」

 

インターホンの前にいた俺がどうでもいいことで譲ったことに疑問を持ったシグナムさんが聞いてきた。

 

「そうですか。じゃあ、シグナムさんがやらないならやっぱり俺がやりますよ。〈ヴィータ達も合わせてねー〉」

 

シグナムさん以外に念話で伝えた。

 

「! いや、私がやるで」

 

俺の意図にいち早く気付いたはやてが俺に続いた。

 

「いや、俺が行こう」

 

「私がやるよ」

 

「い、いやあたしが押すぜ!」

 

「あら、私が押してもいいかしら」

 

「ここはあえて私が押そう」

 

流れる様にシグナムさん以外の皆が挙手をしていった。

 

「? 皆どうしたのだ? ……そこまで言うなら私が押すとしよう」

 

『どうぞどうぞ』

 

シグナムが宣言した瞬間に皆で一斉に譲った。

 

「な、なんなんだ!? 何がしたいんだ!?」

 

俺達の行動に完全にシグナムさんは困惑していた。

 

『プ……フフ……アハハハハハ!』

 

皆で笑いだすと余計に困惑していた。

 

「いやー、見事に決まったねー」

 

「ああ、決まると何だか清々しい気分になるな」

 

「それにしてもよくヴィータ達はわかったな。何でや?」

 

「空が念話でやれって言ってきたんだよ」

 

「最初は意味が分からなったけど、やってみると楽しいわね♪」

 

「どうしてこんなことしたの?」

 

「何となく面白そうだったから」

 

「それだけの理由で私を晒し者にしたのか!?」

 

晒し者って……。そこまでのつもりはなかったんだけどな……。

 

「ごめんごめん。ホントは何となく緊張してたからほぐす為だよ」

 

「緊張? 誰が?」

 

皆もヴァーリと同じ疑問符を頭に浮かべた表情になっていた。

 

「俺」

 

自分を指差して軽く言った。

 

『…………』

 

思ったよりもくだらない理由に誰もが固まった。

 

「……どうやら、我が剣、レバンティンの錆になりたいらしいな……」

 

急に肩を震わせてデバイスをこちらに向けてきた。

 

「え、ちょ、怒っていらっしゃいます?」

 

顔を下に向けているので表情が分からない。

 

「……主、先に行って下さい。それと、しばらく空をお借りしてもよろしいですか?」

 

え? 俺何されちゃうの?  

 

「え、あー、分かった。でも、ほどほどにしてな」

 

俺とシグナムさんを置いて皆は先に家に入った。

 

「了解です」

 

「え? これから家に入るんじゃないんですか?」

 

「少しぐらい遅れても問題ないはずだ」

 

俺はシグナムさんに首根っこを掴まれて、人気のないところに連れて行かれた。

無理やり引き剥がそうとしてもすごい力で逃げ出せなかった。

 

「えーっと、シグナムさーん? 早く戻りましょうよー」

 

「――――フフフ……さあ、空、逝こうか」

 

「絶対にニュアンスが違いますよね!? え!? ちょ!? まっ、ギャアアアア―――!?」

 

本日二度目の悲鳴が街に響いた。

 

 

 

 

 

シグナムさんからありがたい説教(理不尽な暴行)を受けてから立ち直り、家に上がった。

 

……正直、久々に三途の川が見えたよ。

 

家の中が静かだ。皆がいるのはこの家の奥にある大広間だ。

 

「この家は広いな……」

 

「まあ、たくさん人が住んでるんでね。あ、ここが会場です」

 

大きめの扉には張り紙があり、『パーティー会場』と書かれていた。俺はその扉を勢いよく開け放った。だけど、次の瞬間、自分の目を疑った。隣にいるシグナムさんも小さく驚きの声を上げた。

 

「あれ? 真っ暗!?」

 

そう。俺達の目の前の空間は明かりの無い部屋だった。

 

「ここが会場ではないのか?」

 

「そのはずですけど……」

 

一応明かりをつけて確認しないと、そう思って部屋に入った瞬間、スポットライトの光が部屋の奥に当たった。そこにはアイドルが着るような煌びやかな衣装を着た、一人の少女がステージの上にいた。

 

「美九!?」

 

「待ってましたよぉ! 今日はだーりん達のために一日アイドルやっちゃいます! ミュージックゥ~スタートッ!」

 

その正体は俺の家族の誘宵美九だった。

軽快な音楽が流れ始めると、周りから歓声が上がった。

驚いて周りを見回してみれば、そこにいたのはいつもの顔ぶれだった。

 

 

『Happy Birthday』

 

 

美九が歌い終わると、盛大な拍手と歓声で部屋は埋め尽くされた。

 

今年は美九の歌か! 美九の声はやっぱり綺麗だね!

 

部屋の明かりがつくとマイクを持ったリニスが現れた。

 

「ようやく本日の主役も揃ったので始めましょうか。空達はこちらまで来て下さい」

 

俺達はリニスに呼ばれてステージの上に上がった。

はやてはヴォルケンリッターの皆で協力してステージに上げた。

 

「それでは皆さん飲み物の用意はいいですか?」

 

「え、無いよ」

 

入ったばかりの俺とシグナムさんが持ってるはずがない。

 

「……空気を読んで下さい。……仕方ありませんね。どなたか二人にも飲み物をお願いします」

 

俺らが悪いの!?

 

そう思っていたら、四糸乃とよしのんが持ってきてくれた。

 

「あの……どうぞ、これ……」

 

『君がシグナムちゃんだよねー? よろしくー』

 

「ありがと、四糸乃、よしのん」

 

「ありがとう。こちらこそよろしく頼む」

 

「今度こそいいですね? それでは、これより誕生日パーティーを始めたいと思います! 最初は翠屋特製のケーキです!」

 

扉が開かれると、大きな荷台に乗った色とりどりのケーキが俺達の前にやって来た。

 

「空達にはロウソクの火を消してもらいますよ」

 

『はーい』

 

部屋が再び暗転すると、ロウソクの火が揺れていた。

俺達はせーので息を吹きかけて火を消した。

 

『誕生日おめでとー!!』

 

皆が一斉に祝いの言葉と共にクラッカーを鳴らした。

 

『ありがとー!!』

 

「さて、お次はプレゼントを渡しちゃいましょうか」

 

皆はそれぞれラッピングされた物を持つと、手渡してきた。

 

「はい、空君! 私達からはこれをプレゼントするの!」

 

皆で一つの物を買ったということは多少は高価な物なんだろうか。

開けてみると、中には金色の懐中時計が入っていた。

 

「え!? これって滅茶苦茶高いんじゃないの!?」

 

「大丈夫よ。誘拐された時のお礼も兼ねてパパ達がほとんど出してくれたから」

 

そこまでしなくてもよかったのになぁ……。

 

「空にはもう一つあるよ。それが私達からのプレゼント」

 

フェイトから受け取ったもう一つのプレゼントはアルバムだった。俺達が出会ってから今までの写真がたくさん入っていた。

 

これからも思い出をたくさん増やしていきたいな。

 

ヴァーリ達にも同じ物がプレゼントされた。他にもアザゼルさんや恭也さん達からも色んなものを貰った。

 

「私達からはこれをプレゼントするぞ!」

 

「開けてもいい?」

 

「もちろん。今年は期待していいからね!」

 

ほうほう、そこまで言われると期待してしまうね。

 

包装紙を綺麗に取り中身を見た俺は驚愕した。

 

「これって……ギャルゲー!?」

 

タイトルは『恋してマイ・リトル・ソラ』。作画は二亜と七罪、八舞姉妹が、シナリオは琴里と狂三、四糸乃、よしのんが、スクリプトを折紙、美九は歌をそれぞれが担当したと書いてあった。

 

十香と六喰は手伝いって感じ……? そもそも、ギャルゲーをプレゼントされるとは思わなかったんだけど。

 

「それで少しは勉強をして下さいまし」

 

ギャルゲーから何を学ぶんだろう?

 

「一応、現実に忠実になっているわ」

 

「……まあ、空がクリア出来るとは思えないけどね」

 

「む、そこまで言うならこの空さんが本気を出してクリアしてやりますとも」

 

七罪に馬鹿にされて、俺はムキになって答えた。

だが、それが間違いだった。俺の宣言を聞いていた琴里が反応した。

 

「へぇ、そう。なら、今からやってもらおうじゃない。もちろん、罰ゲーム付きでね」

 

「ば、罰ゲーム……。何をさせるの?」

 

愉しそうに笑う琴里に身構えてしまった。琴里に何をやらされるか不安で仕方がないのだ。

 

「それはあとで考えておくわ。とりあえず、鞠亜、パソコンの準備して」

 

『はい。あと数秒で出来ます』

 

琴里が虚空に向かって命令すると、鞠亜が出てきた。

そして鞠亜の宣言通りに数秒経つと、一台のパソコンが俺の前に出て来た。

 

……この家どうなってんだ? 自分の家なのに知らないことが多い……。

 

「さあ、準備は出来たわ。早速やってもらいましょうか」

 

なんか自信が無くなってきた……。

 

「空、何かするのー?」

 

「うん、まあね」

 

俺達が何かするのか気になった皆がワラワラと周囲に集まって来た。

 

「それじゃあ、スタートよ」

 

 

 

 

 

友達や知り合いに見られながら、モノローグを適当に流し読みしてゲームを進めていく。

ちなみに、操舵するキャラの名前はソラで固定されていた。

途端に画面が真っ白になると一人の女性が現れた。

 

神様『あなたは私のミスで死にました。お詫びとして別の世界に転生させます』

 

「いやいやいやいや、こんなのが現実にあってたまるか!」

 

いきなり死にました宣言されたんだぞ! 現実離れしすぎだろ! ……あれ、俺ってこうやって転生したんだっけ? いや、そんなことはどうだっていい!

 

「煩いわねぇ。さっさと進めなさい」

 

俺は琴里に急かされてゲームを進めると、神様からの特典で可愛い女の子と出会えるようになったらしいのと家事スキルを貰った。

 

女の子との出会いねぇ……。

 

正直、胡散臭さしか感じなかった。神様との会話が終わると、とうとう転生した。

一旦、画面が暗転してから明るくなると、俺が操作するキャラ―――ソラ君が目を覚まして、『知らない天井だ……』とテンプレよろしくの発言をしてからボーっとしていると、扉が突然開けられた。

 

???『あ、お兄ちゃん! やっと起きた! 早くご飯食べよ!』

 

俺の部屋に入って来たのはピンク色の髪をツインテールにした中学生くらいの女の子だった。

 

ソラ『えーっと、ごめん。君は誰かな?』

 

???『えー!? 忘れちゃったの!?』

 

俺の言ったことに酷くショックを受けた表情をしていた。

 

そう言われましてもねぇ……知らない世界に転生したばかりなんですよ?

 

リコ『しょうがないから教えてあげる! 私は妹のリコだよ! ちゃんと憶えてね!』

 

意外にも親切に教えてくれた。ゲームだからそういう仕様なのかと俺は思った。

 

ソラ『ああ、わかったよ。よろしくな、リコ』

 

この世界では妹がいるのか……。

 

リコ『そうだ! おはようのキスしよ!』

 

……………………は? 

 

ソラ『……………………は?』

 

妹のリコの台詞にソラ君と俺の気持ちは同じだった。

 

リコ『は? じゃないよ! 毎日してるじゃん!』

 

ソラ『そう、なのか……?』

 

ソラ君が困惑していると、選択肢が現れた。

 

①「わかった。いつものことならキスしようか」

②「流石に兄妹でいつまでもそんなことはダメだろ。もうこれっきりにしよう」

③「それよりも早くご飯にしよう。冷めちゃうぞ」

 

「むむむ……」

 

これは①はないね。兄妹でキスなんてしたら犯罪だよ。

③は無視すると可哀想だからちゃんと返さないと。

だから、ここはきっぱり②で断ろう。

 

俺は選択肢の②を押した。

 

ソラ『流石に兄妹でいつまでもそんなことはダメだろ。もうこれっきりにしよう』

 

ソラ君が断るとリコはこの世の終わりのような表情をしていた。

 

リコ『は? え? 何で? 何で断るの? ねぇ何で? ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ―――――あ、そっか。あの女の所為か……。へぇ、そんなにあの女が良いんだ? だったらそんなお兄ちゃんは要らない。私のこと愛してくれないお兄ちゃんなんて―――――死んじゃえ』

 

リコがどこからか取り出した包丁でソラ君は刺された。

そして、画面が暗転して「BAD END」の文字が映った。

 

……………………………………………………………………え?

 

「む? もう終わってしまったのか?」

 

「ふむん。空は失敗してしまったのじゃ。これで罰ゲーム決定なのじゃ」

 

「何でだー!! おかしいでしょ!! 何この終わり!! あの女って誰!? 何で妹に殺されなきゃならないんだよ!!」

 

どう考えても理不尽すぎるでしょ!

 

「空もまだまだよのう。その程度もわからんとは」

 

誰も分かんねぇよ!

 

「嘲笑。さっきまの宣言はフラグでしたね。ププ」

 

喧しい! こんなの無理だって!

 

「まさか一回目から間違えるとは……」

 

「流石はだーりんです! 私達の期待を裏切らないですね!」

 

「さあ、罰ゲームをしてもらいましょうか。そうね―――」

 

「ちょ、ちょっよ待ってよ! これおかしくない!?」

 

「どこもおかしいことなんてないよ。ちゃんと答えだってあるしね」

 

どれが正解なの!?

 

「嘘でしょ……。こんな……こんな終わりだなんて……あんまりだよ!」

 

「これが現実。諦めるべき」

 

「いいさ、何でもゲームの思い通りに出来るってんなら、まずはそのふざけた幻―――――」

 

「ハイハイ、罰ゲーム決まったわよー」

 

「最後まで言わせてよ!」

 

『空君に何してもらうのー?』

 

「それはね――――――」

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side七罪

 

私―――七罪は空が罰ゲームを受けることになって後悔していた。

 

空の罰ゲームが終わった後で、もし空が挑発した私を恨んでたらどうしよ……。

というか、絶対に恨んでる! きっと酷いこと言われるんだろうな……。

 

『お前の所為で罰ゲームなんて受けることになったんだぞ! 七罪なんて大っ嫌いだ! この家から出て行け! このブス!』

 

ヤバい……考えただけでも死にたくなってきた……。もし、そんなこと言われたら……うん、死のう。

 

これから先のことに絶望していたら、部屋の明かりが消えて暗くなった。

それからすぐに明かりがついた。

美九が歌った時と同じようにスポットライトだけがステージを照らしていた。

そして、そこに立つ一人の黒色の長髪の少女。

アイドルが着るようなフリルをたくさんあしらった可愛らしい衣装を身に纏って、恥ずかしそうにモジモジとしていた。

その姿に誰もが目を見開いた。

 

その少女を一言で表現するならば――――――――可憐。

それが一番シックリときた。

 

ヤバい……嫁にしてぇ………………はッ! そうじゃない!

だってあの娘は―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――()()()()()()

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

恥ずかしい。今の自分の現状を表すならただその一言に限る。

告げられた罰ゲームの内容は皆の前で女装して歌うことだった。

だから贋造魔女(ハニエル)で女の子になった。というかさせられた。

 

うぅ……足がスースーする……。女の子っていつもこんなの履いてるのか……。……よし! 早く終わらせてとっとと着替えよ! 

 

「……それでは歌います。聴いてください」

 

 

『Follow Me』

 

 

若い世代に人気の歌を振り付けも加えながら歌った。

 

ちょっと楽しいかも。でも、女装無しだったらもっと楽しかっただろうになぁ……。

 

歌い終わると、会場が静まり返っていた。

 

あれ、下手だったかな? それとも女装が似合わな過ぎて観てらんなかった?

どっちにしろ誰か何かを言ってくれないと辛いんだけど……。

 

そう思っていたら、一斉に『すごーい!』や『可愛いー!』などが聞こえてきた。

 

ほっ、よかった~。

 

ステージを降りて皆のところに戻った。

 

「琴里。もう着替えていいよね? 終わったんだし」

 

「え! もう着替えちゃうの!?」

 

「えぇ~!? 勿体無いですぅ!」

 

「俺はいつまでもこんな格好でいたくないの!」

 

なんでそんなに残念そうなの!?

 

「もうちょっとだけお願いなの!」

 

「もっとその姿で欲しいな……」

 

「これは予想以上の破壊力だよ……」

 

十香達だけじゃなくてなのは達も!?

 

「ヴァーリもとか言わないよな……?」

 

「……結構タイプかもしれない」

 

「よし、お前は俺に近づくな」

 

「冗談だ」

 

「冗談に聞こえねぇよ!」

 

「いいじゃねぇかよ。中々似合ってるぜ」

 

「ああ、このままその姿の方が良いのでは?」

 

「絶対にヤだよ!」

 

「あら残念。折角可愛いのに」

 

「あ~聴こえなーい! 俺には何も聴こえなーい!」

 

部屋から逃げて急いで〈贋造魔女〉を解除した。

 

「はぁ……ようやく終わった。あ、これ渡すの忘れてた」

 

部屋に戻ると、シグナムさん達の方に寄った。

 

「はやて、あかり。これプレゼント。誕生日おめでと」

 

俺は二人に色違いのクマのぬいぐるみをあげた。

 

「ありがとなー! 一生大事にする!」

 

「私もありがとね」

 

二人が喜んでくれたのが嬉しかった。

 

「それから、シグナムさん達にもこれどうぞ」

 

「私達にもか?」

 

「あたし達は別に誕生日でもねぇぞ? というかそんなもんねぇよ」

 

「はやてとあかりに新しい家族が出来た日ってことで」

 

「……そうね。空君の言う通りね」

 

「ありがたく頂くとしよう」

 

俺は紙袋から、シグナムさんにネックレスを、ヴィータに呪いウサギの人形を、シャマルさんにブレスレットを、ザフィーラさんにはカメラをそれぞれに渡した。

 

「その、なんだ、えっと、あああ、ありがとな!」

 

「大事にするとしよう」

 

「今までこんなことなかったから新鮮でいいわね♪」

 

「これで主達との思い出をたくさん残そう」

 

四人にも喜んでもらえてよかった。

 

あとは、ヴァーリか。

 

「ヴァーリ、今年の誕生日プレゼントはこれあげるよ」

 

「ッ!? いいのか!? それは――――」

 

「これを使いこなせるようになったらもっと強くなれるよ。そしてそのヴァーリと俺は戦いたいな」

 

「……わかった。絶対に使いこなしてみせる」

 

これで楽しみがまた増えた。その時が来たらどうなるかな? どんな戦いになるんだろうか?

 

誕生日パーティーはその後も色々やった。

美九だけでなく精霊全員で歌ったり、なのは達も歌った。

ヴァーリとデュエットもした。親バカ二人(士郎さんとアザゼルさん)もはしゃいで演歌を歌った時は皆大爆笑だった。

 

「さてと、そろそろ終わりかな」

 

時間もそろそろ頃合いだ。

そう思って片づけを始めていたら、部屋に魔方陣が浮かび上がった。

 

『蒼い魔方陣――――ティアマットだな』

 

魔方陣から一人の女性が現れると、ドライグの宣言通りティアマットの人型モードだった。

 

「こんにちは、ティアマット。どうしたの?」

 

「空、サーゼクスとの試合の日取りが決定したわ」

 

! ついにこの日が来た! 俺の、俺達の力が魔王にどのくらい通じるかやってやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




歌は西野〇ナさんとe-g〇rlsさんのです。

空君の女装はToLoveるのララを黒髪蒼眼にした感じです。
その内名前も付けようかと考えてます。

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