ヴォルケンリッター参上です!
ヴォルケンリッター参上です!
Sideはやて
私―――八神はやては、明日双子の姉の八神あかりと共に誕生日を迎える。
そして、今はお姉ちゃんと一緒にベッドで横になっている。
明日が誕生日ということもあり、6月4日の0時を一緒に迎える。それが二年前からの私らの中での決まりみたいなものになっていた。
「明日はついに誕生日パーティーかぁ。すんごい楽しみや!」
空君の家で行われる誕生日パーティーは私とお姉ちゃん、空君、ヴァーリ君を祝うものだ。
「そうだね。私もだよ。今年はどんなことがあるかな? (本来なら、今日まで孤独でいたはやてだったはずだけど、皆のおかげで寂しい思いをさせなくてよかった……)」
「考えただけでもワクワクしてくるで」
去年は桃子さんが用意した特大ケーキを食べた。その前の年はアザゼルさんが作った花火を皆で観た。そのどれもが嬉しくて、楽しかったことを私は今でも憶えてる。
「もしかしたら、魔法で驚かせてくれたりして」
「アハハ、ありえそう!」
私の言葉にお姉ちゃんは笑って同意してくれた。
「もうちょいで明日や……」
時計を見ると、あと10分ぐらいで日付が変わるところまで来ていた。
「……そうだね。(今年ははやてにとって、嬉しいことも辛いこともあるかもしれないけど……)」
お姉ちゃんが優しく微笑んだ。何故だかその顔は悲しさが感じられた。
私の考えすぎかな……?
「あ、グレアムおじさんから手紙来るかな?」
両親のいない私ら二人がこれまで生活出来たのは、父の友人を名乗る―――グレアムおじさんがいたからだ。イギリスに住んでいるため手紙でのやり取りしかしたことはないが、手紙の内容からとても優しい人なんだろと思う。
「毎年来てるんだから今年も来るよきっと。はやて、そろそろ時間だよ」
「ホンマや。それならカウントダウンしようや」
「うん、いいよ」
時計の長針が11時のところから始めた。
『5…………4…………3…………2…………1…………0――――――!?』
カウントダウンを言い終え、誕生日を迎えると同時に、本棚にあった、鎖を巻かれた一冊の本が突如輝き出した。
「(ついに来た!)」
「な、なんや!? 何が起こってるんや!?」
私が驚いている内に本の鎖が外れ、ページが勝手にパラパラと捲れていった。
「お姉ちゃん、これなんなん!? 大丈夫なん!?」
「だ、大丈夫だよ! 何があっても私は一緒だよ!」
お姉ちゃん……。そうやな! お姉ちゃんと二人なら大丈夫や!
そう思ったところで、本から眩しい光が溢れた。
「こ、これは! バルス!?」
光の眩しさに顔を手で覆った。
「随分余裕だね……」
お姉ちゃんの顔は良く見えないが、隣でジト目をしてるのだろうと思った。
光が収まると、四人の男女が片膝をついていた。
「闇の書の起動を確認しました」
「我等、闇の書の蒐集を行い、主を護る守護騎士にございます」
「夜天の主に下に集いし雲」
「ヴォルケンリッター。何なりとご命令を」
や、闇の書? 守護騎士? 主? ヴォルケンリッター? な、なんやそれ?
眼を開けた先にはいつの間にか桃色のポニーテールのお姉さんと金髪のお姉さん、筋肉もりもりの犬耳生やしたお兄さん、赤い髪を三つ編みにしている四人の中で一番容姿が幼い少女がいた。
「と、とりあえず眠るわ。お休み、お姉ちゃん」
これは夢やな。私はいつの間にか寝落ちしてたみたいや。もう一度寝れば、この夢は覚めるな。
「ちょ!? そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?」
私が寝ようとしたら、お姉ちゃんがそれを遮った。
「せやかて、明日はパーティーなんやで? 寝坊したらあかんよ」
「そっか……じゃない! この人達のことどうすんの!?」
「え~? 明日で良いなやないか? あ、皆さんは空いてる部屋を勝手に使って下さい」
「え、あ、はい。それでは失礼します」
ピンク色の髪をしたポニーテールの女性が返事をすると、他の三人も部屋を出て行った。
ふぅ~、これで一安心や。さ、明日に備えて寝なきゃ。
「それじゃ、お休み」
「お、お休み……。(あれ、ヴォルケンリッターの扱いってこんなんでいいの!?)」
Sideout
Side空
6月4日、誕生日パーティー当日の朝。俺とヴァーリは八神家にはやて達を迎えに行った。ついでに朝ご飯と昼ご飯もそこでいただいて、それから、龍神家でパーティーになる。
「何で毎年俺らが迎えに行ってんの?」
……誕生日の人が行くっておかしくない?
「さあな。皆が準備をするためとかじゃないのか?」
「あー、そういうことね」
俺らがいたら準備なんて出来るわけないか。そんでもって、時間稼ぎのために朝ご飯も食べるわけか。
八神家に到着したところで、魔力を感じた。
「中にあかりとはやて以外の魔力がある……これは一体……」
「うーん、二人の魔力の感じからして無事だと思うから大丈夫でしょ」
平気だと思いインターホンを押すと、あかりが玄関の扉を開けて出迎えてくれた。
「いらっしゃい、二人共。ご飯の用意は出来てるから、早く上がってよ」
「毎年悪いな。朝から訪ねるなんてことして」
「き、気にしないで! 私もはやても嬉しいからさ!」
「そうか。それではお邪魔させてもらうか」
「お邪魔しまーす」
家の中に入ると、黒い肌着を着た見慣れない四人の男女とはやてがいた。
四人には警戒の顔をされたが、すぐに解かれた。能力を隠すネックレスのおかげで、俺達が普通の人間だと思ったのだろう。
「あ、二人共いらっしゃい! じゃあ、ご飯にしようや。皆もええな?」
「はい、主。ところで、そちらのお二人は先程言っていたご友人ですか?」
あ、主? どういうこと?
「ちょ、シグナム! 主は止めてや!」
「しかしですね……」
はやてが注意をすると、シグナムと呼ばれたピンク色の髪の女性は困ったようにしていた。
「ふむふむ。つまり、はやてとシグナムさんは人には言えないような怪しい主従関係だということだね」
はやてが変な道に行っても俺は友達だよ。
「ちゃうわ! 昨日、本からいきなり出て来たんや!」
「本から? 不思議なこともあるんだな」
「そうだね。まあ、そんなことはさておき、ご飯食べたいな。お腹空いちゃった」
朝飯抜きでここまで来たので、お腹が限界だった。
「そうやな。話は後にしようや」
皆で机を囲んで座った。
『いただきます』
『いただきます』
俺達四人は食事を始める挨拶をしたのだが、四人の男女は分からなかったらしい。
「いただきますってなんだ?」
赤い髪を三つ編みのツインテールでおさげにした女の子が聞いてきた。
「これは食事をするときの挨拶や。昔からの日本の文化やで」
昔というよりも昭和時代辺りから慣習化されたらしいけどね。
「へぇ~、それじゃ、私達もいただきますをしましょうよ」
「そうだな。主がするのであれば我らもしなければ」
金髪ののほほんとした女性が提案すると、銀髪のムキムキマッチョのお兄さんが賛成した。
今更だけど、男性の獣耳って誰得?
なんとなくツッコんではいけない気がして聞くに聞けなかった。
『いただきます』
四人も挨拶をするとご飯を食べ始めた。
「これは……ギガうまだぜ!」
赤髪の子が一口食べると美味いと言って、勢いよく口に入れて行った。他の三人も美味しいと呟いていた。
「これははやてが作ったの?」
「そうやで。どうかな?」
「また腕上げたね。すごく美味しいよ。毎日食べたいぐらいに」
いつか追い越されそうだな……。
「ま、毎日!? そ、それってプロポーズ!?」
「え、なんで? そんなわけなじゃん」
俺の感想にはやてがプロポーズされたと勘違いしたみたいだ。
「はやて、空君がそんなこと言う訳無いでしょ?」
「そうやな……ありえんわ……」
はやてを諭したあかりにサラッと酷いこと言われた気がする。
「……これ美味しいな。これもはやてが作ったのか?」
ヴァーリが玉子焼きを食べて呟いた。
「違うで。それはお姉ちゃんや。メッチャ美味いやろ?」
「ああ、そうだな。何故だか心が温かくなるな」
「そ、そう言ってもらえると作った甲斐があるよ」
ヴァーリに褒められたあかりは恥ずかしさを紛らわすために、髪をいじっていた。
「毎日食べてみたい?」
「ああ、そうだな。もしそれが叶うならばお願いしたいくらいだ」
「え、ええ!? ええぇぇぇえええええええええええ!?」
「よかったな~、お姉ちゃん」
あかりがひどく狼狽していたのを見てはやてがニヤニヤしていた。
その後、ご飯を食べてシグナムさん達の話をすることになった。
「じゃあ、自己紹介から。俺は龍神空です。空って呼んでください」
「俺はヴァーリだ。よろしく」
「私はシグナムだ。敬語は無くてもいいぞ」
「あたしはヴィータだ」
「私はシャマルよ。よろしくね」
「ザフィーラだ」
「それで、あなた達は何者ですか? 見た感じ悪い人には見えませんけど」
「我らは主はやての守護騎士だ」
……いや、そんな真面目な顔で守護騎士だって言われてどう反応しろと? 一般人だったら、間違いなくドン引きしてるよ。
「アッハイ……」
「どこから来たんだ?」
「それはこの本からやで。今日の0時ピッタシに現れたんや」
そう言ってはやてが見せてくれたのは一冊の本だった。
「……つまり、魔法関係か」
魔法を知ってることを話すと、四人は驚いた顔をした。
「!? ……魔法を知ってるのか? 見たところ魔力は感じられないが……」
「今は隠してるんです。管理局とか変な組織に目をつけられると厄介なので」
「……そんなにヤバい力でも持ってんのか?」
「ある意味そうだな」
下手すると街一つは破壊できるんじゃないかな……。
「ほう……それは興味深いな。ぜひ、手合わせをしてもらいたい」
シグナムさんの眼が獲物を見つけたと言わんばかりの肉食獣のようだった。
この人戦闘狂!?
「ちょっと、シグナム。いきなりすぎるわよ」
「いいではないか。それにこいつがどんな奴なのかがわかる。空、どうだ?」
「俺は構いませんよ」
俺もこの人がどのくらいの強さか知りたいしね。
「だったら俺も戦いたいな。残りの三人の誰か相手をしてくれないか?」
「ならば、私が相手をしよう」
俺達は立ち上がり、視線をぶつけ合った。
「皆、まだ話は終わってないで!?」
外に出ようとしたところで、はやてからストップがかかった。
「お、いっけね。ところで、シグナムさん達の目的って何?」
「それは主の持っている魔導書―――闇の書を完成させることだ」
「この本を? どうやってやるんや?」
「魔力の蒐集をするのよ」
「完成するとどうなるの? 〈あかりは何か知ってる?〉」
闇の書とかいうヘンテコな名前からして危なさそうだけどね。
「〈うん。はやての足が動かないのもこの本が原因だよ。集めれば色々あるけど治るよ〉」
!? じゃあ、完成させた方が良いのか……?
「666ページを埋めることで、主が大いなる力を得る」
666!? 不吉でしかないじゃんか!
「……そういうのって大抵、危ないものだよな」
「そ、そんなことはないはず……?」
ヴァーリの呟きに自信なさげにシグナムさんが返した。
何で疑問形なのさ……。
「しっかりしろよなーシグナムゥー」
「煩い! よくよく考えてみれば不吉な数だと思ったんだ! 仕方ないではないか!
それにヴィータだって今まで疑問に思ってもいなかっただろう!?」
ヴィータに責められたシグナムさんはヴィータを睨みつけていた。
「だが、我々の目的だ。成し遂げねばならん」
その言葉には強い意志が感じられた。
「そうですか。なら、手伝いますよ」
「……それはどうして? あなたにはメリットなんてないわよ?」
メリットはないけど、デメリットがたくさんあるんですよ。
「はやてが友達だからです」
「それだけで十分だな」
むしろそれ以外の理由があるんだったら聞きたいね。
俺は内心でドヤ顔を決めた。
「空君、ヴァーリ君……。ホンマにありがとうな」
「……そうか。それは助かる。お前達の言葉は嘘に思えない。(空という少年は不思議だな……。会って間もないというのに信じられる気がする。だが、どうしてここまで信じられてしまうのだろうか? 彼のカリスマ性? いや、それ以上にもっと何かがある気がする)」
「でも、お前らの強さが分かんねぇな。蒐集って結構危険だぜ?」
「それをこれから試すんでしょ?」
「ああ、手合わせといこうか」
俺達は八神家の庭に結界を張った。最初はヴァーリとザフィーラからだ。
「そう言えば、ヴァーリ君ってどんな魔法使えるん?」
「ん? ヴァーリは魔法は使わないよ。どっちかっていうと、魔力そのものって感じかな。まあ、それだけじゃないんだけどね」
魔法というよりも魔術も使えるだろうけど、
「それはどういうことだ? それからバリアジャケットは着ないのか?」
「それは見てればわかりますよ」
他の皆も分からなさそうにしていたので、試合でわかると教えた。
「それでは、始め!」
最初に仕掛けたのはザフィーラさんだった。
「はぁぁぁあああああああああああああああッ!」
ヴァーリに接近すると、自身の剛腕を全力で振るった。
しかし、ヴァーリはその拳をバックステップで避けると魔力弾を放った。
「その程度効かぬ!」
ヴァーリの魔力弾を片手を突き出してバリアーを張ると、簡単に防いだ。
「どうした? その程度か?」
「これぐらいでは効かないか……」
……ヴァーリの奴、遊んでる? 神器も使わないなんて……。
「……舐められたものだな」
本気出されてないことぐらいわかっちゃうよね。
自分が試されていると思ったザフィーラは拳を構えて、怒涛のラッシュを放ってきた。
顔、腹、脚や腕。いたるところを狙って攻撃していた。しかし、ヴァーリはそれをすべて紙一重で躱していた。
「あいつ、スゲーな! ザフィーラの攻撃が全く当たんねぇぜ!」
「紙一重なのも最小限の動きで躱しているからか」
「でも、ザフィーラだって負けてないわよ」
シャマルさんがそう言うと、ザフィーラが一旦、距離を取って魔法を発動させた。
「縛れ!
ヴァーリの足元から、無数の白い杭のようなものが生えてきた。
「ッ!
素の状態じゃ躱せないと判断して、神器を使って飛ぶことで躱した。
『!?』
おー、皆さん驚いていらっしゃる。
「アレなんや!? なんで飛んでるん!?」
「人は飛ぼうと思えば飛べるんだよ」
『出来るか!』
戦ってるザフィーラにまでツッコまれてしまった。
「ホントのことを言うと、あれは聖書の神が創った神器っていうものだよ」
「そんなものがこの世界にはあるのか……」
「で、更に言うならヴァーリのように強い神器は、神すら屠れる力があることから
「神を滅ぼす力!? そんなの危ねぇに決まってんだろ!」
「あ、そっか。だから力を隠していたのね?」
「そういうことです。俺も同じ力を持ってるんで」
「そしてこれが俺の神器の力だ!」
《Divide‼》
ザフィーラに触れてから能力を発動させると、ザフィーラの体がグラッと揺れた。
「なッ!? 力が抜けただと!?」
「今のがヴァーリ君の能力?」
「そうだよ。あれは触れた者の力を十秒ごとに半減にできる力があるんだ。しかもそれを吸収して自分の力に加えられる」
「強すぎやろ……」
「うん、しかもヴァーリ自身の強さもあるから余計に厄介な組み合わせだよ」
これぞまさしくチートだね!
「もう手合わせはいいか?」
「ああ、私の負けだ。このままやっていても私の不利に変わりはないからな」
あれ? 解説してたら戦闘が終わった?
「それでは、私達もやるとしようか」
「はい!」
俺達は立ち上がり、ヴァーリ達と入れ替わった。
「それでは、始め!」
「最初は譲ってやる。来い!」
「じゃあ、遠慮なく!」
俺はいつも通りに魔剣と聖剣を創って斬り掛かった。
「甘い!」
鞘から抜いた剣で簡単に弾かれた。恐らく、あれがシグナムさんのデバイスだろう。
あっちの方がリーチがあるから俺の方が不利かな。剣の扱いでも向こうの方が上っぽいしね。
「今度はこちらの番だ!」
シグナムさんが魔力を纏わせ、襲い掛かってきた。
速ッ! 見聞色でギリギリ!
「ふんッ!」
「グッ」
俺の頭に向かって振り下ろされた剣を、二つの剣をクロスさせて防いだが、予想以上に重くて地面に膝をつきそうになった。
……強いなー。これは苦戦しそうだ。でも、簡単には負けたくないね!
「てッやぁぁぁああああああああああああああ!」
俺も魔力を使い、無理やり剣を押し返した。
「なかなかやるな。お前との闘い、面白くなってきたぞ」
「すごくやりますね。あなたとの闘い、怖くなってきました」
どちらからともなく小さく笑うと、それから互いの剣を幾度もぶつけ合った。
あ、ヤベ!
シグナムさんの攻撃で俺に決定的なスキが生まれた。
「そこだ!」
切り上げの攻撃によって二本の剣は俺の手から離れた。勝ちを確信したシグナムさんがトドメに斬り掛かってきたが、俺がしたことに表情をいっきに変えた。
「これで―――――な!?」
『なッ!?』
シグナムさん以外からも驚きの声が聞こえてきた。そりゃそうだ。決まったと思った攻撃を防がれたのだから。
「俺の勝ちってことでいいですか?」
「……そうだな。私の負けだ」
片膝をついたシグナムさんに聞くと負けを認めた。
「最後のはどうやって防いだのだ? 私の勝ちを確信していたのだが……」
「それは―――――ま、前隠して下さい!」
美九といい勝負の巨乳をポロリしているシグナムさんから慌てて俺は目をそらした。
薄着だったせいで簡単に切れてしまったのだ。
「前? ああ、さっきの攻撃で切れてしまったか」
自分の胸がさらされていることを恥ずかしがることもなく呑気にしていた。
羞恥心とかないわけ!? いや、俺が悪いんですけど!
「空くぅ~ん? これはどういうことなんかな~?」
ヒィッ!? 何この殺気! メッチャ怖ッ!
振り返るとどす黒いオーラを纏ったはやてがいた。
「いや、あの、その決して悪気があったわけじゃなくてですね。事故と言いますか偶然と―――――」
「ちょっとO☆HA☆NA☆SIしようか」
………………どうやら神は死んだみたいだ。
『死んでますけどあなたのそばにいますよ!』
フッ、所詮神など今のはやての前に意味はないね。
そのあと、一人の少年の悲鳴が街に響き渡った。