デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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冥界で使い魔ゲットです!

冥界で使い魔ゲットです!

 

Side空

 

明日奈達が神器(セイクリッド・ギア)を使い始めてから数日後の休日、俺は冥界の森に来ていた。

ここに来た理由は、このあたりに五大龍王の天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)―――ティアマットがいるらしく、

ぜひ戦ってみたいと思ったからだ。

 

「さてさてさーて、どこにいるのかな~?」

 

『……なあ、空よ、ティアマットを探すのは止めにしないか?』

 

どうしてドライグはこんなに消極的なのかな?

 

「アルビオンはドライグがティアマットに会いたくない理由とか知ってる?」

 

『ああ、もちろんだ。昔、こいつが――――』

 

『ワー! 止めてくれ! アルビオン!』

      

『……すまないが本人の為にここは黙っておこう』

 

アルビオンが喋ろうとしたら、ドライグが必死に止めた。

そこまで隠したいことなんだね。

 

「でも、ドライグってこの世界のドライグじゃないんだから関係ないでしょ?」

 

『それはそうなのだが、俺がいた世界でも仲が悪くてな……。こっちの世界のティアマットとはいえ会いたくない』

 

「そっか。まあ、なんでもいいけど。ほら、さっさと探すよ」

 

 

 

 

 

それから数時間後。

 

「……………………全然見つかんない」

 

どこを探してもティアマットどころか、生物が一匹も見つからない。

 

『お前は動物に嫌われやすいからな。それが魔獣にすら影響を及ぼすとは、笑えてくるな』

 

「普通、そこまで嫌われるかな?」

 

九喇嘛の言う通り、俺は動物に何故か嫌われている。それも超が三つぐらいついてもおかしくないぐらいに。

すずかの家の猫やアリサの家の犬も俺が来ると怯えて部屋から出ようとせず、無理に触れようとしようものなら、触れる前に気絶してしまう。

あのときは相当ショックを受けたのを今でも覚えている。

 

……思い出したら泣きそうになってきた。

 

『原因はワシらがいるからだろうな』

 

九喇嘛が愉しそうに自分達の所為だと言ってきた。

 

お前らの所為かよ!? ふざけんな! 俺が今までどんな思いでいたと思ってるんだ!

 

『ならティアマットを使い魔にすればいいのでは?』

 

「なるほど! ……いや、ティアマットが使い魔ってどうなんだ?」

 

そもそも、するしない以前に早く見つけないと話が進まないんだけど。

 

「はぁ……とりあえず、さが――――」

 

『キャアアアアアアアアッ!』

 

「悲鳴!?」

 

誰かの悲鳴が森全体に響き渡った。

 

『空! あっちの方だ!』

 

あっちってどっち!? それだけでわかるかッ!

 

『空から見て、左に直進すればいるはずだ』

 

「サンキュー、アルビオン!」

 

方向を教えてくれたアルビオンに感謝して、一番速い九尾モードで駆け付けた。

 

 

 

 

 

あそこか!

 

女の子三人が全長5mはありそうな魔獣数匹に食べられそうになっていた。

 

「させるかぁぁぁあああああああああ!!」

 

『ガウ!?』

 

俺の声に振り向いて、攻撃対象を俺に変えて突進してきた。俺は魔力を右手に集め、手を巨大化させてから魔獣の一体を殴り飛ばした。

 

「まだまだ! てっやぁぁぁああああああああああああああああ!」

 

左手にも同じようにして、他の魔獣を拳の連撃でどんどん吹き飛ばしていった。

 

「これでおわ――――」

 

『グオオオオオッ!』

 

「まだ起き上がんの!?」

 

あれだけ殴って立ち上がった魔獣に驚いた。

 

今の九喇嘛の力じゃパワー不足か……。

 

「今度はドライグで行くよ! 禁手化(バランス・ブレイク)!」

 

《Welsh Dragon Balance Breaker‼》

 

『ガウ!?』

 

俺が放つドラゴンのオーラに魔獣達は一瞬怯んだものの、すぐに攻撃してきた。

 

《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost‼‼‼‼‼》

 

紅蓮(ぐれん)天龍連撃(てんりゅうれんげき)!」

 

炎を纏った拳で魔獣達を数十回殴り続けた。

魔獣達は再び吹き飛ばされて、今度はちゃんと気絶したことを確認した。

 

「よし! 今度こそ終わった! あ、君達は大丈夫?」

 

後ろにいる女の子達に振り返り、安全かどうか確認した。

 

「え、あ、だ、大丈夫っす!」

 

「うん、あなたのおかげでケガは無いよ」

 

「あ、ありがとうございました!」

 

言葉通り、三人共大丈夫なようだ。間に合って良かった。

 

「それはよかった。じゃあ、俺、急いでるから。バイバイ」

 

別れを告げてその場から離れようとしたところで、

 

『グオオオオオオオォォォォォンッ!』

 

『!?』

 

さっき戦った魔獣とは比べ物にならないほどの咆哮が聞こえた。

 

「あ! あれ、もしかしてドラゴン!?」

 

小豆色の髪をした女の子が上を見て叫んでいた。

 

蒼い鱗のドラゴン……。

 

『……しまった! 俺の力をたどってここまで来たのか! あいつ!』

 

ドライグの反応を見ると、あれがティアマットか!

 

「よっしゃー! やっと見つけた!」

 

「見つけたってどういうこと?」

 

女の子の一人が不思議そうに尋ねてきた。

 

「ん? ああ、俺はティアマットと戦ってみたいから探してたんだよ!」

 

『え?』

 

三人は驚いてるけど、そんなことよりも今はティアマットだよ!

 

「おーい! ティアマットー! 降りて来ーい!」

 

大声で叫ぶと、俺の声が聞こえたのか、すごい風圧を起こしながらゆっくりと降りてきた。

 

『……一つ聞くけどあなたがドライグを宿す者?』

 

「うん、一応!」

 

『そう……なら―――』

 

『マズイ! 空、逃げろ!』

 

『死になさい!』

 

ドライグの忠告虚しく、ティアマットの口から蒼炎のブレスが放たれた。

 

「!?」

 

避けたらこの子達にも被害が出る! だったら―――

 

「禁手化!」

 

黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)禁手(バランス・ブレイカー)になり、聖槍で斬り裂いた。

 

『!? あなた、聖槍を持っているの!?』

 

俺の手にある聖槍を見て蒼い眼を見開いていた。ティアマットもこんなところで聖槍が見られるとは思いもしなかったのだろう。

 

「まあね。危ないから三人共ここから離れた方が良いよ」

 

『はいっす(うん/はい)!』

 

三人は素直に従って、俺達から離れた。

 

「さあ、俺達の戦争(デート)を始めよう」

 

『ふん! 人間風情が舐めないでちょうだい!』

 

俺達は互いに翼を広げて、空中戦で戦うことにした。

 

「はぁぁぁあああああああああああああ!」

 

聖槍を伸ばした突き攻撃でティアマットの硬そうな蒼い鱗を簡単に傷つけた。巨大な拳で殴り掛かってくるのを聖槍で上手く捌く。

 

『クッ! やるわね、あなた! でも、まだよ!』

 

ティアマットも負けじとブレスを大量に放ってきた。

俺はそれを回避しようと横にズレたが、ブレスには追尾効果があったらしく、俺の後ろを追い掛けてきた。

 

「追尾するなら落とすまで!」

 

俺は翼を巧みに動かし、ブレスを叩き落としたり斬り裂いた。

 

そろそろ頃合いかな……。

 

次で決めようと思い、攻撃のチャンスを作るために相手に仕掛けた。

接近するとティアマットが拳を突き出してきたが、聖槍でなんとか受け流した。

しばらく激しい攻防をしていると、チャンスが訪れた。

ティアマットが俺の攻撃によろめいたのだ。

 

今だ!

 

「輝け! 聖槍よ!――――」

 

『させないわ!』

 

ティアマットが今回で一番デカいブレスを放ってきた。

 

「―――――聖槍龍の夜明け(ライジング・サン)!」

 

聖槍から放たれた特大の黄金の砲撃がティアマットのブレスを掻き消し、ティアマットすらも吞み込んだ。

 

『空さんの勝ちですね』

 

ティアマットが落下していくのを見て、ヤハウェが呟いた。

 

 

 

 

 

『私の負けね……。しかも人の子に負けるなんてね』

 

地面に横たわるティアマットが負けを認めた。

 

「やったね! 龍王に勝てたよ!」

 

『中々良い戦いだったな』

 

『まあ、当然の結果だな』

 

アルビオンは俺の戦いを称賛し、九喇嘛は勝てて当然といった感じだった。

 

「そう? ありがと。ティアマットは怪我平気? もしよかったら治すけど」

 

『これぐらい問題ないわ。気にしないでちょうだい』

 

ティアマットはそう言うとすぐに立ち上がった。

 

流石は龍王と呼ばれるだけのことはあるね。

 

「そっか。じゃあ、俺は帰るね。暇なときにまた相手してくれると嬉しいな」

 

『ちょっと待って。あなたは戦うためだけに私を探していたのかしら?』

 

帰ろうとしたらティアマットから質問された。

 

「そうだけど?」

 

『……それだけなの?』

 

本当に戦う為だけに来たのかともう一度聞いてきた。

 

「それだけだよ」

 

『…………フフ、アハハハハハ! 面白い! 実に面白いわ!』

 

「ええー? 何で笑われんの?」

 

突然笑い出したティアマットに理解が出来ないでいた。

前に九喇嘛にもそんな感じで笑われたのを思い出した。

 

俺ってそんなに変かな?

 

『普通だったら使い魔にでもすると思っていたんだけど、戦うだけって……。これは驚きだわ』

 

「はぁ、それはどうも……?」

 

褒められてるのか変人扱いされてるのかわからないな……。いや、褒められてはないよね。

 

『あなたの名前は何と言うの?』

 

「龍神空だよ。空って呼んでくれていいよ」

 

『そう、空っていうのね。ねぇ、空。私を使い魔にしてみない?』

 

「え、結構です。それじゃ」

 

ティアマットが使い魔になるという提案をあっさりと断り、今度こそ帰ろうとしたが、

 

『まあ待って待って。さっきあなたはまた戦ってほしいと言ってたじゃない。私を使い魔にすればいつでも戦えるわよ。お得じゃないかしら?』

 

ティアマットが食い下がり、帰ることが出来なかった。

 

「いや、そこまでして戦いとは思わないんだけど……」

 

『ティアマット、いい加減に諦めなさい』

 

困っていたら、ヤハウェが止めに入ってくれた。

 

『その声は聖書の神ね? でも、私を止める権利はあなたには無いわ。それに私は空が気に入ったのよ。だから、いいじゃないの。空には何が何でも私のことを使い魔にしてもらうわ』

 

ヤハウェがいることに興味がないのか、特に気に留めることもなく続けてきた。

 

何か気に入られてた!? これがドライグやアルビオンの力を引き寄せる特性なのかな?

 

「でも、アジュカっていう魔王の盟友なんでしょ? 使い魔になってもいいの?」

 

『それぐらいなら構わないわ』

 

「う~ん、ドライグとしてはどうなの?」

 

『……俺としては遠慮願いたいな』

 

『黙りなさい、変態。今でもあの事を私は許す気はないわ!』

 

俺と話すときは優しい声音だったのに、ドライグに対しては底冷えするような声音に豹変した。

 

「あの事? それって仲が悪くなった原因の事?」

 

『ええ、そうよ! そこの変態は私のむ、むむむ、胸を触ったのよ! そのことを百歩譲ったとしても、ドライグのせいで貸してあげた宝のほとんどが各勢力の宝物庫の中に行ってしまったわ!』

 

おー、胸ってことは正しく乳龍帝ですね。宝に関してもドライグが悪いね。

 

詳しく話を聞いてみれば、アルビオンとの決着を付けるためティアマットに宝を借りたらしいのだが、アルビオンと一緒に退治され、神器に封印されてしまった所為で、ティアマットの宝は人間の盗賊に奪われ世界中に散らばったそうだ。

 

『それはこの世界の俺だ! ここにいる俺はお前にそんなことをした覚えはない!』

 

『覚えてない……ですって? それは私以外の雌の胸も数え切れないほど触ったというの!? 益々、許せないわ! やはり死ね!』

 

「ちょっと待って! ティアマット落ち着いて!」

 

『……チッ……………わかったわ。命拾いしたわね、ドライグ』

 

暴れそうになったティアマットを何とか抑えた。

 

ドライグが死ぬってことは俺が死ぬってことだからね!?

 

「ドライグはこの世界のドライグじゃないって言ってたでしょ? だから、ティアマットが許せないドライグは別の人に宿ってるんだよ」

 

『つまり、空に宿るドライグは私の知らないドライグだと言いたいの?』

 

「そういうことだよ。分かってくれた?」

 

『……分かったわ。空がそこまで言うのなら信じるわ』

 

ほっ、これで俺が殺されることは無くなったよ。

 

『ただし、空が私を使い魔にしてくれたらの話だけどね』

 

『は?』

 

俺だけでなく、中にいるドライグ達も俺と同じ言葉を発した。それに反して、ティアマットはしてやったりな顔いた。

 

『狡賢いな……』

 

『こりゃあ一本取られたな』

 

『さあ、どうするの? 使い魔にする? それともこの場で焼かれる?』

 

答えを待つティアマットが、こちらを楽しそうにニヤニヤと見ていた。

 

もし俺が断ればティアマットに攻撃されるんだよね? それは勘弁してほしいな……。

 

「はぁ……分かったよ。ティアマットを使い魔にするよ」

 

『賢明な判断よ』

 

『ほとんど脅迫に近いがな……』

 

『何か言ったかしら?』

 

『いいえ、何でもありません!』

 

ティアマットに睨まれたドライグは即座に謝った。天龍の貫禄が丸つぶれだ。

 

 

 

 

 

それから、俺はティアマットに連れられて、アジュカさんに会いに行った。

 

「そういうわけで私は空の使い魔になるわ」

 

蒼く長いストレートの髪をした人の姿になったティアマットがアジュカさんに今日あったことを伝えた。

 

「俺としては仕事に支障が出なければなんだっていいよ。それでは、ティアマットのことを頼んだよ。龍神空君」

 

「は、はい! 頑張ります!」

 

魔王に初めて会ったので酷く緊張していた。

 

これが魔王……強いな……。

 

今の俺じゃとても敵いそうにないと、見た瞬間に思った。

 

「それでは失礼します」

 

やっと帰ることが出来ると思ってドアノブを回そうとしたところで、ドアがひとりでに開いた。反対から誰かが開けたのだ。

 

「アジュカ、仕事のことで話し……おや? 君は人間だね。どうしてこんなところに?」

 

赤よりももっと濃い紅い髪のイケメン成人男性が入って来た。

 

この人、サーゼクス・ルシファーだ!

 

「えっと……」

 

「彼はティアマットを使い魔にした龍神空君だ」

 

俺が困っていたら、アジュカさんが助けてくれた。

 

「あの龍王最強のティアマットが使い魔になるとは……。これは驚いたね。君はまだ小学生ぐらいか。その年でティアマットに勝つとは素晴らしいよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「そうだ。今度、君さえ良かったら私と試合をしてくれないかい? ティアマットが認める実力をぜひこの目で確かめてみたくてね」

 

魔王と試合!? マジで!?

 

突然の提案だったが、嬉しい内容だった。

 

「おいおい、子供相手に試合なんて大人気ないぞ」

 

「偶にはいいじゃないか。執務ばかりでは体が鈍ってしまうからね。空君の方はどうだい?」

 

「ぜひやらせてください! こんな機会滅多にないので!」

 

嬉しい! 俺、魔王と戦えるんだね!

 

「それは良かったよ。日取りが決まったらティアマットに伝えておくよ」

 

「はい! 楽しみにしています! それじゃ、失礼します!」

 

やばい! これはやばい! ワクワクが収まんない!

 

Sideout

 

 

 

 

 

Sideサーゼクス

 

空君がいなくなった後で、アジュカとティアマットと彼のことを話していた。

 

「彼は何者なんだい?」

 

「さてね。私も会ったばかりで分からないことだらけ。ただ聖槍や赤龍帝の力を持っていた。それに彼は面白いわ」

 

彼は二つも神器を持っているのか!? それも神滅具(ロンギヌス)を二つ!?

……これは彼と戦うのが楽しみになって来たよ。だが、それと同時に彼は何者なのか益々知らなければならなくなってしまった。

 

「それが本当なら、他の勢力に付かれるとパワーバランスが一気に傾くな」

 

「そうだね。彼の存在に気付けばどの勢力も声を掛けるだろう」

 

出来ればこちらの陣営に入ってもらいたいものだが……放っておくはずがない。

 

「空はそんなことに興味なさそうなんだけどね……」

 

「確かにそうだね。彼は生きることを楽しんでるみたいだからね」

 

今度の試合のついでに妹のリーアたんに紹介しよう。

 

そんなことを考えていたら、突然ドアが乱暴に開いた。

 

「ティアマットと人間の子供が戦ってるって本当か!?」

 

入ってきた人物は天界の神王―――ユーストマ様と私と同じ魔王のフォーベシイ様だった。

ティアマットの盟友であるアジュカのところに行けば何かわかるのでは? と思ってここに来たのだろう。

 

「私ならここにいるわ。神王に魔王」

 

「え!? まさか食べちゃったのかい!?」

 

遅かったかと絶望したような表情になったフォーベシイ様。

 

「私の事なんだと思ってるのかしら? ……あの子ならならとっくに帰ったわ」

 

心外だとばかりにティアマットが答えた。

 

「どうやら入れ違いになったみたいだな」

 

「それだけでお二方はここに来たのですか?」

 

これくらいのことでお二方が動くとは思えないのだが……。

 

「ああ、実はティアマットと戦った少年がネリネちゃん達を魔獣から助けてくれたと本人達から聞いてね。ぜひお礼が言いたかったんだよ」

 

彼は三人を魔獣から護ったのか。

 

「それでしたら今度彼と私が戦う時に言ってみてはどうでしょうか?」

 

「お、それは丁度いいな」

 

「ぜひそうさせてもらうよ。じゃあ、僕達は失礼するよ」

 

お二方は満足そうにして部屋を出て行った。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

「たっだいまー!」

 

「おかえりー! ティアマットとかいうドラゴンは見つかったの?」

 

玄関を開けるとアリシアとフェイトが迎えてくれた。

 

「うん! 戦ったけどメッチャ強かった!」

 

「ドラゴン相手に良く無事だったね……」

 

「それだけじゃないよ! ティアマットが使い魔になったんだ!」

 

脅迫に近いけどね! 

 

『え?』

 

「しかも今度魔王の一人と戦うことになったんだよ!」

 

これはティアマットが使い魔になったことよりも嬉しいかも。あ、これじゃティアマットに失礼か。

 

『は!? 魔王!?』

 

「そんじゃご飯作るとしますか」

 

「毎度のことだけど、空って色々おかしいよね?」

 

「もはや人間辞めてない?」

 

「いやいやまだ人間辞めてないからね!?」

 

「まだってことは……」

 

「そのうち……」

 

「今のは言葉の綾って奴だから! 勘違いしないで!」

 

「ハイハイ、そうですね」

 

うわッ! 絶対に信じてない!

 

「あーあ、今日はアリシアの大好きなカレーにしようとしたのになぁ~」

 

「ごめんなさい言い過ぎましただからカレー作って下さい」

 

土下座するほど食べたいの!?

 

「わ、分かったよ。今日はカレーにしてあげる」

 

「ホントに!? やったー!」

 

現金な奴だなぁ……。

 

「あ、ねえ、空。その、さ……そろそろ、いいんじゃない、かな?」

 

「何が?」

 

フェイトが急にモジモジし始めたけど何が言いたいんだろうか?

 

「そんなの決まってんじゃん! デートだよ! デート!」

 

!? 約束してたのすっかり忘れてた!

 

「もしかして忘れてた?」

 

ギクッ!

 

「え!? そ、そんなことはないよ!」

 

「絶対忘れてたよね?」

 

アリシアに半眼で睨まれた。

 

「……はい、忘れてました」

 

「酷いよ! ずっと楽しみにしてたんだから!」

 

「ご、ごめん……」

 

完全に俺が悪いな。

 

「罰として今日は一緒にお風呂とベッドだからね!」

 

「うッ……はい、わかりました」

 

ここで逆らえば俺の命は無いな……。

 

「そして明日は私とデートしてもらうからね!」

 

「うん……わかったよ」

 

こうして明日はアリシアとデートすることになった。

 

 

 


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