デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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誘拐事件です!

誘拐事件です!

 

Side空

 

堕天使の存在を知った翌日、龍神家のトレーニングルームに俺、なのは、フェイト、アリシア、

愛衣、王城、ユーノ、プレシアさん、リニス、アルフと言った面々が揃っていた。

 

「それじゃ、これからジュエルシード回収に向けての会議しまーす」

 

『はーい』

 

俺の気の抜けた挨拶に皆も同じように返した。

 

「じゃあ、ユーノ君や、頼んだよ」

 

人間の姿になったユーノに進行を頼んだ。

どっちが本来の姿なのか聞いたら人間の方だと言われた。

 

「あ、うん。まず、ジュエルシードは全部で二十一個あります。そして、そのうち二つが回収済みです。ここまでは皆の知っての通りです」

 

ユーノの確認に全員が頷いた。

 

「それで、一刻も早く回収するために今日は皆の実力を知って、探索するチームを決めたいと思ってます」

 

「要するに模擬戦をしようってことか」

 

「その通りだよ。戦力が偏ると危ないからね」

 

「どういう組み合わせで対戦かしら」

 

「じゃあ、俺対フェイト&アリシア&アルフ、プレシアさん&リニス対なのは&愛衣&王城君&ユーノ、でどう?」

 

「空君一人で……問題ないわね。心配するだけ無駄だわ」

 

プレシアさんにさらっと酷いこと言われた気がするが気にしない気にしない……。

 

「その組み合わせにした理由は何だ?」

 

「フェイト達三人は普段からやってるからって言うのと、なのは達はプレシアさん達から

色々学べると思ったから。ついでに言えば、俺のモルモ……ゲフンゲフン……訓練相手だよ」

 

おっといけない。決して九喇嘛の力を試したいとかじゃないんだよ? ホントだよ?

 

「今、モルモットって言おうとしてなかった!?」

 

「気のせい気のせい。俺が(家族として)好きな人にそんなことするはずないじゃないか」

 

「(異性として)す、好きな人……。うん! そうだよね!」

 

ふぅ~、何とか誤魔化せた。でも、何で顔赤いの?

 

「空とアリシアの言ってることが噛み合ってない気がするんだが……」

 

「それは私も思ったの」

 

なのは達が何か言ってるっぽいけど、良く聞こえなかった。

 

「そんじゃ、最初は俺のグループからやろっか。審判はリニスお願いね」

 

「はい、任せて下さい」

 

「今日こそ空に勝ってやる!」

 

「そうだね。いつも負けてばっかりは嫌だから」

 

「たまにはギャフンって言わせてやる~!」

 

お、三人とも気合バッチリだね。

 

「じゃあ、俺に勝ったら、何でも一つ言うこと聞いてあげるよ」

 

『!?』

 

三人は俺の提案に目を見開いていた。

 

「な、何でも……あぅ…………」

 

「あんなことやこんなことを……キャ~!」

 

「中々面白いじゃないか! フフフ……」

 

フェイトとアリシアが何を想像したのか分からないけど、なんか顔を赤らめ悶えていた。

アルフは俺が嫌がることしそうな感じで不敵に笑っていた。

 

まあ、そんな簡単に勝たせるつもりはないけどね。

 

「両者とも準備はいいですか?」

 

リニスの問いかけに全員頷いて、バリアジャケットを着て構えた。

因みに、フェイトは黒いバリアジャケットで、アリシアはその色違いで二人は同じ武器。

アルフは露出の多い服にマントとグローブのバリアジャケット。

出会った頃からかなり成長して今ではすっかり大人の女性だ。スタイルのかなり良いアルフのあの露出は目の毒。

 

べ、別にやましい気持ちなんて無いからねッ!

 

「それでは、始め!」

 

開始の合図と同時にフェイト達三人共、速攻を仕掛けてきた。

 

いつもと同じパターンから来るか……なら―――

 

魔剣創造(ソード・バース)+聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)!」

 

右手に黒い魔剣、左手に白い聖剣が俺の手に握られた。

 

剣、というよりも鍵に近いけどね……。

 

なんとなくこれが一番しっくりきた形状の武器だったのだ。

俺はそのままフェイトとアリシアの攻撃をいなして、アルフの拳を剣の腹で受け止めた。

 

「クッ! やっぱり簡単には行かないか……」

 

一旦、距離を取ると、アルフが悔しそうにしていた。

 

「でも、諦めない!」

 

「それに今日はいつもと一味違うからね!」

 

……? アリシアが何かするのかな……? いや、考えてても仕方がないな。でも、いざとなれば禁手(バランス・ブレイカー)使うまで!

 

「見せてあげる、私の新しい力を! フォーチュン、ガンモード!」

 

《了解。Gun mode》

 

アリシアのデバイス―――フォーチュンドロップが返事をすると、アリシアの手に二丁のハンドガンが握られていた。

 

「それが新しい力?」

 

「それはこれからのお楽しみだよ♪」

 

気になって聞いてみたが見て確かめろという感じに返された。

 

そりゃ簡単にはバラさないか。

 

「まあ、なんでもいいさ。今度はこっちから行くよ!」

 

最初は……フェイトから!

 

狙いを定めてからフェイトに接近して、斬りかかった。しかし、間にアルフが入って、防御魔法で防がれた。無理やり壊そうかと思ったが、アリシアの射撃で離れざるを得なかった。

 

「……」

 

どうしたもんか……。

 

攻撃手段を変えようかと思っていたら、向こうは動き出した。

 

「フェイト、アルフ、時間稼ぎお願い!」

 

『うん(あいよ)!』

 

アリシアがデカい一撃を放つための時間稼ぎ……といったところだね。

 

「させないよ」

 

狙いはアリシアに変更したが、当然二人は邪魔をしてくる。

 

「はああああああッ!」

 

「てやああああああッ!」

 

フェイトが斬り掛かり、躱したところにアルフの拳がやってくるのを防御魔方陣を展開して防ぐ。その後もフェイトとアルフの連携攻撃で中々アリシアに近づけない。

 

「……チッ」

 

思わず舌打ちしてしまった。

 

「(九喇嘛、力借りるよ)」

 

『早速ワシの出番か。 存分に使え』

 

「(ありがと)」

 

使えると言ってもまだ一部しか使えないんだけどね……。

 

九喇嘛にお礼を言ってから集中すると体に力が漲って来た。

 

「〈!? 空の魔力が上がった!? 気を付けて、アルフ!〉」

 

「〈……ああ、もちろんだよ〉」

 

一度深呼吸をしてから、二本の剣を構え直した。

 

フェイト達は警戒していたが、構うもんか。

 

まずは、最初と同じくフェイトから狙った。

フェイトやアルフは魔力弾を放ってきたが、全部剣で斬った。

 

『ッ!?』

 

フェイトに斬りかかれば、さっきと同じでアルフが入って来たが、防御魔法陣を斬り裂き、アルフを吹き飛ばした。そのままフェイトに行こうと思ったが、目の前にいなかった。

 

……後ろ。

 

見聞色の覇気で気配を感じ取り、フェイトの攻撃を剣を背中で交差させて防いだ。

 

フェイトも段々速くなってるな……。

 

「クッ!」

 

フェイトの猛攻に俺は防戦一方になった。でも―――

 

「まだまだだね」

 

フェイトの攻撃を弾いた瞬間に後ろに回り込み、背中に斬りつけた―――と思ったら、俺の視界からフェイトが消えた。

 

「…………え!?」

 

なにがどうなっているのか分からないで呆けていたら、フェイトと起き上がったアルフがアリシアのそばにいた。どうやらアリシアのチャージが完了したらしい。

 

「アルフ!」

 

「ああ! チェーンバインド!」

 

二人のバインドを受けて身動きが取れなくなってしまった。

 

「これでフィニッシュ! 超電磁砲(レールガン)、発射!」

 

人ひとり飲み込めそうな翡翠色の砲撃が俺に放たれた。

 

ヤバッ! って固くて外れない! こうなったら―――

 

Sideout

 

 

 

 

 

Sideアリシア

 

「これでフィニッシュ! 超電磁砲、発射!」

 

バインドで逃げられない空はまともに喰らって、激しい爆発が起こった。

フェイトとアルフが時間稼ぎをしてくれたおかげでフルパワーで打ち込めた。

 

いくら空でもこの威力は耐えられないはず!

 

煙で確認出来てないが、手応えは感じていた。

 

「姉さん、やったね!」

 

「とうとう勝てたよ!」

 

「うん! 私達の勝利!」

 

私達はようやく空に勝てたと思い、喜んでいた。

だけど、突然強い風が吹いて煙が晴れ、空の姿が見えると、

 

「ふぅ、危なかった~。もうちょっとで負けてたよ」

 

金色の聖槍に天使のような姿に変わった空が平然としていた。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

俺の姿を見て皆が固まっていた。

 

まあ、あんな砲撃受けて平然としてたら固まるのも仕方がないよね。

 

「良い攻撃だったよ、アリシア」

 

「え、ああ、ありがと……」

 

「……えっと、空……だよ、ね?」

 

「それ以外誰がいるのさ」

 

「いや、姿変わり過ぎだから……」

 

姿……? あ! 黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)の禁手を見せたの初めてか!

 

アルフに言われてようやく気が付いた。

 

「ごめんごめん。説明はしたけど、まだ見せてなかったね。あ、ところで勝負はどうする?」

 

「ううん。さっきのでほとんど魔力切れ……」

 

「私もキツイかな……」

 

「というか、勝てるイメージが無い……」

 

三人共地面にへたり込んでいた。

 

どうやら勝負はここまでのようだね。

 

「分かった。じゃあ、俺の勝ちってことで」

 

「……また、負けか……」

 

「姉さん……」

 

「アリシア……」

 

三人とも相当落ち込んでるね……。ちょっと悪いことした気分だよ。

 

「えーっと、三人共いいかい?」

 

『?』

 

「良い攻撃だったから、ご褒美って言うと変だけど、試合前に約束したこといいよ」

 

『え、いいの!?』

 

三人が一気に元気になった。

 

こいつら、俺に何させる気……?

 

「うん」

 

「じゃあじゃあ、デートして!」

 

アリシアが最初に要望を言ってきた。

 

「え、ああ、そのくらいならいいよ。フェイトは?」

 

ほっ、良かった。大したお願いじゃなくて。

 

「わ、私も、その、デートで……」

 

「うん、OK。そんで、アルフは?」

 

フェイトもか。問題はアルフだな。

 

「これを着てみてくれよ!」

 

そう言ってアルフが見せてきたのは、犬? いや、狼の着ぐるみだった。

 

「わかった。あとで着るよ」

 

なんだ、皆大して変なこと言わなかったな……。ビビって損した気分だよ。プレシアさんの教育に感謝だね。

 

「じゃあ、次はプレシアさん達だから、俺達は移動しよう」

 

『うん♪』

 

やけにご機嫌の良い三人に思わず微笑んでしまった。トレーニングルームの端に座るとプレシアさん達は試合を始めた。試合を見ながら先程気になったことを聞いた。

 

「フェイトはどうやって俺の攻撃躱したの? アレ、結構驚いたんだけど……」

 

実際、決まると確信してた。

 

「体に電気を流して無理やり動かしたんだけど消費が激しくてまだ上手く使えないんだ」

 

体に電気を流す……。それなら普段よりも速く動けるようになるのか……。

 

「考えとしてはすごく良いと思うよ。後は、練習次第じゃないかな」

 

「うん! 私頑張ってみる!」

 

それから、四人で話しているうちに試合は終わっていた。結果はプレシアさんとリニスの圧勝だった。

 

「どうだったって聞くまでもないか……」

 

「すごく強かったの……」

 

「攻撃しても簡単に防がれちまう」

 

「互いのフォローも早かったわ」

 

「流石、と言ったところかな」

 

四人は床に倒れながら、それぞれの感想を述べていた。

 

「でも、あなた達には才能はあるわ」

 

「ええ、私達も何度か危ない場面がありましたから」

 

「それは、ユーノ君のおかげなの」

 

「そうね。教わったのが昨日の一日だけとはいえ、かなり助かったわ」

 

「指示も的確だったしな」

 

「そんなことないよ。僕なんてまだまださ」

 

皆に褒められてユーノは謙遜していた。

 

「よし、これで大体の実力はわかったでしょ。チームに分けよっか」

 

「そうだね。チームは……空となのは、愛衣に僕。それとフェイト、アリシア、アルフ、雄人。プレシアさん達はもしもの時の場合にどちらかに加わってもらう形でいいかな?」

 

「そうね。それが良いと思うわ」

 

他の人も問題は無いみたいだった。

 

「じゃあ、チームはこれで決定して、本日はここまで! あとは練習するなりなんなりどうぞ」

 

今日やることは終わったので解散を言い渡した。

 

「さてと、俺は夕飯の買い物にでも行きますかね」

 

トレーニングルームを出て、暇そうにしていた耶俱矢と夕弦を誘って買い物に出かけた。

 

 

 

 

 

買い物が済んだ後の帰り道、耶俱矢と夕弦の間に挟まれて帰っていた途中で見知った顔を見つけて、声を掛けようとして、止まった。黒服の男達に、抵抗する明日奈、アリサ、すずかが車に押し込まれて、連れ去られてしまった。

 

『…………へ?』

 

俺達は三人して変な声を出してしまった。

 

「えーっと、あれは……誘拐、だよね?」

 

「そ、そうじゃない、かな……?」

 

「動揺。ビックリです。目の前で誘拐を目撃するとは……」

 

…………………………………………………………………。

 

『はぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああッ!?」

 

俺達の叫びが街に木霊した。

 

「ヤバくないか!? どうすんの!?」

 

「と、取りあえずけ、警察に連絡! えっと、119だっけ!?」

 

「指摘。それは救急車です。確か911です」

 

「いや、それも違うから! 一旦、落ち着こう! こういう時は深呼吸だよ! ヒッ、ヒッ、フー、ヒッ、ヒッ、フー」

 

「それはラマーズ法だしッ!」

 

俺達は目の前のことにテンパって訳の分からないことを口走っていた。

それから何とか落ち着き、耶俱矢と夕弦を体に入れて、風を纏う。

 

颶風(ぐふう)の御子の力舐めんなよッ!

 

そう息巻いて、体に風を纏い、人間離れした速度で車を追い掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




空君が出した剣はロクサスの二刀流です。
九喇嘛の力はまだ身体能力が上がる程度だと思ってください。

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