デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

16 / 118
幼馴染は魔法少女です!

幼馴染は魔法少女です!

 

Sideなのは

 

私―――高町なのはは動物病院に向かっている。

どうして向かっているかというと、塾に向かう途中で夢に出てきた不思議な声が聞こえた。

その声のする方に行くとケガをしているフェレットを見つけた。

 

……この子が私を呼んだの?

 

それから私達は慌ててお医者さんのところに連れて行った。

 

 

 

 

 

その日の夜、再び声が聞こえてきた。

 

『〈お願いです……誰か……力を貸して下さい……〉』

 

助けを求める声を聞いた私は急いでフェレットがいる場所に向かった。

 

 

 

 

 

動物病院に着くと、黒い塊のような何かがフェレットを追っていた。

 

「え! な、何あれ!」

 

「あ、あなたは!」

 

フェレットがしゃべった! やっぱり普通のフェレットじゃないってこと!?

 

「お願いです! 僕に力を貸して下さい!」

 

「わ、私!?」

 

「はい、あなたには魔法を使う資質がある!」

 

魔法ってホントにあるの!? しかも私が使えるの!?

 

「……わかった。私はどうすればいい?」

 

ホントはすっごく怖かった。でも、何となく私がやらなければならないという使命を感じた。だから、フェレット……さん? を助けることに決めた。

フェレットは私のところまで来て、赤い宝石を渡してきた。

 

「目を閉じて、心を澄ませて、僕の言葉を繰り返して」

 

私は頷いて、フェレットさんの言う通りにした。

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「……わ、我、使命を受けし者なり」

 

「契約の元、その力を解き放て」

 

「……契約の元、その力を解き放て」

 

「風は空に、星は天に」

 

「……風は空に、星は天に」

 

「不屈の『ギャアアアアアア!!』っ! しまった!」

 

フェレットさんが続きを言おうとしたところで黒い怪物が叫びをあげて襲ってきた。

逃げなきゃいけないのに、私は恐怖で動けなくなってその場に座り込んでしまった。

黒い怪物がうねうねと動く触手のようなものを私に振り下ろした。

怖くて思わず目を瞑ったけど、何故かいつまで経っても痛みは無かった。

 

あ、あれ? 何が……?

 

ゆっくりと目を開けていくと、黒髪の男の子が大きな剣で触手を斬ったようだった。

そしてこっちに振り向いた男の子が誰だかようやくわかった。

私の初めて出来た友達で、一番大好きで大切な男の子―――

 

「こんばんわ、なのは。散歩にしては遅い時間じゃない?」

 

「……空君」

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

俺は十香と一緒に声のした方に向かった。

そこにはすでになのはがいて、黒い怪物に攻撃されそうになっていた。

 

「十香、力貸して!」

 

『うむ! もちろんだ!』

 

「来い! 〈鏖殺公(サンダルフォン)〉!」

 

十香の天使である鏖殺公が刺さった玉座が後ろに発顕し、すぐさまそれを引き抜いた。

そして黒い怪物となのはの間に入り、襲ってきた触手を斬り裂いた。

黒い怪物が触手を斬られて怒ったのか叫んでいたが、無視して後ろのなのはの方に振り返った。

 

「こんばんわ、なのは。散歩にしては遅い時間じゃない?」

 

「……空君」

 

冗談のつもりで言ったんだけど、今の状況じゃ伝わらないか。

 

「大丈夫? ケガは無い?」

 

「う、うん、大丈夫……」

 

なのはの身体を心配する。見たところがどこにもケガは無いみたいで安心した。

 

「そんじゃ、あいつ倒して帰ろっか!」

 

そう言って俺は鏖殺公を両手で構えたのだが、フェレットに止められた。

 

「ダメです! いくらあなたが強くてもあれは彼女でないと封印出来ません!」

 

え、何それ。俺無駄じゃんか。 

 

「……じゃあ、なのは頼んだ」

 

「で、でも……」

 

なのはが気まずそうにしていた。

 

「怖い?」

 

「……うん。空君は怖くないの?」

 

そりゃそうだよね。

 

「まあ、そこそこ。だって十香達の方が『ソラ、私達がどうかしたのか?』……何でもないよ」

 

十香の低い声が俺の頭に響いて嫌な汗が止まらなかった。

 

「そ、空君、大丈夫? すごく汗かいてるけど」

 

「ダイジョブダイジョブ」

 

「片言で言われても心配でしかないんだけど……」

 

「アハハ。まあ、それは置いといて。なのはは俺が護るから自分に出来ることをして」

 

「それじゃ空君が危ないよ!」

 

「でも、封印はなのはにしか出来ないんだから俺がすることなんてそれぐらいだよ」

 

「……わかった」

 

渋々なのはは納得してくれた。

 

「うん、ありがと。それに俺は一人じゃないよ」

 

俺の中にいる十香達のことでもあるがそれ以外にもいる。

 

「え?」

 

「いつまで見てるの、愛衣、王城君」

 

名前を呼ぶと、愛衣と王城君が出てきた。

 

「いつからいるって分かってたの?」

 

「君らがそこに着いた時から」

 

「……マジかよ。デバイスで魔力は消したつもりだったんだけどな」

 

王城君が驚いていたいたが、気配で分かった。

それに二人は原作に関わるって言ってたから来るのは当たり前だろうと思った。

 

「で、二人はどうして隠れてたのかな?」

 

「あなたのあの強さなら私達の出る幕は無いと思ったのよ」

 

「だから、高町の変身するとこだけでも見ようかなって」

 

変身? あ、今日なのはが初めて変身するからか!

 

「わかった。まあ、いいやって言いたいけど手伝ってくれる?」

 

「構わないわ。それに、どのくらい出来るか確かめてみたいから」

 

「俺もだ」

 

二人は快く頼みを受けてくれた。

 

「ありがと。俺と頑丈な王城君で敵を引きつけるからなのははフェレット、君? さん? の話を聞いて封印の準備、愛衣は援護。OK?」

 

『分かった』

 

「あ、僕はユーノって言います」

 

何でこの状況で自己紹介したの!? まあ、いいんだけどさ……。そう言えば、あんなに話してたのに全然攻撃してこなかったのはどうしてだろう? ……ハッ! これが二亜の言っていたご都合主義なのか!?

 

そんなことを考えながら怪物の方を見たら、さっきよりも現在進行形で大きくなっている。

 

「あれ? 大きくなってない?」

 

「なってる。確実に」

 

「僕達が話してる時に強化されたみたいです。先程より魔力がすごいです」

 

ユーノ君? さん? がサラッと言ってるが、俺達からしてみれば最悪だ。

 

「強化って、勝てんのか……?」

 

「俺らは時間稼ぎだから無理はしなくていいよ」

 

「分かった。レオン、セットアップ!」

 

「私達も行くわよ。アスト、セットアップ!」

 

二人がバリアジャケットを纏うとそれぞれ、王城君は銀色のガンブレード、愛衣は黄金の錫杖を手にしていた。

 

「十香、今の俺が完全な霊装を纏ってどのくらい持ちそう?」

 

『……五分が良いところだろうな。それ以上は出来ないこともないが、身体への負担が大きいからおすすめはしない』

 

最近になってようやく完全な霊装を纏うことが出来るようになったは良いけど、使用できる時間が少ないな……。

 

「でも、そのぐらいでなら問題ないか。〈神威霊装・十番(アドナイ・メレク)〉!」

 

俺の体に光が纏わりついて、紫の鎧となった。

 

「……えっと、空君、だよね?」

 

霊装を纏っている俺を全員が不思議そうに見ていた。

 

「うん、そうだよ」

 

「姿変わりすぎだろ!」

 

そう、王城君の言う通り、完全な霊装を纏うと姿が変化する。

例えば、今回の十香の霊装なら髪と瞳が十香と同じ紫色になり、髪が腰あたりまで伸びて髪飾りでまとめられて、十香の霊装に似た鎧を纏っている状態になる。

要するに、使う精霊本人と似た感じになるのである。

 

「君は、一体……」

 

「話は後で。今は目の前のこと優先だよ。時間もないから」

 

「そうですね。それではお願いします!」

 

「うん、まかせて」

 

俺と愛衣、王城君はデカくなった怪物からなのはを護るように向き直した直後に、怪物は先程よりも強力そうな触手で攻撃してきた。

俺はその攻撃を片手を突き出して、透明なバリアのようなものを出して弾いた。

その後も、二人に攻撃が行っても俺が間に入ってすべて防いだ。

 

やっぱ、精霊の力ってすごいな。

 

「今のうちに二人は攻撃して!」

 

俺が指示を飛ばすと、二人は魔力弾で攻撃をしたが、怪物にはあまり効いていないようだった。

でも、目的は倒すことじゃないから今は注意を引くだけでいい。

 

「さっきと同じように繰り返してください! 我、使命を受けし者なり」

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「契約の元、その力を解き放て」

 

「契約の元、その力を解き放て」

 

「風は空に、星は天に」

 

「風は空に、星は天に」

 

「不屈の魂はこの胸に」

 

「不屈の魂はこの胸に」

 

『この手に魔法を!』

 

「レイジングハート、セットアーップ!」

 

なのはが言葉を紡ぎ終えると、眩い光に包まれた。

光が収まると、なのはが赤い宝石が付いた杖を持ちバリアジャケットを着ていた。

 

なんか、聖祥の制服に似てないか?

 

「おお! 夢に見た光景が生で見られた!」

 

王城君が何か言ってるのを無視して、俺達はなのは達がいるところまで下がった。

 

「これで封印が出来るの?」

 

「……もしかするとこのままでは出来ないかもしれないです」

 

「それは強化されたから?」

 

「はい、恐らくですけど。でも弱体化させれば可能なはずです」

 

どうやら俺の推測は当たっていたらしい。

 

「残念なことに私達の攻撃ではあまり効果が無いみたいだけどね」

 

「じゃあ、俺がやるよ。この状態もあまり持たないし」

 

「お願いします。気を付けて下さい」

 

「ん、りょーかい」

 

軽めに返事をしてから怪物前に鏖殺公を構えて立った。

再び触手で攻撃してきたが、鏖殺公を縦に一閃して全てを薙ぎ払い、その斬撃は怪物を半分にした。

 

おおー、よく斬れる!

 

『……は?』

 

それを見ていた全員が唖然とした。

 

『まあ、このぐらいは当然だな!』

 

「そうだね。じゃあなのは、封印よろしく」

 

きっとドヤ顔をしているであろう十香の言葉に頷いて、なのはに託す。

 

「ふぇ? あ、うん! リリカル・マジカル! 封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード! 封印!」

 

なのはのデバイス―――レイジングハートからピンク色のリボンが怪物を捕らえた。

 

「ジュエルシード、シリアルⅩⅩⅠ! 封印!」

 

ピンク色のリボンはなのはの声に反応して、怪物を貫いて消滅した。

そして、小さなひし形の青い宝石―――ジュエルシードがそこには落ちていた。

 

「レイジングハートでその石に触れて下さい」

 

なのははユーノに言われた通りに杖でジュエルシードに触れると、杖の中に吸収されていった。

これでようやく終わったと思って俺は霊装を解除したら、疲れが一気にやって来た。

 

「それじゃ、無事終わったから帰ろ」

 

『身体は大事ないか?』

 

「う~ん、結構体に来るな~」

 

『なら体力をもっと付けねばならないな!』

 

「そうだね。もしかしたら、神器(セイクリッド・ギア)と一緒に使うこともあるだろうし」

 

精霊の力と禁手(バランス・ブレイカー)を同時に使ったらすごいだろうけど反動も相当なものになるんじゃないかな。

 

「あ、あの! 君は一体何者なんですか!? それに他の二人もデバイスを所持しているなんて……」

 

唐突にユーノ君? さん? が聞いて来た。

俺は答えようとしたが、周囲からパトカーのサイレンが鳴り響いた。

 

結界張り忘れてたー!

 

「それはまた今度ね。今はここから逃げよう」

 

俺達は急いでその場から離れて、それぞれの自宅に帰った。

 

そう言えば、正田はどうしてここに来なかったんだ?

俺みたいに原作を知らない?よく分かんないな……。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side???

 

俺は今、ある人物と電話をしていた。

 

『何か分かったか?』

 

相手が聞いているのは先程の起こった戦闘についてだ。

 

「ああ、色々とな。後で報告する」

 

『そうか。なら早くこっちに戻ってきてくれ』

 

それだけ言って相手は電話を切った。

 

「それにしても、まさかあいつがいるとは思わなかった」

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

家に戻ると念話が聞こえた。

 

『〈もしもし、こちらユーノです。先程はありがとうございました〉』

 

「〈うん、どういたしまして〉」

 

『〈俺らがいる必要あったのかは疑問だがな〉』

 

王城君の声が聞こえてきた。複数人で念話も出来るんだね。

 

『〈それで、どうしてああなったのか教えてくれるかしら〉』

 

『〈実はあのジュエルシードは僕が遺跡で発掘したものなんですが、次元船での移送中に

原因不明の事故でこの街に散らばってしまったんです。自力で回収をしようとしたんですが昨夜の思念体との戦闘でケガをしてしまい、そこから誰か僕の声が聞こえる方に協力を求めたんです。そこからは皆さんが知っている通りです〉』

 

「〈一つ聞いてもいい?〉」

 

『〈はい、えーっと……〉』

 

ん? ああ、自己紹介してなかったね。

 

「〈俺は龍神空。空でいいから〉」

 

『〈分かりました。それで空さんが聞きたいことは何ですか?〉』

 

「〈さんは要らないよ。ジュエルシードって危険な物なの?〉」

 

『〈……はい、あれは願いを歪んだ形で叶える物で、全部で二十一個あります〉』    

歪んだ形で願いを叶える、かぁ……。

 

「〈そっか。ありがと、教えてくれて〉」

 

『〈それでお前はこれからどうするんだ、ユーノ。あ、俺は王城雄人っていうんだ。好きに呼んでくれ〉』

 

『〈すぐにでも探すつもりです〉』

 

『〈一人でするつもり? 私は天河愛衣よ。好きに呼んで〉』

 

『〈……はい、皆さんにはこれ以上迷惑をかけられませんから〉』

 

一人じゃ無理があるだろ。

 

『〈そんなのダメだよ、ユーノ君!〉』

 

なのはがユーノを止めた。

 

『〈なのは……で、でも……〉』

 

『〈私はユーノ君の手伝いをするよ!〉』

 

『〈だそうよ。あなたはどうするの?〉』

 

『〈……分かりました。皆さん手伝っていただけませんか? 報酬は必ず出します〉』

 

『〈バッキャロー! んなもんいらねえよ!〉』

 

ユーノの報酬というのが気に入らなかったのか怒鳴り出した王城君。

 

……念話で怒鳴られるとスゲー五月蝿い。頭がキンキンするんだけど。

 

『〈ありがとう、雄人……〉』

 

『〈ヘッ、これくらい良いんだよ。気にすんな〉』

 

意外と王城君は熱血キャラだったんだね。

踏み台なんてなろうとしなきゃよかったのに。

 

『〈私も手伝うわ。もちろんタダよ〉』

 

『〈ありがとう、愛衣〉』

 

二人も手伝うのか。だったら―――

 

「〈じゃあ、俺はパスで〉」

 

『〈ええッ!? そこは手伝うところでしょ!〉』

 

息の合った四人のツッコミに驚きよりも笑いが込み上げてきた。

 

「〈ハハハ、冗談だよ。ちゃんと俺も手伝うよ〉」

 

『〈ありがとう!〉』

 

「〈そんじゃ、そろそろ切るよ。あ、そうそう他にも魔導師はいるから今度紹介するね〉」

 

『〈ホントに!? それは助かるよ!〉』

 

そこで念話を切り、お風呂に入って、疲れていたためすぐに寝てしまった。

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。