デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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今回はいつもより短いです。

それとあんまり修羅場感が出せてないと思うかもしれません。




翠屋で修羅場です!

翠屋で修羅場です!

 

Side空

 

『………………』

 

さっきまで仲が良かったはずのなのは、フェイト、アリシア、はやての四人がただ無言で座っていた。

ヴァーリ達も一言も発することなく四人を見守っていた。

 

予定よりも人数が増えたので俺が桃子さんの手伝いをしていたんだけど、俺のいない間に何があったんだろう?

皆の親は子供の自慢話をしていてこっちの様子に気が付いてないみたい。精霊の皆も心なしか不穏な空気になってるし……。

 

状況がよく分かってない俺は一部始終を見ていたであろう、ヴァーリに聞いてみた。

 

「ヴァーリ、俺がいない間に何かあったの?」

 

「……あったさ。お前がいない間に色々と……」

 

ヴァーリはどこか達観したような表情で俺に返してきた。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Sideヴァーリ

 

俺―――ヴァーリは人生で初めて修羅場というのを見た。

そして、それは恐怖でしかなかった。

女とはここまで変わるのか、と。

 

 

 

 

 

それは、遡ること1時間ほど前のことだった。あかりの何気ない一言がきっかけだった。

 

「フェイトちゃんとアリシアちゃんって空君と仲がいいみたいだけど、どんな関係なの?」

 

「あ! 私もそれ気になってた! 教えて!」

 

確か……空の幼馴染の高町、だったな。まだあまりしゃべってなかったな。

 

あかりの質問に高町が「私、気になります!」みたいな感じで声を上げた。

アイスクリームは無いぞ。ん? 俺は一体何を言ってるんだ?

 

「ふっふっふ! 空と私はね~将来を誓い合った仲だよ!」

 

――――ブチッ!

 

その発言で俺達は固まった。それからどこから何かが切れる音がした。

 

「じゃ、じゃあ婚約者ってことなのかな?」

 

俺達の中で比較的に影響の少なかった明日奈が聞いた。

 

「うん、そんな感じ!」

 

そうなのか、と俺が納得しかけたとき、

 

「アハハ、アリシアちゃんは冗談が上手いんやなー。騙されかけたでー」

 

全く信じてないのか、あかりの妹のはやてが冗談はよせとばかりに笑っていた。

 

「そうだよ。空君がアリシアちゃんとなんてねー」

 

「姉さん、あんまりウソは良くないよ?」

 

高町とフェイトもはやてに続いて笑っていた。光の消えた瞳で。

 

――――ブチッ!

 

また変な音が聞こえた。

 

さっきからこの音は一体……。

 

「冗談じゃないよー。だって空とはよく一緒に寝るもん」

 

そのぐらいだったら良くあることじゃないのか? 俺もよく……いや、これはいいか。でも、それだけで婚約者って言えるのか?

 

「それなら私だってあるよ!」

 

「私だって!」

 

「さ、三人とも羨ま……けしからんで!」

 

……言い直せてないぞ。というか、はやてはもしかしてそういうことなのか?

 

隣に座るあかりに小声で聞いてみた。

 

「なあ、あかり。はやてって空のこと……」

 

「多分……いや間違いなく惚れてるね。しかも一目惚れだと思う」

 

「……そうなのか。一目惚れって本当にあるんだな……」

 

俺が軽く驚いていると話は益々大変になっていた。

 

「わ、私、空とキスしたことあるもん!」

 

うわー、これはすごいこと言ったなぁ。言った本人は真っ赤だし。あ、明日奈もあかりも耐性が無いのか真っ赤になってた。

 

フェイトの発言に高町とはやては何も言えなくなってしまったが、アリシアは違った。

 

「あれは事故でしょ? それにキスぐらい寝るときにいつもしてるし」

 

「え!? 私初めて聞いたんだけど!? いつの間に!?」

 

「空が寝てるときにこっそりとね。つまりそういう仲なんだよ」

 

それって襲ってるようなものじゃないか? まあ、俺にはよく分からんが。

 

「そんなの余計に認められないよ!」

 

「そうだよ姉さん!」

 

「そうや! しかも寝ているときになんて羨ま……羨まし過ぎるで!」

 

今度は言い切りやがった……。はぁ……空、早く戻ってこいつらを止めてくれ……。この空気は俺には耐えられない……。

 

それから更に会話はヒートアップしていった。

途中で俺や明日奈が宥めようとしたのだが、四人ほぼ同時に「黙ってて!」と言われて、

ただ見ているしか出来なかった。しかも、ここでまたあかりの発言で場の空気が悪くなった。

 

「空君ってあんなに綺麗なお姉さん達がいるから、その中の誰かが好きとか結婚したいとかってあるんじゃない? というか、空君本人に聞いてみたら?」

 

その言葉に四人は黙り込んでしまった。

 

確かにそれは考えられなくもないな。

あんなに綺麗な人たちがいれば誰だってそうなるんじゃないのか?

 

俺はそんなことを考えていたら、空がようやく戻って来た。

そして、冒頭に戻る。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

ヴァーリから大まかに事情を聴いていたけど、原因は俺ってこと?

でも、今は―――

 

「おやつ食べよっか!」

 

『空気読め!』

 

おお! 息ピッタリ! もう仲良くなったんだね!

 

「なら、俺はその幻想(空気)をぶ『言わせねーよ!』……答えは『聞け!』……だが『だが断る!』先に言われた!?」

 

俺の漫画で覚えたネタを言いきれず皆に遮られ続けた。

 

「俺の辞書に空気を読むという文字は『今すぐ書け!』……皆、中々やるね……」

 

『空(君)の所為だ!』

 

「よろしいならば戦争(ゲーム)『するか!』……もう、我が儘だなぁ……。まあいいや。とりあえず……これでも食らえ!」

 

俺は一番近くにいたヴァーリの口に切り分けたケーキを突っ込んだ。

 

「ッ!? ……う、美味い!」

 

一口食べてよほど美味しかったのかすぐに食べ終えてしまった。

 

「ふっふーん♪ 俺も結構自信あったんだ!」

 

「空君がそのケーキ作ったの!?」

 

「そうだよ~。皆もどうぞ召し上がれ!」

 

そう言って俺はテーブルに色とりどりのケーキを置いた。

 

『いただきます!』

 

全員がケーキを口に入れると美味いと言っていくれた。

桃子さんから教わった甲斐があったよ。

 

「それは良かった。じゃあ俺はお姉ちゃんのところに行ってくるね」

 

見事にごまかせました。

 

離れること皆に告げて俺は十香達のいるテーブルに向かった。

 

 

 

 

 

「ケーキ作ったんだ。もし良かったら食べてよ」

 

「うむ! 頂こう!」

 

一番に食いついたのは、やはり十香だった。

 

「空、ここに座って」

 

折紙は自分の膝の上をポンポンと叩いてここに座れと示していた。

 

「うん、わかった」

 

俺は躊躇うこともなく膝の上に座った。

 

なんか、最近皆の好意に甘えることが多い気がする……。

 

「大丈夫、問題ない。むしろもっと甘えるべき」

 

「サラッと心を読まないでよ……。ところで、なんでそんなに不安そうな顔してるの?」

 

「原作の事ですわ」

 

狂三が困ったように頬に手を置きながら告げた。

 

「そういや俺って原作壊したんだっけ?」

 

「ええ、しかも今度は八神はやてにも出会うなんてね」

 

「え!? はやても原作キャラなの!?」

 

向こうには聞こえないように出来るだけ声を抑えて叫んだ。

 

「そうですぅ。でも、あのあかりさんという方は……」

 

「恐らくだけど、転生者だろうね。何となく()られてた気がするんだ」

 

「じゃが、むくは悪い娘ではないと思うのじゃ」

 

「そうだね。俺も今日話してて思ったよ」

 

「それに今の空なら大抵のものには負けないでしょ」

 

「同意。耶俱矢の言う通りです。空には私達がいます。一応神(笑)や自称最強(笑)の天龍もいますから」

 

『誰が神(笑)ですか!?』

 

『俺達にも(笑)をつけるな!』

 

「驚嘆。このケーキ美味しいですね」

 

『無視するな!』

 

突然ヤハウェ達の声がしたが夕弦は当たり前のように無視をしてケーキを食べていた。

 

『ところでー空君は四糸乃達の中で誰が一番好きなのかなー?』

 

「よ、よしのん……ッ!?」

 

よしのんの言葉で十香達は一気に俺に視線を向けてきた。

 

「どうしたの急に?」

 

『さっき向こうの話が聞こえちゃって気になってしょうがなくてさー』

 

ああ、そういうことね。

 

「うーん、一番好きな人は無いかな。皆のこと同じくらい大好きだから」

 

『!?』

 

俺の言葉に皆が目を丸くした。

 

『じゃあさー、結婚したい人はー?』

 

「出来るなら皆としたい……かな? 皆綺麗で可愛いし、一緒にいて楽しいから」

 

まあ、俺じゃ全然釣り合わないけど……。

 

『!!??』

 

『そっかー。まあそれでいっかー。ありがとねー』

 

「うん、どういたしまして。じゃああっちに戻るね、お姉ちゃん達」

 

『バイバーイ』

 

 

 

 

 

再びなのは達のいるテーブルに戻ったのだが、なのは達が俺を逃がすまいと無理矢理席に座らされた。

 

「空君、好きな人っているの?」

 

なのはに無駄に迫力のある笑顔で問い詰められた。助けを求めようとするも他の皆も聞きたがっていた。

 

「そりゃいるよ」

 

「ッ! だ、誰のことが好きなの?」

 

「皆!」

 

『…………』

 

皆が固まったと思ったら思いっきり盛大に溜息をつかれた。

 

あれ? 俺おかしなこと言った?

 

「ど、どうしたの?」

 

「いや、ある意味すごいって俺は思ったよ」

 

「え? え? え?」

 

「これは四人とも苦労するだろうね」

 

四人? 苦労する?

 

「空君、頑張ってね」

 

何を頑張ればいいの?

 

結局最後まで意味の分からないままその日のお祝いパーティーは終わり解散した。

 

 

 

 

 


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