デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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蛇王カイラです!

蛇王カイラです!

 

Sideカイラ

 

「……退屈だ」

 

封印されてから約三百年振りの幻想郷だ。

俺からすれば封印されていた間意識はなかったので、寝て目が覚めたら三百年後の世界に飛ばされていたような気分だ。

レッドJも困惑しながらから俺に報告してきて、流石に年月が経ち過ぎていたので最初に情報集めをした。

近くにあった紅魔館とやらに行き、吸血鬼の女とやその従者たちと出会った。

準備運動程度に済まそうかと思っていたが、時を止めるメイドに割と手を焼かされた。

 

「三百年も経てば人間である博麗の巫女はすでに故人。当たり前か」

 

次なる目的として博麗の巫女への復讐とでも考えたが、三百年経っていて彼女はもういない。

それを知ってついさっきまであったはずの復讐心が霞んでいった。

ならば、昔死闘を何度も繰り広げた鬼のところに行くことにした。王になるためには鬼たちは障害と言っていい存在だからだ。

しかし、幻想郷のどこを探しても鬼がいない。

不思議に思った俺はさらに情報を集めさせた。

わかったことは鬼どもは俺が封印されている間に別の場所に居座っているとのことだった。

 

「それがこの有様か……」

 

現在は旧地獄と呼ばれる場所で戦った結果が積まれた鬼達。

対する自分は無傷。

三百年前に好敵手ともいえるような鬼がこんなにも腑抜けきっていたことに落胆した。

 

「うぅ……っ」

 

積まれた鬼達の中から時折呻き声が聞こえた。生命力はそこらの妖怪と比べものにならないのは変わらずのようで、まだしぶとく生きているみたいだ。

 

「……ここにはもう用はない。……俺が王になるのもあとわずかだ」

 

鬼達に目もくれず歩き出した。

 

残るは……人間どもの蹂躙だ。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

…………じーーーーーぃ。

 

フランと仲直りして、タマモの家に戻った。

そして、今はタマモが用意してくれたご飯を食べているところ―――。

 

「…………(じーーーーーぃ)」

 

―――なのだが、誰かからの視線が痛い。いや、その主はわかっているのだが、何故そんな目で見られるのか疑問な状態だ。

 

「むぅ……食べにくい……!」

 

とりあえず視線のことは一旦置いといて、使い慣れていない箸に悪戦苦闘するフランの手助けだ。さっきからご飯の量が減っていないと思ったら箸を上手く使うことが出来ないからだ。

 

異世界で出会ったときも食事はフォークとスプーンしか使っていなかったっけ。この家にはそれらはなさそうだなぁ。

 

「貸して」

 

「え、うん」

 

ボロボロと辺りに散らかすのが見ていられなくなった俺は、フランから箸を貰い受けると食べようとしていた焼き魚を掴み、彼女の口へ運ぶ。

 

「ほい」

 

「あ~ん」

 

フランが魚を呑み込んだのを見計らって次にどれが食べたいのか尋ねた。

 

「次はどれにする?」

 

「じゃあね……お米!」

 

「りょーかい」

 

リクエストに応えてドンドン口に運んでいった。

 

「…………じーーーーーぃ!」

 

あらら、遂には擬音まで発するようになるとは……。

 

なのは達にも似たようなことがあったから正直なことを言うと関わりたくないのだけど、治療してもらって、ご飯まで出してくれた相手をこれ以上無視するようなことはできない。

 

「なにか言いたいことでもある?」

 

「ええ、あります。ありますとも!」

 

「あ、もしかして食ったら出てけ的な? それだったらすぐにでも」

 

「そうじゃありません! ご主人様が望むならここに永住してもらって構いませんどころか永住して欲しいくらいです! って、私の願望は今は置いといてですね……」

 

一度俯いてから再度顔を上げて、ビシッと指を突き付けた。

 

「先程から見ていればなんなのですか、お二人は!」

 

『?』

 

タマモに迷惑が掛かるようなことをした覚えは全くと言っていいほどになく、彼女が怒っている理由にさっぱりで二人揃って首を傾げた。

 

「お二人が仲直りしたのはいいことです。ですがッ! 私が料理を作っている間にイチャイチャと……! 妬ましいったらありゃしないですよッ! 挙句の果てにはご主人様からのあ~んだなんて羨まし過ぎです!」

 

タマモが料理を作っている間にしていたことと言えば、フランに膝枕と耳かき、頭を撫でたくらいだ。

最近だと十香達にもするようになっていたから暇だったが故にフランにもついやってしまった。

 

「タマモがして欲しいならするよ?」

 

「えっ!? マジでございますか!?」

 

「マジでございます」

 

「で、では……お言葉に甘えて」

 

いそいそと俺の隣までやって来ると「失礼しますっ!」と一言断ってから俺の膝に頭を乗せた。

 

「えへへ~♪ ご主人様の膝枕~♪」

 

タマモの顔を覗くと声だけでなく表情も完全に蕩けきっていた。

腰から生える尻尾も嬉しそうに動いてそれを表していた。

 

「頭も撫でる?」

 

「是非!」

 

狐耳の間に手を入れて優しく撫でる。

時折「フニャ~」とジバニャンみたいな声を出すものだから狐なのに猫みたいに思えてしまった。

フランが羨ましそうに見つめているがもう十分したからまた後ですることにしよう。

 

「そう言えば、タマモはどんな妖怪なの? 妖狐だっていうのはなんとなくわかるんだけど」

 

食休みのついでに出会ったときから思っていたことを尋ねてみた。

妖怪だから魔力というよりかは妖力か、ともかく彼女から発せられるオーラの中に普通の妖怪とは思えないものを感じた。

確証はないけれど俺と同類なんだと思う。

 

「……質問に質問を返すようで悪いのですが、言わなければいけませんか?」

 

「ううん、どうしてもじゃないからいいよ。あ、でも流石に実は敵でしたー、ってなったら嫌だなー」

 

「それは絶対にありえませんのでご安心ください、ご主人様!」

 

「わ、わかった」

 

起き上がって全力否定するタマモに気圧されて、頷き返すことしかできなかった。

 

……そろそろカイラを探すべきかな。

 

ここが幻想郷のどのあたりかはわからないが、今のところあの禍々しい気配はどこかに行っているみたいで被害が出ている様子はない。

自分の状態を改めて確認。全快ではないにしろ龍神化するのには問題なさそうだと判断した。

 

「よし、休憩おーわり!」

 

「これからどうするのですか?」

 

「ちょっくら妖怪探し」

 

「どうやって探すつもりニャン?」

 

「まあ見てて。すぐにわかるから」

 

外に出て大きく息を吸う。そして、―――

 

「ゆかりんタクシー、カモーンッ!」

 

大きな声で叫んだ。

 

「ヒトのことをタクシー呼ばわりしたのはあなたかしら?」

 

すると音もなく彼女―――八雲紫は俺の前に現れた。

 

「紫さん、カイラって奴のところに行きたいんですけど案内してもらえませんか?」

 

空間を移動できる能力を持つ彼女ならカイラのところまで一気に行けるはずだ。

 

「嫌よ」

 

しかし彼女からは明確な拒絶をされた。

 

妖怪スキマ婆とでも呼べばよかったかな? ……殺される未来しか見えないや。

 

「どうしてですか?」

 

「だってタクシー呼ばわりされたのよ? お姉さんとっても悲しいわ……。よよよ~……」

 

わざとらしい泣き真似だ。

というか見た目が少女なだけで実年齢はバ―――

 

「今、失礼なこと考えてない?」

 

「……そんなことないですよ」

 

ニッコリ笑顔の紫さんから目を逸らす。

どうして女性というのはこんなにも鋭いのだろう。

それにしてもこれは困ったことになった。彼女の力に頼ることが出来ないのではカイラのところに行こうにも行けない。

 

ちょっと恥ずかしいけど状況が状況だけに我慢しないとね。

 

「お願いっ、紫お姉ちゃんっ!」

 

相手の手を握って涙目と上目遣い、甘えるような声音で懇願した。

自分で言うのもアレだが中々上手い演技だと思う。

 

『うわぁ……』

 

後ろにいるフラン達がドン引きしてるのが見なくてもわかるが気にしない。

二亜が傍にいない以上は頼れるのは紫さんくらいだから。

 

さあ、どうだ?

 

「…………も、もう一度今のお願いしてもいいかしら?」

 

お? この感じは……。

 

「お願いっ、紫お姉ちゃんっ! 大好きっ!」

 

「お姉ちゃんに任せなさい!」

 

セリフを追加してハグをすれば、あら不思議。大妖怪と言われたあの八雲紫がものすごいやる気を出してくれた。

我ながらなんてゲスい。うん、正しくゲスの極み。

彼女の能力で開いてくれた穴に入り、カイラの下に向かった。

 

 

 

 

 

「これは……」

 

穴を抜けた先にあったのは山積みになった妖怪だ。

助けるために山を少しずつ解体していく。

 

―――多分、カイラの仕業だ。

 

例の如く、ガシャポンの中にいる奴が答えてくれる。

 

「でも、誰も死んでないみたい」

 

虫の息ともいえるようなヒトが多いが、誰一人死んでいない。

 

カイラはそこまで冷徹ではない、ということ……?

 

―――殺さなかったんじゃなくて殺せなかった、ってとこだな。こいつ等は妖怪の中でも相当な力を持つ鬼だからな。耐久力や生命力は他の妖怪と比べ物にないらないぜ。放っておいても死にはしないはずだ。

 

疑問を口にしなかったが中にいる奴はそれを読み取ったのか説明してくれた。

 

「彼らが鬼……」

 

絵本に出てくるのとは少し違って変わった形の角をしたものが多い。

こんな状況でなければ出会えたことを喜んで戦いを挑んでいたに違いない。

 

「カイラは……あっちか」

 

博麗神社にいた時に感じた禍々しい気配は探しやすかった。

その方向に龍の翼を広げて飛び立つ。

 

「あのヒトか?」

 

ゆっくりとした足取りで進む青髪の青年がいた。

 

―――ああ、あいつで間違いない。

 

青年の進む方向に先回りして降り立つ。

 

「……俺に何か用か?」

 

カイラと目が合った。

紺色の瞳はどこまでも暗く黒く濁っていた。

 

―――あいつ、あんな目してたか?

 

カイラの姿に疑問に思ったようだが、初対面の俺には何ともいない。

 

「あなたがカイラって妖怪?」

 

「ああ」

 

「なら用はある。レミリア達……って言ってもわかんないだろうけど、吸血鬼とかメイドさんを倒した?」

 

「ああ、そうだな」

 

「ここに来るまでに見たけど、鬼を倒したのも?」

 

「そうだな。全部俺だ」

 

「目的はなに?」

 

「……幻想郷の『王になる』ことだ」

 

“王になる”という部分だけやけに熱……いや、執念にも似た何かを感じる。

何が彼をそこまで王になりたいと駆り立てるのかはわからない。少なくとも彼のやり方が正しいとは思えないが。

 

「それがここでのやり方なの?」

 

―――いいや。ここにはそもそも王なんて概念が存在しない。……あるとすれば地獄の閻魔大王くらいだな。まあ、アレも死者を捌くだけの退屈な役職であって、幻想郷の王ってわけでもない。カイラは力のある奴らを倒して自分が上であると認めさせて、幻想郷を統治する気なんだろうな。だが……

 

「ん?」

 

―――いや、何でもねぇ。気にしないでくれ。それよりも今はアイツを止めるぞ。

 

「うん」

 

駆け出しながら静かに龍神化と呟くと全身に力が溢れてくる。

力を集めた右拳をカイラの顔面に一発ぶち込んだ。

俺をただの子供と侮っていたのかカイラはガードすることはなく、数m吹き飛ばされて岩に衝突。

 

「…………」

 

カイラが何事もなかったかのように起き上がると手に青黒いオーラを出して刀を作り出した。

ついでに禍々しさが余計に膨れ上がるという嬉しくない状況にもなった。

 

アレに切られたら今の俺でも簡単に斬られる姿が容易に浮かぶな。聖剣や魔剣も木の枝みたいに簡単に折れそうだしね。

 

襲い来る刃を紙一重で躱す。

レミリアよりもわずかに速い。

 

―――頃合いだな。俺を出せ!

 

「お、自ら肉壁になってッ、くれッ、るなんてッ、良い奴だねッ」

 

―――おいこら! 俺を盾にする気満々か!?

 

「冗ッ、談ッ、だって! そんじゃッ、行くッよッ!」

 

―――応ッ! 掛け声は打ち合わせ通りに頼むぞ!

 

「掛け声!? そんなのッ、あったッ、けッ!?」

 

―――さっきやったろ!? 

 

「戦いの最中に会話とは随分余裕だな」

 

いや、こっちとしてもキツイことしてるとは思うよ。でもね、悪いのは全部話しかけてくる中の奴だから。掛け声とかマジで知らないから。

 

―――ったく、仕方ねぇな。もう一回教えるからちゃんと覚えろよ?

 

「この状況で教えッ、るかなッ、普通!? というか掛け声とかッ、いならなくないッ!?」

 

―――バッカ、お前。わかってねぇな。登場する瞬間ってのは大事なんだぜ? 上手くいけば相手を怯ませることが出来る。逆に下手なら舐められて終わりだ。普通の登場なんて俺の美学に反するんだよ。

 

「あー、もうッ! わかったッ、わかったから早く言ってくれ!」

 

コイツの美学など知ったこっちゃない。でも、コイツが出てくれないと回避ばかりで攻撃に回れない。

必死こいてカイラの斬撃を躱し続けながら掛け声を頭の中に入れてゆく。

 

―――さあ、今度こそ俺の出番だな!

 

見聞色の覇気で先読みして相手が刀を振るうよりも先に左手で手刀を突き出し、刀を持った腕を防ぐ。そして右手を鳩尾に叩き込む。怯んだ瞬間に回し蹴りを脇腹に放った。

 

「グッ」

 

カイラが呻き声を上げながら転がっていく。

 

出すなら今しかない!

 

「地獄の覇者よ! 今こそ姿を現せ!」

 

開けたガシャポンから天に向かって炎が激しく噴き上がった。数秒程で炎が止まると今度は空から炎を纏った黒い球体が下りてくる。それと同時に地面から湧き上がる炎。それが球体に吸い込まれ真っ赤に染まり、やがて凄まじい熱気と爆風を放ちながら弾けた。

 

「へっ、ようやく出てこれたぜ」

 

中から現れたのは一人の青年だ。

逆立つ金髪、先の尖った耳、鋭い眼光を放つ金の瞳、褐色の肌、朱い漢服を纏っていた。

 

「なっ、貴様は……!」

 

声のする方に視線を向けてみればカイラが現れた彼を見て目を見開いていた。

 

「よう、カイラ。随分と暴れてるみたいだな?」

 

二人が向かい合うだけで空気がピリピリしてる。

龍神化しているとは言え、ここに俺も加わるとなると考えるだけでも気が重くなってくる。

 

「ふんっ、それがどうしたというのだ? 俺が王になるために必要なことだからやっているだけだ」

 

「必要なことだぁ? ……まあ、今はいい。カイラ、オメェはやり過ぎだ」

 

「この俺を止める気か? いや、このタイミングで出てきたお前のことだから聞くまでもないな。いいだろう。どの道お前を倒さなくては王になんぞなれるはずもないからな。この場で倒す!」

 

金髪の青年が手から赤いオーラを放つとカイラと同じように一本の剣を作り出した。

剣と刀が交わる度に甲高い金属音と衝撃波が辺りに響き渡る。

どちらかが攻撃をすればもう一人は防ぎ、相手の手を知り尽くしたかのように躱していく。

二人の実力は互角。

恐らく二人はただの知り合い程度の関係じゃなくて好敵手と言える関係なんだと思う。

ここに割って入るのは無粋な気がしてしばらくは見ているしかないようだ。

しかし、それもすぐに終わる。

 

「いつも、いつも俺の邪魔をしやがって!」

 

何合目かの剣戟の最中にカイラが突然声を荒げたかと思いきや、ドス黒いオーラが背中から溢れ出したのだ。

 

「何だありゃ!?」

 

カイラと旧知の仲の金髪の青年からしても、カイラの様子がおかしかったようで急いで距離を取った。

 

アレは、フランの時にも感じた……。ずっと感じていた禍々しい気配もこの黒いオーラのせい? もしも誰かの仕業だとしたら……。

 

金髪の青年が不利になる前に俺もカイラを止める戦いに戻ったのだった。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Sideフラン

 

初めて来る場所で上下左右見渡しながら、空が探してるカイラとかいう妖怪とは別の人物を探していた。

 

「フラン様ぁ~、こんな物騒なところから早く出ませんかぁ~?」

 

「じゃあ、あなた一人で出れば?」

 

私の後ろをトボトボ歩きながら弱音を吐くタマモに容赦なく言い放つ。

というか、帰ってくれた方が私としては嬉しい。

何故だか知らないけど、タマモを見ていると心がムカムカしてくるのだ。特に空に甘えてる時が一番ムカムカした。

 

……あ、そうか。私、この女が嫌いなんだ。

 

甘ったるい声音、一々あざとい仕草、良妻アピール。

彼女の一連の行動を振り返ってみて気が付いた。

 

「私、あなたのこと嫌いみたい」

 

「ご安心くださいな。私もあなたのことが嫌いですから」

 

思い切って自分の思ってることを告げてみれば、彼女は笑顔で返答してきた。

 

「出来れば空の前から消えてくれると嬉しいんだけど」

 

「おや、これは奇遇ですね。私のご主人様の周りを飛ぶ目障りなハエは早いとこ殺虫したいと思っていたんですよ」

 

「誰があんたのご主人様よ。二次元のイケメンにでも言ってた方がお似合いじゃないかしら。色んなのがいて選り取り見取りで、あんたの好きな相手に好きなだけ尽くすことだって出来るしね」

 

「いえいえ、私には三次元で十分ですからそちらにオススメしますよ?」

 

『…………』

 

「駄狐」

 

「似非お嬢様」

 

「ぶりっ子」

 

「ひきこもり」

 

…………。

 

『このッ―――』

 

「二人共止めるニャ!」

 

私達が互いの胸倉を掴もうとしたらジバニャンが止めに入った。

 

「二人が喧嘩してケガしたら空はきっと悲しむニャ! だから仲良くするべきニャン!」

 

ジバニャンに叱られて少しだけ頭が冷えた。

 

そうだ。空は優しい。友達のことを大切に想ってるから私達が喧嘩したら悲しむに違いない。考えるのも嫌だけどコイツも空からすれば友達だもの。

 

「ジバニャンの言う通り今は何もしないであげるわ」

 

「おかげで無駄な血を見ることにならなくて良かったです」

 

「ええ、非常に癪だけど同感だわ」

 

「ふふっ、泣く羽目にならなくて良かったですね」

 

…………。

 

『やっぱりころ―――』

 

「二人共!」

 

互いの胸倉に手を伸ばしかけたら、またしてもジバニャンに叱られるのだった。

 

 

 

 

 

 

 


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