戻れるなら中学に戻りたい。そんな天チクです
ではどうぞ
4月16日朝
「ほら秋水。今日は幼稚園の初登校日でしよう。もっとシャキッとしなさい。」
「はぁーーい」
いろいろと手続きをしたことで数日かかってしまったが無事に幼稚園にはいることが決まった。
ちなみに先ほど俺にシャキッとしなさいなんて失礼なことを言ったのが俺の母親。名前は【朝霧 友奈】ちなみに父親は【朝霧 剛】読み方はゴウだ。つよしではない。
しっかりした服とお馴染みの黄色い帽子、そして胸元にはチューリップの形をした名札。
まさに完璧なる幼稚園児である。
車で幼稚園へと向かう。
ーーーひいらぎ幼稚園
それがここの名前だ。いい友達と出会うことができた場所。初めて好きになれた自分の家以外の場所だった。
そんないい思い出のある幼稚園、さっそくお出迎えの先生が俺の前に屈む。
「秋水君だよね?これから楽しくやろうね?」
比較的若い先生なのか笑顔がとても眩しい。いや、いいね本当最高だわ。この無邪気な笑顔。若いっていいわ〜。
中身24だからこの思考も仕方ない。さっそくみんながいるクラスに通される。俺のクラスはアサガオ。
保育園とは違い、小学校同様に椅子やら机やらがしっかりと配置されており、園児たちも座っている。中にはぐでぇーっとしたり歩き回ってるやつもいるがそれはご愛嬌だろう。
先生に連れられてみんなの前に立たされる。
視線が痛いよ、やはりこのみんなの前に立つという奴は好きになれない。
俺の心境をよそに先生はみんなに笑顔で話し始める。
「今日からみんなと一緒に勉強する朝霧秋水君です。みんな仲良くしてあげるんだよぉ。」
続いて俺も挨拶をする。
「これからよろしくおねがいします」
幼稚園児らしい少したどたどしい感じで挨拶できた。
見回すと大多数の人は俺に興味がなさそうだった。まぁ子供なんてそんなものだろうさ。
俺か心配してるのは1つ。マカロニサラダがでないか! ではない。勿論出たら発狂するかもしれないがそうではない。
それはちゃんと子供に馴染めるかどうかだ。精神が肉体に引っ張られているとはいえ中身は成人男性が入ってるわけで、前と同じように仲良くできる確証なんてない。
少し不安になりながらも自分の割り当てられた席に着く。そして始まる朝の挨拶。
『先生おはようございます!みなさんおはようございます』
口を揃えての挨拶。実に懐かしさを感じるものだ。
HRも終わり自由行動に。
みんなも散り散りに動き始めたので俺も適当に散らばる。
そしてふと目に入ってくるのはブロック。
誰しもがやったことがあるのではないだろうか。ブロック遊び。コマを作って友達と対戦したり。俺の作った戦車が強いと自慢したり。友達の作った戦車が羨ましくて壊したり。泣いたり。ラジバンダリー。
まぁいろいろな思い出が詰まったブロック。
そしてそのブロックを一心不乱に組み立ていくく少年が1人。
子供は初対面が大切である。緊張気味に声をかけた。
「ねぇねぇなにしてるの?」
「? ブロックくみたててるんだよ」
「いっしょにやっていい?」
「うーん、いいよ」
ファーストコンタクトはまずまずの結果。ぶっちゃけ子供同士なんて後は簡単だ。
お互いの作ったものでバトルしたり褒めあったり貶しあったり。
一週間も経つ頃にはとても仲良くなっていた。
こいつの名前は【鷲巣ただひと】顔は例えるとウルトマンにでてくる怪人ダダみたいな顔だ。でも我儘ばかりいう園児達の中で1番大人びている。
他にも友達になった奴らがいる。
【野下ゆうき】幼稚園児のくせしてすかしてる野郎だが行動が面白いので仲良くしている。
ブロックを上に放り投げ胸元で片手キャッチ!綺麗に決まった時のドヤ顔は最高だ。
【秋沢新平】なぜか俺に必要以上に懐いている。俺のことをシュウと呼んで慕ってくる。『シュウ、シュウ、シュウ、シュウ、シュウぅぅうう!』…正直怖い。
【秋山戒】 幼いながらも将来は美形になるであろうフェイスをしており、すでに周囲の幼女達の視線を集めている。将来有望株である。「あ、このコマカッコいい」など、カッコいいものに目がない。
ってな感じの4人で最近は遊んでいる。ちなみにこの3人は前世でも友達だった奴らだ。
今更だが逆行なのに前世なの? とか言われても正直転生なのか逆行なのかわからん。たまたま同じ人間に転生したのかもしれないしな。
お昼の食事の時間、隣にはクラスナンバーワン美幼女の綾ちゃん。
ーーー過去の俺
「綾ちゃん綾ちゃんパンツみえてるぅ!あはははは!もっとスカートめくっちゃえ〜」
「ヤッ!いやぁ!やめて、…ぜ、ぜんぜぇ〜」
ーーー現在
隣にいる綾ちゃんは美味しそうに海藻サラダを食べている。大して美味しくないだろこれ。
…ごめんな綾ちゃんパンツのこと。俺、あの時は若かったんだよ。今にして思えば申し訳ないことしたなぁとは思う。まぁでも幼かったんだ許してほしい。
そんなこんなで綾ちゃんを眺めているとこっちを振り向いた。
「? しゅすい君どうしたの?あ!これたべたいんだ、えい!どぉ?おいしい?」
突然口に押し込まれた海藻サラダ。ぶっちゃけ味なんてわからない。いきなりのことに驚いているのだから。
まさかの口に海藻サラダ。これがマカロニサラダだったとしたら彼女は既にここにはいないだろう。
「どーしたの? 」
「な、なんで?」
うまく言葉にできないこの口が憎い。いくつになっても女の子と会話するのは苦手だ。
「うにゅ?パパとママがよくやってるよーこれ。はい!あーん!てやるのー!」
無邪気な笑顔
無垢な瞳
天使のような容姿
……拝啓 父上母上。ロリコンになってもいいですか?
いろいろありながらも一年が経ち俺たちも1つ上になった。まぁといっても幼稚園での学年なんてあってないようなもの。要は後1年でみんなとお別れだよーってことだ。
「しゅすい君!これあげる!」
弾けるレモンの香r…ではなく笑顔で俺にビーズでできたハートのアクセサリーをくれた。
…間違いねぇこいつ俺に惚れてやがるぜ(ゲス顏)
とは言ってもお互い幼児だし、なにができるわけでもなく勿論する気もない。
Yes! ロリータ! No!タッチ!
これを守れない奴は紳士じゃないのだよ。
ふっ。世の中所詮フェイスなんだよ。人生イージーモードかどうかなんて顔で8割決まると言っていい。その点、俺のニューフェイスはいい仕事してる。これで俺の学校生活は比較的安全になるだろうな。
別段取り上げることもなく緩やかに日々は過ぎていく。
特にやり直したいことはない幼稚園時代であるがそれは後にくる魔の小学生時代への休息の時だということを前の俺は知らなかった。
だがいまは違う!!なにもできずにやられていた俺じゃない!!待ってろよ!小学校!!
今日は卒園式。親も参列するこの行事はおそらく自分の子供の晴れ姿として初になる人たちも多いことだろう。
式も無事に終わり最後の記念撮影。
俺の左腕に綾ちゃんが抱きついており子供らしく笑顔を向けてくる。
対しておれの右腕には新平が。腕に抱きついている綾ちゃんを見つめて口元を歪める。
「ニヤリ」
ヤベェ、なんか前世より酷いんだけど。むしろもっかいやり直したいんだけど。やり直し直ししたいんだけど。
俺の幼稚園時代はこうして不気味な終わり方を告げた。
次は魔の小学生時代…
いや〜。こんな主人公にする筈ではなかったのに…
ロリコンとか雪ノ下さんに罵倒される未来しか浮かべれない( ̄▽ ̄)