アナザーストーリー〜トラウマの原因をぶち壊したら、その世界はどうなるか。 作:袖野 霧亜
下の階から足音が複数、なんで単数じゃないんだよ。折角の文化祭なのに暇人なのん? 1年に1回しかない文化祭だよ? こんな事してないでもっと楽しんでこいよ………じゃなくて! 現実逃避は止めろ。今やるべき事はこの状況の打破だ。屋上に逃げ込むか? いや、既に俺の存在は知られている。それは愚策だ。なら一かバチか階段を突破するか? これもダメだ。ヘタすると階段から転げ落ちる。何か……何か無いか!?
焦りから鈍くなった思考回路を働かせるが遂に階下から人が来て───
「やっぱりかおりだ。やっほー」
………………へ?
「やっほー。いつから気づいてたー?」
「うーんと、階段を上がる時?」
「あっちゃ〜。やっぱりあそこでバレちゃってたか」
「あんな風に見つめられてたら気づく」
「そんなに見てた? ウケるんだけど!」
「わーい、ウケるウケるー」
……何この状況? あれ? 八幡てっきり野郎共がヒャッハーしに来るとか思って身構えてたのに三木の知り合いと思われる女子が3人だけでなんか凄い肩すかし喰らった気分なんだけど。
「あ、八幡。かおりだよ」
「折本かおりです。美咲の友達」
「違う。顔見知り」
「友達じゃなかった! ウケる!」
…………友達じゃない宣告喰らってウケるか? 何コイツちょっと頭大丈夫?
「あー、それで折本だっけか? なんで俺達の後を付けてたんだ?」
「そりゃあ美咲が男連れて歩くなんて珍しい光景みれば誰だって尾行するでしょ!」
まぁそうだよな。三木はクラスのマスコットというカテゴリーに属しているカースト上位に入る程の人気者だ。そいつがいきなり男を連れて文化祭を……その、なんだ、楽しんでるなんてことになったら誰だって気になってしまうだろう。さらに言ってしまえばその相手が俺ともなると尚更大問題になることは必須事項になって俺はこの学校に居られなくなるだろう。何それ俺の立場窓際社員よりきわっきわじゃない? 少し押されたら即死コースだったの?
「あ、ところでかおりぃ、どうだい? 八幡はなんやかんや言うけど私に振り回されてくれるくらいいい人ですぜ?」
「? あー、なるほど、そういうことね」
なんか女子2人で話しちゃって八幡空気に。折本の後ろにいる人達もヒソヒソと話し合ってるし。ていうか振り回している自覚あるならやめて欲しかったなぁ。周りからの視線が痛いし歩き回ったせいで疲れた。もう家に帰っていいよね? どうせ打ち上げとか呼ばれないだろうし。あれ? そもそも打ち上げの話すら聞いてなくない? いつもの俺の情報網だと1ヶ月前から話題になってるはずなのに。
「───よし、じゃあ行くよ八幡」
「……ん? あぁすまん。なんだって?」
考え事してたら何も聞いてなかったわ。え、いくって何? とうとう天に召される? ありえないだろうか? いや、ありえなく無い。クラスメイトに三木とずっと一緒にいたのは俺だよって言われたら殺しにかかってくるかもしれん。物理的に、社会的にも殺しに来たらどうしようもない……。
「えっ、私からの告白を八幡が受けてくれたから今から愛の逃避行───」
「じゃなくて打ち上げだよ打ち上げ。もう文化祭は終わる頃で片付けも明日やれば問題なし。もう皆身支度始めてる頃だから行くよって話だよ」
「……ちっ」
「舌打ちされた! ウケる!」
打ち上げ? 何それ、俺を処刑させに行くの? 嫌だなぁ。
「嫌だなぁ」
「ちょ、比企谷まで冗談言ってたら話が進まないから! ほら行くよ!」
へ? 何? 口に出てた? 八幡思わず断っちゃってた? どんだけ行きたくないんだよ、俺。まぁ処刑されるっつーんだったら誰でも行きたくねぇわな。
「いや行かねーよ。なんで自分から処刑場に行かなきゃならんのだ。それに俺はこの後用事があんだよ」
「えー? ちなみに用事って?」
「プリキュアを録画してんだよ。それを観るから帰る」
『『「…………は?」』』
え、なんでそんなに引いてるの? だってプリキュアだよ? 観るでしょ?
「八幡、一般的な中学生はプリキュアはもう卒業してる」
「なん…だと…?」
バカな、クラスの連中はプリキュアをもう観ていないだと? そんな話信じられるか。ちょっとプリキュアを布教してみようかしら?
「なんでそんなにショック受けてんの……キモっ」
「あのそんなガチトーンで言わないで。泣きそうだから」
「いや別に観るのはいいけど、人に言わない方がいいよ。たぶん私らと同じ反応すると思うし?」
「そ、そうか。気をつける」
っべー。クラス替えの最初の自己紹介でうっかりプリキュアが好きですなんて言ってたら今の俺の立ち位置更にヤバけなってた所だったわー。ナイスプレー昔の俺。
「よし八幡。どうしても来ないと言うなら私は容赦しないぞぅ?」
「は? 何、何されんの俺」
「何もしないさ。ただ、来なかったら今日無理矢理一緒に居させられたのは君だとばらし、プリキュアが嫁でいつもそれを観て発情している奴だとクラスの人たちに、」
「よっし行くかー! なんだかとっても行きたい気分になったなー!」
「素直な子は好きだよ」
うっわ、凄いいい顔してやがる。こういう時、殴りたいこの笑顔! って言えばいいって親父も言ってた気がする!
「美咲………」
「しょうがない。こうでもしないと来ないし」
「いや、そっちじゃなくてホントに顔が悪人にしか見えなくてウケるんだけど」
「おや? そういえばかおり達には私達を尾行してた罪が───」
『『「すみませんでした」』』
「ちゃんと謝れる子も好きだよ。さぁそろそろ戻ろうか。せっかく八幡も来る気になってくれたことだし、ね?」
ちょっ、こっち見ないで。そんな『逃げたら……わかるよね?』って目で見ないで。わかってるから、わかってるから! 大切なことだから2回言ったよ。
その後、俺と三木達は(間隔をあけて)自分の模擬店をしていた教室に戻り、
主「本当にごめんなさい」
???・美咲「バーカバーカ」
主「バカじゃないもん! じゃなくて、どうも皆さん。主こと霧亜です。今回は5ヶ月も期間を開けてしまい申し訳ありませんでした」
???「ほらほら、何してたか説明」
主「運転免許を取得の為に短期の通いで自動車学校へ、まぁこれは1ヶ月で取りきったね。これが春休みの出来事。4月からは部活動の部長としての役割、バイトや文化祭の実行委員としての仕事、あとは学生証と運転免許証も一緒に財布を盗まれるという事件が起きたり、本編の彩加の出番が無くなることに気づいてそれをどうするか悩んだり、後は友達付き合いで遊びに行ったりしてました」
???「ははっ、財布盗まれるって草生えるわ」
主「やかましい。少しは産みの親をいたわれ。若干メンタルブレイクしかけて人類滅べば幸せになれるとか思い始めたからね?」
実咲「うわー、重症だー」
???「美咲ちゃん、あの人に近づかないでおこ?」
主「あーもう話が進まない! とにかく本当に遅くなってしまい申し訳ありませんでした! また遅れるかもしれませんが長い目で見てやってください!」
???「ところで主。俺が出る作品はまだかい?」
主「こんなことしでかした後でそれ言うか? 出来ても俺ガイルシリーズを完結させてからだ」
???「それ5年後くらいになりそうなんだけど?」
主「まぁそうなるよねぇ………。まぁとりあえず完走したら書き始めるよ」
美咲「内容と流れは大方決まってるみたいだしいいんじゃない?」
???「その頃にはもう働いてるだろうけどね」
主「まぁそれでもやると思うよ? 未来のことはわかんないけど」
???「ふーん? まぁいいや。どうせ『俺』が出るのはこの先数年はないって事だね?」
主「すまんのぉ、適当に生み出しておいて出番も無しとか」
???「いいよ。どうせ俺が出る小説が出ても俺がちゃんと出るのは後半になるのも知ってるし」
主「………ちょっと短編でこっちに出すか」
美咲「私と八幡の距離が変わらないのもなんとかしてね!」
主「わかったわかった。じゃあそろそろ終わりにしますか」
???・美咲・主「ご愛読、ありがとうございました。お気に入り登録、感想、投票してくれると嬉しいな☆」
???「ねぇ主? そろそろこれやめよ?」
主「それは常々思ってたから考えとく。」