アナザーストーリー〜トラウマの原因をぶち壊したら、その世界はどうなるか。 作:袖野 霧亜
放課後、うちの担任の先生に連れられて生徒会室にたどり着いた俺と三木は奴隷の如くこき使わされた。一切の休憩も無く、ただ黙々と作業をし続け、ある時には飲み物を買わされに行かされた。最早ここでの俺達の人権なんてものは無く、本格的に俺の想像している社畜像と似たり寄ったりな状況が作られていた。許すまじ、先生め。未だに名前を知らないから呪禁さえ唱えることが出来ないのが歯痒いところだ。
──また、以上の文章は全て悪意のある改稿である。
働いた時間は下校時刻までだからせいぜい2時間とそこら程で、話すことも無いから黙々と作業をし続け、飲み物を買いに行ったのだって生徒会長に皆の分も買ってきて欲しいとお金を渡しながら頼まれたからだ。人権が無い? そんなわけあるか。なんなら俺達の分は奢ってくれたまである。更にいえば俺達のスペックに合った仕事を振り分けてくれたから楽といえば楽だったし。あれ? これ結構理想的な仕事じゃない?
それと念の為、先生の尊厳の為に言っておくが、ここには先生はいない。まるで先生に命令されて仕事をさせられているような物言いをしたが先生は他にやる事があるらしいからここではない別のところにいる。つまり、かなり悪意のある文章の改編をしたのだ。良い子のみんなは絶対にこんな書き方をしたり文章だけで全てを知ってしまったような考えはやめようね! 百聞は一見にしかずって言葉があるくらいだからね! 自分が実際に見たものを信じよう!
まぁだからと言って先生への恨みは無いわけじゃないからやっぱり呪いをかけたいけども。
「2人共お疲れ様。今日は助かったよ」
この人物がうちの生徒会長である
「いえ、俺達は罰なのでしょうがないですよ」
「そういえばそれで連れてこられたんだっけ。何したの?」
「『高校生活を振り返って』とかいう宿題をふざけて書いたらこんな事になってました」
「柊先生相手にそんな事するの君らくらいだろうね……」
そもそもあんな事するやつがホイホイ居てたまるか。うちの担任があんな感じだって知ってたらもっとマシなもんを作って何事も無く平穏に暮らしてたわ。ここで最初から真面目に書けばいいのにとか言ってはいけない。普段から真面目にサボる事を考えている人ならわかるはずだ。
ていうかあの先生って柊なのね。覚えておこう。
「柊先生は自分の顔面がかなり怖いのをわかってる上で更に極道顔負けの表情するから余計に怖いんだよ」
「「それは身をもってわかってます」」
「それでも話してみると数ある教師の中でもまともな教師だから困った事があったら1番最初に相談した方がいいよ。必ず解決策を貰えるか先生自ら乗り込んで問題が無かったことになるまで徹底的に潰すから」
最後のやつで安心が無くなり恐怖が産まれた。なにしたんだよあの教師。秘密裏に問題を起こした何人かフルボッコにでもしてトラウマ植えつけたの?
「さて、雑談もそこそこに終わらせて早く帰ろうか。オレは先生に鍵返しに行ってくるからキミらは先に帰っててね」
「分かりやしたー。じゃー夜巡センパイお疲れ様っでしたーっす」
「お疲れ様でした」
「なんでまだ学校にいんだよ」
正確に言うと学校の敷地内にある駐輪場だが、まぁそれは置いといていいだろう。それより話の焦点を当てたいのはなぜまだ刻達が残っているのかだ。あれ? 先に帰ってていいよって言わなかったっけ?
「待ってたんだよ。何させられたか聞いて場合によってはおちょくるためにね」
「サイッテー」
「褒めるなよ恥ずかしい」
褒めてねぇよ。今のが褒め言葉になるのかコイツ……。さてはMか?
「どちらかと言うと俺はSがいい」
「心を読んだ上で願望言うんじゃねぇよ。知らねぇよそんな事」
「はいはい、どうでもいいから早く帰ろーよ。てかどっか寄っていかない?」
「「疲れたから直帰する」」
「ハモってるし! ウケる!」
「「ワーソーダネー」」
これが俺の日常であり、いつもの光景だった。これがずっと続いて欲しかったが、神はそれを許してはくれないらしい。なぜなら、
「比企谷、今日からお前を生徒会雑務に任命する」
なぜなら、今日から俺は生徒会に入ることになってしまったからだ。
……………………昨日の今日で何故こうなった。
夜巡 夜一とは?
海浜高校の生徒会長。唯一のまともなオリキャラ。一人っ子。原作の城廻めぐりの名前と性質をすこーし借りた。性別は♂。
柊 椛とは?
強面。八幡のクラスの担任教師。担当教科は国語。生徒会の顧問も担当する。