久多良木夫妻の帝国漫遊記   作:椿リンカ

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ワイルドハント(というかシュラ)を過大評価している?いいやッ!違うねッ!

大地さんが一般人だからだよォォォーーーーーッッ!!(半ギレ)
一般人からしたら十分!強いの!そこは忘れちゃいけない!一般人からしたら普通に強いんです!

戦闘シーンは描写が苦手なので割と雑。そのあたりは想像で補ってください。



久多良木大地は見極める

 

「チッ、これでも食らいやがれェッッ!!」

 

ワイルドハントの一人、チャンプがダイリーガーの一つ“焔の玉”をウェイブへと投げる。しかし即座にグランシャリオを纏ったウェイブは避け、チャンプへと接近戦を試みる。

 

「てめぇらは許さねぇッ!よくも帝都の人たちを・・・!!」

 

チャンプの肉厚な腹部へと一撃を加えるが、チャンプは倒れることなく踏みとどまったようだ。どうやら脂肪によって肉体へのダメージが多少軽減されたらしい。

 

「カスが俺に触ってんじゃねぇよ!」

 

ウェイブへと殴りかかるチャンプだが、その拳をウェイブは掴んでもう一発・・・今度はチャンプの横腹へと一撃入れた。

どうやらこれはかなり効いたようで、その場で跪いてしまう。追撃されぬようにウェイブは少し距離をとって相手の出方をみることにした。

 

チャンプはどうやら遠距離戦向けの帝具らしいが、チャンプ本人はかなりタフらしい。近接戦に持ち込んだとしても、相手を制圧するには少しだけ時間が掛かりそうだ。

 

「(早く終わらせて、大地さんのところに行かねぇと・・・!!)」

 

彼としては同僚であるクロメはともかく、大地のことが心配であった。

ワイルドハントを一度は退けたとはいえ、彼はあくまでも一般市民である。一般市民に戦闘を任せることは、軍人である彼には耐えられなかった。

 

 

 

クロメは暗殺者としての経験はそれなりにある。幼少時から人を殺す訓練と薬物接種を受けてきたし、本人もそれなりに自分の力があるとは思っていたが・・・

 

「(予想よりも手強いな・・・急ごしらえの骸人形では歯が立たない)」

「どうした、そんなもんか!?帝具使いって聞いたが、死体動かすだけか!」

 

ワイルドハントの一員であるエンシンの帝具“シャムシール”による斬撃によって骸人形である危険種2体が切り裂かれてしまう。

すかさずドーヤとナタラを動かすものの、彼らの攻撃にもすぐに対応されてしまっている。どうやら乱闘・・・いや、複数人を一人で相手どる戦闘には慣れているらしい。

 

「(あの二人、損傷が激しかったから継ぎ足したけど・・・これじゃいけないな)」

「ハッ!もう終わりか!?」

「・・・さっきからうるさい」

 

正直なところ【偶々帝具の適正があった田舎海賊】と思っていたのだが、どうやら彼女の予想よりも実力者らしい。

すぐにクロメも剣技で応戦するものの、真っ向勝負になると少々分が悪い。

クロメの剣技はあくまでも暗殺に特化している。もちろん、正々堂々とした剣技でも渡り合うほどの実力があるのだが・・・

 

「(・・・こればっかりは経験値の差かな。長期戦になるとこっちが危ない・・・薬が切れる前に倒すか、持ちこたえないと)」

 

そう、今の彼女は重度の薬物依存に陥っている。

その薬物で能力を底上げしているものの、薬物の効果が切れてしまえば戦うことすら困難になる。そうなれば自分は格好の餌食になるだろう。

 

「手早く済ませてあげる」

「あぁん?それはこっちのセリフだぜ」

 

 

 

「ほらよ、かかってこいよ。この間みたいに油断はしねぇけどな」

 

大地に対して挑発するシュラだったが、大地は構えるだけで向かうことはしなかった。

 

「(・・・陽子が親子を避難させることができたが、問題はここからだな)」

「あぁん?なんだ、かかってこねぇのかよ。前みたいに油断させようってか?」

「・・・」

 

先日、シュラに勝てたのはあくまでも“不意打ち”だったからだ。

純粋な実力ならば、自分よりもシュラのほうが上だろうと大地は判断している。警察官とはいえ、一般人程度の自分と、ダークファンタジーの世界観で生きてきたシュラ・・・

 

元々の基礎体力、戦闘能力があまりに違う。

 

そもそも、警察官として身に着けた体術は“戦うことなく相手を制する”ためにあるものだ。目の前のシュラやこの世界で戦っている一部の人間のように“戦うため”ではない。

 

「それなら・・・こっちからいかせてもらうぜぇっ!!」

「っ・・・」

 

真っすぐ向かってきたシュラの拳を大地はいなす。いくつかの追撃もすべていなしていくが、攻撃に転じることなく防戦一方である。

 

「ほらよぉ!どうした?!」

「(世界各地で武術を学んだ、か・・・クズにしておくには惜しいな)」

 

外道畜生の類とはいえ・・・世界各地の武術を学び、我流に昇華し、極めつつある若者だと、大地は認める。まともに戦闘を続ければ隙ができて攻撃を喰らう可能性もあるだろう。

 

・・・まともに戦えば、の話だが。

 

「オラオラァ!どうしたおっさん!殴りかかって来いよ!」

「・・・」

 

掛かってくるシュラに対して、大地はいなしつつ彼の足を引っかけて態勢を崩させる。そのまま彼の腕の服装部分をつかんで彼の顔を一発殴りつける。

すぐに彼から数歩だけ距離をとって大地は構えた。

 

「ッ、てっめぇ・・・!」

「ここから殴り合いだな」

「ハッ、殴り殺してやるよ!」

 

そう言って殴りかかってきたシュラに対して大地は・・・“回し蹴り”で応戦した。

 

「がっ・・・!!」

 

殴りかかってくると思っていたシュラはガードも間に合わず、そのまま横腹に蹴りを喰らう。それでもすぐに態勢を立て直そうとするあたりは、基礎体力や戦闘技術の差だろうか。

 

「公式試合でもないのに、綺麗な戦い方をする馬鹿がいるか」

 

距離をゆっくりと近づける大地に対して、シュラは拳がくるか蹴りがくるか、神経を研ぎ澄まさせた。次の攻撃を防いでカウンターを狙おうと、彼は集中する。

下手に攻め込むよりも、今度は大地の攻撃を防ぐことで彼の悔しがる姿を見るためだ。

 

あと少しで目の前に来る・・・と、いったところで、大地の足が少し下がったのにシュラの注目がそちらへと向けられる。

それと同時、いや数瞬後に大地はシュラの目の前で勢いよく“猫だまし”を行った。

 

「ッ!?」

 

またもや不意打ちされ、意識をそちらへ持っていかれたシュラに対して、大地はすかさず掌底打ちをシュラの顎先に打ち込んだ

 

本来、猫だましは相撲の技の一つであり、大地が本格的に取り組んでいる柔道や空手の技ではない。

・・・正直、この戦法は息子や娘たちが読んでいた漫画作品から得たものだ。

 

「(・・・まさか本当に漫画の知識が役立つとはな)」

 

・・・どうやら綺麗に入ったらしく、シュラは気絶したらしい。

 

それと同時に、丘の下あたりから帝都警備隊や、ランの姿を確認した。

どうやら陽子がランに掛け合うことができたようだ。

 

大地があたりを見回すと、ウェイブもチャンプを制圧し、エンシンに対してクロメと二人で戦っていたようだ。

メンバーの二人が倒れ、大臣の息子が倒れたのだ。エンシンも無理にここで権力を行使するよりは二人を治療できるところへ連れて行くことが優先になるだろう。

 

「(ようやくひと段落つけそうだ)」

 

 




元ネタの戦法を描いた漫画がわかった貴方はオトモダチ

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